カレーハウスCoCo壱番屋は自社の株主優待だけでなく、他社からもらえるジェフグルメカードでも飲食できる。
久々にココイチに行って、めずらしいナンと豚しゃぶポークカレーを試してみた。これで税込1,000円以内のグルメ券2枚コース。
牛丼屋より割高で普段使いしにくいココイチだが、優待ジェフグルメの消化には向いている気がした。
利回りが低いのになぜか人気の壱番屋
CoCo壱番屋の株主優待をもらうには、2020年3月時点の株価で40万以上投資する必要がある。
しかも優待利回りが1%を切るうえ、配当と合わせても還元率は2%ちょっと。投資先としてはまったく魅力がない。
それにも関わらず長年PBR・株価とも高止まりしているのは、業績がよく成長が見込まれているからだろうか。確かにココイチの店舗はどこに行っても見かけるし、いつでもお客さんで賑わっている。
とはいえ自腹で払うとちょっと割高なココイチ。カレーは自宅で作れない料理でもないのに、なぜここまで人気なのだろう。
ミニマリストが語るカレーの美学
元有名ニートのphaさんが『がんばらない練習』という本でカレーの魅力について語っていた。
ルーとごはんを、○と□を、茶色と白を等量ずつスプーンですくって食べていくだけでたやすく、どちらも同時に終了するという美しいゴールにたどり着ける。
(…中略…)
カウンター席しかなくてメニューはカレーしかないカレー屋の、誰も会話をせずにみんなもくもくとカレーを食べているという、ストイックさがいいのだ。
pha 『がんばらない練習』
たしかにカレーを食べる仕草には、まるでカロリーメイトで栄養補給しているような合理性がある。
最小限の道具と思考で、半液状になった食物を口に運ぶだけ。ナイフとフォークで肉を切ったり、魚の骨を取り除いたり、箸で煮豆を一粒ずつ取り上げるというような、わずらわしさがない。
そのうえ具材によって肉と野菜と穀物、タンパク質・脂質・炭水化物を同時に摂取できるバランスのよさもある。家でまとめて作って冷蔵・冷凍保存すれば、それなりに長持ちする。
ミニマリストが最後にたどりつく究極のシンプルフードとは、カレーなのかもしれない。
ベンチマークとしてのココイチ
家でも作れるカレーだが、プロがつくるとまた独特。ラーメンのようにスープや麺の種類によって、無数のバリエーションが生まれるのがカレーの奥深さでもある。
そういう意味で「お店のカレー」としてベンチマークになるのがココイチだ。たまにココイチで標準的な「チキンにこみカレー」でも食べると、本物のカレーを食べた安心感が得られる。
もしココイチのカレーがまずいとか物足りないと感じたら、自分の体調が悪いと気づける。あるいはココイチで満足できないくらい舌が肥えてしまったなら、庶民レベルに味覚を下げる努力をすべきだ。
日本全国、安定して標準的なカレーを食べさせてくれるお店。A級でもB級でも○○風でもなく、いたって普通の(でもおいしい)カレーにありつける心のよりどころ。
それがココイチに人が集まる理由なのではないかと考えている。牛丼やラーメンに比べて競合が少なく、実質的な寡占状態になっているせいかもしれない。
ココイチなら毎週通ってもいい気がするが、脂っこいゴーゴーカレーを毎日食べたいとは思わない。都内に展開するキッチン南海も好物だが、年に1回食べて油分を補給すれば十分だ。
ココイチで優待を受けるならグルメ券
ココイチで優待ランチを目指すなら、他社優待のジェフグルメカードを使うのが手っ取り早い。
同じ理由で日高屋もグルメ券の利用価値が高く、「中華 or カレー」の全国チェーン2社でジェフグルメの使い道はほぼ定まる。自社優待が使える吉野家やガストでわざわざグルメ券を使うメリットはない。
もっとも簡素な具なしのポークカレーでも500円を超えるお店。さすがにココイチで食事を楽しむなら、1,000円くらいの予算が欲しい。
ココイチでは1枚500円のジェフグルメカードを2枚使うのが標準スタイルだ。もっともグルメ券は他の優待と違ってお釣りがちゃんともらえるため、端数を気にせず食べたいものをオーダーすることができる。
鶏豚牛トッピング、値段の違い
ココイチに来ると「チキンにこみカレー」を頼む確率が高い。今回はあえて「豚しゃぶ」を選んでみた。
最近家で自炊するのはもっぱら鶏の胸肉なので、たまには豚肉も摂取しておきたい。豚のコマギレ・バラ肉もわりと安いが、鍋で煮込むと脂がたくさん出るので片付けが面倒くさい。
