404 NOT FOUND – 一級建築士独学ブログ https://ikkyu-san.com Sun, 31 May 2020 07:03:52 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.3 https://ikkyu-san.com/wp-content/uploads/2019/04/cropped-profile_512x512-32x32.png 404 NOT FOUND – 一級建築士独学ブログ https://ikkyu-san.com 32 32 建築士川柳~製図試験を振り返って詠んでみたTIPSなど https://ikkyu-san.com/poem/ https://ikkyu-san.com/poem/#respond Mon, 05 Aug 2019 02:00:33 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4234 建築士について一句詠んでみました。主に製図試験に関する、ぽえむ企画です。

建築士川柳

敷地図や エスキス案が 夢に出る

寝ながらいい案を思いつくこともあるので、枕元に紙とペンは欠かせません。

試験中 やけに気になる 独り言

やたら舌打ちしたり、ブツブツ言うのは迷惑なので、やめてください。

書けるのか あと1分で 断面図

各階スラブと柱くらいは書けるかもしれません。

閑けさや 部屋にしみ入る すすり泣き

努力とお金が水の泡…。気持ちはわかります。

カンニング 人のエスキス 見て落ちる

見えてしまうのは仕方ないですが、それがランクIとは限りません。

会場で やたら吹っ飛ぶ 製図版

運悪く、バネ付き椅子の試験会場に当たってしまったら気をつけましょう。

合格後 始末に困る 製図板

捨てるのも中古で売るのも面倒。後輩に譲るとか学校に寄付するのが楽です。

五月頃 集めて捨てる 方眼紙

思い入れのある図面はなかなか捨てられないものです。GWにようやく処分しました。

受験生 不法侵入 前科あり

「見学等の要請を行う場合には、予め施設に連絡を入れる等、社会通念上、良識のある行為、言動等に留意して下さい」 建築技術教育普及センターより

JAEIC その実態は 天下り

憶測に過ぎないですが、課題作成のセンスだけはすごいと思います。

湖の 遠くに見える 山々や

敷地図の中に矢印があったら要注意。

名峰や リゾートホテル ランク3

自分には無理ゲーでした。

スパン割り 覚えておこう 6.5

標準解答例によく出てきますが、採用すると高得点なんでしょうか。

吹抜けは 竪穴区画 シャッター化

下手に緩和条件を狙うより、マル特SSを書いておいた方が無難です。

中庭の 防火区画は 不必要

うまく計画できれば、防火・採光・通風すべてにおいて優れています。

開口部 Low-Eガラス 書きまくる

作図で時間が余ったらまずやること。費用は度外視するとして簡単に省エネできます。

シャーペンで カツカツ叩き 焦らせる

外構のタイル目地を書いた後、さらに点々模様を入れる上級テクニック。早い時間にこれをやると、まわりがビビります。

美術館 今年はどんな コンセプト

もう関係ないですが、暇なのでたまに考えています。

別館の 屋上庭園 虫だらけ

下手にビオトープとかつくると、展示室に羽虫が湧いて維持管理が大変そうです。

建築士 微妙に違う 建築家

昔は建築家に憧れましたが、実務では士業の方が通りがいいようです。弁理家、労務家…なんかうさんくさい。

初仕事 設計ミスを やらかした

ペーパー資格で開業するのは厳しかったみたいです。

施工ミス 責任とって 大赤字

よくわからないまま、立場が弱くて尻拭いさせられました。

日曜日 お金ないので ギャラリー間

無料なので助かります。2階の本屋でも暇つぶしできます。

月曜日 仕事ないので ブログ書く

このままではまずい気がします。

建築士 ソシャゲ課金は 経費かな

寂しいおやじの交際費…

つまらない 読む価値のない 糞ブログ

投稿募集したら、こんなのばかり来るんでしょうね。

内輪ネタ さっぱりウケぬ 内輪にも

まあそんなものです。

独学も 負けるないつか 受かるから

特に根拠のない希望的観測です。しかし「学科も製図も独学ストレート合格」という偉業には挑戦してみる価値があると思います。


某自動車教習所のように、建築士の資格学校も「ふきだしコンテスト」とか開催したらどうでしょう。最優秀は受講料免除とか。

雑誌でコンペするのもいいですね。建築業界の人は発想力豊かなので、地味に盛り上がりそうな気がします。

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一級建築士の僕が教える、受験ブログを書いてはいけない5つの理由 https://ikkyu-san.com/blog/ https://ikkyu-san.com/blog/#respond Thu, 01 Aug 2019 12:00:51 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4223 ※試験とは関係のない、ブログの運営に関するメタ記事です。特に当てはまらない人は時間の無駄なので、読まないでください。

受験中にブログを書く過ち

晴れてペーパー建築士になれた自分だが、製図試験の勝因については、いまだによくわからない。ただ振り返ってみると、「受験勉強しながらブログを書く」という行為に関しては人一倍経験を積めた気がする。受験ブログを書くことの愚かさについて、僭越ながら上から目線で釘を刺しておこうと思う。

わざわざ人の失敗を繰り返し、ネガティブな車輪を再発明することはない。宿業の輪廻を断ち切るために、あえて自分のことは棚に上げて体験談を語ってみたい。以下の5つの理由により、建築士受験生がブログを書くことは激しくおすすめしない。

1. 時間をとられる

人に読んでもらえる文章を書くというのは、なかなか難しいものだ。建築学生で物書きや編集の訓練を受けている人はまれだろう。

思いつきで書いてみた文章をひねくりまわしていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。たかだか2千字のテキストでさえ、真剣に推敲すれば図面1枚仕上げるくらいの労力がかかる。

なぜなら誤字脱字のチェックは当然として、「読みやすさ」や「わかりやすさ」の改善は無限に続けられるからだ。

著者の理解がふかければふかいほど、わかりやすい表現でどんな高度な内容も語れるはずである。これには限度があるとはおもえない。

吉本隆明 『共同幻想論』

課題発表から製図試験までの時間は短い。他の受験生の役に立つ記事を書くのと、自分が勉強するのではどちらが大切だろう。ブログの代わりに記述のひとつでも作文してみた方が、確実に合格は近づく。

2. たいしたことは書けない

一問一答形式の学科試験とは異なり、製図のスキルというのは一朝一夕で身につくものではない。勉強を始めたばかりの受験生に、たいした内容の記事を書けないのは当然だ。著者の理解があさければあさいほど、わかりにくい表現になる。

受験中に書けるとすれば、せいぜい製図用品の紹介や精神論のたぐいくらい。今日食べた物、勉強したこと…この程度の日記的内容なら、ブログでなくSNSでも十分だろう。有名人でもない受験生の生活に興味を持ってくれる人など、そう多くはいない。

学習が進んでようやく知識が体系化してくるのは、10月に入った試験直前だ。その頃には試験前の追い込みで忙しく、ブログどころではなくなる。

3. 悪影響を及ぼす

世の中には「アウトプットすることで学習効率が増す」という考え方もある。情報を調べながら記事にまとめることで、知識を整理する効果は確かにあるだろう。学科試験や製図関連の法規を覚える際に、このテクニックは使えると思う。

その一方で、「間違ったアウトプット」により不完全な知識を覚えてしまう弊害もある。たとえば予備校課題のエスキース案をトレースしたら、「模範解答より自分の下手な答案が記憶に残ってしまった」という苦い経験がある。あれはさすがに悪ノリが過ぎた。

本試験でランク判定された図面を検証するのは、他の人の参考になるかもしれない。しかし、勉強中の受験生が考えた中途半端なプランなど、誰の役にも立たないばかりか自分の脳を害することにつながる。

4. 儲からない

実際のところ、ブログを始めたい理由の大半はお金儲けだろう。大事な点なので本音を語ろう。

記事の合間に広告を貼れば、予備校の受講料くらい稼げるかもしれない。建築士の収入は不安なので、今のうちから副収入のチャンネルを増やしておくのも悪くはない。ひょっとすると受験ブログの売上だけで、働かずにソシャゲで遊びながら暮らせるかもしれない…

ハリードSS

「叶わぬ夢は見るな」

他のサイトのことは知らないが、経験からすると「建築士の受験ブログは儲からない」と断言できる。適当に紹介した平行定規が飛ぶように売れるなんてことはない。もともとアクセス数が少ないのは仕方ないとして、ユーザー様はめったに広告などクリックしてくれないインテリ層なのだ。

ごくまれに、酒に酔った勢いでシャーペン1本くらいお買い上げいただけることもあるだろう。100記事書いて1年経てば、消しゴム1個買えるくらいの収入は見込める。ただし費用対効果はおそろしく悪い。道に落ちているお金を探してうろついた方が、まだましだと思う。

製図試験の受験者数と平均的なコンバージョン率を掛け算すれば、アフィリエイトの市場規模は推測できる。学科試験の受験者は製図の倍以上いるので、そちらをターゲットにした方が当たる可能性は高い。さらに言えば宅建の受験者は学科の10倍も存在する。

マーケットが大きければ当然ながら競合も増える。学科はすでに市販テキストや無料サイトが充実している。そして製図も母集団が少ないわりには、予備校以外の通信教育や添削サービスが続々と増えている。建築士の受験者総数は年々減りつつあるにもかかわらず。

どちらも今さら、ぽっと出の受験生ブロガーが目立てる余地などないように思う。悪いことは言わない。建築士受験のアフィリエイトはやめておけ。

5. おもしろくない

いかがでしただろうか。あえて虫唾が走るような記事タイトルを付けてみたことには理由がある。露骨に集客を狙った押しつけがましい語り口は、見るからに中身が薄そうな感じがしないだろうか。

