ゼットンのレストランはハワイアンが中心だが、ほかにも和食や韓国料理のお店がある。いずれも最近の流行を取り入れたおしゃれなお店が多い。中年男性が一人で入るには敷居が高いが、株主優待は問題なく使える。アクトコールの「パンとエスプレッソと」みたいに、話題のショップでさりげなく株主優待を提示して、インサイダーなエクスクルーシブ感を見せつけたいものである。
神南軒は渋谷露地裏の穴場
今回向かったのは渋谷の神南軒。以前、結婚式の二次会か合コンだったか、開放的な屋上テラスでパーティーに参加した記憶がある。渋谷の中心部に近いのに、こんなところがあるんだと感心したものだ。cocotiにある347カフェもプール付きテラスで似た感じがあるが、隠れ家的な雰囲気なら神南軒の方が上だろう。
渋谷駅のハチ公口から西武デパート、丸井(今はMODI)の方を目指して進み、楽天カフェ~Appleストアに向かう途中の路地に入ったところにお店はある。駅に近いわりには全然目立たないので、観光客が来ることはめったにないだろう。もっとも、ビシッと糊が効いたテーブルクロスが敷かれた店内は、ジーパンにTシャツ・サンダルのカジュアルな装いでは、少々恥ずかしくなる雰囲気だ。
念のためジャケット着用に革靴を履いてきて正解だった。平日ランチの遅い時間は空席があり、すぐに案内してもらえた。いったんエレベーターで9階に上がって、らせん階段で優雅に見下ろしながら8階のメインフロアに案内される演出が心憎い。渋谷の空間は貴重なので、居酒屋でも無理やり中二階をつくったり、立体的なフロア構成を工夫しているお店が多い。狭い雑居ビルながらも、吹き抜けがあるおかげで広々と感じる。
サラダビュッフェに鶏肉あり
時間的に日替わりメニューは終了していたので、定番品の中から「スパゲッティーナポリタン」をお願いしてみた。さらにプラス300円で「こだわり野菜のサラダビュッフェ」を追加。神南軒のサラダはグレードが高いので、お腹に余裕があればぜひチョイスしたい。
「こだわり野菜」というのは伊達ではなく、ビーツや豆類などファミレスのサラダバーではおよそ見かけないような種類の野菜が含まれている。調理されたカボチャサラダがあるのもポイントが高い。固いカボチャは家で調理するのが面倒なので、外食で食べられるのはうれしい。
さらに特筆すべきはサラダビュッフェなのに蒸し鶏が提供されるところだろう。ヘルシーな鶏肉を山盛りにすれば、ほかに肉料理を頼まなくてもタンパク質は十分だ。サラダに混ざって肉類が出てくるのは、ブロンコビリークラスの中堅ファミレス以上でないと望めないサービスだ。
渋谷ナポリタン対決
ナポリタンは大きな皿にちょこんと盛られてくるが、しっかりした太麺でぐっとお腹にたまる。心持ち味が濃すぎる気もするが、テラめし系のように下品な感じはしない。見た目はシックだが肩ひじ張らないというか、まるでレトロな洋食屋でこだわりのカレーを食べているような雰囲気だ。新宿BEAMS地下の日光金谷ホテル クラフトグリルに通じるものがある。
渋谷といえばナポリタン星人(2.3kg)のパンチョが有名だ。このエリアでは神南軒の方が老舗だが、駅前の新興店に対抗して用意されたランチメニューなのかもしれない。女の子とデートしていてパンチョに入るのは厳しいが、神南軒なら外さないだろう。
ほかのお客さんは8割がカップルであとは女性のお一人様。男性はみなスーツかジャケットを着ていた。ドレスコードまではなさそうだが、ほかのお客さんの品がいいというのは、レストランの売りになる。渋谷駅近くの隠れたランチスポットとして、ぜひレパートリーに含めておきたい。ゼットンの金色に輝く株主優待券でスマートにお支払いを済ませれば、相方に一目置かれることうけあいだ。