徳之島トライアスロンの参加に向けて、鹿児島空港から鹿児島港までロードバイクで自走。せっかくなので空港近くの妙見温泉で一泊し、錦江湾と桜島のまわりを走ってみた。
桜島の外周道路は一周約36km。途中に観光名所や道の駅もあり楽しいコースだが、灰が降ってくるのはきつい。チェーンが摩耗する上、原因不明のパンクに悩まされた。
自転車で桜島を一周するなら、ロードよりMTBの方が適している。身体的な負荷は低いが、灰で機材がいたむ。実際のところ、地元の人もおすすめしないコースだとわかった。
鹿児島空港近くの妙見温泉
鹿児島市街地から移設された現在の鹿児島空港は、車で北に1時間ほど走った山の中にある。どちらかというと場所は鹿児島より霧島に近い。このあたりは火山の影響でいたるところに温泉が湧いており、空港ターミナルにも無料の足湯がある。
ここ数年、仕事で鹿児島に通いながら開拓した温泉のなかで、空港近くの妙見温泉が気に入っている。滑走路を挟んだ裏手の山にあり、バスでもアクセスできる。今回は夕方空港に着いた後、そこまで自走して一泊することにした。
妙見は霧島ほど開発が進んでおらず、小さな湯治宿が並ぶ温泉街。少し北に向かえば、かつて坂本龍馬が滞在した塩浸温泉にも日帰り入浴できる。
妙見温泉では、霧島で高級リゾート「天空の森」を運営する田島本館や雅叙苑が有名だ。金額的には、川向うのきらく温泉や秀水湯の方がリーズナブルに泊まれる。素泊まり3千円台だが、かけ流しの炭酸水素塩泉を堪能できる。
長期滞在の湯治客用に自炊スペースもあり、サービスがそっけない分、マイペースでくつろげる。どこの湯船も温泉の成分が結晶化して鍾乳洞のようになっており、特に「きらく温泉」の内風呂はすさまじい。
鹿児島の温泉は刺激が強いせいか、連泊するとかえって体調が悪くなることもある。鹿児島県は温泉の数が日本一ということもあって、市の中心部にある銭湯も温泉だったりする。南に行けば指宿の砂むし温泉も楽しめて、風呂好きにはたまらない地域だ。
錦江湾の北側を周遊
妙見温泉で輪行の疲れをいやし、翌朝は天降川に沿って鹿児島湾(錦江湾)まで下る。空港からの道は始終下り坂なので、自転車でも苦労せずに走れる。
海に出たら時計回りに桜島を目指す。途中に亀割峠という坂があるが、勾配は全然たいしたことがない。海沿いの気持ちよいツーリングになるかと思ったが、途中から雨脚が強まり土砂降りになってしまった。
レース兼用のスニーカー一足で来たので、靴の中まで濡れると気分が萎える。垂水市内の道の駅で雨宿りしても止む気配がないので、雨の中出発した。
湾岸には黒酢を製造している巨大な瓶が並んでいたりする。晴れていれば桜島を見ながら一周できて、楽しいコースになると思う。
桜島の問題は「降灰」
道沿いに橋を渡って桜島にアプローチ。島の南東側は、大正の大噴火で流れた溶岩により本土と陸続きになっている。
桜島の周回ルートは適度にアップダウンがあり、有村溶岩展望所などで観光も楽しめる。道は整備されていて交通量も少なく、ロードバイクには絶好の周回コースに見える。
ただひとつの問題点は桜島の降灰だ。風向きによっては海を隔てた鹿児島市内にも積もる灰。島の中は常に灰まみれで、目や喉が痛むうえ、バイクのパーツにも入り込んでくる。桜島で練習していたら、ブレーキシューに灰が食い込んでリムがすぐ削れてしまうことだろう。
今日は雨だったので、風で飛んでくる灰は穏やかだった。しかし、チェーンやギアのまわりは気づくと灰を巻き込んで真っ黒になっていた。さすがに出先で清掃グッズは持ってきていない。時折ウェットティッシュで拭ったりして、少しでも摩耗を避けるようした。
時計回りでフェリー港まで到達し、足湯のある公園で休憩。山肌にある湯之平展望所までは先日歩いて登ったので、今回は島の北の方まで一周してみることにした。
ランチのおすすめは、港近くの道の駅にある「極上カンパチ丼」だ。東京なら確実に千円超えそうな量の海鮮丼をリーズナブルに味わえる。鹿児島の料理は黒豚が有名だが、海産物を選んでも外れはない。
黒神の埋没鳥居
桜島の北から東へかけての道は主要な交通路でないせいか、離島の外周道路のようにのんびりしている。途中にある見どころは、噴火で埋もれた黒神の鳥居くらい。桜島は一周しても約36kmなので、2時間もあれば回って来られる。
最後に港の前の溶岩道路を走っているところで、後輪が激しくパンクした。原因不明だがタイヤが水平に裂けているので、ゴム自体の寿命のようにも見える。数千キロは乗ったIRCのX-Guard。遠征先でのパンクはつらいが、レースの最中でなくてよかった。
桜島フェリーで輪行する方法
そのままバイクを引きずってフェリーに乗り、鹿児島港へ向かった。桜島フェリーの運賃は片道160円、自転車は110円。自転車を乗せる場合は、車と同じく駐車場側のゲートの方から乗船する。
バイクは車と一緒のフロアで、壁に立てかけて保管させてもらえる。15分程度ですぐ着くので、客室に上っても風景を眺めるくらいしかすることがない。地元の人にとっては日常の足という感じだ。
灰さえなければ楽しい桜島周回コース。その後、レースで会った地元の人にも聞いたが、機材が痛むので島を走ることはあまりないそうだ。