ややこしい一級建築士合格後の免許登録手続きを説明(東京都編)

合格後に、トータル8万円近く費用がかかるとわかった一級建築士の免許申請。まさか法人の設立並みに税金や手数料が高くつくとは、寝耳に水だった。これからこの資格を取ろうという人は、ストレート合格したとしても受験料と合わせて約10万~、必ず払わなければならないと覚悟しておいた方がいい。

いろいろ迷ったが、結局素直にお金を払って免許を申請することにした。東京都を例として、煩雑な申請手続きの流れをまとめてみようと思う。

税金の納付、戸籍謄本、法務局で取る謎の書類…一通り集めて窓口まで持っていくのに、結局1週間くらいかかった。一度きりの手続きだが、下手すると建築士会まで届けに行って出直しとなりかねない。

抜かりなく書類を準備して、スムーズに手続きを済ませてもらえればと思う。

提出書類・入手先リスト(東京都)

一級建築士、新規の免許登録に必要な書類は以下の通り。詳細は日本建築士会連合会のウェブサイトに書いてある。提出先は、住民票のある都道県の建築士会だ。書類の入手先も簡単にまとめてみた。

  1. 申請書…建築士会サイトからPDFをダウンロード
  2. 住所等の届出…建築士会サイトからPDFをダウンロード
  3. 戸籍謄本…本籍のある自治体から取り寄せ(場所によっては遠隔コンビニ印刷可)
  4. 登記されていないことの証明書…法務局で取得(九段下の東京法務局のみ)
    ※申請書PDFは法務省サイトからダウンロード可能(別途収入印紙300円分必要)
  5. 証明写真2枚…45×35mmのパスポート用と同じサイズ
  6. 登録免許税6万円の領収書…ゆうちょ銀行や大手都市銀行の窓口で納付
  7. 申請手数料19,200円の領収書…ゆうちょ銀行のATMなどで払い込み(受験料と同じ)
  8. 合格通知書…建築士会で申し込む際に提示(コピーは不要)
  9. 本人確認書類…建築士会で申し込む際、免許証やパスポートを提示(コピーは不要)

戸籍謄本は郵送で取り寄せ

意外と手に入れるのに時間のかかるのは戸籍謄本だ。

最近、住民票や印鑑登録の証明書は、マイナンバーカードを使ってコンビニのコピー機から出せるようになった。近くのコンビニで戸籍謄本も印刷できないか試してみたが、メニューの市区町村リストをたどっても、本籍のある地域が出てこない。

どうやら戸籍謄本がコンビニ交付できるかは、自治体によって対応状況がまちまちなようだ。政令指定都市ならOKというわけでもない。運がよければ、本籍地と違う場所に住んでいても、コンビニで遠隔コピーさせてもらえる。

自分の場合は結局、本籍地の役所にコンタクトして、郵送で取り寄せる必要があった。手数料分の定額小為替など、ゆうちょ銀行で購入して同封するかたちになる。さらに返信用の切手や封筒を用意する手間を考えると、本籍地に親や親族がいたら代理で取って送ってもらう方が早い。

郵便局で料金納付

申請にかかる税金・手数料は種類が違うので、60,000円と19,200円の2つに分けて領収書をもらう必要がある。とりあえず郵便局に行ったら、2つとも用事を済ませることができた。

登録免許税の6万円は、窓口に備え付けの「領収済通知書」に金額と住所氏名を書いて窓口で納付する。法人税や消費税を納めるときと同じ、3枚つづりの用紙だ。

一方、納付手数料の19,200円は「払込取扱票」という1枚3連式の用紙に記入する。こちらも郵便局の窓口に置いてあり、ATMを使って納付することができる。こちらは試験の受験料を払ったときと同じ手続きだ。

どちらも忘れないように龍収書を手に入れて、申請書の2枚目に糊付けして提出する。記入ミスがあるかもしれないので、台紙に領収書を貼るのは建築士会で確認してもらってからの方がいいだろう。

