はなまるうどん、ぶっかけシリーズとかま玉・明太子300円メニューの比較

3社合同天ぷら定期券を活用して、2日に1回は、はなまるうどんに通っている。かけうどんとおろししょうゆの小サイズ、200円以下のサービスメニューにフリーの天ぷらを1品つけて、軽い昼食にはちょうどよいくらいだ。

せっかくなので、もう100円アップしてぶっかけやおろしの上級メニューにも挑戦してみた。久々に食べるぶっかけシリーズは、おろししょうゆとどう違うのだろうか。

おろししょうゆをぶっかけと間違えられる

はなまるうどんの「ぶっかけ」と「おろししょうゆ」の違いは、かかっているタレがつけだしか醤油かの違いだけだと思っていた。しかし、ぶっかけの基本メニューはおろししょうゆより100円高いだけあって、薬味や調理法に工夫が凝らされているとわかった。

まずは定番のぶっかけ。あまり記憶になかったのだが、実はこちらにも大根おろしが乗っていた。そのため見た目はおろししょうゆとあまり変わらず、たまにレジでぶっかけに間違えられることがある。

ぶっかけがおろし化するのは問題ないが、おろしを頼んだのにぶっかけで会計されると100円アップしてしまう。天ぷら定期券もトレーに乗せているだけだと認識してくれないことがあるので、店員さんの目の前にしっかりかざすことが大事だ。うっかり値引きし忘れて、やけにお会計が高くなっていることがある。

ぶっかけとは具がメインの料理

ぶっかけにかかっているのはつけだしなので醤油よりは薄味。その分、汁の量が多く、普通のラーメンとつけ麺の中間くらいの独特なスープパスタ風に見える。どちらかというと汁なしのヌードルというより、「汁が少なくて罪悪感なく飲み干せるうどん」という感じがする。

そのため、おろししょうゆに比べると味のメリハリがなく淡泊に感じる。もし大根おろしやネギが乗ってなかったら、単に「汁少な目のかけうどん」というしょぼいメニューになってしまうだろう。

かけうどんに塩豚ねぎや牛肉の具を乗せると、汁の中に沈んでしまって拾いにくい。ぶっかけとは、「具や薬味を余すことなく食べられる」という発想から生まれた、汁少な目うどんといえる。つけ麺のようなおろししょうゆほど違和感がなく、普通のうどんを食べる感覚で具も食べ尽くせる。

以上の仮定にもどづくと、「ぶっかけは具が命」ということで、温玉や塩豚・牛肉のトッピングが充実していることがわかる。うどんよりむしろ具が主役なので、スープが薄味で控えめになっている理由も解せる。かけだし系のうどんにも同料金で同じ具を乗せられるが、汁まで飲み干す覚悟がなければ、ぶっかけの方が効率がよい。

プレーンぶっかけはレモンうどん

一見具なしに感じるプレーンなぶっかけは、実は「レモンうどん」とでも呼ぶべき創作料理だった。うどんにレモンが乗っているのは見た目的にも違和感あるが、レモン汁を絞るとまるでトムヤムクンのようなタイ料理を食べている気分になれる。

広島や瀬戸内海はレモンの産地だから、讃岐うどんにレモンを乗せるというのは自然な発想だったのだろう。冷たい麺を選んでちょっと醤油をかけると、レモンの酸味で冷やし中華を食べているような気分になれる。難点としては、レモンの種が汁に混入して食べにくいということだ。

温玉ぶっかけはまったく見た目どおり。月見うどんの卵成分を残さず食べ尽くしたいという人には、うってつけのメニューだ。

後述のかま玉に比べると、温泉玉子とうどんが完全に一体化していないので、黄身と白身の味の違いを楽しめる。目玉焼きかスクランブルエッグかという区別だろう。

かま玉は見た目そのままカルボナーラ

ぶっかけシリーズではないが、同じく小300円のかま玉も試してみた。ファストフードのはなまるうどんの中では、オーダーすると「6分くらいかかりますがいいですか?」と聞かれるレアな一品だ。

ランチタイムの混んでいる時間帯だと、平気で10分待たされることもある。松屋のトンテキ定食みたいな感じで、そもそもこんな手間のかかるメニューがはなまるにラインナップされていることが謎である。

かま玉をつくるのになぜそんなに時間がかかるかというと、「生卵を麺の熱で凝固させつつ絡める」という複雑な工程があるからだ。たとえば卵かけご飯のように、出来合いのうどんに生卵をかけるだけでは、ここまでねっとりした半熟状態にならない。茹でたてうどんのお湯を切って、冷めないうちに素早く卵を絡める熟練したテクニックが必要なはずだ。

テーブルに届くころには食べるのにちょうどよい温度に下がり、溶き卵が泡立ってシズル感たっぷりになる。かま玉をいただくときは、焼き立てのナポリピッツアを食すように、フリーの具やトッピングは乗せず手早く胃袋に収めるに限る。そのためか、親切にも刻みのりの小袋がついてくる。

かま玉はその見た目どおり「カルボナーラうどん」といえるので、胡椒をかけても合いそうだ。はなまるに備え付けの薬味の中では、七味でも乗せれば和風カルボナーラという感じで魅力アップできる。これで料金300円とは安い。余裕があれば10分待っても頼む価値のあるメニューだ。

明太おろししょうゆは和風パスタ

おなじ小300円メニューの中から、おろししょうゆのバリエーション「明太おろししょうゆ」も試してみた。

辛子明太子を乗せるには、ぶっかけのだし汁でも多いと判断したのだろう。汁ものに明太子を乗せても、拡散して明太汁になってしまう。具の個性を損なわないためには、湯切りしたうどんにそのまま乗せるしかない。

最初は明太子の量が少なくて「これで100円アップか!」と憤慨したが、味の濃さ的にはちょうどよかった。明太子の塩辛さが強烈なので、むしろ厨房で醤油をかけるのはキャンセルしてもらってもいいくらいだ。

かま玉をカルボナーラにたとえるなら、こちらは明太子和風パスタ。ガストでも500円はする明太子入りの和風スパゲティを、わずか300円でいただけるとはお買い得だ。しかも茹でたて麺のクオリティーからすれば、はなまるの方が味も上。

パスタかうどん、同じ小麦麺で明太子を絡めて食べるなら、はなまるの方がずっとリーズナブルに思われる。

かけ・おろししょうゆが安すぎる

130~150円のかけうどん小からすると、料金2倍はかかるぶっかけシリーズ&かま玉・明太子。調理に凝ったかま玉以外は、「具だけで100円以上アップ」という現実に耐えられるかどうか…

それでも300円でこの料理をいただけるのは、他店に比べると圧倒的に安い。それを上回るコスパのかけうどん・おろししょうゆが、いかに破格か身に染みて理解できた。300円台のメニューを頼むのは、余った吉野家優待券を使いたいときくらいだろう。お釣りが出ない優待券を廉価な2品に注ぎ込むのはもったいない。

ただ、毎日かけうどん小では、いかにも定期券狙いの貧乏人と店員さんにあきれられてしまう。たまにはぜいたくに100円で明太子を乗せて「違いのわかる客」とアピールしてみたい。せめてたまには200円のしょうゆおろしを温冷織り交ぜて、バリエーションを楽しんでみるとしよう。