そもそもブログを書くという行為が時代遅れなのか、(自分も含め)受験生の書いた記事を読んでおもしろいと感じることは少ない。中には神がかったセンスとクオリティーでリスペクトするサイトも存在する。しかし残念ながら(本ブログも含め)その他多くは微妙な立ち位置だ。

結果的に淘汰されて、検索上位に表示されることなどめったにない。おそらく世の中には、まだ一度も人に読まれたことのない傑作がごまんとあるのだろう。毎年数千枚の不合格図面が日の目を見ず処分されていくように。その中には世界を変えるほど傑出したコンセプトルームの発明が埋もれていたかもしれない。

典型的な受験ブログといえば、試験中は無益な内容ばかりで、合格後は急に偉そうに勉強法など語り始めるのがよくあるパターン。記事の劣化と読者離れが重なって、負のスパイラルに陥っている。ウザい、キモい、イタいと3点そろったネットの中の下々…

2000年代に始まったWeb2.0カルチャーも、世代交代が進んで年寄りの老害メディアと化してしまったようだ。老後の暇つぶしにはよいが、それに付き合うほど現役受験生は暇でない。動画やマンガならまだしも、長ったらしい文章を読む余裕などない。

もし受験勉強しながら記事を書くなら、下手なノウハウや学習法には触れない方が無難。ともに苦労を分かち合う受験生に対して、笑いや癒しを提供することに徹した方がよろこばれるだろう。その際の表現方法として、テキストベースのブログは分が悪い気がする。

受験「後」の記事は有益

受験ブログを書くことに意味があるとすれば、それは試験が終わった後のタイミングだ。12月の合格発表までのやきもきする期間、自分のプランを公開したりコメントすることは、他の受験生の気晴らしになる。

本当はユープラというすばらしいプロジェクトがオープンソースになってくれるとありがたい。自分の落ちた試験で、各ランクと紐づけられた他人の図面はぜひとも覗いてみたいものだ。

製図試験の悲哀というのは、その年の受験生でないとわからない部分がある。「試験前はこう言われていたが、本番ではこう裏をかかれた」というニュアンスは、過去問題を見ただけではイメージできない。

別にここ2年の課題だけがサプライズだったはずはないと思う。過去にも受験業界の片隅では、語られることのないドラマがあったのだろう。製図の優等生だった人なら、試験直後は並みの予備校教師より勘が冴えている可能性もある。そういうエリート受験生が講評を書いてくれたら、後輩にとっては大いに参考になると思う。

受験後ブログが難しいのは、合格した途端にモチベーションが下がってしまう点にある。予備校にさんざん貢いだ経験は、自分でも思い出したくない黒歴史。それは健全な反応だ。

半年も経つと、製図で覚えたことなどすっかり忘れてしまう。課題が変わるとパターン化したテクニックが役に立たないという事情もある。試験終了後から合格発表前後にかけてが、受験ブロガーとして最も脂が乗る期間。正月休みにでもランクIやII判定の答案を再現してもらえたら、未来の受験生から歓迎されると思う。

ブログはもう古い

やめた方がいい理由は山ほどあるが、受験ブログを書く人は毎年必ず出てくる。建築士の遺伝的多様性を維持するという意味では、そういうニッチな人たちを応援したい気持ちもある。

自分のITリテラシーは10年前で止まったままだが、今ならブログよりもっとましな表現手段を思いつく。

炎上のおそれのある企画

  • 大義名分を掲げ、受験費用をクラウドファンディングで集める
  • まだ受かってもいないのに、教材をつくってnoteで売る
  • 予備校課題を無許可で転載するオンラインサロンのウラ教祖(通報されます)
  • プライザーの人物たちに語らせる模型チューバー(よくわからん)
  • 軍艦島に密航してアスベスト被害を騙る(勝手にどうぞ)
  • 投入堂にクライミングしてウェーイ(やめてください)

そろそろ建築士のWebメディアも、ブログに代わる破壊的イノベーションが登場していい頃合いだ。本質的にブラックボックスである製図試験においては、クレイトン・クリステンセンが提案する不可知論的マーケティングそが有効なのではないかと思う。

これから建築士として荒波を渡っていくなら、ちょっとしたバッシングに耐えられるくらいの遮炎性能をそなえておきたい。平凡な一級建築士がひとり増えるよりも、業界を盛り上げてくれる革命的パフォーマーが現れてくれた方が、きっとおもしろい。

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製図試験におけるエスキース力の磨き方。予備校・講師を選ぶコツ https://ikkyu-san.com/teacher/ https://ikkyu-san.com/teacher/#respond Thu, 01 Aug 2019 03:00:00 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4219 製図試験に必要とされる3つのスキルのうち、エスキース力とは何なのか。ひとことで言えば「制限時間内に合格しそうなプランをまとめられるスキル」。無数にある評価項目をほどほど満たして、それなりによさげな案を作れる実務能力といえる。

学習法としては、先輩からフィードバックをもらいつつ徐々に場の空気を読んでいくしかない。採点基準は予備校独自、強いて言えば講師によっても異なるので、なるべく数多くあたってバランス感覚を養うのが賢明だ。

空気なので言語化しにくいスキルだが、極論すれば「人力パターン認識」のようなもの。基本的な評価ポイントさえ押さえれば、あとは可能な限り多くの課題と解答例を入手して脳内にインプット、特徴抽出を繰り返すプロセスといえる。

教師データだけでなく、生身の教師に教えてもらうと理解もはかどる。そして予備校を選ぶなら、まず講師の評判にあたってみるのが後々後悔しないポイントだ。

プランニングの要点

エスキース能力を端的に表現すれば、「いかに整合性のあるプランに落とし込めるか」という点に尽きる。たいてい設問に矛盾が出てくるので100点満点は無理としても、なるべく多くの条件を満たして出題者(施主様)の要望に応えるのが大事だ。

まずは要求室を指定面積ごとに収め、トイレや倉庫も適切に計画するパズルを解くのが大前提。その上で、たとえばゾーニングと動線に関しては以下のような項目が評価される。

  • 利用者/管理者のゾーンが明確に分かれ、動線交錯しない
  • 主要室が階段・EVから近く、見通しよくアクセスしやすい
  • 関連諸室が隣接し、頻繁に行き来する動線が短くて済む

これらを満たすと自然と廊下が通り、整然とした室配置に落ち着く傾向がある。ベテラン講師なら図面をパッと見ただけで合否を判断できるという。

他にも、空間的な豊かさ(眺望や吹抜けによる開放感)、構造的な正しさ(PC梁・大空間の位置)、設備の合理性(機械室とPS/DS/EPSの配置)など、サブ項目がいくつも出てくる。

こうしたポイント数十個を加点・減点したうえ、記述と合わせた総合点でランク分けするのが、現在予備校で行われている一般的な採点方法だ(試験本番もそのとおりとは限らない)。

エスキースの勉強法

エスキース練習は予備校課題にひたすら取り組む。出された宿題もすべてこなすのが理想的だ。受講料を割り算すれば、1回の講義で製図板1枚買えるくらいの金額にはなる。そのくらい貴重なチャンスと思って、毎週休まず全力で出席するのが望ましい。

余力があれば、その年の課題に合わせて発売される市販テキストにも目を通しておきたい。代表的なのは日建学院の『課題対策集』と、設計製図対策研究会の『直前対策と課題演習』だ。過去問と答案例は『製図試験のウラ指導』で入手できる(公開模試に参加するのもあり)。

あとは伝手をたどって他校の課題も入手できれば準備万端。実際に解く時間はなくても、「こんな出題のされ方もある」と知っておくだけで参考になる。終盤の課題は相当ニッチな条件を攻めてくるので、鵜呑みにしたり焦ったりする必要はない。

エスキースの学習目安

製図の勉強をはじめた頃は、何が良くてダメなのかもわからない。予備校からもらえるテキストは基礎的な内容にすぎず、実践的なスキルは講師との対話を通じて学んでいくことになる。

製図試験の解答パターン分析

複数の答案例を見比べると、たいてい何かしらの共通部分が見つかる。例えば階段とEVの組み合わせやトイレ内の配置など、課題作成者の手癖のようなものだ。そういう細かいところから真似してみると、何となくその学校の模範解答に似たプランが作れるようになっていく。

製図試験の解答パターン共通点

序盤の課題は条件ガチガチなので、誰が解いても解答例のようにしかならない。講義が進むにつれて、徐々に要求室の階指定がなくなり、大部屋も増えてパズルの難易度が上がっていく。

中盤では「指定がなければプールは2階、機械室1階」というような、その年の課題に応じた主要室の設置パターンを学ぶ。次第にスクールの採点傾向や、課題ごとの設問意図も見えてくるようになる。

終盤では「プールが敷地外にもう1個ある」など、試験本番のサプライズを想定した高難易度の課題を数多くこなす。本番で同じ条件が出ることはまずないが、イレギュラーなことを問われても冷静さを失わない訓練のようなものだ。

最終的には、エスキース中に良さそうな案を2つか3つ思いついて、「今回はどれで行こうか」と判断する余裕まで出てくる。本番課題はたいてい予備校的解法の裏をかくような設問が出るので、場合によってはあえて定石を外すような判断も求められる。

