三菱一号館美術館でナビ派展を見た後、同じ通りにあるウルフギャング・ステーキハウスの丸の内店に行ってみた。皇居の方に歩いて、明治生命のビルの地下一階にある。
2人前で16,000円もする熟成肉のプライムステーキが売りの高級店だが、実はWDIの株主優待券が使える。グランドメニューの価格はもはや異次元だが、ランチタイムの最安1,800円メニューなら何とか手が届くかと思った。
株主優待が使える飲食店としては、おそらく最高級の部類に属するセレブなステーキハウス。果たしてファミレスのステーキガストやステーキのどんとは、どのくらい違うのか気になるところだ。
気になるドレスコードはジーパンOK
ウェブサイトに書かれている「ドレスコード スマートカジュアル」というのが気になる。ウェブで調べると、フォーマル>セミフォーマル>インフォーマル>スマートカジュアルという位置づけなようで、スーツとまではいかなくてもジャケパンが基本らしい。
一部のサイトには「ジーンズ不可」とあったが、普段ゆるいスウェットパンツで過ごしているので、もはや自分にとってはジーンズがよそ行きの正装だ。
一応ウールのパンツも一着だけ残してあるが、洗濯するのが面倒なので、できれば履きたくない。ジャケットにパンツとなると、もはやタキシード並みの礼服レベルに感じる。
上着さえ羽織っていれば問題ないかと考え、思い切ってジーパンで臨んでみた。シャツも着ないでコットンのセーターにストール巻き、足元だけは革靴を履いておいた。もしこれでつまみ出されたら、他のお店に行けばよい。
結果的に上記の見た目でまったく問題なかった。ほかのお客さんは女性が多くて男性はスーツのグループのみだったが、料理の内容もフランス料理というより豪快なアメリカンステーキなので、ドレスコードはそこまで厳しくなさそうだ。
海外旅行で教会を観光するときに「サンダル・短パン不可」というルールに近い感じだろう。最低、襟かラペルが付いた上着を着ていれば、下はジーンズでもスニーカーでもよさそうに思った。
平日ランチタイムは予約なしでも入れる
ビル内の店舗だが、赤いカーペットが敷かれたエントランスは足を踏み入れるのが怖いほど格が高い。予約もしていないので席が空いているかわからず、しばらく周りをうろうろしていたが、思い切ってドアを開けてみた。
一人なので、テーブルかカウンターかと聞かれたが、カウンターはバーのようなスタイルで緊張しそうだ。空きはあるようなので、テーブルでお願いしてみた。
ウルフギャングは予約を取りにくいともっぱらの噂だったが、平日の昼間はアポなしで全然いけるようだ。12時台で、結局テーブルは1/4くらいしか埋まらなかった。
どんなに富裕な人々が来ているのかと、こっそり店内を見渡してみたら、半分くらいは外国人だった。『ウォール街』のマイケル・ダグラスと『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のディカプリオが、昼間からワインを傾けて庶民とはケタの違う金額の話をしている…まさにそんなイメージだった。ウルフギャングなんてヤクザな名前のお店に来る客層は、肉食中の肉食系に違いない。
最安は1,800円のクラシックバーガー
最初にドリンクメニューを渡されるが、こんなお店ではコーラ一杯飲むだけで3日分の食費が飛んでしまう。勇気を振り絞って無料の水をオーダーした。
料理のメニューも一通り眺めたが、やはりステーキは昼でも5,000円近くする。いつかウルフギャング自慢のドライエイジングを味わってみたいと思うが、今日は予定通り1,800円の「クラシックバーガー」だ。ハンバーガーでも肉の焼き加減を聞かれたので、ミディアムでオーダーした。
そういえばこのところ、ガストでもどんでもステーキは高いのでハンバーグばかり頼んでいる。日曜の肉の日からどんで立て続けに2回も食べたので、今週はハンバーグ週間だ。
