他社の株主優待ジェフグルメカードで行ける喫茶チェーン、高倉町珈琲に行ってみた。
朝11時までの来店でコーヒーに付いてくるモーニングサービスは、コメダ珈琲よりバリエーションが豊富。追加料金を支払えば、評判のいいリコッタパンケーキも選べる。ためしに頼んでみたコーンスープは濃厚で絶品だった。
ソファー席を中心とした店内レイアウトは、山小屋風のコメダに比べて優雅なルノアール風。器のチョイスも含めて庶民的というよりも、かなり高級路線を狙ったブランディングに感じられた。
カフェオレ1杯税込520円もするので、お値段もそれなり。その半分くらいはゆったりした場所代と考えればリーズナブルかもしれない。
思った以上にハイスペックな空間設計なので、PCを広げてノマドワークするのもはばかられる。久々に会った知り合いとゆっくり話をするのに向いている、そんな雰囲気の落ち着いた喫茶店だった。
人気上昇中の高倉町珈琲
高倉町珈琲は星乃珈琲店や上島珈琲店と並ぶ、お値段ちょっと高めのコーヒーチェーン。
漢字で○○珈琲と名乗る店は、スタバなどの海外勢やドトール・ベローチェ格安店とも違う、純喫茶風の手厚いサービスを連想させる。
そのなかでも高倉町珈琲は東京郊外のロードサイドに多く出店しているせいか、どうしても「コメダ珈琲もどき」に見えてしまう。
2020年3月現在、店舗は首都圏と北陸を中心に全国28店。他社に比べてそれほど多くはないが、じわじわ人気が出てお店が増えている。
ロードバイク用のラックがある
駐車場の自転車置き場に、この界隈の飲食店としてはめずらしく自転車用のラックが設置されていた。山が近く、ロードバイクで行き来する人が多いためだろうか。
しかし汗だくのサイクルジャージとレーパン、ビンディングシューズで入店するのは微妙な雰囲気だ。
お店の外観はコメダっぽいのに、インテリアはホテルのラウンジのようだった。
高級志向のインテリア
ウッディーな内装で大型のソファーが並ぶ。明らかにゆとりのありすぎる座席のレイアウトで、床には一部カーペットまで敷いてある。
カジュアルな山小屋風のコメダに比べると、高倉町はダークトーンで落ち着いた印象。店内の壁やトイレまで、いたるところにビートルズ関連のポスターや写真が飾られている。
午前中のBGMはバッハのようなクラシックだったのだが、モーニング終了の11時をまわると急にビートルズに差し変わった。時間帯によって音楽も変えているらしい。
店内に置いてある雑誌はVeryやStoryといった女性向けが中心。新聞やマネー誌もそろっていて、品ぞろえはコメダ珈琲よりも多い。
座席が広くて打合せに最適
お客さんもコメダよりスペックが高そうなマダムや家族連ればかり。午前中の時間帯、スーツ姿のサラリーマンも見なかったが、商談や打合せには向いていると思う。
元は喫煙室だったらしき奥側のブースが、ちょうどいい感じの個室になっている。店員さんに相談したら、4人掛けの広いテーブル自分ひとり、個室貸し切り状態で使わせてもらえた。
自分のほかにノートPCを広げて作業している人は、一人くらいしか見なかった。各テーブルに電源はないが、壁際にコンセントはあるので頼めば充電させてもらえるだろう。
無料のWiFiもあるのでパソコン作業はまったく問題ない。Wi2 Freeで規約OKすれば3時間使わせてもらえる。
唯一気になるのはコロナウイルス全盛期、先ほどからマスクもせずゴホゴホ咳き込んでいる向こうのおばさんだ。
もしマスクの在庫に余裕があれば、体調悪そうなお客さんに貸出しサービスしてもよいのではないかと思う。
コーヒーとモーニングの選択肢
コーヒーのお値段は最安のブレンド/アメリカンで437円(税込480円)。
このあたりはコメダと似た価格設定だが、高倉町にはグァテマラやハワイコナというプレミアムコーヒーも存在する。
今回はアレンジコーヒーの中から「カフェ・オ・レ」(税込520円)を選んだ。さすがに一杯500円を超える価格だと、モーニング以外の時間帯には頼むのを躊躇するレベルだ。
高倉町のモーニングは初めてなので、とりあえず追加料金なしの「厚切りトースト」を選んでみた。半分サイズのトーストに、ゆで卵も付いてくる。