エスキース力の上達が他より遅いのは、課題に応じて適切なソリューションを選ぶバランス感覚のようなものが絡んでくるからだと思う。

完璧主義だと自滅する

過去2年の製図課題は、

  • H29リゾートホテル…絶対服従の眺望指定+多すぎる客室の高難易度パズル
  • H30スポーツ施設…複数入口指定+どこにでもおけるプールの高自由度提案

という流れだったので、今年の美術館はパズル寄りに戻るかもしれない(展示室が20個必要とか)。

実際のところ、そういう予想も常に裏切られる傾向がある。予備校が教える特定の解法パターンには固執しない方が身のためだ。その意味でも、他校や市販書籍の課題に目を通しておいた方が、知識がかたよらずに済む。

試験後しばらく経ってから予備校がひねり出してくる、すさまじい完成度のプランなど目指さなくてよい。100点満点を目指すとエスキースがまとまらず、かえって自分の首を絞めることにつながる。

本番で必要なのは、課題の難易度や他の受験生のレベルを推し量りながら「上位4割」の適切な落としどころを見つける美人投票のセンスだ。8割がたの正しさで「メインの部屋を何階のどこに置くか」決められれば、あとはスムーズに収まる傾向がある。

昨年の例でいうと、あえて「高さ制限や1階プールの構造を知らない」方が本番では迷わず解けたと思う。余計なことを考えずに直感で思いついた王道案で突っ走る方が、ブレのない図面を書けることもある。

エスキースについては知識や持ち技が多いほど有利とはいえない。状況に応じて適切な引き出しを開け、多数派にくみするしたたかさが要求される。

製図の独学が難しい理由

エスキース力とは非言語的スキルなので、自分ひとりでトレーニングするのは難しい。講師と図面を介したコミュニケーションを繰り返す中で、徐々に培われていくコモンセンスのようなものだと思う。理屈でなく「こうした方が受かりやすい」という経験則も絡んでくる。

悟りの境地に達するのは、おおむね試験の直前10月に入った頃。それまでに、いかに多くの課題を解いて別案も考え、採点のフィードバックを受けるかが上達のコツだ。別に神秘的な才能ではなく、作図練習と同じで量をこなせば誰でも身につく。

自分の書いた図面にコメントしてもらうのが重要なので、初年度生は素直に予備校に通った方が効率よいだろう。2年目以降であれば、通信教育の添削で足りるかもしれない。

製図に独学で取り組んだ1年目は、「PSが上下階でずれていても、なぜ上下階不一致で失格にならないのか」ということで真剣に悩んでいた。もし誰かに質問できれば、笑われながらも一発で疑問を解消できたことだろう。

実は面積区画についても「延べ面積で計算する」ということを最近まで知らなかった。まともな実務経験がないと、こうした取るに足らない常識でつまずきがちだ。恥を承知でアホみたいなこともインタラクティブに質問できるという意味では、対面で教えてもらった方が早い。

予備校は講師で選ぶ

そしてエスキースのノウハウとは、多分に属人的な知識だと思う。同じ予備校でも講師によって言われることが違う。細かい点では、図面の線の太さひとつとっても好みが分かれたりする。

そのためスクールを選ぶにあたっては、ネームバリューやサービスの良し悪しよりも、講師を基準に判断するのがよいと思う。受験業界は人材の流動性があるので、予備校間で講師が移籍することもある。

一級の製図を教えてもらうなら、そこそこ規模の大きい設計実務をしていて指導歴が長い先生が理想といえる。知り合いの建築士が某有名校でアルバイトしているところをみると、講師の質は玉石混交だ。

実際に図面を見てもらうまでわからないと言えるが、スクールの窓口で聞けば各校舎の評判を教えてくれることもある。関東圏であれば、都心の大型校より郊外の小教室の方が教え方は丁寧かもしれない。

評判のよい講師が見つかれば、あえて自宅や職場から離れた所沢や厚木に通うのもありだと思う。別に倍率の高い都心の教室や有名講師にこだわる必要はない。

小人数制のメリット

講義時間やスタッフのリソースは限られるので、「講師ひとりあたりの生徒数」というのは結構重要だ。都心と地方の校舎では、アシスタントの先生もカウントして3倍くらい違うことがある。

1人で20人も指導するとなると、2か月で顔を覚えてもらえるかどうかすら怪しい。継続的に指導してもらわないことには、添削のポイントも毎回ずれてしまう。そして講師も人間なので、言ったことをちゃんと図面に反映してくる素直な生徒に対しては、面倒見が良くなるというものだ。

人数が少なければ、教室の雰囲気も自然とリラックスしたものになる。逆に多忙な先生の前では委縮して、馬鹿げた質問を思いついてもつい「あとでググろう」となってしまうかもしれない。そしてPS上下階不一致の不思議など、ネットのどこを調べても情報は得られない。

クラスの人数が少なければ、他の受講生とも仲良くなって情報交換しやすい。中にはコネを使って他校の課題を集めてきてくれる、親切な人がいたりもする。同じ受験エリアの敵同士でも、少人数なら協力体制を築きやすい。

もし同じ年に試験を受ける同期や友達がいるなら、あえて別々の予備校に通って課題をシェアするのがおすすめといえる。なぜなら勉強の終盤は、ひたすら課題を集めて出題パターンを研究する作業になるからだ。学校が違えばWin-Winで資料をトレードできる。

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製図試験で求められる3つのスキルと学習方法、スケジュール感 https://ikkyu-san.com/skil/ https://ikkyu-san.com/skil/#respond Thu, 01 Aug 2019 02:00:01 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4215 これから一級建築士の製図試験に取り組む受験生のために、勉強のコツとスケジュール感のようなものをまとめてみたい。去年合格できた経験から「このくらいのペースで分量をこなせば受かるかな」という目安だ。

すべてがむしゃらに取り組むよりも、記述の暗記タイムは終盤に持ってきたりした方が効率がよい。逆に作図は8月頭からハイペースでこなさないと、なかなか時間が縮まらない。エスキースは地道に課題を解いていれば、ある時点から急成長する。

3スキルのバランス

「製図試験に受かるためのスキル」は次の3つに分けられる。

  1. 作図力
  2. 記述力
  3. エスキース力

作図力が足りなければ、どれほど美しいプランを考えても絵に描いた餅に終わってしまう。時間切れで図面が未完成ならランクIV。図面の書き方が雑だったり、線が薄くて自信なさげだと、最終選考でランクIIに下げられる原因になるといわれる。

逆に作図力だけ突出していても、間違ったプランを全力で仕上げるほど悲しいことはない。植栽も注釈も密に書き込みできて図面表現はパーフェクトなのに、プランニングに重大ミスがあればランクIIIに振り分けられる。

記述力の優劣というのは客観的に評価しにくい。試験元から解答例が公開されないからだ。しかし「計画の要点等」を白紙で出して受かったという話は聞いたことがない。作文した内容と図面との整合性もチェックされるらしい。

記述は定番の設問に対してキーワードを押さえつつ、そこそこまともな内容で全行埋めればOKといわれる。やることはほとんど解答例の暗記なので、学科試験をパスできた製図受験生なら余裕で習得できるはずだ。

製図ではこれら3つのスキルをバランスよく発揮することが求められる。実質的には足切点が設定された3科目で構成される試験に近い。本番の時間配分にも、3科目の緊張関係がそのまま反映される。途中で1科目の出来が悪くても、見切り発車せざるをえない場面が出てくる。

3スキルの学習曲線

7月の課題発表から10月の製図試験まで約2か月。実体験によると、各スキルの習熟度は次のグラフのように発達していく。

製図試験の学習曲線

作図力は単調増加だ。所要時間は課題ごとの作図量によって変動するが、基本的に努力した分だけ伸びていく。図面を書けば書くほどスピードは上がる。しかし枚数を重ねなければ進歩しない(その意味ではシビア)。

毎回タイムを測れば自分でも成長を実感できる。図面の密度や線の質といったクオリティーも、時間にゆとりができれば自然と改善されていく。

記述は暗記もの。過去問と解答例をインプットして、設問と解答欄スペースに応じて自在に作文できるようになれば合格レベルとみなせる。

本番では初見の問題も出るが、誰もわからないのであまり差が出ない。ノート数ページ分、頭に詰め込んで反復学習すれば、1週間くらいでピークに達する。

エスキース力の発達は一般的な学習曲線に近い。練習問題によって条件が異なるので、すんなり解けることもあれば、いつまで経っても終わらないときもある。一進一退を繰り返しながらゆるやかに向上して、本番1週間前くらいになると急速に上達するタイミングが出てくる。

学習ピークの調整案

作図はひたすら書くしかないので、「毎週2枚」とか目標を決めればいいと思う。予備校の授業で1枚、家で1枚宿題をこなせば、8~9月で合計16枚書ける。たいていの人には、このくらいのペースが現実的だろう。

10月に入ったらがんばって週3枚は書く。作図手順を整理して、毎日半分ずつ書くのも効果的。合計20枚仕上げれば3時間は切れる

記述は9月末、ひと通り練習課題を解き終えたくらいで暗記に取り組むと効率がよい。その頃には二級の製図試験が終わって、その年の新傾向(昨年の場合は防火区画など)が明らかになってくる。記述の練習問題にも反映されるので、バリエーションが出尽してから勉強しても遅くない。

解答例をノートに写して共通の言い回しをピックアップすれば、計画・構造・設備の合計3日間で丸暗記できるだろう。あとは本番まで作文練習して、記憶が衰えないようにキープするだけで済む。

記述力の養成は短期間で可能で、かつ試験本番に近い方が暗記効率は良い。すると記述のピークを9月後半に移す代わりに、8月中に作図力を集中強化しておくのが安全策といえる。

製図3スキルの学習曲線(改良版)

