一級建築士製図対策~日建学院の後半課題がひどすぎて鬼畜という噂

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10月の第一週は毎日模試状態で集中したので、さすがにランク2.5くらいまでレベルアップした気がする。プールの向きや細かいところはちぐはぐだが、少なくとも階の振り分けは解答例と一致するようになってきた。

ちょっと気がゆるんでしまったが、ラスト一週間の暇つぶしにとってあった日建学院の課題をエスキースしてみて、奈落の底に突き落とされた。

サプライズでTAC生は全滅か

「基礎練習に役立つ」というTAC課題を先にやってみて、プールの設置階は容易にパターン化できると思った。日建の前半課題のその調子で解けたのだが、演習課題3Bあたりから「さすがに出ないだろう」と思っていた階構成が出て度肝を抜かれた。

特殊なスポーツを想定したコート寸法と天井高さ、謎の前室…敷地から要求室まで日建課題の振り幅はすさまじい。おそらく思いつく限りの変則的要素を盛り込んで、昨年のように試験後「的中!」とやりたいのだろう。

全体の合格率に響きそうなので、あえて詳細は伏せておこう。もし日建学院の特訓課題1Aのように外構に○○があったり、演習課題4Bのようにプール室の□□が△△だったりしたら、TACの受講生あたりは全滅だと思う。

練習で試していない技は本番で出せない

昨年のリゾートホテル課題が東西スパン8mの発想で勝敗を決したように、嫌な予感がする。基本的に近年の製図課題は自由度高めだが、「それに気づかないとほぼ無理」というポイントが存在する。今年はそれがプールの設置階と縦横向きになりそうだ。

もしかすると昨年の試験中、脳細胞の1個くらいはスパン8mをひらめいたかもしれない。しかし本番のプレッシャーの中で、新アイデアは顕在意識に上がって来られなかった。

人には行動経済学のプロスペクト理論でいう、損失回避と現状維持のバイアスがある。一級建築士の製図試験、冒頭2時間のエスキースは失敗が許されず、リスク許容度が極端に低い。斬新なアイデアより無難にまとめるスキルが求められるので、「学校で教わっていない」または「事前に試していない」方法は選びにくい。

たとえばエスキース中に、「7.5mのスパン割りだと、すごくうまくいきそう」と思いついても、試験本番で初めてそれを使うのは非常に勇気がいる。一か八かで試してみて不合格になり、実は普通に7mスパンで解けたとわかると、「ほれ見たことか!」となおさら後悔する。

それよりは今まで試したことのある持ち技の6・7・8mスパンで押し通す方が、落ちたときに「ベストは尽した」と自分を慰めやすい。ちょうどサッカーのPKで、キッカーがゴールの隅を狙って蹴りたくなるのと逆の心理だ。

製図試験に関しては、何かやらかして落ちるより、何もせずに落ちる方がまだ気持ち的に楽だ。「あれだけ勉強したのに本番7.5mスパンで突っ走って、お金も時間もどぶに捨てました」…応援してくれた家族や上司に合わせる顔がない。試験中はそんな脳内シミュレーションを100回くらい繰り返すことになる。

TACと日建課題の特徴

その意味では、ありとあらゆるサプライズ潰しに徹している日建課題にとことん付きあって、心胆を練っておくのは理にかなっている。一方、日建学院の課題も上足/下足のゾーン分けがストリクトなため部門ごとの階構成が予測しやすかったり、若干癖がある。

もし日建生がTACの最終課題8を解いたら、無柱空間の○○ホールを1階に置いてしまって半分くらいは圧死すると思う。「下階のラウンジからプールをどうやって見渡すんだ?」

ただし、日建の模擬試験では「1階に置いた無柱室を構造安定化する超絶技巧」まで紹介されているので、答案例をくまなく暗記している人は減点なしで済むかもしれない。きっと吹抜け越しに2階のプールを見上げて観覧させるのだろう。

整形グリッドで、ひたすら大空間と吹抜けの立体構成をパズルさせるTAC課題。サプライズ要素満載だが、種明かしがわかればいかようにでも解けてしまう日建課題。今年はどちらが的中するか楽しみだ。

ちなみに大手スクールのうち、総合資格の課題は未チェックなので紹介することはないと思う。さすがにラスト一週間やることが多すぎて、手が回りそうにない。三大学校の中では受講料が最高値なので、きっと勾配屋根や傾斜敷地など、ありとあらゆるバリエーションを解きまくっていることだろう。

TAC生はあと一週間、市販テキストを立ち読みしてでも他校の課題を見ておいた方がいい。

日建学院、演習課題4Bの恐怖

驚愕の日建学院演習課題4Bについて、さわりだけ紹介しようと思う。2時間半粘って1/400図は仕上げたのだが、あとから見返したら屋外スペースを完全に忘れていたので失格だろう。糞プランなのでトレースして公開する気にもなれない。

今年解いたスポーツ施設の中で、これほどエスキース中に絶望した課題はない。1,500㎡ちょっとという見たこともない極小敷地なのに、床面積はなぜか3,400㎡まで許されている。

普通に長辺7m×6スパンだと隣地開きがなくなる不気味な間口広さ。6・6・7・8・8とか、普段は使わない変則スパン割りをあてはめても、全然要求室が収まらない。プール縦横あらゆる組み合わせを試して、エスキース開始から1時間半経っても糸口がつかめない。

日建学院、演習課題4Bのエスキース

さらに2時間経ってもチビコマをいじっている状態。もしこれが本番だったら、三角定規で切腹するしかない。どこかに竪穴があれば飛び降りたいくらいだ。

この課題を解く者は一切の望みを捨てよ

さすがに切り上げないとやばいと判断したらしく、無意識にテラスをなかったことにしてプランをまとめてしまったようだ。少なくとも図面を完成させれば、即日ランク4は回避して年末までドキドキしながら過ごせる。

答案例を見て、「まさかプール室の□□が△△だったとは!」

容積率が高いのは、「テラスを吹抜けにせず最上階に上げろ」という合図だと途中から気づいた。しかし答案例は想像の斜め上を行っている。これに気づくかどうかで勝負が決まる、昨年試験の苦い記憶がよみがえった。

TACの課題をつくっている人はパズルの天才だと思うが、日建の方はタチの悪いサディストだろう。今日一日落ち込んだおかげで、残り5日間、気を引き締めて勉強できそうだ。