一級建築士、製図試験の裏用語集~ネット関連のスラングを解説

一級建築士の製図試験に関して、おもにインターネット上で使われているスラングを解説します。これから受験される方はぜひ予習して、試験後の祭りを楽しんでください。

北側景子

平成29年の試験課題「小規模なリゾートホテル」において、「全ての客室は、名峰や湖の眺望に配慮する」(矢印は南~南東を向いている)という厳しい制約条件にもかかわらず、北の樹林に向けて客室を配置してしまった勇気ある人をたたえる蔑称。

人数が多すぎて救済措置が取られると噂されたが、結局全員ランクIIIで全体の合格率も著しく低下した。某大手スクールが、北側客室配置を前提とするツインコリドー方式のプランを推奨していたため、被害が拡大したとの見方もある。

同義語は「北客」「北の国」「北の家族」「北朝鮮」など。そして平成29年「今年の漢字」は「北」だった。

ワンプーマン

平成30年の試験課題「健康づくりのためのスポーツ施設」において、地盤略断面図に「G.L.-2.2m地下水位」という警告があるにもかかわらず、深々と掘り下げて1階にプールを配置してしまった人を指す差別用語。

地下水以外にも、プールと機械室の配管、1階公共スペースの圧迫など、構造・設備・計画のあらゆる面からデメリットが多く、前年北客の類推から合格は絶望視されていた。しかし標準解答例のひとつがプール1階でワンプー合格者が続出したことから、サプライズな結果となった。

試験後、大手予備校はすべてプール2階の解答例を公開したが、一部の小規模スクールからはプール1階の答案例も提案されていた。当サイトではプール1階擁護派の立場を取り、豊洲市場の地下水汚染問題にひっかけて「プールファーストの会」というスローガンを提案してみたが、まったく流行らなかった。

ちなみにこの年、プール設置階の圧倒的多数派は2階で、3階に置いてしまった人も「プーさん」と呼ばれ、親しみを込めて蔑まれた。標準解答例に3階はなかったが、それでも合格したプーさんはいたようである。

魔の既存部

平成17年の製図試験課題「防災学習のできるコミュニティ施設」の敷地図に出現した、凸型の既存建築物を指す。敷地内には、さらに円形の既存樹木も存在する。

課題文では「既存の主要構造部を撤去してはならず、さらに新設部とエキスパンジョンジョイントで接続して行き来させる」という高度な活用法が求められた。さらに、既存部の真正面に横断歩道が配置され、それが駅前商店街に続いていたため、「既存部をメインエントランスにする」と早とちりして自ら首を絞めた受験生が続出した。

上記の規定に違反したと考えられる失格者が大量に出て、ランクIV43.7%という史上最大の被害が生じた。そして試験中配られる下書き用紙の一部に、既存部の平立断面図が印刷されていたことも、混乱に拍車をかけた。

実際にこの年の試験を受けていないので詳しいことはわからないが、ウラ指導さんの過去問解説に当時の様子が説明されている。

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平成29年、30年の課題文に現れたサプライズ要素(既存施設とエスキース用紙の侵食)は、平成17年に既出だったと考えられる。受験対策として過去問を見る時間がなかったとしても、この年の課題文だけは目を通しておくことをおすすめする。こちらに記載した仮想敷地図で、雰囲気だけはつかんでいただけると思う。

※合格年によるレベルの違い

もし会社の上司に、既存部に打ち勝った平成17年コミュニティ施設の合格者がいたら、激しく尊敬していいと思う。眺望の扱いが難しかった平成29年リゾートホテルの合格者も、総じてレベルは高いとみなせる。

しかし平成30年スポーツ施設は合格率も高く、一部では採点ミスも噂されている。この年の合格者が言うことは、あまり当てにしない方が身のためだ。建築士としては1.5級程度の能力しかないかもしれない。

施主として建築士を選ぶ場合は、製図に受かった年を聞いて、国交省が公開している合格率と照らし合わせてみよう。また、建築士法が改正された平成20年より前に受験資格を得た人は、まともな実務経験を積んでいない可能性もある(営業職や大学院でもOKだった)。

しかし「常に4割は受かる」という相対試験なので、難易度と合格者のレベルは関係ないという考えもある。そして一級建築士の免許証には登録年月日しか記載されないので、数年遅らせて登録すれば、合格年の詐称はいくらでも可能だ(合格後の登録期限はない)。