一級建築士製図試験~製図板からテンプレートまでおすすめの道具類

1分1秒を争う製図試験。作図スピードを高めて有利に進めるには、それなりの道具をそろえる必要がある。

平行定規は知り合いから借りて済ませたが、それ以外の文具はたいしてお金がかからない。テンプレートやシャーペン・消しゴムなど、いくつも買って試してみた。製図試験で役に立った道具類をまとめてみたい。

マス目を頼りに線は書けるが…

製図試験に必須といわれるが、いまいち買う気が起きないのは平行定規。新品で買うと最低2万はかかるのに、試験が終われば他に使うあてがない。家の中で場所を取るのもネックだ。

本番で配られる用紙には5mm方眼が印刷されている。それならマス目にそって定規をあてれば、おおげさな製図板は不要でなかろうか。そう思って適当なシナ合板に図面を貼りつけ、長めの直定規一本で作図に挑んでみた。

やってみると、定規をいちいち方眼にあてて目で確認するのがわずらわしい。確かに線は引けるが、新しいポジションに定規をセットするたび、目視で2秒くらいのロスが発生する。せめてT定規があればセッティングの手間が減って、もっと効率よく線を引けるだろう。

そうこうするうちに、知り合いから平行定規を貸してもらえることになったので、結局それを使うことにした。そして2年目はコクヨの新品を買った。

試験本番でフリーハンドで書く人もいるというが、平行定規を敷いていない人はひとりも見なかった。ルール上は可能なはずだが、T定規を使っている人もいなかった。

同室の受験生を100人くらい観察しただけなので、もしかするとアンチ平行定規がいたのかもしれない。そして定規なしの完全フリーハンドで、図面を1時間で書く猛者がいたとしても不思議はない。過去に「素手で正円を書ける」達人を見たことがあるので、方眼紙さえあれば目測で作図できる人もいると思う。

中古の平行定規

学生時代は高根の花だった平行定規。実際に触るのは、この歳になってはじめて。恐る恐る使ってみると、スケールが水平を保ったまま軽いタッチで上下に動き、すばらしく快適だった。

ドラパスの平行定規

ラベルに書いてあるDRAPASという会社のウェブサイトを調べたが、説明書は見つからなかい。かなり使い込まれた雰囲気で、どのネジを回しても「水平スケールがロックできない」という不具合がある。さいわい定規のがたつきは抑えられたので、手で押さえながら線を引けば、ずれることはなかった。

いざ平行定規を使ってみると、格段に作図がスピードアップした。特に定規の水平を目で見て確認する必要がないため、眼精疲労や腕・肩の負担が大幅に軽減される。慣れれば屋外テラスのウッドデッキや外構タイルなど、一定間隔の水平線をテンポよく引ける。

平行定規は試験に必須の道具と割り切って、新品でも中古でも真っ先に調達した方がいい。凡人は素直に道具の力に頼るのが合格への近道だ。

シャーペンは0.7mmの2B

過去に合格した知り合いに製図試験のコツを聞いてみたら、「とにかく図面を濃く書け」というアドバイスだった。薄い線だと見るからに自信なさそうで、採点官への印象が悪いという。

シャープペンシルは0.7mmの2Bが推奨。慣れればこれ一本で、柱も窓もすべて書き分けられるとのことだ。手元にはステッドラーの製図用シャーペン(型番925-35)0.5mmと0.3mmはあるが、0.7mmは持っていない。

同じシリーズでそろえたい気がしたが、同製品の胴軸ブラック色は廃番で、現行品はシルバーかネイビーしかない。ロゴのフォントも微妙にマイナーチェンジしている。

ステッドラーの製図用シャーペン

すでに20年近く使い込んでいるシャーペンで、何度か落として口金も歪んでいる。これを機会に、他メーカーの製品も試してみようと思った。文具屋で試し書きしたペンの中では、PentelのGRAPH 1000 FOR PROがよさそうに見えた。

