優待のイヌについて

「優待のイヌ」という独自の投資戦略にもどつき、飲食関連の株主優待銘柄を研究しています。

投資額に対するリターン、いわゆる優待利回りだけでなく、以下のような面から食事券や割引券の使い勝手を総合的に評価します。

  • 優待券が使えるお店(種類、店舗数、立地など)
  • お店の入りやすさ(男性一人利用、タバコは苦手)
  • 優待券の使いやすさ(時間帯の制約、金額の端数処理)
  • メニュー、ボリューム、味、栄養(質より量を重視)

株主優待だけで365日フリーランチを実現するのが目標です。

そのため居酒屋でもお酒より食事を優先しています。基本的におひとりさま利用が前提です。

ゆうたいけん

優待のイヌ

優待のイヌ戦略とは

株主優待銘柄の運用に関する投資理論を考えてみました。

優待のイヌとはその名のとおり、アメリカで広く知られた「ダウの犬(Dogs of the Dow)」という投資戦略をもじったものです。我が国独自の株主優待という制度を利用した、日本版の負け犬作戦といえます。

本家ダウの犬では、ダウ平均株価指数を構成する工業株30種の中から、配当の高い10社を選んで毎年売買を繰り返します。大手優良銘柄の中から一時的に株価低迷して利回りの上がった割安株に投資するので、長期的に高いパフォーマンスが期待できるとされています。

これと同様に優待のイヌでは、配当+優待利回りの高い銘柄を選んで投資します。現物支給の株主優待には所得税がかからないため、若干の節税効果も受けられます。

銘柄の入れ替えルール

ダウの犬が配当に着目するのに対して、優待のイヌでは株主優待の還元率も評価に加えます。

優待制度の改悪などにより魅力の下がった銘柄は、他の優待銘柄に差し替えます。また住む場所やライフスタイルによって、食事券を有効期限内に消化しやすいかどうかも吟味します。

ダウの犬のように「銘柄は10種類、リバランスは年に1回」といった厳密なルールは考えていません。通いすぎて料理に飽きたら売却しますし、流行っているお店があれば利回りが低くても買うことはあります。

外食銘柄において優待制度が手厚いということは、顧客満足を意識していることの表れです。こうした優良銘柄を分散保有することによって、長期的にトータルリターンを上げられないかという程度の、ゆるい投資法です。

優待銘柄の強み

飲食系の株主優待を提供する外食関連企業は、基本的に内需中心のディフェンシブ銘柄です。世界的な株安フェーズで一時的に値下がりすることはあっても、個人投資家の買い支えが入りやすいといわれます。

相場低迷時に強いイメージの優待株ですが、ひとたび優待改悪・廃止というニュースが出ると株価は暴落します。致命的なダメージを避けるため、投資先がひとつに集中しないよう気をつけます。

一般的に単元株より多く買い増しても、もらえる株主優待は比例して増えません。広く浅く、さまざまな飲食チェーンに分散投資することでストックゲインを最大化できます。

慣れれば売却益も狙える

優待銘柄の特徴として、権利確定前にじわじわ値上がりして直後に下落する傾向があります。

慣れれば年に1~2回あるタイミングに合わせてスイングトレードを繰り返し、キャピタルゲインを狙えるかもしれません。権利落ち前に利益確定するか、そのまま保持して株主優待を受け取るかは悩ましいものです。

短期的に売買しても、単元株は保持して業績の推移を観察するのがおすすめです。数年間、株主名簿に記録されることによって、長期保有特典がもらえる優待銘柄もいくつか存在します。

長期保有の励みになる

株主優待の出る銘柄であれば、予期せず株価が低迷しても現物支給でなぐさめられるメリットがあります。

たとえリーマンショックのような経済危機があったとしても、経験上10年くらい待てば株価は戻ります。その間、毎年お食事券をもらえることで、気長に待てる楽しみができます。

世界的な金融危機の直後は、みなマネーゲームに疲れています。配当として、はした金をもらうよりも、かたちのあるお食事券をいただいた方がありがたみを感じられます。

優待銘柄とは、塩漬けにしてもおいしくいただけるカブのようなものです。食べられない株と食べられる蕪、どちらを選びますか。

趣味と実益を兼ねた優待研究

株主優待の使い勝手は居住地域や好みによって変わってきます。そのため一概に還元率だけで評価することはできません。

牛丼やハンバーガーが好きな人もいれば、居酒屋で割引がきく方がうれしい人もいると思います。ファストフードのチェーン店だけでなく、高級料亭で懐石料理を楽しめる銘柄もあります。

東京都心は居酒屋銘柄の系列店が充実しています。郊外であればロードサイドのファミレス店が種類豊富です。なかには地方でしか使えない食事券もあり、出張ついでに開拓するのも楽しみといえます。

消費者感覚で業績を占う

優待銘柄への投資には、ファンダメンタルに表れない特徴を実地でレビューするという醍醐味があります。もらった優待券が本当に使えるかどうかは、実際にお店に通ってみないとわかりません。

消費者として日ごろの経営状況を観察することで、売上の推移を予測することもできます。平日昼間の混み具合、新メニューの出来栄え、サービスの良し悪しなどから今後の業績を占うことも可能です。

一般的に少子化・人口減少の影響でこれから外食市場は縮小するといわれています。しかし毎日ファミレスやフードコートをはしごしていると、おひとりさまシニアの利用が増えていることに気づいたりします。

ほかの投資家が知らない現場の様子を肌で感じられるというのが、優待リピーターになる利点です。外食産業において、素人なりの勘というのは意外とよく当たります。

優待貴族ファンドの設計

自分の好みに合った銘柄をパッケージにして、独自の優待ファンドを考えてみるのも一興です。食品の現物支給になりますが、うまくはまれば大幅に食費を節約することができます。

東京都内で試算した場合、おおむね高配当・優待の銘柄に200万程度投資すれば、365日フリーランチは可能でした。地方でも好待遇のファミレスチェーンを駆使すれば、このくらいの金額で年中優待は実現できると思います。

経済学的には、何にでも使えるキャッシュで配当をもらったほうが合理的といえます。しかし株主優待をもらって外食することで、以下に説明するような「お金では買えない価値」を得られる可能性があります。

株主優待で脱・引きこもり

日ごろ家に引きこもりがちな人にとって、株主優待は外出するきっかけを与えてくれます。

在宅フリーランスや引退後のシニア、ひとり暮らしの人は近くのお店でランチするだけでも息抜きになると思います。

優待を使えばスーパーで惣菜を買うよりも安く済みます。あまり自炊しない人であれば、コンビニ弁当を買うより栄養のバランスを補えるかもしれません。

株主優待の利回りを最大化するためには、チケットを転売せず自分で使い切るのがセオリー。そのため仕事が忙しい人よりも、フリーで暇な人に向いている投資法です。

優待ランチが単身高齢者を救う

近所で優待が使えるお店をピックアップして、毎日ローテーションするのも楽しいです。

店員さんに顔を覚えてもらえれば、ちょっとした会話もできてボケ防止に役立ちます。足しげく通えば、ファミレスや牛丼屋でも顔見知りになれるものです。

宅食・配食サービスを頼むより、近所の優待チェーンに通った方が運動もできて健康的。優待ランチは今後、単身高齢者の食生活を支えるインフラになる可能性があります。

高齢化社会の未来を考えつつ銘柄と料理の研究も兼ねて、株主優待ランチをレビューしていきたいと思います。