一級建築士製図試験~製図板からテンプレートまでおすすめの道具類

1分1秒を争う製図試験。作図スピードを高めて有利に進めるには、それなりの道具を選ぶ必要がある。

平行定規は友人から借りて間に合ったが、それ以外の道具は大してお金がかからない。テンプレートやシャーペン・消しゴムはいくつか試して好みのものが見つかった。予備校の推奨品もあるかと思うが、個人的にベストと思った製図試験の道具類を紹介してみたい。

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フリーハンドはあり得ない

とりあえずA2サイズの平行定規は必須らしい。しかしネットで調べると、本番で配られる製図用紙には5mmの方眼が印刷されていると聞く。ということは、実はドラフターもT定規も不要で直定規一本あれば縦横の線を引けるのでなかろうか。

妙にミニマリスト的な興味が働いて、製図板を下見に行った世界堂で代わりに薄いシナ合板を買って来てしまった。とりあえずA2サイズの用紙を貼れる平滑な板があれば製図はできる。

試しにTACがウェブに公開していた早期発表課題を模写してみた。やってみると、定規をいちいち方眼にあてがう動作がわずらわしい。方眼にそって縦横の直線は引けるのだが、ポジションを変えるたび、定規をセットするのに2~3秒かかる。

友人から借りた中古の平行定規

T定規なら、製図板の縁に引っ掛けて目で見ることなしに水平を取れる。それだけでもずいぶん楽なはずだ。懐かしのT定規にアップグレードしようかと思ったが、試しに友人から借りた平行定規を使ってみたら、そちらの方が数倍快適だった。

中古品で、どのネジを回しても定規がロックされないという不具合がある、DRAPASのウェブサイトや関連情報を探したが、説明書は見つからなかった。幸い定規のがたつきは抑えられたので、手で支えながら線を引けば、動いてずれることはない。平行定規の導入で、作図のスピードは格段にスピードアップした。

一部の情報ではフリーハンドの人もいるとのことだったが、模試や本番の試験会場を見まわしても一人も見なかった。自分も「合板・直定規で代用する」というアイデアは思いついたが、実用性を考えるとすぐに諦めた。

狭い自室に製図板を置くとますます狭くなる。作業のたびに机の上からパソコン関連の備品をのけて、製図板をセットするのが面倒だ。部屋から荷物を減らすために、何としても初年度で合格したいと思った。

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シャーペンは0.7mmの2B芯1本

大学の同期が級建築士を持っていて、専門学校のアルバイトで二級の製図を教えているという。たまたま仕事の関連で久々に会ったので聞いてみたら、「とにかく図面は濃く書け」というアドバイスだった。薄い線だと見るからに自信なさそうで、採点時の印象が悪いという。

シャープペンシルは0,7mmの2Bが推奨。これ一本で柱も窓もすべてかき分けられるとのこと。学生時代から使っているステッドラーの金属製製図シャーペン925-25は、0.5mmと0.3mmの2本持っている。あいにく0.7mmの持ち合わせはない。

同じシリーズで太さをそろえてもよかったが、ブラック色は廃番でシルバーかネイビーしかない。ロゴのフォントも微妙にマイナーチェンジしている。手持ちのシャーペンも20年近く使い込んでいて、口金が曲がったりしてコンディションはよくない。ステッドラーはカッコよくて好きだが、試しに他のメーカーのも使ってみようと思った。

同じくドイツ製のロットリングも見た目がいいが、なぜか製図シャーペンは昔から相性が悪いので見送り。国内メーカーの製品を世界堂で書き比べて、PentelのGRAPH 1000 FOR PROを選んだ。

ぺんてるのグラフ1000 FOR PRO

筆記具メーカーはそれぞれ製図シャーペンを出しているが、なぜか国産品は家電のようにデザインがいまいちだ。超合金ロボのように派手なメタルパーツが出っ張っていたり、グレーの軸におもしろみのないアクセントカラーが使われていたりする。

唯一グラフ1000のプロだけがオールブラックで違和感ないと感じた。クリップも小さ目で邪魔にならない。LAMYのSwiftのようにセットバックする先端部の造形もきれいだ。