理想的な学習スケジュール

早めに作図で3時間を切れるくらいスピードアップできれば安心感が持てる。さらに、何らかの理由で終盤にまとまった練習時間が取れないときの保険にもなる。もし8~10月で勉強時間を均等に配分するなら、序盤で記述を無視する代わりに作図力を鍛えておくのが無難だ。

施設の見学

平行定規がかさばるので、作図を練習する場所はたいてい自宅になる。エスキースと記述なら、学科のようにカフェ図書館でも勉強できる。作図は肉体労働なので、ときどき施設の見学にでも行って体をほぐすのがおすすめだ。

昨年はさいわい課題がスポーツ施設だったので、近所のプールを開拓して実例を学びつつエクササイズも兼ねられた。裏方の管理ゾーンは見られなくても、利用者動線や更衣室のつくりを観察するだけで参考になる。

今年の課題は美術館なので、リフレッシュにちょうどよさそうだ。事務室や収蔵庫には入れなくても、駐車場からの搬入出経路などチェックできるだろう。カフェやショップを下見したり、屋上庭園もあれば参考になる。

道具にこだわる

もうひとつ息抜きにちょうどいいのが、製図用品の研究だ。画材屋や文具店をまわって、理想の定規やテンプレートを探すのも受験生らしい趣味のひとつ。実際はバンコ一本で済んでしまうのだが、「いつか禁止される説」があるので予備テンプレートも買っておくのが無難だ。

特にシャープペンシルは奥が深い。芯の太さと固さ、折れにくい特殊機構など調べ始めると、いろいろ試してみたくなる。せっかくの機会なので、作図ごとにペンを替えてベストなセッティングを追求してみるのも一興だ。

試験にかかる費用の中では、文具代などたいしたことはない。試験本番で消しゴムはいくらあっても困らない。製図板以外にも予算1万円くらいは見込んで、いくつも試してみるのがおすすめだ。

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一級建築士の製図試験課題発表「美術館の分館」を見て思ったこと https://ikkyu-san.com/museum/ https://ikkyu-san.com/museum/#respond Fri, 26 Jul 2019 08:00:41 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4203 本日発表された設計製図試験の課題は「美術館の分館」

なにかもっとすごいのが来ることを期待していたが、案外普通だった。美術館と名の付く課題は何度も出ていて、直近では平成22年「小都市に建つ美術館」以来9年振りだ。

過去2回のサプライズ試験に取り組んだ経験から、課題文を見て思いついたことを適当に書いてみたい。

パターンの不在というパターン

リゾートホテルやスポーツ施設という楽しげな建物に続いて登場したのは美術館。いかにも建築学生が喜びそうな課題だ。それなら今年もオリンピックがらみで「令和元年のフットボール場」とかでもよかったと思う。

こんな娯楽的な課題ばかり続いてよいのだろうか。かつて老人保健施設や高齢者向け集合住宅が出題されていた時代に比べると、ゆとり教育のように見える。しかし実際は、ふんわりした課題で受験生をたぶらかしつつ、試験本番で揺さぶりをかける策略なのだ。

製図試験に何年も関わっていると、当たりさわりない課題文に隠されたメッセージがあるように思われてくる。推理小説のように「犬が吠えない」という手がかりもありえる。

びじゅつかんのぶんかん…武術館の敏感…観音化美術部…

とりあえずタイトルをアナグラム生成器にかけてみたが、ヒントらしきものは出てこない。

課題名が6文字というのは過去20年で一番短い。別館や新館ではなく分館。絵画館や令和館でもない。「…かんのぶんかん」と韻を踏んでいるところはユーモラスだ。実際には(屋上庭園のある…)という注釈がほかに移っただけともいえる。

差し当たって、毎年ウェブページの課題名だけが画像化されているのは気になる。昨年の標準解答例では、ダウンロードしたPDFのファイル名からリビジョンの可能性を推測することができた。今回はソースを見ても、1k-kadai-2019.pngという画像ファイルも含め、タグやコメントに情報が隠されている気配はない。

昨年課題発表時との違い

課題名にトリックがないとすると、気になるのはそれに続く要求図書と、留意事項・注意事項の文章だ。参考までに、昨年課題発表時のスクリーンショットを載せておこう。構成自体に大きな変化はないが、微妙な言い回しの違いが出てきている。

平成30年の一級建築士製図課題

(クリックで拡大)

1~3階平面図や断面図という要求図書は特に変わりがない。昨年の例からして、いきなり梁伏図や基準階が出てくることは考えにくい。

(注1)で「(本館)の隣地に…」と明記されている。素直に考えればTACブログが指摘するように、本館との一体的な使用が指示される可能性は高い。今年もまたA2サイズの特大敷地図になるのだろうか。

(注2)の「屋上庭園」は昨年の「温水プール」と同じネタバレ。「庭園」から連想されるイメージはプールより広くて定型化しにくいが、「屋上」とあるからには2階か3階につくるのだろう。リゾートホテルの露天風呂と同様、「屋根や上部構造があってもOKか」「容積率の計算に含まれるのか」といった議論が出てきそうだ。

(注3)は昨年より文言がシンプルになった。歩行距離など避難関連の用語がなくなった代わりに「建蔽率、容積率、高さの制限」が登場している。これは昨年の試験でミスした人が多かったせいだろう。

留意事項に「方位等」

留意事項は昨年とほとんど変わりない。ただし1行目の敷地条件に「方位等」と補足され、「空調負荷の抑制や自然光の利用」が追加されている。2行目の「省エネルギー」とかぶる気もするが、上の要求図書欄から「パッシブデザイン」の文言が消えた埋め合わせに見える。

「方位」が強調されているということは、ルーバーによる開口部の日射遮蔽はマスト。それに比べて、方角に関係のない地中熱や井水利用の環境対策は評価されない可能性がある。残念ながら今年もアースチューバ―の出番はなさそうだ。

方位「等」なので、他にも敷地内にイレギュラーな要素が潜んでいるおそれがある。美術館(本館)に関連する屋外彫刻や、遊歩道のようなものは普通に想像できる。本館の上層階から屋外庭園にアクセスする渡り廊下くらいは、予備校の課題でも当然出てくるだろう。

「隣地」とうたっているからには隣地境界線も存在するはずだ。今年も延焼ラインの対策は欠かせない。昨年の初出からしてずいぶんハードルが高かったので、いったいどんな判定条件が出てくるかワクワクする。(延焼ラインの予想問題はこちら

場所については今年も「小都市」や「市街地」という指定がない。ポーラ美術館やMIHO MUSEUMくらい山奥だったりするかもしれない。そして「傾斜地でない」とも言われていない。近年のサプライズ傾向からすると、敷地の地盤に何かが埋まっていたり、川が流れていても不思議はない。

足切り条件が具体化?

注意事項の最後の一文は、昨年に比べてかなり詳しくなっている。これがいわゆる足切ランクIVの該当条件を指すならば、法令違反(面積・防火関連)、要求図書の不備(計画の要点等も含む!)、主要な要求室の欠落などは即アウトと解釈することができる。

昨年急上昇したランクIV率に対して、JAEICにクレームが殺到したのかもしれない。足切り条件の存在すら推測の域を出ないブラックボックステストだが、この変更は試験元からのエクスキューズとみなせる。

受験生に対してひと言アドバイスできるとしたら、「計画の要点等」に自由記述のイラスト欄が出てきた場合、下手な絵でもいいので必ず埋めること。試験後に答案は回収されてしまい、標準解答例にも出てこない地味な記述欄。それでも要求図書の一部なので、「空欄=不十分」と解釈されるおそれは十分考えられる。

屋上庭園の予想

試験に向けて関連施設を効率よく見学するとしたら、屋上庭園のある美術館分館にあたるべきだろう。今年も公共施設なので、貸事務所や集合住宅より入りやすいのはラッキーだ。

個人的には「屋上庭園」のバリエーションに興味がある。わざわざ事前にリークしているということは、昨年の温水プールのように「一般的な構造(特に断面)を調べておけ」ということだ。断面図では確実に屋上庭園の切断指示があると思う。

屋上庭園がどのくらいの面積で指定されるかは見当もつかない。温水プールは18×10メートルという縦にも横にも置けるユニバーサルなサイズ感だった。庭園もプランニング上の強い拘束条件にはならないだろう。プールの一件からすると、標準解答例のひとつは1階に屋上庭園を設けてくるかもしれない。

施行令に「屋上庭園」という用語の定義があったかどうかは定かでない。似たような「屋上広場等」は令126条に説明があって、「1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網」が必須だ。屋上突出部や屋上突出物の高さ制限も問われる可能性がある。

コンセプトガーデン

これから出てくる各予備校の課題で、どんなおもしろ庭園が登場するか楽しみだ。断面図に何の工夫もない、花壇を置いて草木を生やすくらいの解答例は、早々にマンネリ化するはずだ。

カサ・ミラの屋上のように複雑な構造を持つ庭園。市民の創作活動を支援する散歩道やウォーキングコース

カサミラの屋上庭園

勾配屋根と組み合わせる技もある。ニラやタンポポを植えて市民農園も兼ねる案。併設の食育キッチンスタジオで創作料理を支援する。

ラコリーナ近江八幡の屋根

用途の指定がなければ、人が入れない眺めるだけの石庭もありだろう。これも一種の屋上庭園。現代アート系の美術館ならマッチしそうだ。

ギャラリー間の屋上庭園

屋外テラスのように、ウッドデッキだけ敷いて庭園と称するミニマルガーデンもきっと出てくる。防水対策は面倒だが、全体に水を張ってしまえば作図が簡単そう。時間がなければ室名だけ書いた空白の庭でも欠落は避けられる。