ぺんてるのグラフ1000 for Pro

国内メーカーの製図用シャープペンシルは、どれもデザインがいまいちだ。グリップ部やクリップのメタルパーツが派手だったり、逆にさえないねずみ色の胴軸だったりする。

唯一グラフ1000のプロだけが、全体的に艶消しブラックで精悍に見えた。セットバックする先端部の造形もきれいだ。クリップも小さいので、書く際に邪魔にならない。

ぺんてる シャープペン グラフ1000 フォープロ PG1007 0.7mm

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グラフ1000で図面を書いてみると、0.7mmの2Bという太くて柔らかい芯のおかげか、しっとりと紙にあたる感触だった。ステッドラーに持ち替えると、動かすたびに胴軸の中で金属パーツが揺れて、カチャカチャ音がする。グラフ1000は部品の組み合わせ精度がすぐれているのか、使用中に不快なきしみやノイズは出なかった。

一般的に「製図シャーペンは重い方が疲れない」といわれるが、好みは人によると思う。確かに金属製のステッドラーの方が、自重で安定した線を引ける気もする。しかしプラスチック製のグラフ1000でも、筆圧を加減すれば濃く書くことはできる。そのためペン1本で濃淡を変化させ、壁や窓を書き分けるのには向いている。

グラフ1000は軽くても、重心が下の方に来るよう設計されている。長い線を連続して書く際も、「軽すぎてペン先がぶれる」というような不具合はない。3時間に及ぶ作図時間では、重いシャーペンよりグラフ1000の方がストレスなく作業できる気がした。

2年目は0.5mmも買い足した

柱は0.9mmのプレスマン

画材屋に並んでいたプラチナの速記用シャーペン、プレスマンも買ってみた。0.9mmの極太2B芯で、さらに長時間の筆記に対応できるよう、通常品より長い特製の芯が入っている。

過度に筆圧を加えると、芯が折れないようペン先が自動的に引っ込む機構付き。これで税抜200円というのは信じられない価格だ。

プラチナ プレスマン シャープペン 速記用0.9mm芯2B 2105010

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柱の断面はテンプレートをあてがうので、どうしても他より筆圧が弱まってしまう。柱だけ0.9mmのプレスマンを使ってみたら濃く書けるようになった。筆圧をかけても、テンプレートの縁に芯が当たって折れてしまうことはない。

製図シャーペンは安定感があるが、先端の金属パイプを曲げないよう持ち運びに神経を使う。その点プレスマンは筆箱に雑に突っ込んでも壊れず、単価も安いのでなくしたら気軽に買い足せる。

さすがに0.9mmでは線が太すぎて、製図試験では柱以外に出番がなかった。しかしこの安定感は病みつきになる。普段のメモやスケッチには、海外製の高級筆記具より廉価なプレスマンを愛用するようになった。

テンプレートは受験専用タイプ

とりあえず評判のいいバンコのテンプレートプラスを買ってみた。大きめの三角定規として縦に長い線を書くのに便利だが、テンプレートとしては大振りで扱いにくい。特に椅子やテーブルを書く際は、小回りがきかず不便だ。

各社製品を比較して、ウチダから出ているコンパクトサイズのテンプレート(No.140F 型番012-0015)を追加で買い求めた。「建築士・受験者用」と名付けられているだけあって、試験に必要な最低限の図形だけ、コンパクトにレイアウトされている。

ウチダ テンプレート No.140F 建築士・受験者用定規 012-0015

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なぜか楕円が細長く、トイレの便器に使うと妙にスリムになってしまう。円も洗面台を書くのにもう一個、直径2.5mmくらいの穴が欲しい。試験専用をうたうなら、もう一声というところ。

それでも他社製品より圧倒的にサイズが小さいので、細かく動かして家具類を連続記入しやすい。図形の配置に癖もあるが、一度使うとウチダのNo.140Fが手放せなくなる。必ずしもベストではないが、市販のテンプレートの中では一番ベターだと思う。