ハンバーグでもプライムビーフの旨味は別次元
お肉の焼き上がりを待つ間に、パンが3種運ばれてきた。ハンバーガーなのでバンズは付くと思うのだが、追加でパンも食べさせてもらえるとはなかなか気前がよい。
フランスパンとオニオン、クルミのパンで、それぞれ特徴があり飽きずに全部食べられた。さすが高級店のパンは、どんの食べ放題パンよりおいしい。
その間にも、テーブルの間を見事なサイズのステーキが湯気を立てて運ばれていった。5分ほどで手元に届いたハンバーガーは、目を疑う巨大サイズ。400gくらいありそうなビッグなハンバーグに、ポテトとオニオンが盛大に盛られている。
肉にナイフを入れると、もったいないくらいの肉汁があふれ出てくる。試しにケチャップを付けずにそのまま食べてみたら、スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃…一口目からとんでもなくおいしかった。
「これが本物の肉なのか」と唖然とするくらい、香ばしさと旨みにちょうどよい塩気が混ざって絶妙なハーモニーを奏でている。ガストの工業肉よりあさくまのハンバーグ、とレビューしたところだが、ウルフギャングのハンバーグはさらに上をいく。
そういえばメニューに「プライムビーフ100%」と書かれていたので、ハンバーグとはいえ例のプライムグレード熟成肉が使われているのかもしれない。これのサーロインをステーキの状態で食べられたら、どれほど素敵だろう。
いつか優待券を溜めまくって、ランチタイムの5千円リブアイでいいからプライムのステーキも試してみたい。
実はデカ盛りの店であった
さらに驚いたのは、料理のボリュームが半端ないということだ。プレート1枚で2~3人前のカロリーはあると推測される。別皿のパンも合わせて完食したら、お腹が一杯で晩飯はいらないくらいだった。
肉とバンズは言わずもがな、後ろに控えたオニオンリングの下に、フライドポテトがぎっしり積まれている。味付けは濃い目で塩っ辛いが、これらのサイドメニューもマクドナルドなどとは比較にならないほどうまい。バリューセットを4回我慢してでも、ウルフギャングの1,800円バーガーは食べる価値がある。
付け合わせのケチャップはかなり甘い。ウルフギャング特製のステーキソースがテーブルに置かれていて、こちらもどちらかというと普通のケチャップだった。
裏面の原材料を見るとウスターソースや他にもいろいろ入っていそうだが、ハンバーガーにそこそこ味が付いているので違いがわからなかったといえる。肉を熟成させる際に、ある程度下ごしらえしてあるのかもしれない。
味と量からするとコスパは悪くない
お会計はそのままテーブルで。昼でもテーブルチャージが10%かかる。WDIの優待券を4枚出して「ちょっと確認してきます」と言われたので焦ったが、問題なく支払いできた。
レシートにSTOCKHOLDERではなくKABUNUSHIと印字されているのがおもしろい。サムライとかショーグンみたいに、海外でもカブヌシで通じるのだろうか。
その後、お店を出る際にレセプションで飴をもらえた。微妙にファミレスっぽいサービスでうけるが、見た目の格式高さと、気取らないサービス&デカ盛りのギャップが人気の秘訣かもしれない。謎の海外製イチゴ飴は口に入れると、実はハイチューだったというサプライズもある。
ランチタイムの最安メニューだったが、ウルフギャングの醍醐味はそれなりに満喫できた。同価格のロコモコには「プライムビーフ」と書かれていないし、リガトーニよりもやはりクラシックバーガーで正解だったと思う。
味と量、コストパフォーマンスの観点からは、ウルフギャングの2千円ハンバーガーは決して悪くないと思った。敷居が高くてお店に入りにくいのと、ドリンクも頼まないと後ろめたいのだけが難点だ。さすがに一人だと緊張するし、寂しい感じなので、グループで行ってわいわい肉を突っついた方が楽しめると思う。