鈴木大拙館

もし課題が易しく全体のレベルが高ければ、屋上庭園の表現力で差がつく可能性がある。庭園のスタイルで優劣はつけにくいので、記述も含めた論理的一貫性のようなものが評価されるかもしれない。コンセプトルームも絡めてメリットを滔々と語れば、1階にある屋上庭園でも、おそらく通る。

別に今からネタに走る必要はないが、「そんな方法もある」と覚えていれば心の余裕ができる。そもそも本番課題は矛盾だらけで素直に解けないのが通例。屋上庭園より優先すべき眺望指定が、段抜き特記で出てくる可能性もある。過去2年の本番で受験生が受けた衝撃は、そのくらいのインパクトがあった。

複雑化する製図試験の対策

一昨年のリゾートホテル課題では、課題が長文化したり、敷地図がエスキース用紙にワープする現象がみられた。翌年のスポーツ施設では課題用紙がA2サイズに拡大され、試験元は新たなフォーマットを模索しているように思われる。

今年はどんなサプライズが用意されているのかわからないが、確実なのは「相対評価」という事実だ。各ランクのパーセンテージは変動するが、合格者の割合は毎年たいして変わらない。

イレギュラーな出来事に弱い人もいれば、混乱期に活躍するタイプの人もいる。昨年のランクIV急増は、パニックや時間切れで図面を仕上げられない人が多かったせいかもしれない。

「何が起こっても図面を完成させる」という心がけについて、基本的なトレーニングは変わらない。不便な試験会場を想定して、あえて不安定な机の上で作図する練習も有効だ。

これから2か月で20枚くらい図面を書けば、自分のようなアホでも作図スピードだけはアップできる。試験問題は予想を裏切るが、書いた図面は裏切らない

一級建築士製図試験の図面

過去問研究は受験勉強の定石。少なくとも平成17年の既存部にだけは目を通しておこう。過年度生なら、本番前に架空の敷地図をつくって遊べるくらいの余裕は持ちたい。

実際のところ、受験生より大変なのは予備校の練習課題をつくる人だと思う。今年の課題用紙はA2サイズが標準になるのだろうか。一体利用を想定した第3・第4の施設や地盤の地下水位など、想定しなければならないことが山ほどある。

コンセプトルームも2年続いたからには、さすがに本気で対策せざるをえないだろう。採点が面倒くさそうだし、そもそもどうやって評価したらいいのだろう。標準解答例はまだ2年分×2案しか存在しない。

ここは各スクールの腕の見せどころ。勉強時間が限られた中で、課題が多ければよいという話でもない。いかにポイントを絞った良問で、効率よくバリエーションを網羅するかというセンスが問われる。

『建築設計資料』で予習

とりあえずスクールが開講するまでに受験生ができることは、『建築設計資料』の該当タイプを熟読することだ。さいわい美術館は3冊も出ているので、7月中のモヤモヤした虚無期間を有意義に過ごせる。

Amazonや楽天はすぐ品切れになると思うので、電子書籍を購入して目を通しておこう。作図の練習は地味に時間がかかるので、直ちに着手した方がよい。

合格後の生活

ライフワークになるかと思った一級建築士の製図試験。合格するとすっかり興味が失せてしまった。お誘いはあったが受験業界という修羅の道には進まなかった。今ではエスキースや合格発表の夢を見ることもない。

燃え尽き症候群の治療として取り組んでいるのは、ロマサガRSというソーシャルゲーム。魅惑的なおっさんホイホイがリリースされたのが試験の後で、本当によかった。建築士として活躍する以前に、社会復帰することがひとまずの目標だ。

ロマサガRS・ボクオーンSS

「大きな間違いを犯した」

もともと有益な情報など皆無なうえ、現役を退いた今となってはコメントできることも少ない。せめて製図の課題と標準解答例について、年に2回くらいは更新できたらいいなと思う。

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ややこしい一級建築士合格後の免許登録手続きを説明(東京都編) https://ikkyu-san.com/register/ https://ikkyu-san.com/register/#respond Tue, 26 Feb 2019 10:00:42 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4175 合格後に、トータル8万円近く費用がかかるとわかった一級建築士の免許申請。まさか法人の設立並みに税金や手数料が高くつくとは、寝耳に水だった。これからこの資格を取ろうという人は、ストレート合格したとしても受験料と合わせて約10万~、必ず払わなければならないと覚悟しておいた方がいい。

いろいろ迷ったが、結局素直にお金を払って免許を申請することにした。東京都を例として、煩雑な申請手続きの流れをまとめてみようと思う。

税金の納付、戸籍謄本、法務局で取る謎の書類…一通り集めて窓口まで持っていくのに、結局1週間くらいかかった。一度きりの手続きだが、下手すると建築士会まで届けに行って出直しとなりかねない。

抜かりなく書類を準備して、スムーズに手続きを済ませてもらえればと思う。

提出書類・入手先リスト(東京都)

一級建築士、新規の免許登録に必要な書類は以下の通り。詳細は日本建築士会連合会のウェブサイトに書いてある。提出先は、住民票のある都道県の建築士会だ。書類の入手先も簡単にまとめてみた。

  1. 申請書…建築士会サイトからPDFをダウンロード
  2. 住所等の届出…建築士会サイトからPDFをダウンロード
  3. 戸籍謄本…本籍のある自治体から取り寄せ(場所によっては遠隔コンビニ印刷可)
  4. 登記されていないことの証明書…法務局で取得(九段下の東京法務局のみ)
    ※申請書PDFは法務省サイトからダウンロード可能(別途収入印紙300円分必要)
  5. 証明写真2枚…45×35mmのパスポート用と同じサイズ
  6. 登録免許税6万円の領収書…ゆうちょ銀行や大手都市銀行の窓口で納付
  7. 申請手数料19,200円の領収書…ゆうちょ銀行のATMなどで払い込み(受験料と同じ)
  8. 合格通知書…建築士会で申し込む際に提示(コピーは不要)
  9. 本人確認書類…建築士会で申し込む際、免許証やパスポートを提示(コピーは不要)

戸籍謄本は郵送で取り寄せ

意外と手に入れるのに時間のかかるのは戸籍謄本だ。

最近、住民票や印鑑登録の証明書は、マイナンバーカードを使ってコンビニのコピー機から出せるようになった。近くのコンビニで戸籍謄本も印刷できないか試してみたが、メニューの市区町村リストをたどっても、本籍のある地域が出てこない。

コンビニのコピー機で戸籍謄本印刷

どうやら戸籍謄本がコンビニ交付できるかは、自治体によって対応状況がまちまちなようだ。政令指定都市ならOKというわけでもない。運がよければ、本籍地と違う場所に住んでいても、コンビニで遠隔コピーさせてもらえる。

自分の場合は結局、本籍地の役所にコンタクトして、郵送で取り寄せる必要があった。手数料分の定額小為替など、ゆうちょ銀行で購入して同封するかたちになる。さらに返信用の切手や封筒を用意する手間を考えると、本籍地に親や親族がいたら代理で取って送ってもらう方が早い。

郵便局で料金納付

申請にかかる税金・手数料は種類が違うので、60,000円と19,200円の2つに分けて領収書をもらう必要がある。とりあえず郵便局に行ったら、2つとも用事を済ませることができた。

登録免許税の6万円は、窓口に備え付けの「領収済通知書」に金額と住所氏名を書いて窓口で納付する。法人税や消費税を納めるときと同じ、3枚つづりの用紙だ。

一方、納付手数料の19,200円は「払込取扱票」という1枚3連式の用紙に記入する。こちらも郵便局の窓口に置いてあり、ATMを使って納付することができる。こちらは試験の受験料を払ったときと同じ手続きだ。

ゆうちょATMの払込取扱票

どちらも忘れないように龍収書を手に入れて、申請書の2枚目に糊付けして提出する。記入ミスがあるかもしれないので、台紙に領収書を貼るのは建築士会で確認してもらってからの方がいいだろう。

申請書と住所等の届出

申請書と住所の届出書は、ウェブからPDFをダウンロードして記入する。Acrobat Readerでファイルを開けば、パソコン上で直接入力できるようになっている。

ウェブの記入例を見ながらやれば、特に迷うことはないだろう。申請書の一番上に、印刷してから自著署名するところが一か所ある。

登記されていないことの証明書

建築士の免許登録で最難関といえるのが、法務局関連の書類だ。要するに「成年被後見人でないこと」を証明する書類のようだが、今まで見たことも聞いたこともない。

登記されていないことの証明書

とりあえず近所の出張所に行ってみたが、「九段下の法務局でないと取れない」とあしらわれた。出張所とはいえ電車でないと通えない距離なので、半日くらい無駄にした。

郵送も可能ということだが、書類に不備があったりすると面倒くさい。どのみち書類は都心の建築士会に手渡しで持っていくつもりだったので、九段下に寄って直接入手することにした。

東京法務局で取得

東京法務局の担当フロアに向かうと、思いのほか混んでいて行列ができていた。いくら都内で窓口はここだけとはいえ、建築士の手続きだけでこれほど賑わうはずがない。

観察していると、医師や弁護士、宅建やマンション管理士など、いくつもの資格で登録時にこの「登記されていない~」証明書が必要なようだ。

法務局、登記されていないことの証明書

書類は事前にウェブからプリントアウト、記入して持って行った。収入印紙も先に購入しておいたが、法務局の中でも買える。もちろん用紙も置いてあるので、本人確認用の免許証と300円だけ持って、法務局に取りに行ってもさしつかえない。

