登記簿謄本~法務局に行かずにオンライン申請・郵送なら100円引き

小規模企業共済に再加入するには、合同会社の登記簿謄本が必要になる。中小機構のウェブサイトでは、発行後3か月以内の縛りがあった。銀行窓口の申請手続き後は返却されるので、せっかくなら他の用事で謄本を使い回せると手数料のロスがない。

管轄法務局が遠い人には便利

管轄の法務局までは電車で5駅…自転車で行けないこともないが、ちょっと遠い。都心はともかく、田舎だと中核市が広大な範囲をカバーしているので、ちょっとした手続きでも半日がかりの作業になる。

せっかく法務局の印鑑カードはつくったので、市役所やコンビニで手軽に発行してもらえるようにならないだろうか。同じ謄本でも、戸籍謄本の方ならマイナンバーカードでコンビニコピー機から出せるようだ。

しかも窓口で申請すると、1通600円の印紙代が必要になる。これも馬鹿にならない金額だ。何とか安く工夫できないかと調べたところ、オンラインで取得申請すると100円引きの500円で済むことがわかった。

謄本のオンライン申請が存在することはうすうす気づいていたが、郵送で送って来る分、送料が高くつくに違いないと思い込んでいた。例のe-Taxのように、申請自体も恐ろしく面倒だろう。

しかし郵送してもらった方が逆に安くなるなら、試してみる価値はある。今回は急ぎでないので、法務局のウェブサイトで調べながらオンライン申請を試してみた。

登記ねっとのアカウント作成

まず申請先のウェブサイトに辿り着くまでが苦労する。「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」のサイトから、「かんたん証明書請求」のログインページを立ち上げる。法務局のリンクからだと、使い方説明のページや「体験コーナー」にばかり案内されて、なかなか目的のログインページを開けない。

ためしにe-Tax用ソフトの申請者IDとパスワードを入れてみたが、これとは別のIDで管理されているようだ。新規アカウントを作成しようとすると、「※1年間ご利用(ログイン)のない申請者IDは無効となります。」と書かれている。

もしかすると以前つくったかもしれないが、1年以内に利用した記憶がないので、無効化されているとみなして新しく登録し直した。

パスワードは英数字に記号も混在必須。なかなかフォームが通らないと思ったら、入力した申請者ID自体が別の人とかぶっているらしい。もしかすると無効化された過去のIDが邪魔しているのではと思いつつ、仕方ないので別のIDで登録した。

これでうまくいったか?というところで「複数のタブが開かれている」エラーで振り出しに戻された。どうやらブラウザがChromeだとよろしくないらしい。大人しくIEを立ち上げて最初から操作し直すと、すんなり通った。以下の操作もすべてIEで行っている。

かんたん証明書請求の手順

ログインすると、法務局に置いてある発行機と同じ感覚で、都道府県~会社名から謄本を取り寄せできる。法人番号は覚えていなくても、自治体・会社名で容易に検索できるので大丈夫だ。

証明書は「全部事項(謄本)」と「履歴事項証明書」がデフォルトで選択されているので、このままでOK。通数だで1と入力して次へ。

請求者名や住所は先ほど登録した情報がそのまま入力されているので、いじる必要はない。交付方法は郵送、オプションで書留・速達もしていできるが、その分は手数料に上乗せされるようだ。

処理状況紹介の画面に電子納付の案内がなく焦ったが、以下のように記載されている。

「納付」ボタンが表示されない場合は,少し時間を空けて,画面上部の「処理状況照会」ボタンをクリックしてください。

そのまま1分くらい待って上のメニューから「処理状況紹介」のボタンを押すと、表の右側に「納付」ボタンが出現した。

これを押すと電子納税の手続きページに遷移する。

ゆうちょ銀行サイトから電子納付

次のページで「インターネットバンキングを利用して納付~電子納付」をクリックすると、支払先の金融機関を選べる。とりあえず以前もペイジーで毎月社会保険料を納めていた、ゆうちょ銀行を選択。

するとゆうちょダイレクト側のログイン画面に移動し、いつもどおり番号とパスワードを入力。普段使っていないIEからのログインだからか、合言葉への回答が2つも必要だった。

金額は想定通り500円で、手元のミニ電卓からトークン生成して払い込み。このあたりは普段の給与振込と同じで迷うことはなかった。ペイジーのように払込用の番号入力も不要だった。

手続終了って…

しばらくすると、登記・供託オンライン申請システムのsis-infoから、「手続終了となりました」というタイトルのメールが届く。思わずエラーでリジェクトされたのかと疑ったが、処理状況紹介すると「納付済み~手続終了」となっていたので、問題なく受理されたという意味だろう。

平日の午前中に手続したが、もしすぐに発行・郵送してくれるなら、近隣自治体なので明日にでも届きそうな気がする。速達オプションなしの場合、どのくらいの日数で受け取れるのかは追ってレポートしたい。

※ 普通郵便でも翌日の夜には届いた。数時間でも早く入手したいとかでなければ、わざわざ速達を選ばなくてもよさそうだ。

公告方法が官報になっていた

久々に自社の謄本を眺めていて、「公告をする方法」が「官報に掲載する方法により行う。」となっているのに気づいた。以前の株式会社のときは、ここを電子公告にしてURL記載していたと思うのだが、今回の合同会社はなぜ官報を選んだのだろう。

記憶が定かでないので調べてみたところ、合同会社は決算公告の必要がないので、URL記載を省ける官報を選んだようだ。レンタルサーバーやドメインは適当に使いまわせばよいので、自分の場合は電子公告でも追加コストはゼロ。ただ万が一、申告してあるURLを変更する必要が出たら、変更登記でお金がかかる。

今の合同会社で公告する可能性があるとすれば、個人成りするや解散のタイミングだが、その場合は原則として官報が必要になるので電子公告が使えない。結局、決算公告用のURL申告や毎年の決算書アップが不要ということで、少しでも手間を省くため設立時に官報を選んだようだ。

送料込みでも100円引きの優遇

最初の登録やIEの利用が手間だったが、e-Taxのように専用ソフトのインストールまでは必要なかった。「かんたん証明書請求」ならうたい文句どおりブラウザで完結するので、遠方の窓口に直接行くよりは楽だ。もし法務局が近くにあれば、直接謄本を取りに行く方が早いし確実だが、時期によっては窓口が込んでいる可能性もある。

費用的には、オンライン申請で100円引きになるのは本当だった。普通に考えると送料分高くつきそうだが、それだけ印紙売り場のおばちゃんの給料が高いということだろうか。書類手続きの手間と、発行機の維持管理費用…いろいろなコストを勘案すると、自動化されたプロセスで郵送してくる方が安いのかもしれない。

特に急ぐ用事がなければ、登記簿謄本の取得は今後もオンラインでやってみたいと思った。お役所独特のわかりにくい操作画面さえ我慢すれば、かなりの省力化と若干の節約を図れる。