一級建築士学科試験~3か月で合格を果たした独学スケジュール例

一級建築士の受験を申し込んだ4月半ばから法令集やテキストを揃えて勉強開始。7/23の学科試験本番まで、実質3か月で詰め込み学習した。

最初にざっくりと学習計画を立てたが、理解が進まず思うようにはかどらなかった。過去問も市販書籍2冊で14年分入手したが、直近3年ほど解いた時点で時間切れ。この程度の勉強量で学科に受かったのは奇跡といえる。

学習範囲の広い学科試験。知識ゼロから始めて、3か月で合格水準に達するのは無理がある。できれば年明けくらいから勉強スタートするのが理想的だ。あくまで参考として、4月から取り組んだ作業を紹介してみようと思う。

4月中旬:法令集の線引き(2日間)

まずは避けて通れない法令集の線引き。シール貼りは思ったより早く1時間で済んだが、線引きの方は集中してもさすがに丸2日かかった。機械的にマニュアルからトレースするだけでも、最低このくらいは時間がかかる。

線引きは忍耐力を高める写経のような訓練だと思って、淡々と進めるしかない。条文内容の把握は後回しにして、ひたすら線を引くことだけに集中した方がいい。

1度目の学科受験は、線引きどころかシールを貼る途中で挫折した。後から振り返ると、この作業も満足にこなせないくらいなら(やる気が出ない、仕事が忙しいなど)、その年はいさぎよく受験を諦めた方がよかった。中途半端に取り組むより、環境を整えてから来年挑戦した方が、時間を有効活用できる。

法令集の線引き作業は、後々取り組む製図試験の作図練習に比べればたいしたことない。試験にのぞむ「本気度」を測る、通過儀礼のひとつだ。学生時代、黙々と図面をトレースしたり、模型パーツを作っていたときの気分を思い出せば、きっとやり遂げられる。

4月後半:構造の参考書とテキスト

法令集が片付いたら、個人的に苦手意識の強い構造力学から勉強をスタートした。恥ずかしながらルートの近似値や三角関数すら忘れていたので、図書館で借りた参考書をもとに基礎から学び直した。ベクトルやモーメントの初歩的な理解だけで、数時間は費やした。

3日くらい参考書にしがみついて、静定梁までは解けるようにきた。そこからメインの『スピード学習帳』に着手。目次の順に、1日2~3単位くらいのペースで進めていった。1日の勉強時間は4~5時間程度。

実は構造力学といっても、純粋な計算問題は半分も出ない。残りは各種構造や材料の知識を問われる暗記問題。計算系は不静定梁のあたりから難しくなるので、苦手ならスキップして後半パートに着手した方がスムーズだ。

少し予定をオーバーしたが、4月中には構力のテキストを一通り終えた。もっとペースを上げれば、終盤で過去問を解く時間を増やせたと思う。4月中はまだ緊張感が足りず、のんびり勉強していた。

5月初旬~中盤:施工に挫折し法規へ

施工は土工事・山留めまで来たところでまったく理解できなくなった。「親杭横矢板」とか「ソイルセメント柱列壁」とか、字面だけ見てもそれが一体なんなのか想像もつかない。

丸暗記しようにも効率が悪いので、構造科目と同じく参考書をあたってみようと思った。近くの公立図書館に行くと、イラスト入りの詳しい解説書を借りることができた。

施工の知識をテコ入れしている間、並行して『スピード学習帳』の法規パートを進めてみることにした。こちらは完全に暗記科目なので、コツさえ分かれば取り組みやすい。問われたことに対して参照すべき条文や表がわかれば、ほぼ確実に解ける。

5/21までの時点で、消防法など関連法令まで含めて一通りテキストをこなせた。法律の条文が回りくどいところは、ウェブで調べると親切にまとめてくれているサイトがある。特に耐火・準耐火構造のあたりは、図に起こして整理しないとチンプンカンプンだろう。

5月下旬:法規終了後、施工テキスト再開

法規を勉強しながら、施工の参考書も読み進めてなんとなく現場のイメージをつかめた。法規テキスト終了後に、いったん中断した鉄筋工事のパートから再スタート。6/5までに施工の残りは終えた。意味不明なまま暗記に取り組むより、やはり中身を理解してからの方がスムーズに学習できた。

S造、RC造、SRC造の部分は、鉄筋の型番など構造科目の後半とかぶるところもある。型枠工事や屋根工事のディティールは、『ゼロからわかる~』本の施工編にイラスト入りで詳しく載っていたので助かった。

