一級建築士の製図試験に、あえて独学で挑戦した理由と反省点

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平成29年に受けた学科試験、自己採点の結果は94点だった。足切り点ぎりぎりの科目があるので、どこかに採点ミスがあれば一発アウトの恐れもある。それでも受かった場合は、9月の合格発表まで一か月なにもしないのは時間がもったいない。学科は合格できたと仮定して、ダメもとで二次試験の準備を始めた。

いろいろ考えて、製図の初受験も独学で挑戦してみることにした。スクールに通うには、明らかにお金がかかりすぎる。平行定規も知り合いから借りて済ませたくらいなので、予算が全然足りなかった。

市販テキストや公開模試を組み合わせて、そこそこ課題は解けるようになった。しかし本番では想定と大きく異なるパターンが出て、なんとか図面は仕上げたが結果はランク3で不合格。独学というより、そもそも絶対的な勉強が足りなかったように思う。

製図試験に向けて準備したことと、反省点をいくつかまとめてみようと思う。

2017年の課題はリゾートホテル

一級建築士の実技・製図試験は、6.5時間の制限時間でA2サイズの用紙に、3階建てくらいの公共建築を設計するという内容。A3サイズの用紙に「計画の要点」を記述する、文章問題もある。

2次試験で設計する建物の種類や階数、必要図面などは、学科試験の前に事前公開される。2017年は「小規模なリゾートホテル」だったので、楽しそうに思われた。過去に出た「介護老人保健施設」などよりは、モチベーションが上がる。

製図も独学で挑戦した理由

学科試験は独学でもそこそこいけたので、製図の1年目は自力で挑戦してみようと思った。有資格者の知り合いでも、独学で製図に受かった人はいない。話を聞くと、みな口をそろえて「学科は独学でも製図は予備校に通った方がいい」とアドバイスされる。

大手の予備校に通えば、8月から開講される日建学院の「設計製図本科コース」で45万円(※税抜価格、以下同じ)。9月開講の「設計製図短期コース」でも22万円。総合資格の8月開講コースはもっと高くて47万円かかる。

TACの「設計製図本科生」は大手3校の中では一番安く、22万円だ。通信講座ならTACで17万、日建学院で13万とリーズナブルだが、添削を受けられる回数がそれぞれ4、3回と少なくなる。各コースの受講料には、単純に講義や添削にかかる講師の手間と人件費が反映されているのだろう。

ほかにも小規模な個人塾やネットの図面添削サービスが存在するようだ。いずれも大手校より料金は安いが、それでもまともに受講すれば数万はかかる。

例年学科試験の合格率は18%程度だが、製図試験は40%とずっと高い。二次試験に落ちても、学科免除で製図から受験できるチャンスが今はプラス2年ある。自信はないが、猶予期間の3年かけて独学で製図に取り組んでみるのもありかと思った。

市販テキストでエスキース練習

市販のテキストと日建学院の模試を組み合わせて、合計15問は練習課題に目を通すことができた。しかし、実際にエスキースできたのはその半分くらいで、あとは時間がなく解答例を眺めるだけで終わってしまった。

テキストの座学部分で基本的なエスキースのやり方や、階段・EV・トイレなどのスケール感覚を把握。課題文を見ながら、試験本番の気持ちで自分のプランを作ってみた。

製図試験、図面の暗記

日建学院の課題については、どれも中央に廊下や吹抜けを配置して2階の外向きに客室を並べる解答例が多い。何題か解いてみると、このパターンを当てはめれば何となくプランが作れるとわかってきた。おかげで日建学院の公開模試でもランク2と評価された。

作図練習として、本番までに一から書き上げた図面は、トレースを含めてたった5枚。後から考えると、この程度の練習量で試験に合格しようというのは甘かった。

独学だと、課題発表から2か月半の学習スケジュールもうまく設定できない。まわりにプレッシャーをかけてくれる人もいないので、学科試験の疲れが出て、ついついさぼってしまったといえる。

記述は学科と同じく暗記でいける

記述の方は、テキストに載っていた解答例をノートに丸写しして覚えた。構造や設備のパートは、各方式のメリット・デメリットを整理すればパターン化して解けそうに思われた。

学科試験で求められた暗記量に比べれば、全然たいした分量ではない。ノート2冊くらいにまとめて十分対策できたと思う。

製図試験、記述の暗記ノート

試験本番では、課題条件を無視して北側にホテル客室を配置したのが明らかな敗因だろう。しかし、それ以外にも空調・給湯設備の書き方やゾーニングのミスが重なり、図面の書き込み密度も薄かった。

学科試験と同じく、製図試験にもまぐれ当たりはない。独学でもみっちり勉強して、受かる人も中にはいるのだろう。今回は「落ちるべくして落ちた」という気がする。