建築士会に提出

東京の建築士会は、人形町や小伝馬町の駅から少し歩いたところにある。一見、普通のマンションっぽい外観なので迷ったが、よくみると看板が出ていた。

東京建築士会

平日昼過ぎの窓口はがらがらで、一通り用意した書類は問題なく受理してもらえた。書類の不足がなければ特に書き間違えそうなところもないので、郵送でもよかったかと思う。

東京建築士会の手続き

免許証は約2か月で出来上がるとのこと。直接取りに来てもOKだが、事前に送料400円払っておくと送ってもらえるサービスもある。

東京建築士会の受付票

申請書類は一式置いてあったので、先にもらっておけばウェブから印刷したりする手間が省ける。建築士会は別に楽しいところでもなかったので、一度見ておけば十分かと思う。免許証の受け取りは、料金先払いして郵送でお願いした。

住所変更に費用はかからない

建築士会の窓口で、今後必要になりそうな手続きについて聞いてみた。可能性があるのは住所変更の手続きだ。

今回の申請で住所等を届けてあるので、転勤したら手続きが必要になる。具体的には転入先の自治体にある建築士会に、30日以内に持っていけばいいらしい。

ウェブサイトを見て「登録事項変更届」の手数料5,900円かかると思っていたが、住所変更だけなら無料で済むようだ。費用が発生するのは「氏名、生年月日、性別」の変更があった場合のみ。また、顔写真を変更したい場合も5,900円の書換え交付が必要。

ちょうど引っ越しを考えている時期だったので、落ち着いてから免許登録した方がいいか迷っていた。手続きの手間はかかかるが、費用は発生しないとわかってほっとした。

今後転居した際は、免許や銀行・クレジットカードと並んで、建築士会にも報告が必要となる。似たような「法人の代表者住所変更登記」は、自分でやっても印紙代が1万かかる。それに比べると建築士は無料で良心的といえる。

無免許営業のリスク

特に仕事で使うあてもない趣味の資格勉強としては、予想外の出費になった。事前にわかっていれば、そもそも受験したかも疑わしい。

試験にかける時間・お金・労力と取得後のメリットを秤にかけると、一級建築士ほどコスパの悪い資格はないかもしれない。2年も製図に取り組んでいたせいで、足腰が弱ったし目も悪くなった。

何とかお金を払わないで済ませられないかと考えたが、あらためて建築士法を調べると抜け道はすべてふさがれている。少なくとも「一級建築士」という肩書を名乗って活動するうえで、無免許という状態はあり得ないようだ。

まわりで免許を取らず営業している知り合いはいないし、どう見ても違法行為なのでリスクが高すぎる。1か月くらい悩んだが、結局免許を取ってしまった方が気持ち的にはすっきりする気がした。

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建築士の受験生向けスタバ活用情報~各種値引きとデザイナーズ店舗 https://ikkyu-san.com/starbucks/ https://ikkyu-san.com/starbucks/#respond Thu, 10 Jan 2019 13:00:57 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4154 建築士の受験勉強に適したサードプレイスの紹介。最後は定番のスタバをお得に活用する方法を紹介しよう。同じカフェチェーンのドトールやベローチェより値は張るが、割引をうまく使えばそこまで負担はかからない。

ついでに話のネタに使えそうな、全国のデザイナーズ・スタバにも触れてみたい。

マイカップ割引&100円お代わり

スタバで使える値引きサービスは、マイカップ持ち込みと、ドリップコーヒーのお代わり(One More Coffee)の2つが代表的だ。両者を併用してドリップコーヒーのショートを2杯頼むと、

  • 1杯目280円(マイカップ持ち込み20円引き)
  • 2杯目108円(マイカップ適用なし。メンバーズ以外は150円)
    合計388円(税込)

スターバックスラテのトールサイズ(税込388円)とちょうど同じ価格になる。

スタバの割引利用

ドリップコーヒーは小サイズといえども並々注いでもらえるうえ、他店のコーヒーより味が濃い。無料のハチミツやミルクを加えれば、2杯で十分元は取れる。

スタバを常用するなら、スマホに公式アプリを入れてカードにチャージしておくのは必須だ。リワードポイントがたまればさらに還元率も上がる。

Suicaなど一般的な電子マネーに対応している店舗は少ないので、キャッシュレスで済ますならアプリのカード決済が便利だ。クレジットカードに紐づけて、オートチャージも可能。

大きめのカップを持ち込む理由

自分は無料コーナーの牛乳とハチミツをなみなみ注いで量を増す派なので、マイカップは500ml程度の大容量のものを持ち込む。レジで渡される白いマグカップだと、容量に余裕がなくミルクでかさ上げするのが難しい。

自前の大きめカップにショートサイズのコーヒーを注いでもらうと、あとで底に沈んだハチミツをかき混ぜるのにも便利だ。受験勉強に脳への糖分補給は必須。砂糖よりはハチミツの方が、少しだけ体によさそうに思う。

スタバの無料トッピングコーナー

ちなみにスタバに置いてある牛乳や無脂肪乳には、トランス脂肪酸を含む植物性脂肪が混ざっているとのうわさもある。そのあたりにこだわる人は、何も混ぜずにブラックで飲む方がいいだろう。

ワンモアコーヒーは他店でもOK

ほかのカフェチェーンも、たいていマイカップの持ち込み割引が効く。そしてハチミツを無料でトッピングできるお店としては、タリーズが挙げられる。

こちらもスタバと同じく、「本日のコーヒー」2杯目を割安でお代わりできる。しかし料金は150円。そして「同一店舗」でしかオーダーできないという制約がつく。

これに対しスタバのお代わりは、当日中ならどのお店にレシートを持ち込んでも対応してもらえる。都市部ならいたるところにスタバがあるので、街中の店舗をはしごして気分転換することもできる。

全国のデザイナーズ・スタバ

いちおう建築士受験生向けのネタということで、デザインコンシャスなスタバの特別店舗を紹介しよう。全国的に一番有名なのは、隈研吾設計の大宰府天満宮表参道店だろう。

2011年オープンで近くを通ったことはあるが、まだ中に入ったことはない。昨年、東京駅のギャラリーで展示されていた実寸大モックアップはこちら。

スタバの大宰府天満宮表参道店模型

「地獄組み」といわれる複雑な木組みが、どこまでメインの構造体として機能しているのかわからない。それによって単なるスタバの内装デザインというより、メディアテーク並みの斬新な建築作品ともいえそうだ。

鹿児島、仙巌園の文化財スタバ

同じく九州にあるスタバでおもしろかったのが、鹿児島の仙巌園近くにある有形文化財をリノベーションした店舗。元は100年以上前に建てられた鉱山関係の事務所で、2017年にスタバ化された。

仙巌園の文化財スタバ

内装はオリジナルの雰囲気をとどめつつ、木材や真鍮製の金物を使ってモダンな要素をミックスしている。

仙巌園スタバの2階内部

什器は凝っているが、さすがに何万円もする薩摩切子のグラスでコーヒーは出してくれない。2階建てでキャパも広いため、休日、観光客で混んでいなければ、勉強道具を持ちこんで長居しても構わない。

表に出れば、錦江湾の向こうに桜島の絶景をおがめる。しつこいようだが「遠くに山々が見え景色がよい」というのは、製図試験で見逃せないキーワードだ。これもまたひとつの名峰。桜島の降灰を集めた「克灰袋」の収納用に、大きめのゴミ置場が必要だ。

桜島

さらに鹿児島の湾には、ときどきイルカまで出没する。市内に帰るバスの中で、運転手さんがわざわざアナウンスしてくれて、背びれだけおがめた。

成田空港から鹿児島までは、格安航空のJetstarが飛んでいる。特にセール期間でなくても、閑散期なら片道4千円以下で予約できたりする。近くの霧島温泉で一泊して、黒豚料理でも食べて疲れをいやすのもおすすめだ。

代沢ネイバーフッドのブロック模様

東京都内にあるスタバで建築的にユニークといえるのが、代沢5丁目にあるネイバーフッド。Inspired by STARBUCKSという高級ラインで、「リザーブ」と呼ばれる希少なコーヒー豆を提供してくれる。

代沢ネイバーフッド

店内の内装や家具が通常店舗より凝っていて、手描きの店内設計パースが飾ってあったりする。そしてエントランス脇の花壇に、こっそりフランク・ロイド・ライトが引用されている。

代沢ネイバーフッドのタイル模様

ロサンゼルスの高台にあるエニス邸のブロックと似ているが、比べてみると段差は細かいが掘りが浅い。もっともオリジナルのブロック模様は何種類もあるらしいので、検証は難しい。

エニス邸のタイル模様

2004年撮影

兵庫県の芦屋にある同じくライト設計のヨドコウ迎賓館。こちらもエニス邸とよく似た模様のブロックが一部に組みこまれている。なんとなく両者をリミックスしたようなスタイルに見えなくもない。

ヨドコウ迎賓館

2001年撮影

一部の建築愛好家、もしくは『ブレードランナー』や『ブラック・レイン』が好きな映画マニアを惹きつけるアイコンとして、効果的に使えるテキスタイルブロック。学科試験にこんなトリビアが出るとは思えないが、ちょっとした話のネタにはなる。

リザーブのコーヒーは高いわりに、味の違いがよくわからない。スタバのインスパイア店はアルコール類も提供しているので、勉強や打合せからそのまま打ち上げという流れでも使える。

