一級建築士の資格試験に出てくる必殺技っぽい専門用語の解説と覚え方

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一級建築士の試験に出てくる、おもしろい専門用語を解説します。

個人的にツボにはまった用語をピックアップしました。マンガや格闘ゲームで建築士キャラが出てきたら、いかにも繰り出してきそうな必殺技というセレクションです。

クロスコネクション

配管接続のミスなどにより、水道の上水と下水が混ざってしまう、あってはならない状況を意味します。蛇口の水に井戸水が混ざる程度なら害は少ないですが、間違って排水が出てくると思うとぞっとします。

※お食事中の方は、以下を読まないでください。

(究極の選択)

クロスコネクションされた台所で、お母さんが味噌汁をつくっています。知らずに食べさせられるとしたら、どちらを選びますか?

  1. トイレの排水が混ざった、糞尿入りの味噌汁
  2. 洗濯機の排水が混ざった、洗剤入りの味噌汁

洗剤入りの方が一見きれいそうですが、合成界面活性剤や塩素系漂白剤の致死率は高いです。舌がピリピリして痙攣。口から泡吹いて慌てることでしょう。

一方、腸内フローラの改善を目的とした糞便移植という治療法が実用化されています。便所の排水を飲むと腸活によさそうですが、経口摂取した菌は定着しにくいので、効果のほどは不明です。

これだけおぞましいイメージを焼き付けておけば、学科試験の対策はバッチリです。

ショートサーキット

室内に設置された給気口と排気口の位置が近すぎて、効率的に換気が行われない状態です。簡単にいうと、「入った空気そのまま出しても意味ないやんけ」という残念なイメージ。

空調効率が下がる程度なら害は少ないですが、便所や厨房の排気が逆流してくる場合は、「空気のクロスコネクション」といえます。「なんか臭うぞ、この部屋」と思ったら、案外原因はショートサーキットかもしれません。

「サーキット」というのが電気回路を連想させることから、最初はずっと短絡(ショート)や漏電・感電の危険性を指していると思い込んでいました。英語ではどちらもShort Circuitなので、注意が必要です。

ダブルトラップ(二重トラップ)

排水管の臭い漏れ・害虫侵入を防ぐU字やS字のトラップを、直列で複数設けてしまう施工ミスです。間に挟まれた空気の行き場がなくなり、排水が流れにくくなるそうです。

「トラップを二重に付けたら効果が高まりそうなのに、かえって用をなさなくなる」というメタトラップになっています。

まさにダブルトラップ。あまりに良くできた引っ掛けなため、試験元のお気に入りで、学科試験に頻出します。「三重トラップ」とか「並列ツイントラップ」みたいな亜種が出てくる可能性もあるので、受験生の方はお気をつけください。

トルシア形高力ボルト

鉄骨造の接合部に使われるボルトの一種です。ナット回転法でなく、加工精度の高いトルクコントロール法で締められるため、現在主流で使われている製品、なようです(実物を触ったことがないので、よくわかりません)。

なぜこれがツボかというと、「締め付け検査において、ピンテールが破断したので不合格とした」という引っ掛け問題が学科試験の定番だからです。普通は「ピンが折れたら不良品」と考えそうですが、その逆でピンがねじ切れた状態が正常です。

自分も初見で間違えました。わかっていてもミスしやすいダブルトラップなので、念のため載せておきます。

空冷ヒートポンプ(チラー)

冷媒を使って空気や水を温めたり冷やしたりする、空調設備用の熱源機器です。水冷式と区別するためか、わざわざ「空冷」と名乗っているところが、クルマ・バイク好きの好奇心をくすぐります。

きっとポルシェの最新EV(電気自動車)は、モーターやインバーターが空冷式でないかと想像しています。ロマンはありますが、騒音やオーバーヒートが心配です。

ツインコリドー

別名ツインコリダー、ツインコリドール。集合住宅の共用通路において、片廊下型を発展させた方式。

2つの廊下で吹抜けを挟むことによって、中廊下型より採光・通風面の改良をはかるアイデアです。平成29年製図試験「リゾートホテル」では禁じ手として封じられました。

マンガの必殺技としては、精神だけ異次元に飛ばして無限に回廊をさまよわせるような、幻術系の技になると思います。

ポストテンション方式のプレストレストコンクリート

平成30年製図試験「スポーツ施設」のプール上部PC梁は、この工法が推奨でした。現場でほかのRC部分と一体的に構築できるので、施工の効率や柔軟性にすぐれています。

ポストテンションとは、コンクリートの硬化後にシース内のPC鋼材を緊張させる方式です。一方、先に緊張しておいた鋼材のまわりでコンクリートを打設・養生するプレテンション方式も存在します。そしてこちらは工場生産が前提なため、プレキャストコンクリートの一部といえます。

  1. プレキャスト
  2. プレストレスト
  3. プレテンション
  4. ポストテンション

すべてPで始まりコンクリートに関わる、驚異の惑わせワードです。ひとことでPCといってもプレストレストなのかプレキャストなのか、そしてプレとポストのどっちのテンションなのか、文脈から推測しないといけません。プレテンションのプレストレストなプレキャストという状態もありえます。

ゲームの必殺技としては、なぞなぞをかけて相手を行動不能におちいらせる、混乱系の技になると思います。

ライトコート(光庭)

製図試験のパッシブデザイン対策において、吹抜け&トップライトより自然採光・自然通風に有利な上位テクニック。隣接する無窓室の採光問題を一挙に解決できるうえ、屋外なので防火区画も不要というボーナス付きです。

カド番受験生の究極奥義、「無窓転生」をも超える一級建築士のリーサルウェポン。その威力は宇宙のビッグバンに匹敵する、ギャラクシアン・ライトコート・プラズマ・エクスプロージョンとでも呼びたいくらいの大技です。