2016年8月にオープンした渋谷のTEXMEX FACTORY。TGIフライデーズのちょうど向かいにあり、アメリカ vs メキシコの国境を築きつつあるが、実はどちらもワタミ系列で株主優待券が使える。ディナータイムは10%のサービスチャージを取られる高級店TGIだが、格安居酒屋ワタミのチケットでタダ飯できるというのは痛快である。
TGIフライデーズの隣で似た感じのTEXMEX
TEXMEXの方も、ぐるなび掲載の平均予算はTGIと同じ3,000円で、500円のワンコインプレートもあるが主力のブリトーは1,500円くらいする。2店とも高級ハンバーガーを扱っていたり、ディズニーランド的な世界観を演出していたり、ターゲットの客層も価格帯も完全にかぶっているといえる。
それもそのはず、ワタミ系列とはいえ立ち上げメンバーはTGI出身とのことなので、おそらく今後展開するかどうか可能性を試す実験店舗なのだろう。
渋谷のタコベル上陸から始まったタコスブーム
渋谷でタコスといえばタコベルである。2015年春に微妙な裏道にオープンして、表通りを109まで続く長蛇の列ができたことは記憶に新しい。
アメリカ帰りの同僚は、「タコベルは格差社会の最底辺しか口にしない下等な食べ物なので、なぜこんなに人気なのか理解できない」とつぶやいていた。おそらく日本でいうと牛丼太郎くらいの位置づけなのだろう。
半年ほどしてようやくタコベルの店内に入れて、どんな劣悪なジャンクフードかとおそるおそる口にしたが、500円くらいのブリトーでもジャンボサイズで大満足だった。原材料を気にせず、味の違いもわからず、質より量という貧乏人には相性がいいようだ。
その後タコベルは4号店まで拡大し、タコデリイオ、タコリッコ、ポカタコス、タコスマイルという冗談のような名前のお店が続々オープンした。そんなタコ業界に後追いで参入したワタミのTEXMEX。ファーストフードなタコス専門店というよりは、その名のとおりメキシコ風テキサス料理で、イメージとしてはゼストキャンティーナに近い感じだ。
2月になっても続いていた1,000円タコス食べ放題
わりと高級で近寄りがたイメージがあったTEXMEXだが、2016年12月に「平日ランチタイム1,000円でタコス食べ放題」というサービスメニューを展開していたことがわかった。その名も「エンドレスタコス」…タコにまみれる悪夢のようなネーミングにそそられる。期間限定のキャンペーンだったが、好評だったのか1月末まで延長されていたらしい。
その後、2月に入ってから1,000円で食べられたというレビューがウェブになく、公式サイトにも記載がなかったので、うっかり乗り遅れたかと思った。ちょうど今週、八王子の月の雫にしゃぶしゃぶランチを食べに行ったが、1月末で終了していたとの張り紙を見てがっかりしたところだ。ぐるなびには1,000円タコスランチと書かれているが、情報が古いことがあるのであてにならない。
がっかりしてディナーメニューを眺めていたら、TEXMEXのツイッターで今でもエンドレスタコスをやっていることがわかった。毎日タコスタコスとつぶやいているtexmexfactoryアカウントは異様なテンションだ。ワタミ優待券の新しい使い道ができるかもしれないと思い、エンドレスタコスの真相を確かめるべく、久々に渋谷に行ってみることにした。
平日15時までタコスにドリンクも飲み放題
店頭には1,000円タコス食べ放題の看板が。15時までなら時間無制限なので、せかされないのもうれしい。12:30頃入店したときは空席もまばらにあったが、13時を超えると行列ができ始めたので一人でテーブル占有するのはさすがに申し訳なく、ちょうどいい腹具合になった1時間ぐらいで店を出た。
TGIフライデーズはお店に入ると陽気に振る舞わなければならないようなプレッシャーを感じるが、TEXMEXは「冥府へようこそ」という感じの恐ろし気な店構えである。店内にもメキシコっぽくやたらと骸骨のグラフィックが描かれている。ここは毎日が死者の日だ。
ランチは1,000円の食べ放題のみ。最初にドリンクをオーダーして、あとはひたすらタコスを自分でつくりまくる。コーラやウーロン茶のドリンクも飲み放題だが、炭酸飲料で胃を膨らまさない方が身のためだろう。
