法人の税務申告はe-TaxソフトとPCdeskを駆使すれば無料でできる

先日2期目の決算を迎えた1円合同会社。仕事が一段落したので、そろそろ申告の手続きを始めようと思う。昨年、自力で税務申告できた経験をふまえて、今年は会計ソフト以外にe-TaxソフトとPCdeskだけで電子申告・納税に挑んでみた。

結果としては、この2つのフリーソフトだけで法人税も地方税も十分申告可能。あとはマイナンバーカードで電子署名するためのICカードリーダーさえ揃えれば、完全無料で納税できるとわかった。唯一、電子納税に対応していない法人市民税のみ銀行や市役所で納めれば、会社の申告はほぼオンラインで完結できる。

e-TaxソフトとPCdeskだけで無料申告可能

昨年の法人税申告では、現在利用中の無料会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」の姉妹版「フリーウェイ税務」というクラウドサービスを利用した。無料版だと一部機能制限はあるが、ブラウザ越しに簡単利用できて、零細企業の赤字申告にはこれで十分間に合った。

しかしその後、電子申告のために国税庁謹製のe-Taxソフトをインストールすると、各種の別表や内訳表を手入力で作成できるとわかった。中で行う作業はフリーウェイ税務とほぼ同じ。もしかすると市販の税務ソフトを介さずに、e-Taxソフトだけで申告完結できるのではないかと思った。

地方税、e-LTAXの方は別途PCdeskというソフトが出回っている。試行錯誤した結果、国税庁のe-Taxソフトと地方税ポータルのPCdeskを駆使すれば、これだけで十分申告書の作成から電子申告まで可能だとわかった。

お役所の公式ソフトらしく、使い方にめちゃくちゃ癖があるのは否めない。今どき見慣れない不親切なUIや独特の操作感に耐えられれば、法人税の申告を自力かつ完全無料で行うことができる。

税務署関連のゆるキャラ考察

e-Taxのゆるキャラ、イータ君はまあ無難で許せるデザインだ。東京都主税局のメガネっ子、タックス・タクちゃんより抽象化されていて、色使いやデザインのセンスは今っぽく感じる。

一方、eLTAX(エルタックスと読むらしい)のサイトに出てくる奴らのプロフィールがわからない。徹底的にネットを調べたら、エルレンジャーというイメージキャラクターであることが判明した。

なぜ複数人いるのか不明だが、どうやら腹に書いてある文字から「eLTAX」の5文字を意味するらしい。頭から電波を飛ばしまくっているタイツ姿の怪人たち。頭の触手から、警視庁のピーポ君とバイキンマンを合成したような成り立ちを想像できる。

二番煎じとして一匹ではいまいちインパクトが弱いので、無理やり色違いでクローン生成して戦隊モノに仕立てた印象。「ちゃんと納税しないと成敗するぞ」と暗に脅しもきかせている。きっと決戦に備えて巨大ロボも控えているのだろう。

無料版だと書き出しできないフリーウェイ経理

フリーウェイ税務/経理とも無料版だと、肝心の決算書から申告書の方に数値をエクスポートできない。せっかく同会社のサービスなのに、お金を払わないと会計ソフトの基本ともいえる、この便利機能は使えないようだ。帳簿をCSV書き出しできないので、e-Taxソフトにもすべて手打ちになる。

マニュアルを見ると有料版には存在するはずの「仕訳データ/科目残高/マスタデータをテキストファイルに変換」というメニューが、無料版では空欄になっている。他社ソフトからインポートはできるが、このソフトからエクスポートはできないという、よく考えられた仕組みだ。

もちろん、これしきのことで課金を甘受する自分ではない。Liteでないフリーウェイ経理の有料版は月額3,000円(税抜)、年額だと36,000円とアホみたいに高い。

それならfreeeのミニマムプランの方が安いし、弥生会計のスタンダード版を数年おきの税改正で更新した方がリーズナブルだ。しかも弥生のオフライン版なら複数事務所扱えて、似たようなダミー会社から個人事業までまとめて作業できるのが楽だ。

とりあえず今の会社は年間の仕訳も400件程度。フリーウェイでは振替伝票が使えず複数仕訳をまとめられないから、無駄に行数が増えている。実際はその半分にも満たないだろう。いざとなれば、他社サービスに移行して一から入力し直してもいい。会計年度ごとに帳簿と決算表をPDF出力しておけば、残高入力だけで引継ぎはできるだろう。

見た目もダサいし、使いにくくてたまらないフリーウェイ経理Liteだが、この手のサービスで完全無料というは稀有な特徴だ。画面端に出る広告もそこまでうざったくないし、2年間使ってみて節税目的のダミー企業には十分なクオリティーだとわかった。

もう税理士も有料サービスも必要ない

クラウド申告freeeの公式サイトは資料請求のみで、値段は伏せられているが以前調べた感じで20万はかかった。街の税理士さんに申告作業のみピンポイントでお願いしても、相場で10万はくだらないだろう。

経理作業が自由化されても、複雑な益金・損金処理のため素人には無理といわれてきた法人の税務申告。相変わらず別表の記入は煩雑だが、中小企業でしかも赤字の申告なら、驚くほどシンプルな計算で済む。クラウドサービスに押されて、税理士最後の牙城ともいえる申告業務も、ちょっとがんばれば自力で遂行可能だ。

毎年必要な固定費ともいえる申告作業、たいした取引も売上もない、節税目的の会社でそんなに払うのは馬鹿らしい。特に固定資産や減価償却もないなら、e-Tax&PCdeskで十分間に合う。1年経つとやり方をすっかり忘れてしまうと思うので、来年の自分のためにマニュアルをつくっておこうと思う。

今回は一連の申告作業に丸2日かかったが、マニュアルどおりにやれば半日程度で済む作業量。平日にそのまま電子申告して市民税も納めに行けば、1日で税務申告を片づけることも可能だろう。むしろ事前に仕訳の入れ忘れや重複ミスがないか、決算書の方を念入りに確認した方がいい。慣れれば申告は流れ作業でスムーズに終えられるはずだ。

続いて「e-Taxソフトのセットアップ方法」