すかいらーくグループの実験的新業態、ゆめあん食堂に行ってみた。店舗検索しても、全国でまだ4店しかないレアなお店だ。しかも調布や立川という東京の微妙な郊外に立地している。
とりあえず賃料が安いところで数店舗出してみて、反応がよければ全国展開していこうというテストマーケティングだろう。
シニアの飲み会と女性客メイン
名前からしてゆめあん食堂は夢庵の廉価版、ガストに対するSガストのようなものかと考えていた。しかし、牛丼屋のようなカウンター式でなく、ちゃんと対面テーブルがあり、バーミヤンあたりとレイアウトは変わらない。
夢庵自体は靴を脱いで座敷に上がるスタイルなので、それに比べれば土足で上がれるカジュアル版とはいえる。雰囲気的にはワタミが最近展開しているミライザカや、やよい軒に似ている。大戸屋ほどの高級感はない。日曜午後に行くと、シニアのグループが居酒屋代わりにワイワイ酒盛りしているイメージだ。
平日のランチタイムになると、今度は女性の一人客が多い。今回訪れた立川店は向かいに日高屋があるが、女性としては明らかにゆめあん食堂の方が入りやすいだろう。和食メインだが、ちょっとガッツリ系の肉野菜炒め定食やカツ丼もあったりする。たいていのお客さんは、食後にまったりと、あんみつや抹茶ソフトクリームのデザートを注文しているのが興味深かった。
夢庵よりちょっと安い
メニューとしては800円台が相場の肉や魚の定食、さらにおかずが2品付いた、よくばりコンビというセットもある。ほかに目立つのは「九州風やわらかうどん」と題して、あご出汁うどんを数多く提供している。
腰の強い讃岐うどんは、はなまるうどんや丸亀製麺で食傷気味なので、柔らかい麺のあっさりうどんで売り出そうという作戦だ。夢庵お得意の二八そばもあり、中にはカレーそばというチャレンジングな一品もある。
丼ものはシンプルに、かつ丼、天丼、ねぎとろ丼とそのバリエーションで固めている。本家の夢庵に比べると、かつ丼が玉子なしのソースカツ丼にグレードダウンしていたりして、全体的に200円くらい安い。
変わっているのは、持ち帰りの弁当や天ぷらが豊富にあり、テイクアウトの場合だけスタンプカードが付く仕組みになっている。スタンプ10個ためれば天丼無料、20個でかつ丼、30個で500円券ということは、かつ丼は天丼の2倍の価値があるということだろうか。メニューの価格はカツ丼110円アップなだけなので、明らかに10個集めて天丼をいただく方がリーズナブルだ。
肉無し野菜炒め定食は物足りない
まずは定番定食の中から、税込690円の野菜炒め定食を注文してみた。肉も入れると170円もアップしてしまうところ、野菜だけのヘルシー炒めを安価に提供しているところは日高屋っぽい。基本的にご飯はいつでも無料で大盛りにできる。
肉抜き野菜炒め定食は、想像通りもやしとキャベツがメインだったが、ほんの少し細切りのニンジンやピーマンが入っているのはうれしかった。普段スーパーでよく買う食材なので、おかずの原価は100円もいかないとわかる。
王将に行けばもやし炒め、日高屋に行けば肉抜き野菜炒めばかり食べていた、貧乏学生の時代を思い出した。やはり肉の旨味を抜いた野菜炒めというのは、味気なくさみしい。株主優待のチケットはあり余っているのだから、ケチらずに肉野菜炒めを頼めばよかったと後悔した。
なんと漬物食べ放題
その他、ポテトサラダと枝豆ひじき入りのおからが小鉢で付いてくるのが、ゆめあん食堂の特徴らしい。味噌汁も付くが、小鉢が豪華な代わりに漬物はつかない。と思ったら、卓上にテイクフリーな沢庵の細切りが備え付けてあった。
内容としては、カツ丼のかつやに置いてある漬物とよく似ている。すかいらーく系で漬物食べ放題な店舗は見たことがないので、ゆめあん食堂はリーズナブルなわりに、なかなかサービスがよい。
回転寿司でも無料のガリを大量摂取する方なので、惜しみなく沢庵をいただいた。ゆめあん食堂で定食を頼むなら、漬物食べ放題なのでご飯は大盛りを選ぶべきだ。
レジでクーポンまでもらえる
レジでお会計を済ませると、すかいらーく共通券とは別の独自クーポン券をもらえた。生姜焼き定食などは、アプリのクーポンで20円引きのところ、紙のクーポンだと100円引きという大盤振る舞いである。持ち帰り天丼も税込400円になるという驚きのクーポンなので、何度か通って使いこなしてみたい。
夢庵より単価が安いわりに、漬物が無料で食べられたりクーポンをもらえたりと、お得感満載のゆめあん食堂だった。夢庵よりカジュアルで入りやすく、回転率も高いので割安でも利益は出ているのではないかと思う。ぜひ各地に展開してほしいお店だ。