きわどいテンプレート

画材屋の定規コーナーを探してみると、6~7mスパンで1/200スケール・一辺800mmの四角形を連続して書けるチートアイテムを発見した。要するに30~35mm間隔で、4mmの四角い穴が開いているという板だ。

用紙のマス目を数えたり、定規を当てて測らないでもテンプレートだけで柱が書けるというヤバい道具。作図を始めてみれば、言っている意味がわかるだろう。

テンプレートに目印をつけるのはルール違反。丸・四角などの基本図形以外は使用禁止だが、この裏技は許されるのだろうか。本番でテンプレートを没収されるだけならまだしも、退場させられるのは怖い。興味深い製品だったが、買うのはやめておいた。

ちなみに縦線を引く用の三角定規は、ステッドラーの目盛りなし無地を選んだ。用紙の方眼を見れば寸法はわかるので、無色透明で視界がクリアな方がありがたい。外構や外壁など長い線はバンコのテンプレートプラスを使い、それ以外の短い線は小型三角定規で済ませた。

三角スケールよりヘキサスケール

三角スケールは厚みがあってかさ張るので、もともとあまり好きでない。エッジが手に食い込んで痛いのも苦手な理由。図面は1/200、エスキースでもせいぜい1/400までしか使わないので、ほかの縮尺は不要といえる。

ウチダから出ているヘキサスケールという製品を試したら、従来の三角スケールより圧倒的に使いやすかった。ドラパスからも似た製品が出ている。

ウチダ ヘキサスケール 15cm 1-882-0115

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ヘキサスケールには以下のような製図試験向け(?)の改良点がある。

  • 平べったいので邪魔にならない。手に刺さらない
  • 透明なので、下の図面が透けて見える
  • 外側1/200の下に1/400があり、ずらして当てやすい

金属製のスリム形状があったり、「使いこなせば、いかにも建築士」という外観が三角スケールの魅力ではある。クライアントへの演出やオブジェとして鑑賞するにはよいが、試験での実用性は圧倒的にヘキサスケールが上回る。

勾配定規は不要?

2017年の製図課題は斜面地のため、「環境に配慮した勾配屋根の可能性が高い」といわれていた。当然、勾配定規が必要になるかと思ったが、店頭で見るとかなり大きくかさばる上に、ステッドラーもウチダも2,000円以上する。

ステッドラー 定規 勾配定規 マルス 20cm 964 51-8

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実際に作図してみると、よく使う屋根勾配は2~3/10程度。方眼のマス目を使って、横に10コマ、縦に2~3コマ上げれば、斜めの線は引ける。角度を維持したまま、定規を屋根の位置まで滑らせれば、なんとなく勾配屋根が書けるように思った。

たかが断面図に斜めの線を数本書くために、勾配定規を持ち込むのは大げさだ。精度はいまいちだが、とりあえずこの方法で試験本番まで通してみることにした。(→その結果落ちたので、この方法は推奨しない)

図面の汚れ対策に手袋

作図中に、定規に付着したシャーペン芯のカスで図面が汚れることに気づいた。試しに定規にウチダのフローティングディスクを貼ってみたが、汚れはいまいち改善されなかった。

ウチダ フローティングディスク 100-0040

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図面上の滑り具合は変わらないが、シールの段差がときどき図面の縁に引っかかるのが気になる。結局メリットを感じられないので、シールは外してしまった。その代り、ときどき定規をウェットティッシュで拭って、汚れをふき取ることにした。

図面を書いていると手の小指側も黒く汚れてくる。定規よりこちらが原因かと思い、世界堂のコミックコーナーで売られていた白手袋を使ってみた。すぐ汚れるので、1時間ごとに手袋の裏表を入れ替え、1回の作図で3セットくらい消費。手袋は洗濯すれば元通り白くなる。

