一級建築士製図試験~独学者向けの市販テキストと日建学院の公開模試

製図試験に独学に臨むにあたって活用した教材を紹介しよう。市販テキストを何冊か購入し、割引を受けられた日建学院の公開模擬試験だけ、ピンポイントで受講してみた。

最終的に、しっかりエスキースして解いた課題は7題くらい。一から仕上げた図面はトレースも含めて5枚程度。結局製図試験には落ちたので、初受験でこの練習量ではまったく足りなかったといえる。

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ウラ指導の『勉強法』で予習

学科試験の勉強を始める前に買った、ウラ指導さんの勉強法の本。後半は製図試験に向けた心構えが書かれている。

エスキースは施主(出題者)に対する接待みたいなもの。すべての条件を守ってすんなり解けるわけがないので、犠牲系を発動して減点覚悟でも完成を目指す。そういうノウハウは頭の中にインプットできた。

本番ではまさに未知の条件続出でエスキースがまとまらず、重要条件を捨てて見切り発車した。さすがにそれはNGだったらしい。一部の条件を捨てて図面を完成させるにしても、さじ加減が難しいものだ。

『製図試験のウラ指導』でエスキス習得

同じくウラ指導の製図試験用テキスト。8月中旬まで後述の日建学院テキストが発売されないので、とりあえずこの本で一般的な知識を得ることにした。発表があった今年の製図課題「リゾートホテル」は反映されていない。

過去問題と模範解答が10年分くらい載っているが、さすがにこのサイズでは文字が小さすぎて読みにくい。漠然と眺めて「どれも難しそうだ」としか思えないが率直な感想。その年を受験した人でなければ、採点の微妙なニュアンスはわからないだろう。

システマチックなエスキースの手法も学んでみたが、スパン割りやアプローチの検討は参考になった。しかし、そこから先の「ローカ係数をかけたボリュームチェック」はわかりにくい。こんな仮計算が役に立つのだろうか。

後ほど受けた日建学院の模試でも、正解例では同じような作業が行われていた。実は経験則に基づいた王道的な手法なのだろう。結局本番までテクニックをつかいこなせず、行き当たりばったりのエスキースになってしまった。

コマプラン->倍コマプラン->1/400エスキスという作業の流れは、本の通りにやってみた。取り上げられている課題はコミュニティセンター、子育て支援センター、高齢者向け集合住宅の3つ。リゾートホテルとあまり関係なさそうだったので、流れを確認する程度で済ませた。

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日建学院の『課題対策集』4+2題

8/19に発売された日建学院の製図試験用テキスト。独学者にとっては、本屋やアマゾンで買える最も一般的な教材だろう。課題発表から1か月程度の準備期間を経て、8/19に発売された。総合資格の方からは、このような一般向けの製図の教材は出ていない。

課題は4つ収録されていて、別途申し込んだら早期対策の2課題も送ってくれた。動画教材もウェブから視聴できる。解答例はA2のフルサイズで折りたたまれているので、そのまま見ながらトレースしやすい。壁に貼って毎日眺めることもできる。

リゾートホテルに関して、しっかり取り組んだ課題はこの本の6題と模試の1題で合計7題。7月中の早いタイミングでTACが公開していた課題の目を通した。今思えばほとんど日建学院の課題しか調べていなかったのが敗因の1つと言える。

記述もノートに写して暗記

記述問題に関してはテキストの各課題に正解例が書かれていたので、ひたすらノートに写して暗記した。

空調は「空冷ヒートポンプパッケージ方式」の一点張り。課題のバリエーションを見る限りは、学科と同じく既定パターンの組み合わせで埋められそうに思われた。(しかし本番では予想外のファンコイルユニットが出て墓穴を掘った)

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公開模試の割引券付き

実は上記のテキストに、日建学院の模試の割引券がついてくる。9/22の日曜日に行われる全国統一公開模擬試験で、通常税込10,800円のところが半額の5,400円。

独学とはいえ一度も人の添削を受けないのは不安なので、多少費用はかかるが模試を受けてみることにした。他のスクールで、1日だけの格安模試をやってくれるところは見つからなかった。

