松屋のアブラギッシュな「豚と茄子の辛味噌炒め定食」と50円割引券

長年ホールドして株主優待を楽しませてもらった松屋フーズ。2017年はさすがに値上がりしすぎという感じだったので、40万円を超えたくらいで売却、利益確定した。

優待目当てとはいえ、リンガーハットのように長期保有の特典がない銘柄は、タイミングを見て処分する方針だ。値下がりしたら、優待をなぐさめにして5年でも10年でも塩漬けホールドする。逆に20%くらい値上がりすれば、早めに売ってキャピタルゲインを入手する。

こういう投資スタイルが性格的に合っていたのか、ここ3年くらいは安定して相場に勝てるようになってきた。もし優待も配当も魅力がない銘柄だったら、狼狽してすぐ売ってしまうことだろう。ブラック銘柄の代表格だったあのワタミですら、5年も我慢して持ち続けていたら価格を持ち直したのは不思議だ。

松屋の株を手放した理由

松屋の株を売ったもう一つの理由は、すかいらーくが1,000株に達したこともある。年間7万円近くの食事券をもらえるので、ガストでもジョナサンでも3日に1回くらいランチに行くか、がつんとしゃぶしゃぶ食べ放題でもしないと消化しきれない。

正直、ほかの飲食優待も合わせると、自分の胃袋の方がボトルネックになると予想された。優待や配当の利回りが低く、含み益が出ている銘柄はいったん整理した。松屋もここ1年じわじわ価格が下がってきているので、またタイミングを見て買い戻してもいいかと思う。

どのみち松屋は100株がリミットなので、30万強の投資額で終わってしまう。正直、どれだけ高いメニューを注文しても優待利回りは芳しくないが、牛丼チェーン3社の中では自己資本比率も高く堅実な経営に見える。長期保有して牛丼業界の先行きを観察するのも、悪くないだろう。

松屋の優待券は覚悟がいる

松屋の優待券は自由にメニューを選べるが、年に一度の配布で10枚しかない。およそひと月に一回のペースで、これはという一品を選んでオーダーすることになる。

ふんだんにもらえる、すかいらーく優待と違って、特にお祝いでも何でもない日のランチで消費するには、もったいないチケットだ。松屋の優待を生かすにはそれなりに下調べがいる。間違ってもガストや夢庵に行って、とりあえず何も考えず日替わり定食とかマヨコーンピザを注文するような使い方はできない。

特に優待券で普通の豚丼や牛丼など、安いメニューを頼むのはもったいない。これはという企画メニューをごはん大盛りで頼むのがセオリーだが、それはそれでエネルギーがいる。

来年3月の権利落ちを目指して、気長に松屋を買い直すか迷っているところ。ひとまず最近のメニューはどんな感じか、優待なしでも近況チェックのためお店に向かってみた。

中華チェーンより安い野菜炒め

夏の間に出ていた「茎わさび山形だし牛めし」が気になっていたが、もう販売終了してしまったようだ。代わりに店頭に広告が出ていたのは「豚と茄子の辛味噌炒め定食」。日ごろ野菜不足な気もしたので、野菜炒め系の定食を試してみることにした。

今年は異常気象でスーパーの野菜が高い。最近ではもう毎年のことのように思うが、特にこだわりのない普通のトマトが200円近くすると、さすがに買う気が失せる。

野菜高騰時によく売れるのはもやしや豆苗だ。ハウスや施設内で栽培されるので、気候変動の影響を受けにくく価格が安定している。スーパーも売れ筋が分かっているのか、不作の時期は店内の目立つところに100円の豆苗が並ぶようになる。大量に陳列されているもやしも、夕方にはなくなっているときがある。

茄子も1本50円くらいするのが今の相場だが、松屋の定食だとごはん大盛り無料で税込630円。豚肉も食べられると思えばリーズナブルだ。少なくとも王将や日高屋で似たようなメニューを頼むより200円くらい安いだろう。

見た目ほどギトギトしてない

見た目はいかにもアブラギッシュな辛味噌炒め。自宅で料理するときは油を使わないので、たまの外食で脂っこいものを食べてもさほど罪悪感はない。

ご飯を無料で大盛りにしてもらったら、容赦ないボリュームで出されてきた。これなら60円くらい払ってでも、生卵や漬物を追加したくなる。「ご飯大盛り無料」とは、その手のサイドメニューを追加注文させるための戦略なのかもしれない。

辛味噌炒めは一口目でややピリッと来たが、豆腐キムチチゲほどの辛さはない。豚肉の量はたいしたことないが、茄子は1/2本ぶんくらい、結構ごろごろ入っていた。

最近の松屋は添加物や化学調味料の使用を抑えはじめたせいか、見た目ほど味が濃くないのが意外だった。普段のおかずにちょうどいいくらいの味付けで、むしろ大盛りご飯の方が余るくらいだ。定食には生野菜もついてくるし、別に毎日食べても害はなさそうなファストフードだった。

全体的にメニューが値上がりした感があるが、リンガーハットの国産野菜のように品質にこだわりはじめた松屋。ハンバーガーでいうとフレッシュネスバーガーみたいに、どんどん差別化を図ってもらえると消費者としては選択の余地が増えておもしろい。

何度でも使える50円引きクーポン

定食についてきたのは「定番メニュー50円引き」のクーポン。裏面を見ると、対象商品は牛丼やカレギュウ、ブラウンソースハンバーグ定食くらいに限られるようだ。

50円引きなので大した特典はないと思いつつ、メニューによっては10%以上の割引になる。牛丼は(プレミアム)とカッコ書きなので、割高なプレミアムでない普通の牛めしにも使えるのだろう。肉なしのオリジナルカレー380円にも適用できる。

割引メリットを最大化するには、ちょうど株主優待券と逆の使い方が推奨される。割引は定額なので、安ければ安いメニューを頼むほど利率は高くなる。ただし、誰でも思いつくように「50円のポテトサラダを無料でもらう」とか、そういう使い方はできないようだ。

クーポンはあくまで主食系の定番メニューが対象、ただし「各種サイズ対応可」とあるので、ミニ盛を頼めばお得になる。店員さんには嫌がられると思うが、券売機で2回に分けてミニ盛を頼むとか、お店を変えて2回入店すれば費用対効果を上げられる。はなまるうどんの天ぷら定期券で何度か試したセコイ方法だ。

使用期限は9/10と短いが、期間中は何度でも利用できる50円引きクーポン。いよいよ明日から発売される、前代未聞の「吉野家・はなまる・ガスト共通定期券」に対抗したキャンペーンでないかと思う。

株主優待の定期券化を希望

どうせなら餃子の王将みたいに、株主優待で年中○%オフのカードを配ればいいと思う。王将は5%だが、ココスのゴールドカードは10%割引。せっかくやるならそのくらいの割引率がないと話題にならない。

むしろかつてのはなまる「天ぷら定期券」のように、「いつでも生卵無料、サラダ無料」みたいな優待券にした方が、メニューを具体的にイメージできて盛り上がる。松屋の「何でも頼める優待券」は希少な部類に属するが、吉野家がうまくやっている「定期券」的なアイデアを取り入れた株主優待が出てくるとおもしろい。

吉野家ガスト共通券の使用期間は9/10からなので、それまでの間に松屋の50円券を使いまくるのもよさそうだ。優待券ではなかなか頼みづらかった普通の牛めしやカレーなど、初心にかえって松屋の基本メニューを見直すいい機会かもしれない。