ロマサガRSにぜひ登場させてほしいゲームボーイ版Sa・Ga要素

スマホゲームのロマサガRSは、あくまで「ロマンシング」サガである。今のところ、それより前のゲームボーイ版サガ三作の要素は出てこない。唯一、主人公のポルカが「(魔界)塔士」と呼ばれているくらいだ。

スーファミのロマサガもおもしろかったが、歴代サガシリーズでどれが一番好きかと聞かれたら、初代Sa・Gaと答えたい。戦闘BGMはSa・Ga2秘宝伝説ラスボスの「ぼうえいシステム」3曲メドレー。スターバスター発射、”Save the World”で死ねる。

ドラクエやFFよりサガが好き

サガシリーズは30年前に発売された初代ゲームボーイ版と、その続編2・3。スーパーファミコンに移ってから、ロマサガ1・2・3までプレイした経験がある。フロンティア以降はスマホのRSまでやってない。

いずれも90年代初頭のRPGとしては、MOTHERに並ぶ傑作だと思う。ファイナルファンタジーやドラクエも人並みに遊んだが、似たようなソシャゲが出ていても、なぜかサガほどやる気がしない。

FF11・14のMMOはそれなりに新鮮で、1か月くらいは楽しめた。しかし、ひとりプレイでは限界があるのと、今さらファンタジーな世界観にのめり込めず、毎月の課金を続けられなかった。FF4のTHE AFTERも試しにやってみたが、無料シナリオだけで満足した。

その後、各タイトルのスマホに展開しているのも薄々気づいていたが、がっつりプレイできる時間がとれなかった。その点、すきま時間でプレイできるソシャゲ形式のRSはとっつきやすい。

ロマサガはフリーシナリオのおかげで、やり込み適性のあるユーザーを取り込みやすいのだろう。主人公クラスだけでなくAスタイルの脇役が映えるのは、サガならではといえる。

メガテンやWizはアクが強すぎる

やり込み要素とマニアック度合いでいえば、ほかにも有名なRPGを思いつく。

昔は真・女神転生の『AKIRA』みたいな世界観に憧れたが、東京に長く住んでみると、今ではかえって所帯じみて見える。現代日本を舞台にしたRPGとしては、GBサガ第4世界もそれなりに無茶苦茶でインパクトがあった。

ウィザードリィもRPGの古典としてリスペクトするが、地下ばかりで暗いのと、エナジードレイン&キャラのロストがきつすぎる。第一作、ワードナーを倒すまでは進めてみたが、ゾンビ系キャラの攻撃でレベルを下げられるのが理不尽すぎて、それ以上のめり込めなかった。

真・女神転生もウィザードリィもスマホ版が出ていて、ドラクエ・FFよりは興味を持てる。しかし、ソシャゲ化した旧作RPGをひとつ選ぶとしたら、メジャー度合いとマニアックさのバランスが良いSa・Gaだ。

もっと有名なゲームのレビューは他の人にお任せするとして、ロマサガ以前、GBサガの内容も少し振り返ってみたい。

GB版サガ要素の登場に期待

個人的にはロマサガRSにも、「アキバとアメヨコでロムとICボードを入手して、原発でプルトニウムを奪い核爆弾を製造。神をチェーンソーで切り刻む」くらいの勢いがほしい。

当時のゲームボーイで、ひらがな・カタカナで表現されたこれらの地名やアイテムが何なのか、さっぱり見当がつかなかった。「アライのメット」も、Wizに出てくる「カシナートのけん」みたいな実在商品が元ネタであると知った。

ロマサガRSでは武器の種類に「銃」とあるのが気になるが、これはサガ フロンティア用の仕掛けのようだ。GBサガに出て来た「レオパルト2」とか、今考えるとドイツ製の戦車なので、ロボットがビームライフルのように「装備する」には無理がある。

ロマサガRSでポルカを「塔士」と呼んでいるところに、「魔界塔士Sa・Ga」の名残がみられる。RSの世界では「塔」がストーリーの鍵を握るらしいので、GBサガのリバイバルもわずかながら期待できる。