ソースが同じで具材が鶏肉から豚肉に代わると、料金は税込19円アップする。ハンバーグと豚肉は同額だが、トッピングにソーセージを選ぶとなぜか33円もアップしてしまう。
ココイチの主な肉系具材を安い順に並べると、以下のようになる。
チキンにこみ<豚しゃぶ=ハンバーグ<ソーセージ=ロースカツ=チキンカツ<ビーフカツ
おおむね鶏肉<豚肉<牛肉という順番だが、油で揚げてカツにすると鶏と豚は同格になるようだ。加工食品のソーセージが豚しゃぶより高いというのは意外に思う。
肉量が多く、コマ切れで食べやすい
豚しゃぶカレーは思ったよりお肉の量が多かった。
細切れになりルーと一体化して判別しにくいのだが、牛丼屋のトッピングよりはるかに多い量の豚肉が投入されている。ココイチのカレーは高いが、それに見合った満足感を提供してくれる。
豚しゃぶカレーを淡々と食べていて気付いたのは、お肉の刻み具合が絶妙だということだ。
スプーンでちょうどすくえるサイズにカットされ、ミンチというほど細かくない。ひと口ででルーとライスと肉片をミックスできて、ストレスなく食事を続けられる。
「スムーズな食事体験」というのはカレーの美学における重要項目。ほどよく薄く柔らかく煮込まれた豚肉・鶏肉のトッピングこそが、ココイチ人気の秘訣ではないかと思う。
これまで無意識にチキンにこみカレーばかり注文していた理由は、余計な手間をかけずに「食べやすい」からだろう。
ココイチのナンを初体験
予算1,000円で新たに注文してみたのがココイチのナン。はじめて見かけたサイドメニューだが、公式サイトにも出ている定番メニューのようだ。
ナンといえばファミレスのガストで不思議なものを食べたばかり。全国チェーンの提供する和製ナンとして、あまり期待せずに頼んでみた。
チーズやガーリック入りだと値段が高くなる。このあたりは街のインドカレー屋さんと同じ設定。最初は普通のプレーンナン(税込242円)を頼んでみた。
ナンの食感はモチモチ・フワフワ中間帯
ココイチのナンは巨大というほどでもないが、お皿からはみ出るくらいはサービスしてくれる。あらかじめ三角形になるよう切れ目が入れてあり、そこでちぎると食べやすい工夫が施されている。
気になるナンの食感は、本格店舗とファミレス・ガストの中間くらい。フォッカッチャのようなモチモチ度と、パン生地のフカフカ感を同時に楽しめるような感じだ。
宅配ピザの生地と同じで、日本人の味覚に合う独特の噛みごたえを追求しているように思う。
あまりに固くて粘りが強いと、カレーのやさしい食事体験が損なわれてしまう。一方でふわふわの柔らかすぎだと、単なる食パンを食べているようで物足りない。
甘くなるシロップの使い道
ココイチでは回転寿司のガリと同じく、福神漬を無制限に食べられる特典がある。
卓上のトッピングコーナーを見たところ、「甘くなるシロップ」という未知の調味料が追加されていた。
どうやらハチミツとフルーツが混ぜ合わされた追加ソースで、カレーの甘さを調整する目的で使われるらしい。世の中に「辛くする」調味料は豊富にあるが、甘さを高めるという逆の発想だ。
ナンにつけるとまるでパンケーキ
ためしにナンにつけて食べてみたら、なかなかおもしろい味になる。パンケーキにメープルシロップをかけるような感じでハチミチ風味のナン。
一方でカレーにハチミツを加えると、ルー本来の個性が失われて甘いだけのソースになってしまう。ちょうどリンガーハットのちゃんぽんに、酢を入れ過ぎてしまったような状態だ。
ココイチの甘口派ソースはカレーに合わせるよりも、ナンにつけて食べるのが正解かもしれない。200円ちょっとで普通のナンを追加して、無料のハチミツソースに浸せばパンケーキ風のデザートが仕上がる。
次は高級ソースを開拓したい
お会計は計算どおり、豚しゃぶポークカレーとナンの追加で税込966円。ジェフグルメを2枚使って、ちゃんとお釣りももらえた。
チキンにこみ/豚しゃぶのポークカレーにナンセットというのは、これから自分の定番になりそうな予感がした。
ココイチの野菜やシーフード系の具材は、いまいち割高な気がして頼む気になれない。ロースやチキンカツも最近揚げ物が苦手なのでそれほど魅力を感じない。納豆やオクラ山芋といった変わり種も微妙。
期間限定のマサラカレーや、ちょっと高級なビーフソース、ハッシュドビーフソースなど、スープ自体を開拓してみる方がおもしろそうだ。
安いポークでも十分おいしいが、高級ソースに替えてどのくらい変化を感じられるのか試してみたい気がする。