一級建築士製図試験~独学者向けの市販テキストと日建学院の公開模試

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無謀にも独学で挑んだ1回目の製図試験、活用した教材を紹介したいと思う。

市販テキストは3冊購入し、日建学院の練習問題を中心に7題はエスキースしてみた。追加で直前対策の6課題に目を通し、日建の公開模試にも参加。TACがウェブで公開している課題も合わせると、合計15題は問題を解けた。

一級建築士、製図試験用のテキスト

※2018年に『独習合格テキスト』という、ぶ厚い書籍が出版された。製図試験に独学で挑戦するなら必ず目を通した方がいい。平成30年の製図試験後に公開された著者の解答図面もクオリティーが高く、説得力があった。

『製図試験のウラ指導』で過去問入手

学科試験でもお世話になったウラ指導さんの『合格者たちの勉強法』。後半の製図試験編で、「施主(出題者)に対する接待」「犠牲系の発動」というノウハウはインプットできた。

同じシリーズで、製図試験に特化した大判のテキストが毎年発売されている。その年の課題に対応した練習問題は含まれていないが、エスキースの考え方と過去問題・標準解答例が収録された、独学向けテキストの定番だ。

「コマプラン→倍コマプラン→1/400プラン」という作業の流れは覚えることができた。スパン割りやアプローチ検討の方法も参考になった。しかし、「ローカ係数をかけたボリュームチェック」というのは複雑で、テキストを一読しただけでは使いこなすことができなかった。

2017年版に収録された課題は「コミュニティセンター」「子育て支援センター」「高齢者向け集合住宅」の3つ。今回の課題「リゾートホテル」とは関係なさそうだったので、プランニングの流れを確認する程度で済ませた。

過去問の標準解答例を見ることができるが、A4サイズでは文字が小さすぎて読みにくい。しかも実際にその年、受験してみた人でなければ、微妙なニュアンスはわからないだろう。「こんな課題が出るのか」と、パラパラ眺めるだけで終わってしまった。

日建学院の『設計製図試験課題対策集』

課題発表から約1か月後の8/19に発売された、日建学院の製図試験用テキスト。その年の課題に対応した練習問題が盛り込まれていて、独学組にとっては本屋で買える貴重な資料だ。ほかの大手予備校、総合資格やTACからはこのような書籍が出ていない。

解答例はA2の実寸サイズで折りたたまれており解読しやすい。家の壁に貼って、毎日眺めて暮らした。

一級建築士、製図試験の図面

課題は4つ収録されていて、別途申し込んだら「早期対策」の2課題も送ってくれた。動画教材もウェブから視聴できる。日建学院の課題については、書籍に収録の4題と追加でもらえる2題、そして公開模試の1題で、本番までに合計7題解くことができた。

課題発表後にTACも練習問題を1題ウェブで公開している。解答例は1/400エスキース図までだが、こちらも参考になった。

設計製図研究会の『直前対策と課題演習』

今年の課題文を解釈すると、「配置図が単独で出る」という説があることを知った。

日建学院のテキストでは、すべて1階平面図と兼用の配置図しか要求されていない。万が一の場合にそなえて単独配置図の課題を探すと、設計製図研究会が出版している『直前対策と課題演習』という本があるとわかった。

日建テキストと同じくA2サイズの折りたたみ図面入りで、6課題を収録。そして配置図はすべて1階平面図と別に単独で書くよう指定されている。

後半の課題になるほど難易度が上がるだけでなく、配置図の上が北でなかったり、いやらしいトラップが仕掛けられている。課題ごとに、敷地に対して様々な方向から道路が接するので、プランニングのバリエーションを増やすことができた。

単独配置図に関しては、1/200で外構と屋根、屋上の設備スペースを書けばよいとわかった。勾配屋根の架け方や設備の配置なども、日建学院の解答例とは異なる形式だった。このあたりはスクールや出版元によってスタイルが異なるのだろう。

単独配置図は予想不的中

本書を購入したのは試験直前だったので、ざっくり課題を眺める程度で終わってしまった。結果的に試験本番で単独の配置図は要求されなかった。日建学院のウェブサイトでは、例年通り1階平面図兼配置図が出たことについて「予想的中」と宣伝されていた。

この年は、傾斜地と配置図の書き方が受験生を悩ませた要素のひとつだったといえる。出題はされなくても、「単独配置図もあり得る」と課題を見て覚悟できたのはよかった。

予備校の受講料に比べれば、市販テキストの購入費は安いもの。大手校の受講生でも、なるべく多くの課題に目を通して、本番で驚かないよう準備しておくのがいいと思う。

日建学院の全国統一公開模試

日建学院の製図テキストには、模試の割引券がついてくる。9/22の日曜日に行われる全国統一公開模擬試験で、通常税込10,800円のところ書籍購入者特典として半額の5,400円で受講できる。

一級建築士、製図試験用の公開模試

独学組としては、予備校の講師さんに図面を添削してもらえる貴重なチャンスだ。値段も5千円程度で済み、ピンポイントで参加できるのがありがたい。他のスクールでは、このような公開模試をやっているところが見つからなかった。

申し込み方法としては、日建学院の校舎にうかがい、その場で現金をお支払いして申し込み。「定員制」となっていたが、特に参加の倍率が高いということはなさそうだ。数日経つと、模試当日のスケジュールなどが書かれた案内資料が郵送で届いた。

模試の申し込み時に、電話番号を書く必要があった。その後、営業の方から何度も電話がかかってくるのはちょっとつらい。受験番号も申請する必要があるので、合格発表の日に調べられて「落ちた」とわかると翌年の受講を勧誘される。

生徒でなくでも模試を受けられるメリットは大きいが、営業さんのやりとりが煩わしいのは難点だ。

模試の採点は部外者に甘め?

日建の公開模試は、試験本番と同じ時間配分で行われる。図面も記述も当日中にしっかり採点・コメントしてくれる。市販テキストの収録課題と似たような設問で、時間内に書き上げたら75/100点のランクII判定だった。

一級建築士、製図試験の公開模試資料

実際の試験と同じ流れなので、食事のタイミングやトイレに行く頻度などシミュレーションできた。休憩中、コンビニの菓子パンを食べていたら、図面に食べカスが落ちて油染みができてしまった。本番では油分が少なくこぼれにくいパンを選ぼうと思った。

リゾートホテルにホール併設というのは、見たことのない条件だった。大スパンのPC梁など書き方がわからない部分も多く、図面も記述も減点が多かった。今思えば、あれでランク2というのは採点が甘かったように思う。

9月下旬のタイミングで、「あとちょっと努力すれば合格圏に手が届く」と油断してしまった。むしろ、正規の受講生でない模試参加者は適当に採点して惑わせ、予備校の合格率を上げるという作戦だったのかもしれない。

対面で添削してもらえて参考にはなったが、模試の採点はあまり当てにしない方がよさそうだ。