ソールが薄くて軽い靴は、クッション性重視のシューズより膝の負担が軽いらしい。
『BORN TO RUN』を読んでから長年検証を続けてきたこの仮説。ベアフットシューズで「走る」と足のあちこちに故障が出たが、「歩く」だけなら問題ないとわかった。
底が薄いと足つぼ刺激の効果もあるせいか、慣れると普通のシューズに戻れなくなる。
昨年の夏をXero Shoesのサンダルで過ごし、気にいたので秋冬も履ける裸足ライクなシューズを探してみた。今は厚底スニーカーがトレンドだが、ベアフットもじわじわ復活しそうな予兆が見られる。
さまざまなショップを訪ねて見つけた、今買えるベアフットシューズをまとめてみたい。
ゼロシューズはサンダルしか見かけない
今やルナサンダルより国内で入手しやすいゼロシューズ。サンダルだけでなく薄底のシューズもつくっているのだが、なかなか店頭に置いてあるショップがない。
東京都内のエルブレスや石井スポーツといった大型店舗では、ジェネシスやクラウドといったサンダル製品しか置いていない。
吉祥寺のVic2はゼロシューズを通販しているが、実店舗には試し履きできる見本が置いていなかった。
前回買ったサンダルのジェシーはサイズ合わせに苦労したので、今度はちゃんと実物を試してから購入したい。
XEROのシューズタイプは試履困難
唯一、三鷹のハイカーズデポには、テラフレックスというトレイル向けのモデルが置いてあった。
しかし狭い店舗でサイズやカラーの在庫は豊富といえず、探していたプリオやハナは確認することができなかった。本当はプリオのオールブラックかホワイトソールのモデルが欲しい。
Xero Shoes Japanのインスタグラムを見ると、たまに都内のショップで試履会が行われたり、大阪マラソンにブースが出ていたりする。
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そういうレアな機会でしか巡り合えないのがゼロシューズの難点。半年間あちこちで探したが、結局テラフレックス以外の実物を拝むことはできなかった。
メレルのグローブシリーズが復活
仕方なく他ブランドのベアフットシューズを探してみたところ、メレルのグローブシリーズが復活していると知った。
10年ほど前に裸足ランニングが流行した際は、デザインがシンプルで取り入れやすかったメレルのベアフット。ブーム衰退後はラインナップから消えていたが、いつの間にか再販されていたようだ。
2020年3月現在、最新モデルで手に入るのは3種類。ソールが薄い順に並べると以下のとおり。
- VAPOR GROVE 4…10,000円、重量170g、ソール厚6.5mm
- MOVE GROVE…12,000円、重量230g、ソール厚9.5mm
- TRAIL GROVE 5 ECO…12,800円、重量230g、ソール厚11.5mm
※価格は定価・税抜
※ソールはすべて0mmドロップ
いずれのモデルもVibramソールを搭載しているのでグリップ性は抜群。本家の5本指ビブラム・ファイブフィンガーズも候補のひとつだが、見た目が厳しく脱ぐのも履くのも大変そう…
カラーリングもそこまで派手でないベアフットシューズを選ぶとしたら、メレルかゼロシューズの2択になる。
通販では1世代前のヴェイパーグローブ3も販売されている。
ウェイパーのシリーズは年代によってアッパー素材にプリントされた模様が異なるようだ。いずれもオールブラックまたはグレーのモデルを選べば、街履きでも十分使えそうな気がする。
メレルはAmazonプライム・ワードローブ対応
メレルのシューズは今回取り上げたシューズのなかで、唯一Amazonのprime wardrobeに対応している。
かつてのJavari時代から使えた無料試着のサービスだが、今はプライム・ワードローブと呼ぶらしい。合計6点まで靴やバッグを選んで試し、最長7日間無料で試せる。
上記のうちトレイルグローブ5以外は、通常購入以外にワードローブも選べる。合わなかった場合の返送が手間だが、店頭で試し履きするより自宅でじっくり検討できる。
スポーツデポの片隅に置いてあった古いメレルのグローブは、他の製品より幅がタイトな感じがした。インソールを使わないベアフットシューズはサイズ合わせが肝なので、無料で試せるプライム・ワードローブの利用価値は高い。