実際にこれで図面を書いてみると、0.7mmの2Bという太めで柔らかい芯のおかげか、思った以上にしっとりした書き心地だった。逆にこれまでのステッドラーに持ち替えてみると、動かすたびに胴軸の中で金属パーツがあたる音がしてカチャカチャうるさい。グラフ1000は部品の組み合わせ精度が優れているのか、使用中に不快なきしみや雑音は一切感じなかった。

重さもプラスチック製のぺんてるの方が自然で疲れにくく感じた。「製図シャーペンは重い方が自重で線を引けて疲れない」といわれるが、スピード勝負の製図試験では逆に軽い方がストレスが少ないようだ。

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柱は0.9mmのプレスマン

店頭で安かったので、前から気になっていたプラチナのプレスマンも買ってみた。0.9mmの極太2B芯で、さらに長時間筆記に向くよう通常より長い芯が入っている。

過度に筆圧を加えると、芯が折れないようペン先が自動的に引っ込むという驚きの機構付き。それなのに税抜200円という信じられない低価格で売られている。

さすがにプレスマンで窓枠や什器を書き込むのは難しいが、柱の断面は0.9mmで記入してみることにした。スパン割りを決めたら、誰もが最初に行うテンプレートで四角形をプロットする儀式。プレスマンを活用することで、きわめて太くて濃い線で柱を目立たせられるようになった。

ちなみに練習・本番でもプレスマンの芯が折れたことは一度もない。あまりに気に入って、普段のメモもこれ一本で通すようになってしまった。PRESS MANはチープなく外観だが、一度使うと手放せないグッドデザインだ。

ぺんてるのグラフ1000も素晴らしいが、製図ペンの命である口金を曲げないよう、持ち運びには神経を使う。その点プレスマンは安くて頑丈で、出張先にも気兼ねなく携帯できる。

テンプレートは悩ましい

テンプレートは評価の高いバンコのテンプレートプラスを買ってみた。大き目の三角定規として縦に長い線を書く際は便利だが、テンプレートとしては大振りで扱いにくい。特に柱の四角形や什器の椅子とテーブルを書く際、小回りが利かず使いにくい。

各社製品を一度比較して、ウチダから出ているコンパクトサイズのテンプレート(No. 140F 型番012-0015)を選んだ。

微妙に楕円が細長くて、トイレの便器に使うと妙にスリムになってしまう。円も洗面台を書くのに2.5径の穴がもう1個欲しいところ。それでも他より圧倒的にフットプリントが小さいので、手放せなくなってしまった。

世界堂の定規コーナーを眺めていると、1/200のちょうど6~7mスパンで80cmの四角形を連続して書けるチートアイテムも発見した。柱のプロットは定型的なルーチンワークなので、たしかに方眼を数えないでテンプレートで距離が測れるのは便利だ。

テンプレートに印をつけるのはNG。丸・四角などの基本図形以外は使用禁止だが、この裏技的な道具は許されるのだろうか。本番で没収されるならまだしも、試験監督に目をつけられるとか退場させられるのはかなわない。興味深い製品だが、買うのはやめておいた。

三角定規は目盛りなし

三角定規は目盛りなしの無地のものを選択。柱のスパンがわかれば、あとは方眼メモリを見ながらおおよその寸法は測れる。

縦線を引く際は頻繁に使うので、余計な寸法がなく視界がクリアが方がうれしい。外構や外壁など長い線はバンコのテンプレートプラスを使って、それ以外はステッドラーの小型の三角定規で済ませられた。

三角スケールよりヘキサスケール

三角スケールは厚みがあってかさばるので、昔から好きでない。エッジが手に食い込んで痛いときもある。アルミ製は凶器のようだ。どのみち使う縮尺は1/200、せいぜいエスキスで1/400までなので、それ以外の縮尺は不要といえる。

