学生時代によくそのまま食べていた「ふえるわかめ」について思い出を語ろう。
あらためて調べるとワカメの食べ過ぎはヤバいと知った。「ダイエットのために乾燥ワカメを食べまくる」とかいうのは、ちょっと待った方がいい。
ふえるわかめとは
スーパーで売っている乾燥ワカメ。
「ふえるわかめ」はリケンの商標で、正式には「ふえるわかめちゃん」と呼ばれる。
水で戻すだけでおかずになる便利な食材だ。
そのまま味噌汁やラーメンに振りかけるだけで、見た目も栄養も簡単にグレードアップ。普段料理をしない人でもインスタント食品にワカメを混ぜれば、手軽に食物繊維やミネラル・ビタミンを摂取できる。
乾燥状態ではコンパクトなので、無駄に場所を取らないのもいい。
賞味期限も長いので保存食として使える。生ワカメは数日しか持たないので、ひとり暮らしなら乾燥バージョンの方が圧倒的に使いやすい。
ワカメ産地による価格の違い
「ふえるわかめちゃん」には国産と韓国産があり、微妙に値段が違う。
大きなイオンに行けば、プライベートブランド・トップバリュの「カットわかめ」(中国産)も売られていたりする。
日本産>韓国産>中国産の順にグラム当たりの単価が安くなるという、わかりやすい価格設定だ。
最上級では三陸産でかつ厚葉だけ選んだ「プレミアム」という製品もある。価格は中国産の3倍以上するので、おいそれと手を出せるものではない。風味を気にするなら素直に生ワカメを買った方がリーズナブルといえる。
普段はいちばん安い中国産のカットわかめを愛用している。今回はネタのため、たまには良いものを使ってみようと韓国産の「ふえるわかめちゃん」を買ってみた。産地によって味の違いがあるのか確認してみたい。
貧乏学生のお供は乾燥ワカメ
貧しい学生時代、生活費の中で手軽に節約できるのは飲食関連だった。昼食はコンビニで売られている巨大菓子パンのスイートブールで済ませ、夕方から飲食店の厨房で働けば「まかない」を食べさせてもらえる。
家で自炊するときは200円の5袋入りインスタントラーメンが主食。これに納豆や煮干しを入れて栄養バランスをとれば、一食あたり50円くらいでそこそこ満足できる。
そのうち肉や野菜も刻んで入れるようになり、やがて味噌も溶かすようになった。今は体に悪そうなラーメンをやめて、味噌煮込みの闇鍋を毎晩続けている。
安い食材を鍋で煮込んで、そこから直に食べるというスタイルは20年経っても変わっていない。自分用なら味も見た目もこだわらないし、洗い物も少なく調理時間も短く済んで合理的だ。
そうして具材として長年愛用してきたのが「ふえるわかめ」シリーズ。
乾燥ワカメをそのまま食べる
ある日、袋入りラーメンの在庫を切らしてしまい、家にめぼしい食材がなくなった。ふと思いついて乾燥ワカメをそのまま食べてみたところ、これがわりといける。
スナック菓子より塩気が濃いが、噛みごたえがあり腹にたまる。胃の中でみるみる膨らんで、空腹感をまぎらわしてくれそうだ。カロリー的には微々たるものだが、ミネラルやカルシウムを含むので体にもいいはず。
どうせ腹に収まれば一緒だから、水で戻さずそのまま食べた方が手っ取り早い。あまり食べ過ぎると口の中がヒリヒリしてくるが、「健康的なスナック菓子」と考えれば悪くない。
そうして小腹が空いたときは、乾燥ワカメをつまんで食べる習慣が身についた。
増えるワカメを直接食べる危険性
乾燥ワカメの利用法を調べると、酒のつまみにそのまま食べている人もいるようだ。ダイエット目的の人に、ローカロリーな食材として勧められていたりもする。
なかにはふえるわかめを一気食いして吐くとか、アホみたいな動画を投稿している人もいる。
一発芸としてはありだが、せっかくの食材がもったいない。他人が口から戻したわかめなど、あえて食べたい人もいないだろう。
胃破裂・腸閉塞・パセドウ病のリスク
増えるワカメを直接食べると「内臓が破裂する」「腸閉塞で死ぬ」という危険があることもわかった。海藻類の食べ過ぎはヨウ素の摂り過ぎで「パセドウ病になる」おそれもあるらしい。
そう考えると若い頃にワカメを食べ過ぎたのは誤りだった。胃や腸を詰まらせずに済んでよかったと思う。
どうせ死ぬならワカメよりもっとましなものを食べて死にたい。
乾燥ワカメのパッケージに書かれた調理法を読むと、「重量比で10倍以上にふえます」と赤字で警告されている。
水を吸収して「ちょっと膨らむ」程度ではない。短時間で10倍以上に膨張するのが、ふえるわかめが凶器となりえる理由だ。
世界のどこかに乾燥ワカメをトリックに使った推理小説が存在するのではないだろうか。ふえるわかめで殺人や拷問が行われたとしても、おかしくない気がする。
乾燥ワカメの変化を検証
購入した韓国産のふえるわかめを使って、水で戻すとどのくらい増えるのか試してみた。
水を張ったお椀にワカメをひとつまみ入れると、こんな感じ。
5分経つと爆発的に増えた。
ビフォア・アフターの写真を見比べると「10倍以上」という表現はあながちウソでないとわかる。
その昔あまりにワカメを愛するあまり、増える様子をビデオカメラで撮影したこともある。早回しすると生き物のようにピクピク動いて、増殖しているように見えるのがおもしろい。
映像作品として人に見せてまわったが、たいしてウケなかった。
ちなみにワカメの栄養素には水溶性の成分も含まれるので、戻した水はそのまま調理に使った方が無駄がない。同時にワカメの塩分も溶け出してしまうが、キノコと一緒で事前に洗わない方が風味を保てると思う。
ワカメを直接食べてもおいしくない
久々に乾燥状態のワカメをそのまま食べてみた。
塩気の強い固まりという感じでゴワゴワして食べにくく、たいしておいしいとも感じなかった。中国産でも韓国産でも、まったく味は変わらないように思う。
大人になって舌が肥えたのかもしれない。あえてそのまま食べるなら、酢昆布くらいしっかり味の付いた海藻を選びたい。
自己流ダイエットに注意
世の中には乾燥ワカメを食べ過ぎて、病院に担ぎ込まれる人もいることだろう。
もし頻繁に死人が出るようなら、こんにゃくゼリー窒息死のように社会問題になっていてもおかしくない。そこまで話題にならず、商品パッケージでも警告されていないということは、あえて体を壊すほどワカメを食べまくる人もいないと思われる。
調理が面倒ならそのまま食べることも不可能ではない。しかしあらためて考えると常食したいほどの味ではない。どちらかというと罰ゲームに近い体験だ。
自己流のダイエットや空腹解消法というのは、ときに危険をはらむことがある。ふえるわかめの食べ過ぎには注意しよう。