しばらく前からガスト店頭にポスターが貼り出されていたチーズインハンバーグ。リニューアル記念で期間限定399円となっている。ハンバーグ単品で税抜399円とは確かに安い。いつも通り、すかいらーく株主優待券とアプリクーポンのランチに一品加えてみた。
『恋は雨上がりのように』の舞台はガスト?
最近、『恋は雨上がりのように』の実写映画版を観て、いつも通っているファミレスの内部事情に興味を持った。
原作マンガ・アニメの舞台は、ガストの新川崎秋津店がモデルと言われている。店名が「ガーデン」だったので最初はグラッチェガーデンズかと思ったが、ピザ専門のファミレスではないようだ。
映画版ではエンドクレジットに不二家の名前が出ていたように見えた。さすがにガストでは絵にならなかったのだろうか。店長のださいファッションセンスも大幅補正されているし、実写向けに美化されている点が多く目についた。
平日ランチタイム、ガストのアルバイトに女子高生はいない。普通は学校に行っている時間帯だろう。マンガに出てくる久保さんのようなおばさんが一人でホールを切り盛りして、料理は厨房から男性スタッフが運んできていた。
現実のガストでは、あきらやゆいちゃんのような美人ウェイトレスが出てくるはずはなく、早大卒の元文学青年という、味のある店長もレアだろう。マンガの訴求力はすさまじいが、あれはあくまでフィクション、おっさんの妄想の世界でしかないと思い知らされた。
クーポン定番ほうれん草ベーコン
チーズINハンバーグと一緒に頼んだのは「明太子と大葉の和風スパゲッティ」。449円の最安「トマトソーススパゲッティ」より50円高いが、クーポンで449円に値下がりしていた。
ついでにサイドメニューの「ほうれん草ベーコン」もクーポンで50円引き。ガストやジョナサンに来ると必ずといっていいほどオーダーする、ほうれん草のソテー。どうやらクーポン値引きの常連らしく、毎回割引で楽しませてもらっている。
ほうれん草はスーパーで買うと、小松菜やチンゲン菜より割高に感じる。またファミレス味としかいいようのない、絶妙なベーコンバターの味付けが好物で、毎日食べても飽きることがない。
10種のチーズで量も増えた?
新メニューのチーズINハンバーグ。お約束としてナイフで真っ二つに割ってみたが、以前のものよりわずかにチーズの量が増えたかもしれない。ポスターの写真よりは、肉汁が混ざってもうちょっとグロテスクなビジュアルになる。
食べてみた感じでも、内部のチーズ層が分厚くなった気がする。逆に考えればその分、肉の分量が減ったともいえるので、微妙な気分だ。ハンバーグとチーズの最適なバランスを想定すると、チーズ多すぎというのも考えものだ。
しかもチーズは10種類もミックスされているらしく、中にはマスカルポーネやゴルゴンゾーラという癖のあるものも入っている。ただしパルミジャーノなど高そうなチーズは「パウダー」と書いてあるので、ほんのひとつまみ程度の分量だろう。
10種のチーズを舌で判別するのは至難の業といえる。全体的には以前ガストで試食した、クーポン限定フォンデュソースのような濃い目、しょっぱめの味付けに感じた。たとえばイエーガーマイスターというドイツの薬用酒は「56種類のハーブ」が溶け込んでいるのが売りだが、あまりに原材料を混ぜすぎると何が何だかわからなくなる。
安いメニューはミックス感を強調した方が、少しでもましな感じが出てベターといえる。逆に高いメニューの場合は厳選した一素材に絞った方が成功する場合が多い。シングルカスクのウィスキーがありがたがられるのと同じ理屈だ。もし2,000円のチーズインハンバーグを出すなら、「パルミジャーノ・レッジャーノだけ」とうたった方が、うけるだろう。
ハンバーグにデミグラスソースも添えられていたが、結局つけるのを忘れて完食してしまった。チーズの塩気だけで、味付けは十分だったといえる。余計なソースは減らすか、ステーキガストのようにソースバー形式にして、ハンバーグをさらに値下げしてほしい。
スパゲッティーの明太子は量多い
明太子パスタは先日食べたトマトソースと同じく、麺が乾燥気味でくっついていて、いまいちいただけなかった。ハンバーグと一緒にオーダーすると、焼き上がるタイミングを待つうち、スパゲッティ―が固まってしまうのだろうか。
具材として、明太子の量は申し分ない。ジョリーパスタの明太子は「かねふく製」をアピールしていたが、ガストの明太子もなかなか負けてはいない。大葉もピリッと効いていて、シンプルだが新鮮味のあるメニューに感じた。
個人的にはもう少しオイルを追加した方が、見た目も味も向上すると思う。しかしコストダウンのために、あえてオリーブオイルを使わないというのがガストのポリシーなのかもしれない。給食のソフト麺と思えば、食べられないこともないのがガストの最安スパゲッティーだ。
知り合いには評判の悪いガスト
すかいらーくの優待券が大量にあるので、仕事の取引先とランチに行く際、たまにガストに誘うのだが、たいてい断られる。どうやら世間一般的には、ガストはモスバーガーや吉野家より低級なレストランとみなされているようだ。ある人には、ガストは「ゴミを食ってるようだ」とまで言われた。
個人的には牛丼屋もガストもまだOKだが、マクドナルドに行くとそういう気分になる。料理の味やお店の雰囲気、ほかのお客さんの性質からして、「こんなつまらないもので腹を膨らませてはもったいない、体に悪い」と罪悪感を覚えてしまう。
いい歳の大人からしたら、すでにガストも同等の扱いなのだろう。自分もここ数年株主優待で外食ランチを楽しんでいるうち、ピザやパスタはサルバトーレや壁の穴の本格的なスタイルに慣れ過ぎて、ファミレス店のものでは物足りなくなってきた。ジョリーパスタは別格だが、ラパウザも価格的にはぎりぎりという感じだ。
いずれガストにも飽きてきて、ファミレスならロイヤルホストくらいのレベルでないと受け付けられなくなってしまうのだろうか。味覚が洗練されて違いがわかるようになるのは歓迎だが、安い料理で満足できなくなるというのは、ある意味、不幸でないかと思われる。