月末はいったん温泉に泊まりに行ったりして休養を取った。のんびりしすぎて、5日間も勉強をさぼってしまったのは痛手だった。それだけ時間があれば、7月に過去問をもう2年分は解けたと思う。

6月中盤:環境・設備を経て計画へ

6月初旬に施工が完了し、環境・設備に着手した。環境のテキストは5日間のハイペースで終えた。続いて計画も6日間で完了。ほかの科目に比べると初心者でもイメージがわきやすく、この2科目は楽しく勉強できた。

寸法設計やサッシの収まりは複雑だが、暗記量は他科目より少なくて済む。設備関係も構造・施工と同様に、『これだけ!』シリーズの図解入門書を読んだら学習がはかどった。

建築史は得意なつもりだったが、戦後の住宅・集合住宅は知識がなくて手こずった。作品の写真がないとイメージがわかないので、ネットで検索してたらTAC建築士講師室ブログの「実例暗記法」を発見した。

TACブログは有名な建築作品から地味な団地や公共建築まで、練習問題と写真付きのリンク集も兼ねている。学科に必要な建築史を覚えるには、最も効率がいい資料だと思う。

6月下旬:法規の復習

『スピード学習帳』のテキストは一通り全科目終えたが、いくつか問題を解き直したらすっかり忘れていることに気づいた。特に暗記に頼っていた法規がひどい。日常生活に関係ない抽象的な知識なので、一か月も経つとすっかり記憶から抜け落ちてしまうらしい。

ここは冷静に、テキストをマーキングするだけでなく、自作のノートにまとめて法規を復習し直した。「必要な情報は法令集に書いてある」とあなどっていたが、自分で表に書き出してみないと理解が進まない。建蔽率・容積率と高さ制限の計算問題は、解法をチャート化して整理した。

法規のまとめと復習に、6月下旬から10日ほどかかった。

7月上旬~中旬: TACブログ

法規の復習が済んだら、今度はそれより前に覚えた構造と施工が心配になってくる。案の定、問題を解き直してもすっかり忘れていた。そろそろ7月に入って時間もないので、テキストの復習と並行して、すきま時間でTACの「比較暗記法」を読み進めた。

構造の地震力計算に出てくる振動特性係数Rtや、高さ方向の分布関数Aiはブログを読んでようやく意味を理解できた。QudとQunの違いなど、テキストになかった補足情報も多くて目からうろこだ。4月の時点からこのサイトを見ながら勉強していれば、もっと効率よく学習できたと思う。

食事中やトイレでもひたすらスマホで読み続け、要点をノートにまとめ。ようやくTACブログを施工まで終えられたと思ったら、すでに試験本番まで残り一週間を切っていた。

7月下旬:過去問

ようやく着手できた過去問題集。平成28年からさかのぼりつつ進めて、結局26年まで3年分しか解けなかった。本番と同じ制限時間で問題を解いて、解説も確認しながらだと、1年進めるのに2日はかかる。試験前日ギリギリまで過去問に取り組んだ。

とりあえず「法規は時間無制限」というハンデを設けて解いてみたら、H28は合計98点、H27は102点。科目の足切り点にも引っかからなかったので、ちょっと安心できた。

次に全科目時間どおりに解いてみたら、法規の得点率がみるみる下がってH26は合計93点。ぎりぎり合格レベルとはいえ、際どいラインだった。

試験本番の得点も似たようなもので、自己採点の結果は94点。学科試験の難易度は毎年それほど変わらない。試験直前に解いた過去問の正答率は、ほぼ本番で発揮できる実力に近いと考えられる。

解けた過去問は3年分プラスアルファ

まとめて解けた過去問は3年分だが、『スピード学習帳』やTACブログでそれ以前の過去問にも目を通せていたといえる。各種の教材でフォローできていれば、実際に取り組めた過去問の年数は気にしなくていいのかもしれない。

「過去問20年分」というのが合格の目安といわれるが、独学でそこまで古い過去問を入手するのは難しいと思う。どんなにがんばっても1年分解いて解説を読むのに2日はかかる。20年なら40日はかかる計算。

試験直前で時間に余裕がなければ、年度ごとの過去問に取り組むより、ポイントを押さえたTACブログを読む方が効率よい。トイレや移動中など隙間時間に勉強できる、すばらしい教材だ。