一級建築士に受かると届く合格通知書。免許登録と罰則について

昨日、ウェブ上の合格発表に名前は載っていたが、いまいち受かったという実感がわかない。翌朝ポストを見ても合格通知は届いていなかったし、昼過ぎに見てもまだ空だった。

もしかすると採点ミスでなく、合格者リストの方に間違いがあったのではないかと不安になってきたところ、夜8時ごろに帰宅したらハガキが届いていた。

合格通知は写真入りだった

建築技術教育普及センターから届いた郵便は、いつもと同じ片面開封の圧着ハガキ。朱書きで「親展」と印刷されているが、書留ではない。

まさかの「3級うんちく士(※)」みたいなドッキリかもと思いつつ、おそるおそる開封すると合格の通知書だった。今までの受験票や通知書と同じ、そっけないフォーマットだが、なんと申し込みの際に送った顔写真がカラーで印刷されている。

一級建築士の合格通知書

一級建築士の合格通知書(イメージ図)

パーフェクトワールド』の映画版で、主人公が一級建築士に受かった際、合格通知に写真が載っていた。あれは映画としての演出でないかと思っていたが、本当だったようだ。

通知書に載っているのは、わざわざ受験申請にお金をかけるまでもないと、スマホで自撮りした冴えない写真。しかも1年前の使いまわし…

もし合格通知を会社に持って行って自慢するとか、額に入れて飾るなら、飛び切りいい写真をスタジオで撮影してもらった方がいい。これから受験する人へのアドバイスだ。

※「3級うんちく士」という資格の由来は知らないが、何年か前に食べログのアカウント名で見つけて笑い転げた。蛇足ながらツボを説明すると、

  • 建築士に3級は存在しないのでニセモノとわかる
  • さらに「三流」という意味がこめられている
  • ケンチク→ウンチクと1文字違いで韻を踏んでいる
  • 小学生大好きワードの「う○ち」が含まれている

名刺に書くなら、むしろこっちの方がおもしろくて、名前を覚えてもらえそうだ。

免許登録に79,200円もかかる?

合格通知の右側には、一級建築士免許の申請方法が詳しく書いてある。

一級建築士、合格通知のお知らせ

登録免許税6万円というのは合同会社・LLPの設立と同じ金額なので、まあそんなものかと思う。しかし申請手数料19,200円というのは何なのだろう。電子定款のように、自力で申請して支払いを避けたりできないのだろうか。

さすがに写真も新しく撮るとすると、合計8万円くらいになる。いや、免許の写真はさすがに写真屋さんできれいに撮ってもらいたいから、グレードによってはポーズ付きで画像を美肌補正してプラス1万はかかる。

知り合いの一級建築士からは、「名刺に肩書を書くだけならお金はいらない」と聞いていた。しかしそれは、「建築士事務所に所属しなければ、3年ごとの定期講習がいらない」という意味なのかもしれない。

ハガキの下の方には、「一級建築士試験の合格のみでは一級建築士ではありません」と念を押して書いてある。

一級建築士免許の登録について

法令集の建築士法には、確かにそれっぽい内容があった気もする。参照されている第五条を調べたが、免許の登録方法について書かれているだけだ。しかし、その前の第四条には「一級建築士になろうとする者は…免許を受けなければならない」と明記されている。

両方合わせると、資格を名乗るにはやはりお金を払って免許登録が必要なのだろう。複数の条文を組み合わせて意味を推測するのは、学科の勉強を思い出すようでなつかしい。

住所変更も有料?

久々に建築士法を確認して気になったのは、次の文言。

一級建築士免許証の書換え交付又は再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

建築士法 第五条の6

申請時に住所も届け出るので、引っ越ししたら免許の書換えにお金がかかりそうな気配だ。まさか法人の変更登記のように、建築士会の管轄をまたぐと2回分で6万円の登録免許税を取られたりするのだろうか。

建築士会連合会や都道府県ごとのウェブサイトを調べたが、具体的な金額は書かれていない。もう少し調べてみようと思う。

日本建築士連合会のウェブサイトに各種申請の手数料が記載されていた。住所や勤務先などの登録事項変更届、手数料は5,900円。→後日問い合わせて、住所変更のみなら手数料は不要と判明

そして現行の携帯カード型でなく、事務所に飾るA4サイズの「免状型」登録証明書を発行してもらうには、窓口来所で別途1,790円の手数料がかかるようだ。

免許登録時の手数料は高額だが、その後の変更手数料はそれほど高くない印象だ。

無免許営業の恐るべき罰則

第五条の二には「免許証交付の日 or 変更があった日から三十日以内に届け出」と書かれている。一方、免許登録については「合格後○日以内」と指定されていない。(→建築士会に問い合わせたら、特に合格後の免許登録について期限はないとのこと)

費用のかかる免許申請は、実際に就職するとか設計を受注するとか、資格を証明する必要が出てからでいいのかもしれない。その間、無免許なのに一級建築士と看板を掲げて営業活動したら、まずいのだろうか。

調べたらやはり、第十章の罰則で封じられていた。

「免許を受けないで…一級建築士の名称を用いた者…一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」

ただし「それぞれその業務を行う目的で…」と限定されているので、芸人やブロガーとして活動するだけなら見逃してもらえるのかもしれない。

インターネットを使用し、自身の活動や作品をウェブサイトで発信する、…(中略)…このような行為も、直接的ではありませんが、建築家の営業活動になると考えています。

建築家のためのウェブ発信講義』 後藤連平 著

広義の建築家活動としては怪しいが、狭義の建築士業務としては、おそらく問題ないだろう。

日本建築士連合会の見解

法規の抜け穴を探る不埒な問い合わせが多いのか、建築士連合会のサイトに建築士法の該当する部分がまとめられていた。

登録がなされていないと試験に合格していても一級建築士ではないため、建築物の設計・工事監理を行うこと、一級建築士事務所の管理建築士となること、及び一級建築士の名称を用いることができません。〔建築士法第3条、第3条の2、第24条〕

建築士連合会ウェブサイトより

これを読むと、仕事をしなくても無免許で「一級建築士」と名乗ること自体が、リスクと思われる。

法人の変更登記と同じ?

似たような感じで、「法人の役員や住所変更の登記をさぼると100万円以下の罰金」というのは有名だ。またこの「会社法第976条で実際に罰金を取られた人はいない」というのも同じく有名だ。

手数料で稼いでいる行政書士の人に聞けば、変更登記は当然必要と言われる。しかし、本当に過料を取られたという話はまわりで聞いたことがない。売上の少ない赤字の零細企業に、わざわざ税務署が調査に来ないのと似たような感じだろう。

このあたりの事情はルールと運用に温度差がありそうだが、さすがにJAEICや建築士会に直接たずねるのは、はばかられる。

法令集は捨てない方がいい

法令集は学科合格後に速攻処分してしまったが、製図試験でも防火や延焼を調べるのに必要だった。その後もわりと出番がありそうなので、捨てない方がよかったと後悔している。

ここから先の法令違反は、試験の減点では済まされない。免許取り消し、罰金、懲役…しゃれにならない。よくわからないまま合格してしまったので、いろいろ不安だ。うっかり偽装事件とか起こして業界に迷惑をかけないよう、気をつけようと思う。