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資格試験の勉強がはかどるシェアハウス・シェアオフィス活用法 https://ikkyu-san.com/share/ https://ikkyu-san.com/share/#respond Thu, 10 Jan 2019 11:00:19 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4150 一級建築士の受験勉強がはかどる環境として、シェアハウスやシェアオフィスも推奨できる。契約料金は割高になるが、街中のカフェよりは環境や設備がいい。場合によっては同居人から仕事を紹介してもらえたり、のちのち仕事の面でもメリットが期待できる。

勉強の緊張感を保つ工夫

勉強場所を家の外に移す目的として、「他人の目があり、適度に緊張感を保てる」という利点がある。図書館はともかく、スタバで鼻をくそほじったり、靴下を脱いでくつろいだりするのは憚られる。

あるいは家族やペットに邪魔されず、仕事や家事から頭を切り離せるというメリットもある。仕事を休んで100%試験に集中できる受験生は稀だろう。「いかに効率よく、集中できる学習時間を確保するか」というのが、合格に向けた最初の課題といえる。

コーポラティブ/コレクティブハウス

自宅、職場、カフェや公共施設を3つの居場所カテゴリーとすると、その中間領域に位置づけられるのがシェアハウスとシェアオフィスだ。考え方によっては、空間・設備を他人とシェアする目的以外に、効果的な学習スペースとして活用できる。

学科試験・計画分野の過去問として、2011年オープンの「りえんと多摩平」というシェアハウスが出題されたことがある。似たようなコーポラティブハウス、コレクティブハウスという用語も頻出だ。

他人との共同生活を前提とした集合住宅は、約100年前に北欧で始まったとされる。炊事・洗濯はともかく、便所や風呂まで共有するのは敷居が高かったと思われる。近年、経済的メリットやコミュニケーションを重視したルームシェアの延長として、ようやく普及してきた感がある。

シェアハウスを借りる

未婚単身者の世帯が増えるにつれて、需要が減った集合住宅をシェアハウスにリノベーションする案件はどんどん増えるだろう。受験勉強の期間だけでも、ためしにシェアハウスに住んでみるか、郊外の安い物件を借りて2拠点居住を試してみると参考になる。

シェアハウスの規模はまちまちだが、数10人暮らせるような大型の物件はたいてい共用スペースが充実している。ラウンジや勉強部屋に平行定規を持ち込んで、作図の練習をするのがおすすめだ。ヘッドフォンで音楽を聴きながら作業すれば、まわりの雑音も気にならない。

シェアハウスで作図練習

逆に、昨年サブリースの破たんで話題になった「かぼちゃの馬車」系の格安物件は避けた方がいい。同じシェアは数を名乗っていても、パブリックスペースが貧弱だと同居人の交流も生まれない。

シェアハウスは「住人同士のコミュニケーションが付加価値」と考えられている。そのため、個室は狭くても賃料がまわりの相場より高かったりする。ユーザー層としては20~30代が中心。今どきはフリーランスとサラリーマン、外国人、学校の先生などいろんな人が住んでいて、もはやギークやヒッピーだらけの無法地帯ではない。

シェアオフィスを借りる

同じくシェアオフィスというサービスも受験勉強に有効活用できる。基本的にデスクの場所貸し、WiFi・電源インフラやフリードリンク程度のサービスなので、場所によっては月額数千円から契約できる。

カフェや公共施設をはしごしてもよいが、定位置で勉強を習慣化したいなら、通いやすい場所にあるシェアオフィスを借りるのもありだ。あるいは予備校に通っているなら、授業のない日に自習室を活用するのもいい。

全世界チェーンのリージャス

ローカルなシェアオフィスはあちこちに出現しているが、メジャーなサービスとしてはリージャスが挙げられる。場所によって席数に限りはあるが、安定したWiFi環境と無料のコーヒーを利用できる。

リージャスの教養スぺース

まわりはもっぱら仕事で利用する人ばかりなので、街中のカフェやイケアのように騒々しいことはない。常連になると、受付のお姉さんが差し入れのケーキを持ってきてくれたりすることもある。

最近はリージャスの拠点が増えて、東京だけでも100件くらい存在するのではないかと思う。毎日場所を変えつつ移動すれば、マンネリ化を避けられる。たとえば新宿だと、パークタワーの高層階にあるビジネスセンターはキャパが広い。ターミナル駅の周辺だけで5個くらいオフィスが存在する。

ちなみに昔は、ダイナースクラブカードの無料オプションでリージャスのゴールドカードをもらうことができた。

リージャスのゴールドカード

シティバンクのリテール撤退にともない、真っ先に廃止されてしまったのが残念だ。会員だった期間は博多から仙台まで、全国にあるオフィスや会議室をテンポラリーに利用させてもらった。

勉強以外にも使える

ゴールドメンバーは、自腹で月数千円払っても加入する価値のあるサービスだと感じた。以前はエリアを絞った格安プランでラウンジだけ利用できたが、最近ルールが変わってメンバーシップの料金は値上がりしたようだ。

物静かな作業環境として、建築士の勉強にも適している。プリンターやコピー機を利用できるのも、カフェにはないメリットだ。

特にフリーな職業なら、地方の出張先でもラウンジを借りて作業できるのがありがたい。有料オプションで会議室を借りれば、クライアントやパートナーとの打合せに活用できる。

仕事を紹介してもらえるかも

外回りや出張の多い職種の人なら、全国チェーンのシェアオフィスは有意義に活用できると思う。あるいはローカルなオフィスに拠点を定めて、同居している士業の人やデザイナーさんと交流も深めるのもいい。

フリーな人はお互い仕事を融通し合う風潮があるので、建築士も近くにいると重宝される。逆にウェブやDTPのデザイナーがまわりにいれば、設計がらみの関連業務をお願いできる。

そういう目的なら一般的なビジネス向けシェアオフィスより、みどり荘や世田谷ものづくり学校のようなクリエイティブ系施設の方が向いていると思う。シェアオフィスも数が増えて、すみ分けが進んでいる。

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受験生スクウォッターに占拠され、予備校と化すイケアのレストラン https://ikkyu-san.com/ikea/ https://ikkyu-san.com/ikea/#respond Thu, 10 Jan 2019 10:00:43 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4142 せんだいメディアテークに引き続き、自宅の外でも建築士の受験勉強がはかどる穴場を紹介しよう。出店エリアが限られるので万人向けではないが、もし近くにイケアがあれば、上階にあるレストランがたいへん役に立つ。

イケアのレストラン

JR仙台駅から一駅南の長町駅前にあるIKEA仙台。2014年にオープンした東北初イケアで、家具売り場の規模はそれなりだが、レストランを単独利用できる。

関東圏をはじめ、全国にあるイケア共通のファシリティーとしてレストランの利用価値はあなどれない。特に飲み放題のドリンクバーが激安であることは、ノマドワーカーに広く知られている。1階に売り場がある80円ホットドックや50円ソフトクリームは目立つが、イケアで安いメニューはそれだけでない。

最近割引サービスが廃止されてしまったが、以前はイケアファミリーに無料で入会すれば、平日60円でドリンク飲み放題だった。現在は「11時までに入店すればドリンク無料」。それ以外の時間帯は、メンバーカードの有無を問わず100円に設定されている。

料理はまずい

早朝は99円の無添加(=具がない)カレーなど、特別メニューも出ている。

イケアの無添加カレー

それ以外の料理は、たいして安くないうえに、はっきり言ってまずい。しょっぱすぎるサーモンに、水色のスウェーデン国旗色ケーキ、夏にはザリガニなんてゲテモノまで出てくる。

イケアのザリガニプレート

むしろ今の日本で、ここまでまずい物を食べさせてくれるスポットとして貴重。罰ゲームや眠気覚ましには使える。

ドリンクも当たり外れあり

ドリンクバーのコーヒーのクオリティーは、コンビニ店頭にあるマシンと同程度。専門店にはかなわないが、ガストのドリンクバーよりましだろう。お客さんの回転が速いので、注意しないとネタ切れでお湯しか出てこないこともある。

イケアのドリンク

ソフトドリンクのコーナーにある「ノルディックウォーター」は、激マズなので注いではいけない。日によって当たり外れが多く、味が薄すぎるのは調合を間違っていると思う。コーヒー以外なら、炭酸水やコーラ、なっちゃんあたりが無難だ。

とことん長居してもOK

イケアのレストランが勉強向きなのは、やたら広くて席が多いうえに、何時間粘っても何もいわれないからだ。

慣れてくれば、朝から無料ドリンクバーだけ頼んで夜まで過ごせる。疲れたら寝室コーナーのベッドで仮眠を取ったり、ポエングのロッキングチェアでびょんびょん跳ねてリフレッシュできる。

イケアの仮眠スペース

売り場のオープンなスペースは目立つが、ところどころ死角になった家具展示スペースが穴場だ。奥まった位置にある子ども部屋の2段ベッドなど、めったにお客さんも来ないので寝ていてもばれない。

イケアに住む

あまりに快適すぎて、一時は「イケアに住んでいる」といえるくらい毎日過ごしていた。家にいるより快適だし、早朝無料のドリンクバーと99円カレー、ホットドックだけ食べれば、1日の食費は300円くらいで済む。

しかし上には上がいて、毎朝窓際の特等席を確保して、オフィスとして使っている先輩もいる。イケアに電源はないがWiFiは完備されており、1時間おきに再接続が必要になるスタバのネット環境より安定している。

イケアの予備校化

そして興味深いのが、放課後に高校生がレストランに押し寄せ、「イケアが予備校化している」という社会現象だ。ちょうど今頃、正月明けから春先に向けてがピークだが、平日の夕方過ぎはレストランの半分以上、100人くらいの高校生で占拠されるときがある。

