武蔵五日市駅を起点にハセツネ終盤・金比羅尾根を往復ハイキング

膝のリハビリを兼ねて、久々に奥多摩の金毘羅尾根を歩いてみた。

あきるの市民・日の出町民にとっては手ごろな裏山。金毘羅山と日の出山の山頂付近は傾斜がきついが、それ以外はなだらかで快適にハイキングできる。観光的な見どころに乏しく一般の登山客には人気がない分、トレラン練習にはうってつけのコースといえる。

ヤマレコ、金毘羅尾根

武蔵五日市駅を起点に往復20km。のんびり歩いてトータル5時間くらいでピストンできた。登山口までは、ほとんど坂もないので、自転車で自走してアプローチすることもできる。

登山客には人気がない金比羅尾根

金比羅尾根は駅からのアクセスもよく便利な山道だが、ハイカーにはそれほど人気がない。せっかく山を登るなら、高尾山や御岳山の方が神社や売店もあり観光を楽しめる。逆に本気で登山したい人なら、もっと奥地の三頭山や雲取山に向かうだろう。

尾根沿いなのに、うっそうと杉の木が茂っていて眺望がよくないせいもある。起伏が少なく景色は単調で、道中たいした見どころもない。それに比べれば、高尾山~陣馬山縦走コースの方が茶屋や展望台があって楽しめる。

金毘羅尾根

しかしこれらのデメリットは、トレイルランナーにとっては利点ともいえる。見晴らしがよくない代わりに、木陰が多くて夏場は涼しい。歩いている人が少ないため、シングルトラックでも追い越す迷惑がかからない。

ここで会う人々は、年季が入ったソロハイカーと猟師さんくらい。あとはハセツネ練習とおぼしきランナーとたまにすれ違う程度。休日でもグループで来ている登山客を見ることはめったにない。

金比羅山と日の出山付近の急勾配を除けば、ほとんど走って往復できる快適なトレイル。地元のランナーにとっては理想的な練習コースといえる。

武蔵五日市駅直結のパン屋(※現在閉店)

拝島駅から武蔵五日市駅まで電車なら片道220円、約20分で到着する。JR五日市線の本数は少ないが、朝は15分に1本くらい出ている。昼頃はだいたい30分に1本というペースなので、直前で乗り過ごすと結構待たされる羽目になる。

今回はウォーミングアップも兼ねて、登山口まで自転車で向かってみた。ロードバイクで奥多摩に向かう際はいつも走っている道なので、わざわざ電車に乗る気がしない。

RFX8はホイール修理中のため、シングルスピードのスペアバイクで自走。睦橋通りで起伏があるのは圏央道のアンダーパスくらいなので、ギアがなくても支障はない。

パニッシュ五日市店
武蔵五日市駅に着いたら、高架下のパン屋「パニッシュ五日市店」で軽食。2階にはイートインできるスペースがある。このお店はSuicaが使えるので、登山前に小銭が増えず助かる。ついでに山中の補給食も買いそろえておいた。

金比羅山への登りはきつい

ハセツネ会場の五日市会館を過ぎて、住宅街の坂を上ると金比羅山への登山道が見えてくる。

金比羅尾根の入口

最初に汗をかきながら上るジグザグの坂は勾配がきつい。上りはまだましだが、下りは足にくる。ハセツネコースの中では、ゴール直前の泣き所といえる。

途中でまき道や、公園・神社を通るルートに分岐するが、いずれも日の出山方向の尾根道に合流する。山頂の公園には、この尾根で唯一のトイレがある。金比羅山は標高468メートルあるので、ここまで上るとすでに日の出山まで半分の高低差を稼いだことになる。

金毘羅山

金毘羅山から先は、たまに伐採区間で東の眺望が開ける以外、ひたすら林の中を歩くことになる。尾根から左右に下りるわき道もあるが、まだ通ったことがない。

ときどきすれ違う人にあいさつする以外は、尾根沿いで迷う心配もなく無心に歩き続けらる。特に楽しみはないが、森の中で「歩行禅」を実践できる恵まれたトレイルともいえる。

