一級建築士学科~独学なら読んでおきたい構造・施工・設備の参考書

スクールに通わない完全独学だと、勉強中にわからないところが出てきても人に質問できない。職場に資格者の先輩や同僚がいれば教えを乞えるが、異業種のフリーランスなので誰にも聞けるあてがない。

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独学だと参考書がないと厳しい

勉強時間は限られているが、理解を深めるため問題集以外の参考書にも手を伸ばしてみることにした。「急がば回れ」ではないが、最終的に解法を暗記するにしても原理を知っておけば学習がはかどる。

特に構造のS造やRC造、施工科目は現場経験がないと呪文のような専門用語だらけだ。苦手科目の学習を助けてくれた参考書や、建築士の勉強法に関する本をいくつか紹介してみたい。

ウラ指導の『勉強法』

とりあえず大きな書店の資格コーナーを立ち読みして、参考になりそうだと思って買ったのがウラ指導の『一級建築士受験 合格者たちの勉強法』。具体的なテキストというより、試験の傾向や勉強法について説明している読み物だ。

4月末に勉強開始して法令集の線引きすら済ませていなかったので、正直こんな本を読んでいる時間はない。しかし、完全独学で試験について相談できる先輩や友人もいなかったので、どんな試験か全体像を把握するのに役立った。

忙しくても1日あれば読破できる内容なので、スクールに通っていても時間を割いて目を通す価値はある。後半は製図試験の対策なので、受かれば二次試験にも使える。

「ウラ」とか表紙の怖そうなお兄さんとか、参考書らしからぬ怪しげな装丁だが、中身はいたって普通の話。「自己流でやるよりとにかく過去問を解け」という、受験勉強の王道といえる内容だった。

出題はほとんどは過去問のアレンジで、そこまでひねくればマニアックな問題は出ない。基本を押さえて8割解ければ受かる。分野が多岐にわたるので、下手にマニアックな要素技術を調べ始めると勉強時間を奪われる。法規は出題が多いので時間との勝負になるなど、受験生が陥りがちなミスを指摘してくれる。

本書を読んで出題傾向を知っておくだけで、その後の学習方針を立てやすくなるといえる。とりあえず右も左もわからない段階なら、一読しておいて損はない参考書だ。

図書館で借りた構力の参考書

メインで使った建築知識のテキスト『スピード学習帳』は詳しいとはいえ、構力の公式まで説明してくれるほど丁寧ではない。昔から苦手意識のある構造力学は解法暗記で臨むとしても、イレギュラーな問題が出ればアウトだ。せめて学生時代の知識くらいは取り戻そうと思って、公立図書館で参考書を借りてきた。

1週間くらいノートにまとめながら勉強して、単純な静定梁やトラスの計算問題は解けるようになった。その後のたわみ角や不静定梁は、自力で理解不能に思われたので断念。構力といっても計算問題がすべてではないので、序盤の数題半分も取れれば上出来かと思った。

構造力学の参考書は「マンガでわかる…」「5日でわかる…」というようなゆるい本も何冊か出ているので、苦手なら一冊選んで目を通すのがいいと思う。定理の証明方法までは理解できなくても、用法が分かれば試験問題は解ける。

自分が学生時代お世話になった思い入れの深い本は、原口秀昭の『1級建築士受験スーパー記憶術』。

「球の表面積=心配ある事情(4πr2)」みたいな感じで、あまり語呂のよくない語呂合わせがたくさん紹介されている。本質的に理解せずこんな本に頼っていたから、なかなか単位が取れなかったのだろう。

構力でそこまで複雑な公式は出てこないので、「曲げ応力度は断面二次モーメントに反比例する」など、意味を考えながら暗記した方が応用が効く。語呂合わせしてでも丸暗記が必要なのは、不静定構造とたわみ/たわみ角の公式くらいである。

建築士受験にも別におすすめでないが、「こんな下世話な本もあるのか」と話のネタにはある。今や「ゼロからわかる」シリーズで人気の原口先生、その原点といえる迷著作だろう。

施工は『ゼロからわかる…』で理解

現場経験がないと、施工の科目は何を勉強しているのか全然イメージがつかめない。足場の組み方とか暗記物は何とかなりそうだが、RCの打設や養生になると専門用語も多くてさっぱりだ。

わらにもすがる思いで図書館に向かい手に取ったのが、またもや原口先生の『ゼロからはじめる建築の「施工」入門』。

コンパクトな入門書だが、施工の出題範囲はほぼ網羅されている。地業・杭打ちから屋根の防水処理まで、1ページごとに1ネタ読み切りのマンガで解説してくれる。「ジャンカじゃんか!」みたいなダジャレも相変わらず多い。

実務経験のない独学者なら、原口秀昭の「ゼロからはじめる」シリーズは非常に助けになる。建築士受験を意識したラインナップになっているので、施工だけでなく設備や法規も抑えておきたいところだ。あいにく図書館に在庫がなかったので施工しか読めなかったが、時間的・経済的余裕があれば全巻そろえて常備しておきたい。

図解本で設備をかじる

建築設備も素人には理解が難しい分野だ。実は以前「セルフビルドで小屋でも作ろう」と盛り上がった時期があり、トイレや台所の給排水が気になって入門書を読んでいた。導入コストがどのくらいかかるか不明だが、便器はぜひ強力なサイホンボルテックス方式を選びたい。

住宅向けの解説本なので、ビル向けの中央制御や冷却塔は出てこないが基礎知識は得られた。設備の図解本は一般向けに多く出ていて図書館でも手に入りやすい。早い段階で一冊目を通しておくと、後々理解がはかどって助かるだろう。

安藤忠雄『私の履歴書』

受験勉強中は余計な本を読まないようにしようと思ったが、図書館の建築コーナーで見かけて一冊だけ借りた安『安藤忠雄 仕事をつくる―私の履歴書』。

日経新聞に連載されたコラムの編集版で、かつてリアルタイムに毎日読んでいたのが懐かしく思われた。東大教授になったり教育テレビで講義したり、2000年代は安藤忠雄が一般メディアによく出ていた。本書は建築の理論よりも、コンパクトにまとまった自叙伝として気楽に読める内容だ。

実はエピソードの一つとして、安藤忠雄が建築士を受験したときの話が出てくる。独学で有名な人なので、当然受験資格を得るにも相当年数の実務経験が必要だったらしい。

高校で建築を専攻していなければ、まず二級を受けるのに実務経験が7年以上必要だという。その時には絶対に一発で合格しようと覚悟を決めた。3年後には一級建築士の試験が待っていた。数学や物理の知識が必要な問題が出る。大学教育を受けていない私は苦戦を予想したが、とにかく「石の上にも三年」の気迫で頑張り通した。こちらも一発合格だった。

『安藤忠雄 仕事をつくる―私の履歴書』

下積み期間が長かったとしても、2級も1級も一発合格。アウトローで悪ぶっていても相当頭がよかったのではないかと思う。

「安藤さんが働きながらでも一発合格できたなら、もっと恵まれている自分は受かって当然」そんな感じで尻を叩いてくれる本だ。受験勉強中の息抜きにはおすすめ。

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