イケアにたむろう高校生

ファミリー会員でなくても100円でドリンク飲み放題。そしてWiFi・冷暖房完備で長居しても文句を言われないとなれば、安めのマクドナルドやモールのフードコートより快適。味を占めた高校生たちが、制服姿のままイケアに大挙して押し寄せる風景が日常化している。

なかには無料のネット環境を生かして、スマホでゲームにいそしんでいるグループもいる。そしてたいていの高校生は大人しく、運営サイドや他のお客さんと共存できている。修学旅行のように、パイ投げして騒ぐ子どもたちはいない。

シェアオフィスをやればいい

土日は家族連れでレストランが混雑するため、「長時間利用禁止」の札が置かれていることもある。それでも奥の方のテーブルはフリーなので、早めに入店すれば曜日を問わず陣取れる。

イケアの注意書き

平日の空いている時間帯なら、ひとりで4人掛けテーブルを確保して、各教科のテキストや法令集を広げても迷惑にならない。さすがに製図の練習で平行定規を持ち込む度胸はなかったが、スペース的には許されそうな範囲だ。

ある意味、空き家占拠のスクウォッティング活動とも似た、受験生のIKEAハック。そのうちイケアが開き直って、レストランで教育サービスとか、シェアオフィス事業を始めるのではないかと思う。

有料で電源付きブースとか、プリンターやコピー機を貸してもらえるだけでもありがたい。ついでにチェアやデスクなどオフィス家具の宣伝も兼ねられる。

高校生を野放しにしているのも、今のうちに餌付けしておいて北欧センスに洗脳する、広報活動の一環かもしれない。

地熱利用の空調設備

イケアの内装は基本的に天井がなく、丈夫の設備機器がむき出し。照明・空調機器の設置状況や、PS/DSダクトルートを直接観察できる。

イケアの空調設備

表からは見えないが、福岡店などでは地中熱利用や外気冷房が積極的に導入されている。店内を見渡してもパッケージ型のエアコンしか見えないが、裏では空冷式と、地中熱利用の水冷ヒートポンプを組み合わせて温度調整しているらしい。

公開されている資料を読む限り、雨水利用・太陽光発電・全熱交換器など、製図試験の記述で使えるアイデアが満載だ。むしろ、これだけ天井の高い大空間を効率よく空調するために、工夫せざるを得なかったのだろう。環境への配慮というより、ランニングコスト削減の目的が大きそうに見える。

イケアの店内をくまなく観察してみれば、ほかにもユニークな設備機器が見つかるかもしれない。勉強に疲れたら、一通り売り場を歩くだけでも1kmくらいウォーキングできる。

食事・休憩・エクササイズの要素をバランスよく兼ね備えたイケアのレストラン。もし近所にあれば、毎日通いたいくらいおすすめの自習スポットだ。

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建築士の受験に役立つ「普通じゃない」勉強場所~メディアテーク https://ikkyu-san.com/media/ https://ikkyu-san.com/media/#respond Thu, 10 Jan 2019 09:00:32 +0000 https://ikkyu-san.com/?p=4130 長くてつらい建築士の受験勉強。自宅の外でも通勤中、トイレの中など、すきま時間を生かして暗記に精を出していると思う。飽きてきたら、ときどき変わった場所で勉強してみるのも効果的だ。気分転換に役立った学習環境をいくつか紹介しよう。

街中のカフェや図書館というのは、よくあるバターン。もちろんそれらも有効だが、せっかくなのでちょっと変わった場所を取り上げてみたい。

基本的には学科の勉強向けだが、製図の期間中も答案例を1/400スケールで模写したり、課題をエスキースするには役立つ。これらの作業はA4程度の方眼用紙さえあれば、平行定規がなくても十分間に合う。

せんだいメディアテーク

建築士の試験なので、有名建築のパブリックスペースで勉強してみるのも一興だ。意匠系の学生には、「卒業設計日本一」の会場としても知られている仙台のメディアテーク。業界ではあまりにも有名なので、わりと新しい作品だがいち早く学科試験の計画分野に出題された。

以下は普段あまり見ることのない、裏通りから撮った写真。3階より上にポコポコついているバルコニーは、施行令126条の6に定められた非常用進入口だろう。

せんだいメディアテークの裏側

ただし裏口からアプローチすると、EV・エスカレーターへの動線が長く、後述の「席取り合戦」には不利となる。

構造的な見どころ

メディアテークは伊東豊雄の設計で2001年に完成。国内にある現代建築として名高く、海外からこれ目当てに訪れる観光客も多い。

独特なチューブ状の鉄骨シャフトと、薄いスラブで躯体が支持されている。むしろこの独特な構造を見せるために、全面ガラス張りのシンプルなキューブ形状が採用されたともいえる。

せんだいメディアテークの内部構造

構造設計は佐々木睦郎。そして鉄骨・プレートの加工は高橋工業という技術者集団。彼らの施工は、気仙沼のリアス・アーク美術館(石山修武設計)や、塩釜の菅野美術館(阿部仁史設計)でも見ることができる。もはや建築というより造船に近い溶接技術だ。

メディアテークは表層的なデザインというより、チューブや極薄スラブの構造にインパクトがある。外観やプランの他にも見どころが多く、それが建築業界で広く知られている理由と思われる。

こんなハイセンスな空間で勉強したら、モチベーションが上がること間違いない。そして3~4階にある仙台市民図書館の閲覧席が、自主学習の穴場なのだ。

図書館フロアの電源付き閲覧席

図書館フロアは2層になっており、奥側1/4くらいが職員専用の管理ゾーンになっている。その上が参考資料・郷土資料の地味なコーナーで、ここの閲覧席が吹抜けを見下ろせて眺めがいい。そしてデスクに電源が備え付けられている。

せんだいメディアテークの勉強スペース

施設自体は朝9時開館だが、図書館は10時オープン。そのため、9時過ぎからその下の2階エスカレーター付近に順番待ちの行列ができる。ここで20人以内に並ぶことができたら、電源付きの特等席をゲットできる可能性がある。

もし電源席に間に合わなくても、下階のオープンデスクはキャパが広いので、そちらに座れる。

せんだいメディアテークの閲覧スペース

別にテキストやノートを開いて勉強するだけならコンセントは要らず、下の方がテーブルも広くてはかどるかもしれない。

謎の開館時間差と待ち時間

10時までの待ち時間、特に椅子もベンチもないので、みな地べたに座って待っている。目の前に雑誌と新聞コーナーがあるが、2階のライブラリーも10時オープンなので立ち入ることができない。

せんだいメディアテークの利用時間

共用スペースに置いてあるフリーペーパーのクオリティーが高いので、暇つぶしに収集してみるのもおすすめだ。さいわいトイレはすぐ近くにある。

せんだいメディアテークの内部

なぜ施設とフロアの開館に時間差があるのかわからない。エスカレーター反対側の会議室では、すでにミーティングをしていたりする。9時開館とは単に職員の始業時間なのかもしれない。

東北の寒空の下、利用者を館外で待たせるのは気の毒なので、1時間早く中に入れることにしたのではないかと推測している。特に雨の日はエントランスの庇が狭いため、館外に傘を差した行列ができてしまう。

利用者/管理ゾーンの分析

メディアテークの公式サイト、「施設・設備のご案内」のページに各階のプランが詳しく出ている。図面と実物を照らし合わせてゾーニングと動線を確認すると、製図試験のエスキース練習にも役立つ。

待ち時間に館内の入れるところをくまなく探検すると、エスカレーターの途中で施設の裏方を見学できたりする。建物内の普通は見せない部分も、差支えなさそうなところは積極的に公開されている。

たまたま1階中央のオープンスクエアをパーティションで区切って、一般企業の展示会が行われていた。ガラス越しに、北西側の搬入ヤードとサービス用のエレベーターを確認できる。

せんだいメディアテークの管理ゾーン

ウェブサイトに掲載されているプランの黒地部分が、構造コアと管理ゾーン。階ごとにあえて位置をずらして、利用者と管理者の境界を流動的に見せる工夫が行われている。

基本的に裏通りの北側がサービス寄りだが、最上階の7階は中央部に管理機能やトイレを集約させている。眺めのよい建物周辺部をラウンジやスタジオに割り当て、利用者に開放する狙いだろう。こういう配慮はぜひ製図試験でも生かしたい。

そのほか仙台の見どころ

仙台に旅行するなら、宿は国分町入口にオープンした9hというデザイナーズカプセルホテルがおすすめだ。駅からは少し離れているが、街の中心部に位置するので、メディアテークや観光名所に足を伸ばしやすい。

仙台のナインアワーズ

仙台の市街地はそれほど広くない。西に見える青葉城の本丸跡までウォーキングしたり、竜ノ口渓谷を渡って八木山方面にも足を伸ばせる。南の太白区にある、「地底の森ミュージアム」(坂倉建築研究所設計)という歴史博物館もおすすめだ。

岐阜のメディアコスモス

ちなみに同じく伊東豊雄の建築作品で、岐阜にあるメディアコスモスも受験勉強に使える。スタバとコンビニが併設されているので、休憩にも便利だ。

岐阜のメディアコスモス

仙台と同じく2階が市立図書館になっていて、あちこちに自習スペースがある。こちらは明らかに高そうなデザイナーズ家具ばかりで、メディアテークより什器のグレードは上。

岐阜のメディアコスモス内部

メディアコスモスは2015年の開館で、そろそろ学科試験にも出題されそうな予感がする。実作の見学と目の保養も兼ねて、たまに有名な公共施設で建築士のテキストや法令集を開いてみるのもおもしろい。

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