一級建築士の資格試験勉強法について、よくある質問と回答

一級建築士の勉強法について、よくある質問と回答をまとめてみました。

勉強法について

学科も製図も独学で合格できますか?

学科はがんばれば独学でも受かると思います。4月に受験申し込みしてから詰め込み勉強しても、運が良ければ合格できます。

一方、製図試験は一般的に独学が難しいといわれています。自分のまわりにいるどれほど優秀な建築士の方でも、「独学で製図に受かった」という話はまず聞いたことがありません。

しかし平成29~30年の製図試験では、大手予備校の指導方針の裏をかくような課題が出題されました。また、2018年には製図独学向けの詳しいテキストが発売されています。

インターネット上の通信添削サービスも増えてきているので、これからは独学でも製図試験に受かりやすい時代になるかもしれません。

どうすれば製図も独学で受かりますか?

製図試験の勉強では、以下の2点が重要と考えています。

  1. 図面を添削してもらってエスキース力を磨くこと
  2. クオリティーの高い練習問題を多くこなすこと

適切な添削サービスを受けるのと、自力で課題を集めるのが難しいのが「製図で独学は不利」といわれる理由かと思います。逆に上記の条件を満たせるなら、高額な受講料を払って資格学校に通う必要はないともいえます。

図面の添削については、もし知り合いの建築家がスクールで講師のアルバイトをしていたら、根掘り葉掘り聞いてみるといいでしょう。通信添削のサービスは受けたことがないですが、リーズナブルで評判もよさそうです。

練習課題については、友達や後輩が予備校に通っているなら、こっそり横流ししてもらえばいいと思います。インターネットのフリマやオークションで転売されていることもあります。

人脈とコネ、知恵と工夫さえあれば、独学で製図試験に合格することも不可能ではないと思います。

製図はどの予備校がおすすめですか?

全国展開している大手3校の製図コース受講料は、こちらの記事で比較しています。練習課題の傾向分析についてはこちら。課題数やサービス内容は、おおむね料金に比例している印象です。

ただし、講師のレベルや指導スタイルは各校とも校舎によってまちまちな気がします。東京の都心校では有名な先生に会えたりしますが、受講者の数も多いです。かえって地方や郊外校の方が、少人数で丁寧に教えてもらえるかもしれません。

課題は少なめでも、あまりお金をかけたくないならTAC。近くに住んでいて定員に空きがあれば、小規模な個人塾でもよいかと思います。さらに安い通信講座でよければ日建、TAC。ネット上でもいくつか廉価な添削サービスが出てきています。


受験資格について

実務経験なしで受験できるって本当?

平成30年12月8日に「建築士法の一部を改正する法律案」が国会で可決されました。これによって一級建築士の受験資格が緩和され、大学の建築学科卒業後、2年間必要だった実務経験が不要になります(合格後の免許登録には必要です)。

このルールは最短で2年後、2020年の試験から適用される見込みです。本記事執筆時(平成30年12月)に大学3年生の学生さんは、最短で一級建築士に合格(免許はまだ)できる可能性があります。

建築学科では設計の理論や建築史、環境工学や構造力学など幅広く学んでいると思います。現場経験は少なくても、試験ではそこまで実務の知識が必要とされません。また、2次試験の製図実技は6時間半にわたる長丁場なので、気力と体力みなぎる若いうちにパスしておくのがおすすめです。

大学卒業したてのフレッシュな学生組は、ブラック業界に揉まれて擦り切れた中年受験生より圧倒的に有利だと思います。ぜひ今からこのサイトを参考にして、2年後の資格試験に挑戦してみてください。予備校に通うお金がなくても、学科は独学で十分いけると思います。


学科試験について

法令集はどこのを買えばいいですか?

TACがおすすめです。2冊に分けて持ち運びできるのと、サイズが大きく広げやすいのが便利でした。中身はどこも一緒なので、縦書きか横書きか、好きな表紙の色とかで選べばいいと思います。

いつから勉強をはじめればいいですか?

なるべく早い方がいいと思います。正月休みに、法令集の線引きくらいは済ませられると理想的です。自分は4月に受験申し込みしてから3か月で勉強しましたが、購入した教材を満足にこなせませんでした。

過去問題は何年分解けば受かりますか?

「過去20年解けば合格はかたい」と聞いたことがあります。しかし独学で集められる過去問は、市販書籍と古本を組み合わせて、せいぜい14年分くらいが限界だと思います。自分は直近3年しか解けませんでしたが、それでもなんとか受かりました。

構造が理解できません。助けて…

序盤の計算問題は捨てて、後半の全問正解を目指しましょう。構造力学といっても数式だけではないです。過去問の暗記で十分に対応可能です。

施工のイメージが全然わきません。ヘルプ!

実務経験・現場経験がないと厳しい分野です。イラスト入りの参考書を手に入れて、雰囲気だけでもつかんでみましょう。そしてこれらもほとんど暗記で対応可能です。


製図試験について

平行定規は必要ですか?

フリーハンドが得意ならベニヤ板でOKです。また、使い慣れているT定規でもよろしいかと思います。しかし、製図試験の会場を2年見回してざっと100人くらい、平行定規を使っていない人はひとりも見ませんでした。

平行定規のメーカーはどこがいいですか?

定評があるのはムトーですが、ほかよりちょっと高いです。ステッドラーやマックスを持っている人も会場で多く見かけました。自分は1年目に人から借りたドラパス、2年目に新品購入したコクヨを使いました。

平行定規のワイヤーが外れて困っています

自力で直すのは意外と難しいです。保証期間内ならメーカーに修理相談してみましょう。コクヨは1週間で直って戻ってきました

本番までに図面を何枚書けば受かりますか?

ご参考までに自分の場合、

  • 1年目…5枚→不合格
  • 2年目…23枚→合格

試験が終わってから翌年の課題発表まで図面を1枚も書いていないと、作図スキルはゼロまで落ちます。製図試験に受かった人は、平均的に20枚以上は書いて練習しているように思います。自分も20枚を超えたあたりから、ようやく作図の目標3時間を切れるようになりました。

試験中に食事していいですか?

おにぎりや菓子パン程度なら問題ないです。においのきつい弁当やハンバーガーは、まわりに迷惑がかかるので避けましょう。ふたのあるペットボトルも持ち込み可能です。こちらの記事で補給食の例を説明しています。

自分は結構食べた方ですが、それほどがっつり食事している人は会場で見かけませんでした。極度の緊張で食べ物がのどを通らない、また時間節約のため食べないという人も多いようです。

面積オーバーに気づきました…

床面積なら、適当にピロティーや吹抜けを増やして面積を削りましょう。建ぺい率なら、まず庇や屋外階段の撤去、そして風除室の上部など建物から丸ごとえぐれるところがないか探してみましょう。

エスキース中に面積計算して、どちらもオーバーしないよう配慮するのが一番いいです。