ウルフギャングステーキやトニーローマの高級店で使えるWDIの株主優待。ババガンプでたらふくエビの唐揚げを楽しむこともできる。
魅力的なレストランが多くてチケットの使いどころを迷うが、数年前から続くパンケーキブームの火付け役、billsと並ぶ有名店のEggs’n Thingsでも活用できる。
横浜の山下公園前は絶好のロケーション
よく行くららぽーと立川立飛の店舗は常に行列だが、たまたま平日の夕方早い時間に横浜を歩いていたら運よく並ばずに入れた。路上には行列整理の案内板が立っていたので、山下公園に面して港が見える絶好のロケーションとなれば休日は大混雑だろう。
ゼットンの株主優待でマリンタワーに上った後は、WDI優待でエッグスンシングスへ。山手町のセレブなマダムよろしく、犬でも連れてデッキ席に陣取れば鼻が高いだろう。浮かれ騒ぐ修学旅行の中学生を見下ろしながら、ナイフとフォークで優雅にパンケーキをいただきたいものだ。
とはいえメニューの価格帯はファミレスのサーロインステーキ並みなので、優待券がなければ大人しく隣のマックでアップルパイでも頬張っているのが関の山だ。マリンタワーの並びにある一等地だが、マックのデッキ席でも同じ雰囲気は味わえる。
1階なので海までは見えないが、山下公園の木立越しに係留されている氷川丸が見える。赤レンガ倉庫やコスモワールドで混雑するみなとみらいのエリアよりは落ち着いた、昔ながらの港町らしいエリアといえる。
パンケーキかオムレツか迷う
エッグスンシングスでは重厚感がある額縁に入れられたメニューを渡される。事前にウェブサイトで写真を確認してきたが、パンケーキだけでなくオムレツ、ワッフル、クレープもおいしそうだ。それに比べると単純な目玉焼きのミート&エッグスは物足りなく見える。
まわりを見回すと、全員女性客でしかもみな揃って生クリーム山盛りのパンケーキを食べていた。マシマシのラーメン二郎のように、15cmくらいの高さに盛られた生クリームは圧巻だ。土台のパンケーキよりむしろこちらが目当てといえる。
パンケーキに魅かれながらも、謎のメニュー「エッグベネディクト」が気になった。卵が主体の料理であるはずだが、写真の見た目からはいまいち味の想像がつかない。ここは未体験の新メニューを試してみようと思い、中でも一番安い「ベジタリアン(ホウレン草、トマトとマッシュルーム)」税抜1,050円をお願いしてみた。
初体験のエッグベネディクト
手前にプリンのような物体が2つ並び、付け合わせは角切りのフライドポテトである。シンプルだがポテトの量が半端でないのが米国風、ウルフギャングと同じ感じだ。ちなみにテーブルの奥のソース類が気になるが、そちらはパンケーキ用のシロップとのことなので卵にかけてはいけない。
Wikipediaによると、エッグベネディクトとはイングリッシュ・マフィンの上に卵と具を乗せ、オランデーズソースをかけた料理と説明がある。一見小型の月見バーガーのようにも見えるが、この黄色いオランデーソースというものが絶品だった。
卵が主体のソースであるのは間違いないが、バターや胡椒が絶妙にブレンドされてスパイシーかつ濃厚な風味を醸し出している。タルタルソースを煮詰めたら色も味もこんな感じになりそうだが、フランス料理のコースでしか見られないような貴重なソースである。
濃厚なオランデーソースをたっぷりすくって、半熟卵とマフィンを加えて口に含むと絶妙なハーモニーが奏でられる。マフィンはスプーンで切れるくらい柔らかく、ソースを絡めて食べるとパリのカフェで出てくる本物のクロックムッシュのように感じた。ひそかに大盛りのフライドポテトのおかげでお腹もいっぱいだ。
エッグベネディクトの卵は2個がデフォルトだが、最近はコレステロールの効能が見直されて1日3個食べても大丈夫という意見もある。卵はもともと栄養満点なので、一つの成分だけ敵視してまったく食べないというのも、もったいない話だ。
この歳になるまでエッグベネディクトの存在を知らなかったのが悔やまれる。プルプルしたドーム状の半熟卵からしたたる黄色いソースが、ビジュアル的に食欲をそそる。連日の株主優待ランチでいろんな料理を食べているが、こんなにうまいと思ったのはウルフギャングの熟成肉以来だ。WDIの系列店は高級店ばかりだが外れがない。
死ぬ前に食べたい魅惑の卵料理
Eggs’n Thingsのウェブサイト(特にスマホ向け)は配色がすっきりしていて、大き目の料理写真もきれいで好感を持ったが、テーマカラーの濃い黄色はきっとこのオランデーソースの色だ。生クリーム山盛りのパンケーキもいずれ試してみたいが、エッグベネディクトの他の具材もどんな味か気になる。
山下公園のエッグスンシングスで港を観ながらエッグベネディクト…「死ぬ前に食べたいものリスト」に加えてもいいと思った。