近くの日建学院に直接行って、模試を申し込みその場で現金お支払い。定員制とのことだが、特に混んでいる様子はなかった。しばらくして当日のスケジュールなどが書かれた案内資料が家に届いた。


申し込みの際、電話番号を伝える必要があったが、営業の人からしつこく電話がかかってくるのはいただけない。担当者も大変だと思うが、合格発表の前や後にも様子を伺って電話を掛けてくるのは、はっきり言って迷惑だ。しかも「2回目の受験ですよね」とか他の受験生と勘違いされるので、さらに対応が面倒くさい。

模試がランク2で油断した

日建の公開模試は本番と同じ時間配分で行われる。図面も記述も預かって当日中にしっかりコメントしてくれるので、大変役に立った。市販テキストと似たような日建スタイルの課題で、総合75/100点のランクII判定だった。

リゾートホテルにホール併設という見たことのない条件だったが、大スパンのPC梁など未学習の内容で失点が重なった。しかし、ここで採点が甘めだったのか「あと少しがんばれば合格圏に届く」と油断してしまったように思う。

教訓としては、「スクールの課題や採点基準が試験元とリンクしているわけではない」ということだ。最終的には採点項目もブラックボックスなので、各学校が一定の予想のもとに対策を立てているに過ぎない。

汎用的な製図スキルは身につくかもしれないが、高い受講料を払ったからといって合格が保証されるわけではない。その学校の教育方針が試験からずれていれば、むしろ足を引っ張られる恐れもある。それが製図試験の難しいところだ。

実際の試験と同じ流れで模試を受けてみて、食糧補給やトイレに行く頻度などシミュレーションできた。休憩でコンビニの菓子パンをむしゃむしゃ食べていたら、図面に食べカスが落ちて油染みができてしまった。反省して本番では油分の少ないランチパックのようなパンを買おうと思った。

配置図が単独で要求される?

試験3日前に食事をしながらスマホを見ていたら「今年は配置図が単独で出る」という驚きの新情報が出ているのを知った。事前に発表された課題文を分析すると、そのような解釈になるらしい。

これまでの過去問でも1階平面図と兼用でない配置図は見たことがない。日建学院の課題もすべて従来型のスタイルだった。例年と違うのは、傾斜地なので1階と地階に半々で外構を書くという点くらいだ。

まさかと思ったが、万が一それで出題されるとパニックになりそうだ。これは直前でも練習しておかなければと思い、ウェブで教材を探したら彰国社から新しいテキストが出ていた。

日建以外の『直前対策と課題演習』6題

すべて配置図分離で設定されたリゾートホテルの課題が6題掲載されている。日建のテキストと同じくA2サイズの折りたたみ図面入り。

時間がないので座学の部分はすっ飛ばして、課題だけエスキースしてみた。作図スピードはまだ十分でない気もするが、もう練習している時間はない。
6個の課題は、方位が嫌らしく北からずれていたり、あらゆる方向に眺望や道路が振られていて面食らうものばかりだった。本番もこういう変則条件で攻められるとてこずりそうだ。

配置図は1/200で外構と屋根、屋上の設備スペースを書けばよいとわかった。勾配屋根の架け方や設備の配置など、日建と違うスタイルを学べたのはよかった。しかしいかんせん時間がなさすぎて、本の内容を習得する前に本番が来てしまった。

単独配置図は結局なかった

ちなみに後日談で、懸念された単独配置図の指定はなかった。情報元のブログ記事が削除され5chで軽く炎上していたが、翻弄された受験生は多かっただろう。

各スクールではそんな可能性はないと割り切って指導されていたようだ。日建学院のウェブサイトでも、配置図の要求が例年並みという読みで「予想的中」と宣伝されていた。しかし別の面で、今年の日建は課題予想がボロボロだったようだ。

独学とはいえ、日建学院の偏った課題しかチェックしなかったのは失敗だったと思う。他校の課題や通信添削もうまく利用して、あり得る出題パターンに備えておくべきだった。