株主優待券を使って木曽路で2回目のランチ。
今回は春シーズンのお昼御膳のうち、一番安い1,500円のコースをいただいた。天ぷらやサラダの味付けが凝っていて、見た目もユニークな桜もち風肉団子もあり。
普段はガストや牛丼店に通って食事レベルを低くキープしているため、どの料理も新鮮な驚きの連続だった。全部で9品、どれも彩り鮮やかすぎて、見るだけでお腹がいっぱいになってくる。
コロナウイルスの影響でロックダウン間近とささやかれる東京都。高級外食チェーンの優待券を期限内に無事使い切ることができて、内心ほっとした。
木曽路に行くのは気をつかう
手元にある木曽路の株主優待券は1,600円分。前回はこの予算で国産牛ロースのすき焼き定食をいただいた。
さらに安い松花堂弁当(1,000円)など2回に分けて注文する手もあるが、今回も目いっぱい使い切った。
木曽路にひとりで行くのは気をつかう。毎回ヒゲを剃ったり身だしなみを整えたり、お店の格に合わせて最低限は見た目に配慮する。
顔も洗わずジャージで行けるガストやバーミヤンに比べて、どうしても足が遠のいてしまう。このままだと優待券の期限間際まで残してしまいそうなので、使えるときにまとめて消化してしまいたい。
春のお昼御膳とフグ・クエ企画
今回注文したのは1,500円のお昼御膳「木曽~きそ~」。
お造り、煮物、小皿、揚物、茶碗蒸し、蒸し寿司、汁物、香の物、デザート…と9品も盛り込まれた豪華懐石料理だ。2,000円の妻籠、3,000円の奈良井に比べて一番安いコースになる。
3コースとも2/28~4/20の期間限定メニューになっているが、4/21以降も名前はそのまま中身が変わるらしい。ご飯が蒸し寿司から竹の子入りになったりして、旬の食材が提供される。
同じく3月限定でフグ料理のコースもあったが、さすがに値段が高すぎた。優待券の1,600円分では、おかずの「焼きふぐ」か「ふぐ唐揚げ」を一品食べたら終わってしまう。
4月以降の企画メニューは、フグからクエに変わるようだ。価格を見る限りフグより希少な高級魚クエ。お造りだけで2,000円もする、庶民には縁遠い珍味といえる。
木曽路の御膳は一括提供
木曽路のお昼御膳は、さほど待たされることなく8品(デザート以外)が一気に登場する。
類似の高級チェーン店「梅の花」のように1品ずつ持って来られるかと思ったが、予想と違った。最初から全品揃っていた方が、店員さんに気をつかわずマイペースで食べられる。
どのみちひとりだと話し相手もなく、料理の待ち時間は手持無沙汰。余計な待ち時間も発生しないので、この方がありがたい。
天ぷら、サラダも一味違う
最初のひと口目がいちばん敏感に味を感じられるので、どのお皿を選ぶか迷う。とりあえず揚げたての天ぷらに箸をつけてみた。
少量盛られた大根おろしのような薬味が、少し黄色みがかっている。天ぷらをつゆに浸して食べると、ほのかにゆずの香りがした。
もみじおろしとも違う、変わり種の大根おろし。最初はポン酢かと思ったくらいのサプライズだった。
サラダは付属のドレッシングをかけて食べるカルパッチョ風。レタスや大根に加えて、麦の粒々がまぶしてある。そして刺身の一部はイカ。
一見普通に見えて変わった食材が使われているのが木曽路御膳の特徴だ。ホタテ貝に盛られたグラタンはコーン入りで、ここだけ洋風のハイブリッドな構成だった。
桜もちに似せた、こだわりに煮物
ご飯はちらし寿司で、特にお代わり無料などのサービスは付かない。茶碗蒸しやお吸い物はあっさりしていて印象は薄い。
特筆すべきは煮物。グリーンピースで彩られた丸っこい固まりは、もち米でコーティングされている。そして中身はすりつぶされたお肉。
葉っぱを巻いてあるところからして、ビジュアル的に桜餅をイメージしたのだろう。実体は「もち米肉団子」という感じで甘くはなく、腹持ちのいいおかずだった。
デザートはプチサイズの羊羹
デザートとして運ばれてきたのは3色羊羹。
よく見ると断面がグラデーションになっている。実際に3色あるのか不明だが、目を楽しませてくれる。
歯ごたえは普通の羊羹よりやや固く、ういろうとの中間くらい。甘さもサイズも控えめで、上品なスイーツといえる。
木曽路では頼めば無限に煎茶を持ってきてくれる。毎回湯呑ごと交換してくれるので恐縮だが、ファミレス夢庵の無料茶よりはおいしい気がする。
お店の雰囲気からして長居してもせかされることはない。食後のお茶を飲みながら、ゆったりくつろがせてもらった。
コロナウイルスの株主優待への影響
木曽路の優待を早めに使い切りたかった理由は、新型コロナウイルスのせいでもある。
東京もロックダウン間近と噂が流れる中、昨晩の都知事会見で「夜の接待飲食店」はクラスター発生の元凶とされてしまった。そこまで言われると居酒屋系の優待券も使いにくくなってしまう。
梅の花、優待廃止事件
コロナ関連のニュースといえば、先日3月13日に梅の花の優待廃止が発表されたばかり(20%オフの特典は継続提供される)。
その一方で、すかいらーくは3月31日までの優待券期限を2か月延長するサービスを打ち出してきた。コロナショックに対する優待制度の切り替えで、会社が顧客・株主をどう見ているかが明らかになる。
梅の花や木曽路のような高級路線であれば、そもそも優待・タダメシ狙いのユーザーなど少数派だろう。流通の少ない優待券など廃止して、その分サービスを手厚くした方が平均的に顧客満足度は上げられると思う。
しかしガストやジョナサンに通う顧客セグメントは価格弾力性が大きい。個人株主も食事券目当て人が大半だと思うから、優待改悪はブランドイメージを著しく損ねてしまう。
コロナショックのどん底で追い打ちをかけるように「すかいらーくショック」でも発生したら、類似の飲食業種も含めて優待銘柄は大暴落することだろう。
高級外食チェーンの雲行きが怪しい
「梅の花」騒動から類推して、木曽路やうかいの株主優待も安泰ではない気がした。
もし東京のロックダウンが実現して不要不急の外食も規制されるようになったら、これらの高級店も「夜のお店」と同じく吊し上げられそうな予感がする。
座席にゆとりがあるので客同士の感染リスクは低いはず。しかし緊急事態には贅沢なサービスとして敬遠されそうだ。セレブな嗜好品はバッシングの対象になりやすい。
お客が来なければお店を開けるだけ損が出る。さらなる営業時間短縮、もしくは長期臨時閉店の可能性も考えられる。
万が一、優待期限延長の救済措置がないままクローズした場合にそなえ、希少な優待券は早めに使い切っておきたい。
自分が感染するのが一番のリスク
コロナウイルス対策として、やるべきことのひとつは株主優待券の計画的消化。外出自粛ムードの中、できる範囲で手元のチケットは使い切ってしまいたい。
「お店が閉まる」「感染がこわい」という以上に、自分のまわりで陽性患者が出てしまうのがリスクだ。数週間の隔離もしくは体調不良で、外食どころではなくなってしまう。
体が元気なうちにおいしいものを食べておきたい。ガストの優待券が余ってもそれほど未練はないが、1年がかりで入手できた木曽路を使わずに死ぬのは心残りだ。
今シーズンは出し惜しみせず、レア度の高い株主優待からどんどん消費していこうと思う。