ニューバランスのミニマスも再販
メレルが復活したならニューバランスはどうだろう。
調べたところ、かつてのミニマスMT10やWT10のモデルが再発売されていた。最近ではB&Dのランニングコーナーでも見ることができた。
こちらもビブラムソール搭載でソールの厚みは1センチ程度。ただしメレルより配色が派手で、いわゆる普通のランニングシューズに近くなる。
運が良ければ店頭で試し履きできる貴重なベアフットシューズ。ただし在庫はビビッドなカラーしかなかったので、今回は購入を見送った。
ナイキのフリーとフレックス
ベアフットと呼ぶには靴底が厚すぎるが、ソールの屈曲性を売りにした老舗のシリーズがNIKE FREEだ。
もう何世代目なのかわからないが、フリーラン5.0、フライニット3.0といった製品群が通販で手に入る。大型のスポーツデポに行ったら店頭にも在庫があった。
ナイキのフリーには昔から興味があるが、ソールが厚いのと値段が高いのがネックだ。実はFREEと似たような屈曲系のソールをもつ、FLEX○○という廉価ラインが存在する。
スポーツショップよりABCマートのようなカジュアル店で見かけるフレックスシリーズ。価格はフリーの半額程度なので、普段履きならこれで十分かもしれない。
見た目もフリーよりおとなしい感じ。ナイキのロゴが気にならなければ街でも履ける。
ただしソールの厚みは目測2センチくらいあるので、裸足感覚を追求するなら理想の製品とは言いがたい。
ユニクロ・GU・無印の格安シューズ
現在国内で手に入るベアフットシューズはこの程度。
アシックスのターサーやアディゼロの匠シリーズなど、サブスリー向け薄底シューズもベアフットに近いとはいえる。しかしソールが薄いだけで屈曲性はなく、値段も高すぎるので普段使いには適さない。
スポーツブランドにこだわらなくてもいいような気がして、ユニクロやGU、無印良品のスニーカーにもあたってみた。安ければ材料が少なく製法も簡単でベアフットに近づくかと思ったが、案外そういうわけでもなさそうだ。
どこにでもあるコンバース・オールスター型のキャンバスシューズは、予想外にソールが固くて重い。見た目のシンプルさと靴の重量は、必ずしも比例しない。
無印のニットレースアップはベアフット
半年ほど探し回ってとうとう発見したのが無印のニットレースアップシューズ。
アッパー素材は柔らかいニット素材で、無印らしい黒・紺・白の単一カラーリング。ソールの素材はクラークスのクレープソールと似た感じで、きわめて薄い。
見た目はカジュアルだが遠くから見るとフォーマルにも見える。「よそ行きベアフットシューズ」とでもいうべき野心的なデザインで、今までこんな靴は見たことがなかった。
実際に履かせてもらったところ、ソールは薄いのだがヒール部分が革靴のように段差がついて高くなっているのが気になる。そのせいか、歩くと普通のスニーカーより左右にぶれるような感触がした。
ビブラムに比べて裏面がのっぺりしているため、ウェットな路面でのグリップ性にも不安を覚える。余計なソールの厚みを削り取り、適当な溝でも刻めば、ゼロドロップ裸足シューズとして改良できるかもしれない。
全面ニット素材なので軽量性は問題ない。ミニマムなデザイン優先で歩行感が犠牲になっているのは残念だが、裸足好きにおすすめできる貴重なプロダクトだ。
有名ブランドの製品より価格が安いのもありがたい。これで山を歩くのはためらわれるが、外観の主張が少なく街履きにはしっくりくる。
ワークマンという選択肢
実は半年ほど前に「理想のシューズが見つかるまでのつなぎ」として、WORKMANの作業靴を購入していた。
千円以下の激安シューズだが、思いのほか軽量・薄底でベアフット性能は十分に満たしている。現場作業用なのでグリップ性や屈曲性は問題なし。
ワークマンの「建さん」シリーズに慣れてしまうと、無印良品のニットシューズなどは中途半端なおもちゃに見えてしまう。見た目はいまいち安っぽい、研ぎ澄まされたミニマムシューズと言えないこともない。
おそろしくコスパが高い作業靴なので、メレルやゼロシューズを買う意味があるのか悩んでしまう。
究極のベアフットシューズは地下足袋だと思う。
「建さんII」はそこまでいかないギリギリのラインで踏みとどまった、玄人向けの軽量シューズといえる。