さらに別料金でコーンマヨ、ナン、ドリア、リコッタパンケーキなど豊富に選べるのが高倉町モーニングの売りだ。
プラス280円(税込)のコーンスープに興味を持ったので、スープのセットを追加でお願いしてみた。
厚切りトーストとゆで卵
トーストの厚みはそこそこあるが、幅は半分というより1/3くらいだろうか。
さすがに卵とスープを加えても、大人の朝食としては物足りない。家を出る前にいつもどおり、玄米一合しっかり食べてきてよかった。
パンにはバターがあらかじめ塗り込まれていて、ちょうどいい具合に溶けて生地に染み込んでいる。
パソコン作業中に手が汚れるのは厄介だが、ゆで卵の殻はむきやすい。ただしコメダ珈琲のように布地のおしぼりまでは付いてこない。
特濃仕立てのコーンスープ
コーンスープは見るからに濃厚そうで、少し経つとすぐに表面に膜が張られる。
ひと口すすって感激。この濃さはもはやスープというより食べ物だ。牛乳にたとえると、特濃を超えたエクストラディープという舌触りだった。
コーンスープで有名なステーキのあさくまに匹敵するどころか、それ以上のクオリティーだと感じた。さすが単品で300円近くするだけのことはある。
どうやら高倉町のサイドメニューはリコッタパンケーキだけでない。ナンやエッグスラットのモーニングメニューも開拓の余地がありそうだ。
カフェオレも膜を張る本物
カフェオレは朝食と同時に運ばれてくるので、食べている間に少し冷めてしまう。
こちらも時間が経つと表面に膜が張られてしまうが、本物のミルクを使っている証拠だろう。膜は湯葉みたいにスプーンですくって食べれば問題ない。
コーヒーカップは控えめに植物模様が描かれたリチャード・ジノリ風。裏返してみたらブランドはナルミ製だった。
カップの背が高いと持ち運びの際、こぼれやすくて不便な気がする。あえて不安定なカップを選んだのは、見た目のスマートさと余裕を感じさせるためだろうか。
ドリンクお代わりはどれでも半額
おかわりは半額で頼めるが、元が高いのでカフェオレだと260円もかかる。2杯目は同じメニューでなく「どれでもOK」というのが売りだ。
ただし1杯分の量は多いので、おかわりするとお腹がタプタプになる。
スタバでいえば、サイズはショートとトールの中間くらい。ドトールの最安コーヒーよりは確実に量が多い。
高倉町はジェフグルメ利用可
お会計は500円のジェフグルメカード2枚で。
ルールどおりきちんとお釣りも返してもらえる。端数は現金でもらえるので、きりのいい支払額を意識しなくていいのがジェルグルメの利点だ。
「カード」と言うが実体は紙のチケットなので、店員さんの間では「グルメ券」と呼ばれている。
最近、日高屋とココイチでもジェフグルメカードを出してみたが、どこも受付OKでお釣りも支払ってもらえた。
個人的にはなじみが薄く、出すのが不安なグルメ券。今のところ対応している飲食店では問題なく受け取ってもらえている。
飲食店というより親戚の家
店内の雰囲気や食器類の上品さが相まって、お店というよりセンスのいい親戚の家を訪ねたかのようだ。トイレの中まで空間にゆとりがある。
和洋折衷の昭和レトロモダンという感じ。ビートルズの選曲からして、引退後のシニアをターゲットにしているのだろう。
しゃれた帽子をかぶり、きちんと上着を着た老夫婦がランチを楽しんでいる絵がまさにピッタリだった。将来はファミレスのドリンクバーを卒業して、高倉町で颯爽とパンケーキをたしなむ粋な高齢紳士になりたい。
知り合いと着飾ってお茶しに来るとか、結婚前の両家顔合わせにまで使えそうな佇まいの喫茶店。都心や中核都市まで出なくてもこういうお店が使えれば、場合によっては便利な気がする。
高倉町でPC作業は似合わない
高倉町珈琲でパソコンを広げて作業していると、どことなく無粋で居心地悪い感じがしてしまう。
カタカタキーボードを鳴らすのも、まわりに失礼という雰囲気。知人と会話を楽しむか、静かに本や新聞でも読んでいるのがふさわしい大人の社交場といえる。
スタバやコメダとも違う新たなサードプレイス。ひとりで来たら単調作業というよりも、落ち着いて考えごとをしたりするのに向いているカフェだと思った。