ウチダから出ているヘキサスケールの長さ10cm版(型番1-882-0110)を試してみたら、従来の三角スケールより圧倒的に使いやすかった。

頻繁に使う1/200が外側に印刷されているので、ペンを当てやすい。変な厚みもなく図面の上で滑らせやすいので、三角スケールより格段に便利なアイデア商品だと思った。

勾配定規は不要

2017年は斜面地のため、環境に配慮した勾配屋根の可能性が高いといわれている。当然勾配定規が必要かと思ったが、店頭で見るとかなりでかい上に、ステッドラーもウチダも2,000円くらいする。

実際に作図してみると、よく使う屋根の勾配は2~3/10程度なので、方眼のマス目を使って計算すればアバウトに書ける。横に10コマ取って縦に2~3コマ上げる。そのままの角度で定規を滑らし、必要な長さだけ屋根の線を書けばよい。

精度は出ないが、この方法で直定規だけを使って、それほど見た目の悪くない勾配屋根が書けるとわかった。

図面の汚れ対策に手袋

作図中に定規に着いた鉛筆カスで図面が汚れることに気づいたので、試しにフローティングのシールを貼ってみた。

滑りは変わらないが、微妙に図面の縁などの段差にシールが引っかかるのが気になった。図面の汚れ具合もあまり変わらないように思う。結局わずらわしくなって外してしまい、対策としてときどきウェットティッシュで定規を拭うことにした。

また手の汚れが移るのを防ぐために、マンガコーナーで売られていた白手袋を両手に装着することにした。1時間ごとに表裏を入れ替えて、1回の作図で3セットくらい消費する。その後洗濯して使い回すが、これだけまめに交換しても若干図面が汚れるのは不思議だ。

消しゴムはダストキャッチ推奨

消しゴムは家にあったMONOのノーマル版を使っていたが、消しカスが多く出るのが次第に気になってきた。

カスの出ない消しゴムといえば昔から「まとまるくん」だが、どう見てもケースのデザインがださい。試しにトンボのダストキャッチを選んでみたら、驚くほど消しくずが少なくて格段に快適になった。

消しゴムで図面をこすっても、ネットリとゴムの表面にひも状のカスがまとわりついてMONOのように分散しない。線を消す基本機能もそこまで劣化しないので、製図試験にはぜひノンダストタイプの高機能消しゴムをおすすめしたい。

1個数100円の安い投資で、作業が驚くほど快適になる。本番では予備も含めて3個くらい机に並べておいた。

ペン型の消しゴムも細部を消すのに便利かと思って用意したが、普通の消しゴムと字消し板を組み合わせる方が速かった。ペン形状の道具を上下を見ながら構えるより、消しゴムの固まりをがさっとつかむ方がわずかに有利。こういう動作の改善も積もり積もると、作図時間の短縮やストレスの軽減につながる。

字消し板は何でもよい

字消し板は昔から持っていたステッドラーの普通のやつを使いまわした。年季が入ってべこべこに歪んでしまったが、特に支障はない。

マグネット付きとかメッシュ式でなくても、特に不便は感じなかった。

ブラシで心も清められる

図面を払うブラシは場所を取るので必ずしも必要ではない。試験中は図面に息を吹きかけて、消しカスやゴミを吹き飛ばした方が速い。しかし製図板全体を一気に清掃するには、ブラシがあると便利だ。

ウチダの製図用ブラシは大・小とも素材が不明だが、ステッドラーの989 01は馬毛と書いてある。友人から製図板と一緒に借りたブラシはどこのか不明だが、大き目で扱いやすかった。

ブラシを使うと、机を掃き清めて思考をリセットする儀式のように見えてくる。気分的なものだが、製図板と同じく一見おおげさでも効果の大きい道具の一つだろう。一本持っていれば家の掃除にも兼用できる。

道具類の収納はタオルで十分

試験にはこだわりのペン立てを持参してくる受験生が多い。そのまま広げて立てられるタイプの筆箱も便利だ。ただし、会場では3人分くらいの幅を広々使えるので、自分はタオルの上に道具を並べるだけにした。

使うたびに定位置に戻して探さなくて済むなら、道具の収納方法は何でもよいと思う。本番中はプレッシャーでありとあらゆる物理的・心理的ハプニングに見舞われる。少しでも混乱を防げるよう、使い慣れた道具と整理法で臨むことが肝要である。