スマホでゲームを楽しむ際、画面が小さくて見にくいことがある。ディスプレイのサイズが1インチ違うだけで、操作の快適さはぐっとアップする。
ゲーム用には大画面・ハイスペックのスマホが向いているが、中古の白ロムでもスペックに比例して相場価格は上がる。画面の大きさ・操作性でいえば、パソコンのモニターに画面転送した方が安上がりといえる。
スマホ買い替えよりPCへの画面転送
スマホの画面をPCに転送するには「ミラーリング」という方法がある。さらにソフトを選べば、PC側のマウスやキーボードで操作することもできる。
ロマンシングサガ リ・ユニバースをしばらくプレイしていると、PCに画面転送した方が目や首が疲れにくいとわかった。スマホは指先で操作できるのが便利だが、長時間続けていると腕が痛くなってくる。PC画面にミラーリングすれば、横で攻略サイトを見ながら遊べる利点もある。
以下の内容はWindows 8.1 ProとAndroid 7.0(Sony Xperia Z5 Compact SO-02H)の環境でテストした。Z5 Compactは2015年発売のスマホなので、スペック的にはぎりぎりというライン。
一応ロマサガRSもミラーリングアプリも同時可動できたが、コマ落ちやフリーズが目立った。ミラーリングの場合はPCに比べてスマホ側の性能がボトルネックになると思う。取り組むならそれなりに処理能力がある端末を用意した方がベターだ。
ミラーリングかエミュレ―ションか
スマホのゲームをパソコンでプレイするには、大きく分けて2つの方法がある。
- ミラーリング…スマホの画面のみをPCに転送
- エミュレーター…PC内の疑似環境でスマホの処理を再現
今回は基本的にスマホ側でデータを保持したいので、ミラーリングの方法について説明したい。エミュレーターも便利な面はあるが、スマホアプリと併用する場合はうまくデータ連携できないリスクがある。
→エミュレーターのNoxで、アカウント連携まで問題なく行えた。
NoxPlayerやBlueStacksというソフトはエミュレーターに該当する。ミラーリングソフトと説明が似ているのでまぎらわしい。もしダウンロードするファイルが数百メガバイトもあったら、それはエミュレーターの方だ。
ApowerMirrorとVysor
ミラーリング用のアプリとしては、2019年1月現在ApowerMirrorとVysorの2つが定番といえる。基本機能は一緒だが、どちらも使い方や機能に特徴がある。たいした意味はないが、両ソフトを同時起動して2画面で鑑賞もできる。
特にPC側で凝った操作をしないなら、Vysorの方がシンプルでおすすめだ。一方、画面内の任意領域にキー操作を割り当て、マウスでなくキーボードで定型操作を繰り返したいなら、ApowerMirrorが適している。
両ソフトに必要な事前準備と、Vysorの使い方について説明したい。ApowerMirrorのレビューはこちら。
事前準備:USBデバッグをオン
どちらのミラーリングソフトも、PC側から操作する場合はUSBで直差しする必要がある。ApowerMirrorならWiFi接続もできるが、その場合は画面転送だけでPCのマウスやキーボードで操作できない。
USBケーブルでPCにつなぐ前に、スマホ側の「開発者向けオプション」で「USBデバッグ」をオンにしておく必要がある。もしメニューに「USBデバッグ」が出ていなければ、端末情報>ビルド番号を数回連打して有効化できる。
普段アプリ開発をしていない人にとっては不可解な操作だが、root化やJailbreakほど怪しげなものではない。もし他のアプリ動作に支障が出たら、オフ状態に戻せる。
Vysorの使い方
VysorはChromeのアプリとしてウェブストアからインストールする。Chrome上でアプリを起動してUSB接続。スマホ側の画面で「ファイルの転送(MTP)」を選び、Vysorの「Find Devices」ボタンを押すと、接続された端末がリストアップされるので、リクエスト許可して選択する。
オプションはデフォルトのままでいじる必要はない。フルスクリーン表示や画質向上、各種便利機能を使うには月額2.5ドル~のプロ版契約が必要になる。
ミラーリングして画面内をマウスクリックしたいだけなら、無料アカウントで問題ない。
画質はよくない
VysorもApowerMirrorも、コマ落ちや表示の遅延がたびたび見られた。しかしVysorの方はアプリ自体が落ちるトラブルは少なかった。元の転送レートを絞ってあるのか、スマホの転送画面はノイズが多い。そしてApowerMirrorよりデフォルトでやや拡大表示されるので、さらに荒れが目立つ。
処理スピードが追い付かないときは、画質をさらに落として間に合わせるようだ。低スペックのスマホだと、見た目はかなり厳しくなる。
自動クリックツール「連打くん」
PCに画面転送すると、別のツールと組み合わせて同じ部分を自動クリックさせることができる。VysorやApowerMirrorにそうした機能はそなわっていないが、無料ツールがいくつか出回っている。
とりあえずいくつか試したなかで便利だったのは「連打くん」。ソフトを立ち上げた状態でF9キーを押すと、現在のマウス位置を連続クリックしてくれる。F10で設定解除できるが、感度が鈍いので数秒F10キーを押しっぱなしにした方がいい。
自動クリックの時間間隔は、初期設定で10ミリ秒になっている。これでも周回プレイに支障はないが、戦闘終了後のドロップアイテムを確認したりするには1秒くらい(連打くんに1,000と入力)に延ばした方が便利だ。
使い方はシンプルだが、動作中にうっかりマウスに触ってしまうとカーソル位置がずれてしまう問題がある。気になる場合は、画面内の座標を直接指定できるほかのツールを使った方がいいだろう。
ロマサガRSへの適用例
ロマサガRSの場合は、戦闘終了後の「再戦」ボタンを押し続ける設定にすれば、周回プレイが楽になる。位置的には戦闘時「通常AUTO」ボタンのやや左側。ここを一定間隔で連打するようにしておけば、スタミナの続く限り連戦できる。
途中でプレイヤーのランクがアップしても、OKボタンは画面内のどこでもタップで対応可能。スタミナ切れして補給する場合のみ、設定解除して手動操作が必要になる。
ある程度スタミナを溜めた状態で、ランクアップ直前から自動クリックをスタートさせると効率的だ。慣れてくれば、予定の周回時間やバトルの必要スタミナ数に応じて補給量を調整できるようになる。
課金してジュエルやスタミナ回復剤を大量保有していなければ、普段はスタミナ消費が気になって自動周回させるにも限界がある。しかし2019年1月16~21日の期間限定で行われた「財宝の穴」イベントでは、スタミナ補給アイテムの消費量より獲得量の期待値が上回る状況だった。
「時間の許す限り戦闘回数を重ねた方が有利」というイベントでは、この手の自動クリックツールが威力を発揮する可能性がある。その間、スマホとPCが使えなくなるというデメリットはあるが、「数分おきに再戦ボタンを押す」という苦行からは解放される。
ツールの適用は自己責任で
画面のミラーリングはともかく、自動クリックツールの導入は反則なのだろうか。
この手の自動ソフトウェアを利用するのは、ゲームの利用規約で禁止されている。キャラの育成ははかどるが、運営元に不審と思われたらアカウントを停止されるおそれがある。適用するのは、あくまで自己責任でという話題だ。
エミュレーターを使えばもっと高度なマクロも活用できるが、こちらはさらにグレーな領域になる。個人的な趣味の範囲で周回を効率化するくらいは許されそうだが、お金を払ってまでチートツールを導入するのはリスクが高い。