ハセツネ終盤の危険な岩

金比羅尾根の途中に一か所だけ、登山道に岩がせり出した危険な個所がある。日の出山方面からだと、下り坂のコーナーにあって特に衝突しやすい。岩の前には泥がたまって、雨が降るとぬかるんで滑りやすい。

ハセツネコースの危険な岩

ハセツネの本番で自分の前を走っていたスキンヘッドの男性が、前のめりに転んで危うく頭ををぶつけそうになった。まるで罠のような岩だが、レース終盤、夜間で視界も悪いなか通過する場所なので、ますます危ない。

岩の場所は「日本山岳耐久レース65km地点」の標識より、やや武蔵五日市寄りの地点だ。

日本山岳耐久レース65km地点

麻生山の南斜面は難コース

ハセツネコースに麻生山が含まれていたかどうかは記憶が定かでない。公認マップのコース断面図には含まれていて、何となく夜中に山頂のベンチから夜景を眺めたような気もする。

今回は時間に余裕があったので、麻生山も迂回せず登ってみた。南側からのアプローチは案内板がないが、山頂につながりそうな急坂が右手に見える。道標を見るとマジックで「麻生山へ」と書かれていたので、こちらで間違いなさそうだ。

麻生山の南側の道標

予想外に急な坂道で、思わず右手の脇道に進んでしまった。そちらの方が踏み跡もしっかりしており、立派な道標も出てくる。指示された方向に折り返すと、やはりきつい坂。麻生山に登るには急勾配は避けられないようだ。

麻生山の山頂

標高794メートルの山頂は、人けがなくのんびりくつろげる。元旦は混雑する日の出山より、あえて麻生山で初日の出を拝むのもありかもしれない。山頂までの道は藪が険しかったが、『山と高原地図』を見ると南側のアプローチは「難路」の点線になっていた。

日の出山につながる北側の道は快適で、分岐点にはしっかりした道標もあった。麻生山に苦労せず登るなら、北側から登ってピストンするのが正解といえる。

日の出山の山頂

麻生山からしばらく歩くと、日の出山前の分岐点にたどり着く。山頂から下りてくる軽装の登山客は、ケーブルカー経由で御岳山から来た人たちだろう。このまま「つるつる温泉」に下って汗を流し、バスで帰るのが定番コースだ。

日の出山の山頂まで最後の急坂を登る。昔はぬかるんで歩きにくかった道も、最近階段が整備されてずいぶん快適になった。

日の出山の山頂前の階段

5月の土曜、快晴の昼下がり、山頂はいろいろな登山客でにぎわっていた。スニーカーにジーパン姿の家族連れから、本格装備のトレイルランナーもいる。夕暮れにはまだ時間も早いので、のんびり料理したり昼寝したりしてくつろいでいる。

日の出山の山頂

今日の眺めはうっすら新宿の高層ビルが見える程度。空気の澄んだ冬場なら、スカイツリーまで見えるはずだ。

ハセツネのトレラン練習に最適

行きは歩いて2時間半くらいかかったが、帰りもスローペースで同じくらい時間がかかった。外はまだ明るいが、16時になると林の中はだいぶ暗くなってくる。夕方になると、金比羅尾根ですれ違う人はますます減る。ときどき後ろからトレイルランナーに抜かれて、びっくりするくらい。

新しく買ったニューバランスのトレランシューズMT620は、ぬかるんだ斜面でもしっかりグリップしてくれた。水たまりはなかったのでゴアテックスの防水性は検証できなかったが、特に蒸れたり気になることはなかった。下ろし立てでソールのクッション性も抜群によい。

MT620

今回はリハビリのため歩いて往復したが、やはり金毘羅尾根はトレラン練習に適したコースだと感じた。駅からのアクセスもよく、5月の登山シーズンでも閑散としている。

ハセツネに出るならコース順通り今熊山~醍醐丸に向かうよりも、近場の金毘羅山~日の出山を往復してトレーニングするのもありだと思う。