申請書と住所等の届出

申請書と住所の届出書は、ウェブからPDFをダウンロードして記入する。Acrobat Readerでファイルを開けば、パソコン上で直接入力できるようになっている。

ウェブの記入例を見ながらやれば、特に迷うことはないだろう。申請書の一番上に、印刷してから自著署名するところが一か所ある。

登記されていないことの証明書

建築士の免許登録で最難関といえるのが、法務局関連の書類だ。要するに「成年被後見人でないこと」を証明する書類のようだが、今まで見たことも聞いたこともない。

とりあえず近所の出張所に行ってみたが、「九段下の法務局でないと取れない」とあしらわれた。出張所とはいえ電車でないと通えない距離なので、半日くらい無駄にした。

郵送も可能ということだが、書類に不備があったりすると面倒くさい。どのみち書類は都心の建築士会に手渡しで持っていくつもりだったので、九段下に寄って直接入手することにした。

東京法務局で取得

東京法務局の担当フロアに向かうと、思いのほか混んでいて行列ができていた。いくら都内で窓口はここだけとはいえ、建築士の手続きだけでこれほど賑わうはずがない。

観察していると、医師や弁護士、宅建やマンション管理士など、いくつもの資格で登録時にこの「登記されていない~」証明書が必要なようだ。

書類は事前にウェブからプリントアウト、記入して持って行った。収入印紙も先に購入しておいたが、法務局の中でも買える。もちろん用紙も置いてあるので、本人確認用の免許証と300円だけ持って、法務局に取りに行ってもさしつかえない。

建築士会に提出

東京の建築士会は、人形町や小伝馬町の駅から少し歩いたところにある。一見、普通のマンションっぽい外観なので迷ったが、よくみると看板が出ていた。

平日昼過ぎの窓口はがらがらで、一通り用意した書類は問題なく受理してもらえた。書類の不足がなければ特に書き間違えそうなところもないので、郵送でもよかったかと思う。

免許証は約2か月で出来上がるとのこと。直接取りに来てもOKだが、事前に送料400円払っておくと送ってもらえるサービスもある。

申請書類は一式置いてあったので、先にもらっておけばウェブから印刷したりする手間が省ける。建築士会は別に楽しいところでもなかったので、一度見ておけば十分かと思う。免許証の受け取りは、料金先払いして郵送でお願いした。

住所変更に費用はかからない

建築士会の窓口で、今後必要になりそうな手続きについて聞いてみた。可能性があるのは住所変更の手続きだ。

今回の申請で住所等を届けてあるので、転勤したら手続きが必要になる。具体的には転入先の自治体にある建築士会に、30日以内に持っていけばいいらしい。

ウェブサイトを見て「登録事項変更届」の手数料5,900円かかると思っていたが、住所変更だけなら無料で済むようだ。費用が発生するのは「氏名、生年月日、性別」の変更があった場合のみ。また、顔写真を変更したい場合も5,900円の書換え交付が必要。

ちょうど引っ越しを考えている時期だったので、落ち着いてから免許登録した方がいいか迷っていた。手続きの手間はかかかるが、費用は発生しないとわかってほっとした。

今後転居した際は、免許や銀行・クレジットカードと並んで、建築士会にも報告が必要となる。似たような「法人の代表者住所変更登記」は、自分でやっても印紙代が1万かかる。それに比べると建築士は無料で良心的といえる。

無免許営業のリスク

特に仕事で使うあてもない趣味の資格勉強としては、予想外の出費になった。事前にわかっていれば、そもそも受験したかも疑わしい。

試験にかける時間・お金・労力と取得後のメリットを秤にかけると、一級建築士ほどコスパの悪い資格はないかもしれない。2年も製図に取り組んでいたせいで、足腰が弱ったし目も悪くなった。

何とかお金を払わないで済ませられないかと考えたが、あらためて建築士法を調べると抜け道はすべてふさがれている。少なくとも「一級建築士」という肩書を名乗って活動するうえで、無免許という状態はあり得ないようだ。

まわりで免許を取らず営業している知り合いはいないし、どう見ても違法行為なのでリスクが高すぎる。1か月くらい悩んだが、結局免許を取ってしまった方が気持ち的にはすっきりする気がした。