製図試験終了から4日目。当日の夜はプールの設置階、1階・2階で半々くらいかなと思っていたが、ふたを開けてみると1階はきわめて少数派なようだ。
各スクールの総括や解答例もあらかた出そろった段階で、もはやプール1階の同志は製図試験.comさんのみ。大手に負けず12月まで一緒にがんばろう!ダメだったら来年は通信添削、お世話になります。
玄関開けたら2秒でプール
現時点で見ることができる、コムさんの貴重な1階プール答案例。機械室はプールから離れているが、エントランスから更衣室も経由せず、とにかく早くプールに飛び込みたい利用者には親切なプランに見えてきた。
避難経路も兼ねて、エントランスホールから一気にプールへ直行できるという新発想がすばらしい。当スポーツ施設のキャッチコピーは「玄関開けたら2秒でプール」
別館、全天候型スポーツ施設の更衣室で水着に着替えた利用者が、プール直結の1階共用廊下から足だけ洗って横からドボン。きっと夏休みのプールはチビッ子たちに大人気だから、60㎡の更衣室Aなどすぐパンクする。
北側施設の更衣室も共同利用して、ロッカールームも経由しないエントランス最短動線に配慮するとは、さすがプロの解答だ。「一体的に使用」の真意は便所のシェアかと思ったが、「他施設と連携して更衣室のキャパを増やす」なんてすごいアイデアだ。年間の利用者数変動まで考慮した、きわめて高度な一体利用計画に見える。
自分も便所にこだわるなら、桜並木の屋外テラスにマンホールトイレを並べるくらい、徹底的にやればよかった。花見客に必須の設備…それはトイレとゴミ箱だ。何となく今年の記述やコンセプトは、無難でありきたりなネタでなく、思い切った大胆な提案の方がプランとの整合性をアピールできたと思う。
北の客室≒プール1階
正直なところ、今年のプール1階配置組としては、昨年の北側客室に近いプレッシャーを感じている。独学だったので他の人の図面を見る機会は少なかったが、去年の今頃はどうやら北に向かった人も多いと聞くし、ウラ指導さんも「合格答案のレベルは低い」と本に書いていた。
うぶな初年度生としては、「眺望なんてビビらせているだけで、ゾーニングできていれば案外受かるのかな?」とそわそわしながら2か月過ごしていた。12月の発表を見て、レベルが低いのは自分だと悟った。
試験が終わってから問題用紙を毎日眺めていると、「こういう考え方をすれば北側とか1階もありかな」と思いつくことがある。採点方法が非公開というのも、下手な期待を抱かせる要因だ。
建築設計というファジーな分野なので、プール1階でも3階でもそれなりにいい面は持っているのだろう。あれこれ屁理屈を考えるのは楽しいが、プランニングの常識からどんどん遠ざかるので、勉強には逆効果な気もする。
複数エントランスはフェイク
昨年学んだ教訓として、多くの人が直感的に考える「それまずいでしょ」という意見は、たいてい正しい。今年はそれがエントランスの方かと思い、思考力の大半を注ぎこんでしまった。
眺望と同じ過ちは犯すまいと、慎重に選んだ一体利用最優先の北西エントランスは間違ってなかったと思う。ところが文面を読むと、記述でうまくストーリーさえ描けていれば、南でも東でもどこでもよかったように見える。
それよりもむしろ断面図に書かれた「G.L.-2.2m地下水位」…こちらは他に解釈の余地がない、見まごうことなき真実だ。わざわざ問題用紙にA4スペース追加して載っている巨大な地盤略断面図は、左ページに何度も出てくる「一体的に使用」より重要度が高そうに感じる。
これを間接的に「プール1階配置は禁止」と解釈できた受験生が、すんなり合格する年なのだろう。旧プール埋め戻し土部分のくぼみも、まるでプールを1階におびき寄せるためのイメージ誘導に見える。
このパターンは平成17年に出題された、凸字型既存部と横断歩道にそっくりだ。試験前に冗談で「既存部はやばい」と言っておきながら、真っ先にトラップにはまってしまった。
地下水位に関しては、「井水利用しろってヒントかな~」くらいにしか捉えていなかったので、勉強不足で弁解の余地もない。今年は名峰矢印のように見落としもせず、しっかりマーキングしていただけに、余計くやまれる。
地下水の有効活用
去年の北客で一喜一憂、踊らされた身として言えるのは、プール1階の人はもう無駄な期待を抱かない方がいい。余計な言い訳を考えるよりも、いさぎよく来年に向けて準備しよう。作図能力が衰えないようトレーニングに精進し、長期コース入学に向けてお金を貯めるのもいい。
もしかすると全国で数名くらい、「他施設との更衣室共同利用」など上級レベルの記述でフォローできた人が、ひょっこり受かっているかもしれない。上足分離が楽だからと、単純な理由でプール1階を選んだ人が受かる確率は、採点官が建ぺい率オーバーを見落とすより低い。
課題文では特段触れられていないが、桜並木が燃えやすいのと同様、地下水位も触れると即死のダメージゾーンにしか見えなくなってきた。この二重苦を克服するには、
「1階プール下ピットに豊富に湧く地下水を利用して、桜並木からの延焼を食い止める」
くらいの記述アピールが必要だ。製図試験.comさんが、あえてプールと分離してでも、敷地の西側に受水槽を設けて機械室を隣接させたのは、そこまで配慮したからだと今さら気づいた。
関東圏でも湧き水を水道水に利用している自治体はある。今回は築地のように、地下水がベンゼンやシアンで汚染されているとまでは書かれていない。素人ながら、配管ピットから直接プールに補給するのもありではないかと考えてしまった。
さすがに記述で書く度胸はなかったが、これも今年のプールに限って使えたパッシブデザインなのかもしれない。
プール3階さんもウェルカム
しつこいようだが、1階プールの優位性をアピールしてみようと思う。万が一にも採点者様に目を通していただけたとしたら、「プール1階もあながち悪くないか」と減点幅を調整してくれる可能性がある。
そんな民主的な方法で国家試験の採点方法が覆るとは思えないが、合格発表まで何もせず手をこまねいているのも退屈だ。プール1階で使えそうなネタを思いついたら、引き続きアップしていこうと思う。
おそらくプール3階さんも似たような立場だと思うので、ぜひとも共闘しましょう。2階設置の優位性は揺るぎないが、階設置の多様性を訴えれば採点に0.01ランクくらい響くかもしれない。標準解答例の2つ目は、きっとプール1階か3階になると信じている。