トルティーヤだけでもいけるくらいうまい
タコスの作り方は、まずカウンターに並べられたトルティーヤをお皿に敷いて、ビュッフェ形式の具を好きなだけ盛った後にサルサソースをかけて仕上げる。トルティーヤはソフトタコ用のしっとりした仕上がりで、これだけでホットケーキのように何枚も食べられそうなくらいおいしい。
年取ってからなぜか炭水化物好きになってしまい、カレー用のナンとかケバブ用のピタパンもいいが、さらに薄手でモチモチしたデュルムの皮とかトルティーヤは大好物だ。先日のリトルワールドでも、わざわざデュルムを主食に選んだほど。
大福を食べるのに中のあんこは要らない。クレープにも下手な具を入れるくらいなら皮だけでいい。ついでに言えば生八つ橋も皮で十分。そんな皮好きを満足させてくれるハイレベルなトルティーヤだったが、せっかくなのでタコスっぽく具も載せてみた。
タコスの具は肉・魚・野菜・チーズで10種類以上
テーブルに並んでいる食材は肉3種に豆4種、サルサソースも3種類、レタスやトマトの野菜類、オリーブ、チーズにパクチーまであるが、メキシコ料理では普通に使われる食材なようだ。その他、なぜかご飯にフライドポテトにドリトスも置いてあるが、これらはトルティーヤに挟まずにそのまま食べた方がよさそうだ。ついでにスープも飲み放題。
めずらしいものではサボテンがある。サボテンを食べるのは名古屋の喫茶マウンテン以来2回目だ。ハラペーニョもおそるおそる載せてみたが、そこまでの激辛ではなかった。
何となく盛ってみるとこんな感じ。皮で巻いてこぼさず上品に食べられるボリュームは、このくらいが限度だ。そのうち、お皿が汁でべとべとになってきて、巻いた先から手が汚れてしまう。4枚くらいタコスをつくったらお皿を交換するのがベターだろう。
テーブルには7種類のタバスコが並んでいるので、お好みでどうぞ。ガーリックとかハバネロ味もある。
タコスの難点としては、具材をミックスしないので、かじった部分によってはソースばかりでしょっぱいとか、ハラペーニョしかなくて辛すぎるということがある。
逆に素材の個性を感じられて楽しいともいえるが、何枚も食べていると中身が何なのかあまり気にしなくなってきた。とりあえず何を載せてもおいしい。豆づくし、肉縛り、チーズだけとか、素材を厳選して相性を確かめようと思ったが、結局空きスペースがあると欲張って追加で載せてしまう。また次に来るときは、いろいろ組み合わせを試してマイベストなオリジナルタコスを完成させてみたいと思う。
ドリトスと謎のデザートもなかなかいける
1時間くらいかけて合計7枚食べたらほぼ満腹になった。それでもテーブル脇のデザートコーナーが気になったので、別皿に盛って試してみた。ラスクというか揚げパンに砂糖とチョコレートをまぶしてさらに甘くしたものと、芋ケンピとか言いようのない甘いフライドポテトの2種類。ドリトスも好きなので何枚かいただいた。
ドリンクはさすがにお代わりしなかったが、ジャンボサイズのジンジャエールも完飲。エンドレスタコスで至福の時間を過ごした後は、3時間くらいゲップがエンドレスで出続けた。
TEXMEXでワタミ優待券は問題なく使える
ワタミ優待券も500円×2枚分使えて税込1,000円ポッキリ。この値段で普通にタコスを食べれば2~3個が相場だと思うので、大食いできる人なら3倍以上のコストパフォーマンスを上げられると思う。渋谷でタコベルに並ぶくらいなら、TEXMEXで死ぬほどタコスを食べた方がお得だ。
帰りがけ、TEXMEXの看板の横に魚民の「たこ焼食べ放題」の看板を発見した。どちらが先かわからないが、まぎらわしいメニューだ。タコス目当てに来て、間違ってたこ焼きをつくってしまうお客さんもいるかもしれない。後発側は確信犯だろう。
税別680円で食べ放題ならリーズナブルかと思ったが、389円のチャージ料がかかるのと、たこ焼きは焼くのに時間がかかりそうなので90分制限だとあまり元を取れなそうだ。
タコスにたこ焼きも参戦して、渋谷はタコ激戦区。TEXMEXの1,000円ランチは一応期間限定的な企画のようなので、ワタミの優待券が余っている人はぜひ早めに試してみよう。