しかしネタだけ散りばめて深堀しないRSの傾向をみると、それも望み薄だろう。せいぜいシリーズ通して登場するアシュラがキャラクター化されただけで、満足するとしよう。

魔界塔士Sa・Gaの哲学的ストーリー

GBサガ1は、メイン世界をつなぐ塔の中間に、煉獄・地獄といった趣の部屋が散りばめられていた。ゲームの本筋と関係なく、エクスカリバーを託して死ぬ老人、すでに全員死んでいる地下シェルターなど、シュールなイベントばかり記憶に残っている。

後年、モルデカイ・ロシュワルトの『レベル・セブン』というSF小説を読んだら、真っ先にサガのあのシーンを思い出した。

塔の中には、本当に作りかけかと疑うような意味不明なマップもあった。サガ1は「ゲームの創造主たる神がラスボス」というメタ要素があったので、これらも何か意図がありそうな気がして、隅々まで探索してしまった。

神を倒した後の扉を抜けると裏世界があって、また別の銀河系の神が出てくる…そういういかにもドラゴンクエスト・ドラゴンボール的な展開もあり得ただろう。しかし当時のROM容量や、予算・時間的制約からは無理だったと推測できる。

「別世界の可能性を示唆しつつも、あえて平和になった元世界に引き返す」というシナリオが秀逸だった。エンディングに出てくる扉の向こうには何があるか、さらにそこから裏技ワープしたらどこに飛べるのかなど、いろいろ想像してしまう。

GB版はロマンよりハードボイルド

サガシリーズはその後、ゲームのシステムや演出はどんどん洗練されていく。今思い出すと、ストーリーや世界観に限っていえば、妙に意味深かつカオスだった初代サガが一番よかった気がする。

主人公のセリフが乱暴かつ残虐でシリアスなところは、ちょっと『マッドマックス』な要素も入っている。少なくともロマサガ1まではセリフの選択肢に「殺す」とか、ダークな雰囲気が残っていた。ロマンシングになって、FFのように中世ファンタジー化してしまったのは少し残念だ。

サガ1の「ドアに入った瞬間セーブすると別の場所に飛べるバグ」とか、発見してはよろこんでいた。オープンニングのBGMも、ファミコン版MOTHERと同じくらいしみじみした曲で良かったと思う。

サガ2はメカ、サガ3はクトゥルー

サガ2が楽しいのはメカが出てくる部分。機械系の敵キャラはサガ1で既出だったが、2はラスボスまでマシーンだった。モンスター4匹パーティーに続いて、メカ4体縛りでクリアするという遊びもできた。

サガ3はクトゥルー神話にもとづく、ボスのドット絵が刺激的だったくらいで、シナリオはほとんど覚えていない。3のべリアルやボルボック、ラグナ後半の口や頭がいくつも合体した異形の姿は、今見ても気色悪い。

当時はFFでも、ゼロムスやエクスデスといったラスボスが最終形態でキメラ化するのがトレンドだった。しかし異次元の強さをアピールする抽象オブジェとしては、サガ3のラグナ神が最高だったと思う。白黒グラフィックでも、触手の生えたジャガイモみたいな外観は衝撃的すぎる。

ほかのBGMは覚えていないが、ラグナの繰り出す「よみのはどう」という攻撃のドゥクドゥクした効果音だけは印象に残っている。当時はサガ3だけ他のGB版と毛色が違うと感じていたが、あとから調べるとスクエアの開発チームがまったく別だったようだ。

サガシリーズ最強のラスボスは神か

ロマサガRSリリースから3年後くらい、三柱神も七英雄も四魔貴族も出尽したら、いよいよGBサガの出番だ。1の四神ボスは敵として扱いやすいと思う。歴代サガシリーズで最強のラスボスはどれかといえば、やはり「かみ」だろう。

これだけパロディー好きのロマサガRSだから、武器として「チェーンソー」くらいは出てきそうな気がする。「かくばくばん」は時代背景的に難しいかもしれないが、「ロマサガ3の300年後」という設定なら開発されていてもおかしくない。

余興で「えちごや」とか「あくのそろばん」のレアアイテムも登場させてくれるとおもしろい。サガ2の江戸は謎の「しゃちほこ」と戦えたりして、ネタが盛りだくさんだった。