効果はありそうに見えたが、それでも図面の汚れは減らなかった。手に着く汚れが、単に手袋に移っただけかもしれない。どれだけ定規を磨いて手袋を交換しても、最終的に図面が汚れるのは完全に防げなかった。

振り返ってみると、図面の汚れは「0.7mmの2B芯」という濃い目のセッティングにしていたのが一因と思われる。2年目に0.5mmに切り替えたら、そこまで気にならなくなった。シャーペンで書く以上、図面が多少汚れるのは仕方ないと割り切っていいのかもしれない。

消しゴムはダストキャッチ

消しゴムは家にあったMONOを使っていたが、消しカスが多く出るのが気になってきた。カスの出ない消しゴムといえば昔から「まとまるくん」が有名だが、名前もデザインもダサい。

試しにトンボの「ダストキャッチ」という消しゴムを使ってみたら、驚くほど消しカスが減った。

トンボ鉛筆 消しゴム MONO モノダストキャッチ EN-DC

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消しゴムで図面をこすっても、表面にひも状のカスがまとわりつくので散らばらない。基本的な消字機能も問題ない。ブラシで消しカスを取り除く作業が減って、格段に便利になった。

ペン型消しゴムより字消し板

細かい部分を消すのに便利そうな、ペン型の消しゴムも試してみた。しかし消しゴムを使い分けるより、普通の消しゴムを字消し版に当てる方が早かった。ペンを持っていちいち狙いを定めるよりも、固形の消しゴムをつかんで適当に紙に当てる方がストレスも少ない。

ステッドラー字消し板

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字消し板は昔から持っていたステッドラーの製品を使いまわした。100円程度で買える一番安いやつだ。年季が入ってべこべこに歪んでいるが、機能上は問題ない。字消し板はマグネット付きやメッシュ式でなくても別に構わないと思う。

ブラシはあると便利

図面上の消しカスや砕けたシャー芯のかけらは、息で吹き飛ばすのが早い。しかし何度もやると疲れて頭がくらくらしてくるうえ、音がうるさくてまわりにも迷惑だ。

やはりカスを飛ばすには専用のブラシがあると便利。作図中にブラシで図面を払うと、いったん心を落ち着かせて作業状況をチェックできる。ちょっと体を引いて図面全体を俯瞰してみると、致命的なミスを発見できるかもしれない。

ウチダ 製図用ブラシ 大 1-825-0301

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ステッドラーは馬毛、ファーバーカステルは山羊毛と説明されているが、ウチダのブラシは素材が不明。ニッチなアイテムのわりには種類が豊富なようだ。

知り合いから製図板と一緒に借りたブラシは製造元が不明だが、大きめで使いやすかった。大か小かでサイズに悩んだら、ブラシは大きい方を選んだ方がよい。製図試験以外でも、パソコンのキーボードに積もったほこりを取ったりと、多目的に活用できる。

道具の収納はタオル1枚

試験場にはこだわりの道具入れ持参してくる受験生が多い。最近流行っている、そのまま広げて立てられるタイプの筆箱も会場でよく見かけた。

ただしこれらの直立型道具箱は、うっかり手を引っかけると丸ごと吹っ飛んでしまう。2年目に割り当てられたバネ式椅子の会場では、製図版ごと椅子に弾かれて道具を散乱させる被害者が続出した。

試験会場では2~3席おきに座らされるので、テーブルの横は広く使える。いちいち道具箱やペンケースを買うのは無駄な気がしたので、適当にタオルを敷いてその上にツールを並べてみた。まるでこれから手術を執刀するかのようで、緊張感がみなぎる。

製図試験用の道具の配置

整理整頓の基本である「使うたびに定位置に戻す」というルールさえ守れば、道具箱は何でもよいと思う。本番ではトラブルがつきものなので、少しでも混乱を防げるよう配置を体に慣らしておくのが大事だ。

2回目の製図試験では、結局新品の製図板を購入して、消しゴムやテンプレートも若干アップデート。改良方法についてはこちらにまとめた