東京近郊、最短でITRAポイントを稼ぎUTMF参加資格を入手する方法

先日久々に富士登山競走に参加して、帰りがけにバスの中で体験談を聞いたUTMFに興味を持った。

過酷なトレランレースをいくつも完走して、ポイントを稼がないと出られない国内屈指の大会だ。最近は参加資格の算定に、国際トレイルランニング協会(ITRA)の認定レースポイントを準用する仕組みに変わったようだ。

ためしに最新ルールで自分のポイントがどのくらいあるのか調べてみた。ITRAのサイトで名前を入れれば、簡単にポイントを確認することができる。

ITRAポイントの確認方法

UTMFの公式サイトからリンクが貼ってあるITRAのウェブサイト。上の方のメニューからFind a runnerを選び、

  • Given name=名前
  • Family name=姓名
  • Nationality=日本

を入力すると情報を閲覧できる。

名前を入れるだけで実績が見られるのは、個人情報的にどうかと思う。知り合いのトレイルランナーがいれば、こっそりレースの参加歴を調べることができる。

ITRAのトラックレコード記録

画面中ほどにあるResultsというタブをクリックすると、過去に出たレースの記録を見られる。さらに画面下の方のTrack recordからRoute’s characteristicsを選ぶと、各レースのEnduranceという欄にポイントが記載されていて、これの合計値がUTMF/STYの選考基準になるようだ。

海外サイトに自分の名前が登録されているのも不思議だが、2016年に走ったハセツネとキタタンはどちらも記録されていた。Enduranceポイントはそれぞれ4と3なので、合計7ポイントならSTYの基準はクリアできている。

ITRAポイント獲得状況(Endurance, Mountain)

しかしもう1つの条件「最低1レースはエントリー開始日の1年前から前日までに開催されるレ―スとする」とあるので、2016年のレースだけでは次回2019年のエントリーに使えない。

年内エントリーできるトレラン大会

2018年のUTMF/STYエントリー受付期間は、2017年10月16~29日だった。仮に今年もその時期に募集されるとすると、今から10月半ばまでに最低1ポイントでも稼げるレースを完走すれば、来年のSTYに申し込めることになる。

富士登山競走でポイント獲得できないのは残念だが、UTMFサイトの国内認定レース一覧PDFを見ると、まだエントリーできる大会がいくつかある。2017年にポイント付与の実績があったレースのうち、獲得2ポイント以下で距離が短く、楽そうなものを選ぶと、

  • 福井県の若狭路トレイルランロングコース43km=2ポイント
  • 山口県の秋吉台カルストTRAILRUN=2ポイント
  • 新潟県のくわどり謙信公トレイル=1ポイント

東京近郊~関東圏でもいくつかレースが予定されているが、人気があるのかすでにエントリーは締め切られていた。これから8~10月で出られそうなレースは上記3つだが、いずれも日曜開催で、予定が埋まっている。

今年のSTYエントリーを逃すと、2016年に稼いだ実績は3年を過ぎて使えなくなってしまう。富士登山競走の山頂コース参加資格と同じで、稼いだポイントに有効期限があるのは要注意だ。

最短でUTMF/STYに出る方法

今後UTMF/STYに挑戦するための最短コースを考えてみた。東京近郊で出張費がかからず、毎年開催されて安定感のあるレースというと、やはりキタタンとハセツネは便利といえる。

UTMFの練習として先にSTYには出ておきたいから、最初の目標は最大2レースで合計5ポイント。もう一度キタタン&ハセツネを完走すれば十分だが、ハセツネの方は倍率が高くてエントリーできない恐れがある。

その場合2017年の認定レースでいうと、キタタン3ポイントに道志村トレイルのハーフ2ポイントで達成できる。両レースは神奈川・山梨県トレイルラン連絡協議会主催のシリーズもので、コースも近く互いに練習を兼ねられそうだ。

一方、関東圏では埼玉の「トレニックワールド in 外秩父」や「おごせ・ときがわ」を組み合わせる手段もある。ただし、2017年のデータだと外秩父の開催日は7月9日で、7月2日の北丹沢と日程が近い。どちらも出るにはコンディション調整が難しそうだ。

同じく秩父で「トレニックワールド100km彩の国」という、一気に5ポイント稼げるレースもある。秩父の山は自転車で何度か走ったが、トレイルのコースは未知なのでイメージがわかない。ハセツネより距離が長くて累積標高差も大きく、獲得ポイント数に見合ったハードなレースなのだろう。

秩父だけで12ポイント獲得できる

その後STYを完走できれば、それ自体でハセツネ同等の4ポイントは獲得できる。その次のUTMF「3レース以内12ポイント以上」基準を満たすには、3+4+5や4+4+4というパターンが考えられる。東京近郊で4ポイント以上稼げるレースとなると、やはり彩の国トレニックワールドは有力候補だ。

UTMF、埼玉のレース獲得ポイント

もしトレニックワールド最上級の100mileを完走できれば、1レースで6ポイントも手に入る。ほかにも外秩父、おごせ・ときがわと年3回もシリーズ開催されているようなので、それらを組み合わせれば、秩父山地のレースだけで年間12ポイント入手できる

恐るべきトレランのメッカ秩父…。丹沢~奥多摩のレースだけではそこまで効率的にポイントを稼げない。体力に自信があるなら、ひたすら秩父に通って1年でUTMF参加資格を手に入れることも可能だ。

東京・神奈川より埼玉県はトレラン文化が盛んなようだ。確かに自転車で奥武蔵のグリーンラインを走っていると、トレランレース用の道標をよく見かける。都心からアクセスするには、丹沢あたりとさほど距離も変わらない。

ただし彩の国100mileはこれ自体がUTMFと同じエンデュランスポイントなので、並みの体力で完走できるかどうか怪しい。無理せずキタタン+STY+彩の国100kmあたりで3+4+5ポイント獲得するのが無難なラインといえる。

あくまでUTMF完走を目指すなら

UTMFのポイントはあくまで最低限の参加資格で、そこから倍率2倍の抽選が控えている。抽選に合計ポイント数が考慮されるかわからないが、トライアスロンの人気大会、宮古島の例でいうと、過去レースのタイムや順位も選考基準になっていておかしくない。

そう考えると、最低ラインで12ポイント獲得を目指すより、3年間トレランレースに参加しまくって文句のない実績を築く方が正攻法ともいえる。UTMF「参加」でなく「完走」を目標とするなら、同じくらいハードな100マイルレースを経験しておいた方がよさそうだ。

UTMF参加は、マラソンのサブスリーのようにトレイルランナーのいい目標になる。タイムは遅くても制限時間内に完走できればOKなので、熾烈な競争のアイアンマン・コナスロットを獲得するよりは、まだ楽そうに感じる。のんびりトレランを続けて、いつか参加できたらいいなと思う。