親知らずを抜いて1週間、その間のリハビリと抜糸までの記録

下側の親知らずを抜いてから1週間。とうとう抜糸の日を迎えた。

予定していた反対の親知らずを抜くのは、1週間ほど先に延ばしてもらった。予後は良好で体調も回復していたが、翌週に人と会う用事ができてしまったためだ。抜歯後数日はみっともない状態になってしまうので、手術のタイミングは慎重に選びたい。

もう一本の抜歯を延期した理由

人生にそう何度もあるわけではない親知らずとの戦い。嫌なことはとっとと済ませてしまいたいが、強いて急ぐ必要もないかと思った。まだ患部に痛みが残っているため、反対側を抜いた後こちらだけでものを噛むのは難しい。

連続して治療すると安静期間が延びて、体力が衰えるのも気になる。膝のリハビリでジムにも通っているので、せっかく戻してきた筋肉が落ちてしまうのも残念だ。

この一週間で食事の量が大幅に減り、ろくに運動もしていなかったせいか体重が800gほど減った。さすがにBMIが20を切るとやせすぎな気もする。老後の健康上は、ある程度の体重と筋肉を維持した方がプラスだと思う。

抜糸する頃には普通に食事や運動できることがわかった。一週間ほど平常生活に戻してから、次の歯を抜いてもらおうと思う。その間、適度なトレーニングで刺激を入れて、全身の筋力を維持しておきたい。

術後2週間経てばさらに患部の自己治癒も進んで、食事の不便は減っていると思う。以前、左右の膝を手術するのに3か月、間を空けてリハビリしたのと同じような感じだ。

抜糸は麻酔なし

術後7日目に通院して患部を抜糸してもらった。口内粘膜は代謝が早いので、一週間も経てば傷口がふさがるようだ。抜歯と抜糸は発音が同じでまぎらわしいため、口腔外科で糸を抜く方は「ばついと」と呼ばれている。

縫合糸を取る際に麻酔はかけられなかった。患部を消毒後、そのままハサミとピンセットを差し込んで、ぐいぐい引っ張りつつブチッと糸を切る。

親知らず一本分で、トータル10秒ほどの作業。その間、あごにズーンという鈍痛が走るが、ドリルやペンチで工事するほどの痛みではない。その後は軽くうがいして、抜糸自体はごく短時間で終了した。

糸を抜いたあとは、もう普通に入浴したり運動してOKとお墨付きをいただいた。治療後30分くらいは抜糸の痛みが残っていたが、その後の食事は問題なかった。ランチに磯丸水産で味が濃いめの鯖カレーをいただいたが、治療個所に違和感はなかった。

そのまま夜になると、平常時と同じくらいの痛みに戻った。歯磨きの際、抜歯後の溝に歯間ブラシを通すと少し血がついたが、これは今日の治療によるものだろう。もう出血は止まっていて、翌朝のブラッシング時には何の問題もなかった。

術後2日目以降の痛みと腫れ

手術から抜糸まで、ここ一週間の生活を振り返ってみようと思う。医師に言われていたとおり、腫れと痛みは抜歯当日ではなく2~3日目がピークだった。

鏡を見れば明らかに片方の頬だけ腫れているが、まわりの人から指摘されることはなかった。術後の経過は良好だったので、特に膿んだり悪化することなく、順調に引いていったと思う。

痛いといっても手術そのものよりはずっと楽で、何もしていなければ気にならない。食事や歯磨きの際、口を動かして患部が引っ張られると痛みを感じる程度だ。追加分の痛み止め(セレコックス錠)も飲まずに済ませた。

入浴も、3日後からは普通に湯船に入ることにした。しばらくは足湯や腰湯で何となく済ませてきたが、寒い時期なので風呂に入れるのはうれしい。シャワー浴で風邪を引いてしまったので、親知らずを抜くなら暖かい時期の方がよかったと思う。

食事の工夫

食べ物が縫合した粘膜に当たらなければ痛みはない。口も徐々に開くようになってきたので、様子を見ながら通常食に戻していった。

  • 安全な側のあごで噛む
  • 少量ずつ口に入れる
  • 固くて大きな食べ物は避ける

というルールを守れば、たいていのものは細かく刻んで時間をかけながら食べることができる。

うっかり手術前に買ってしまったゴボウや白菜は当分無理そうだったので、傷まないうちに人に譲ってしまった。自炊するなら、みじん切りした野菜に豆腐や玉子を混ぜれば、ひと通りの栄養は摂れる。

3日目の朝食からは、いつもの玄米玉子かけご飯に戻した。米自体は問題ないが、納豆を混ぜると豆が患部に当たって痛む。納豆は小粒かひきわりタイプを選んだ方がよかった。

餃子味噌汁がヒット

リハビリ用にいろいろ試したメニューの中で、意外とよかったのが餃子だ。たまたま買ってあった残り物の冷凍餃子を味噌汁に入れたら、ワンタンのようにスムーズに食べられた。もともとは焼いて調理する用の餃子だが、お湯でゆでればフニャフニャの水餃子に変わる。

餃子の満州、冷凍餃子

元は「餃子の満州」で水・土曜の特売日に買っておいた持ち帰り餃子。4人前24個が税込550円(軽減税率8%)で買えるため、今なら非常にリーズナブルだ。

餃子の満州、特売日

ただし調理するにはフライパンが必要で、蓋をして蒸し焼きにしたあと、油を垂らす必要がある。たまたま油を持っていなかったので水だけで調理したら、さすがにテフロン製のフライパンでも焦げ付いてしまった。

餃子の満州、冷凍餃子の調理(フライパンの場合)

普段の調理にサラダ油は使わないため、餃子のためだけに買うのも面倒くさい。冷凍庫で持て余していたところ、そのまま味噌汁の具として使えばよいのではと思いついた。

調理法としては、お湯を沸かしつつ凍った餃子を茹でて解凍するだけ。沸騰する頃には中まで火が通って柔らかくなっている。適当なダシと具材を入れて煮込めば、味噌味のワンタンスープになる。

抜糸後の食事は栄養がかたよりがちだが、餃子なら肉も野菜もバランスよく含んでいる。焼餃子でなく水餃子の状態なら、口の中の負担も少ない。

満州の餃子はうまいが、テイクアウトの特売日は週2日に限られる。近所のスーパーで探したところ、似たような生餃子が1人前100円くらいで売られているとわかった。調理も簡単なので、餃子味噌汁は今後の自炊レパートリーに加えたいと思う。

運動は水泳、エアロバイクから

術後5日間は近所の散歩や体操程度の運動にとどめておいた。止血は完了しているのでめったなことで血は出ないと思うが、念のため用心して激しい運動は避けた。風邪気味で体調を崩していたせいもある。

6日後はほぼ食事も正常化して体調も回復したので、ためしにプールで2kmほど泳いでみた。体がなまってペースは落ちたが、口の中の状態は問題ない。のんびり泳ぐ程度ならそれほど血圧・心拍数は上がらないので、抜糸後のリハビリに水泳は向いていると思う。

調子がよかったので、そのままエアロバイクも30分ほどこいでみた。久々なので負荷は下げたが、半袖短パンでも若干汗ばむほどの運動量。これでも特に不具合は出なかった。水泳や自転車など負荷弱めの有酸素運動なら、瞬間的に歯を食いしばるおそれもない。

7日後の抜糸を経て、医師から運動OKの了解もとれたので本格的なトレーニングを再開した。腕立て伏せや腹筋・背筋、きつめの筋トレを数セットこなしたが、口の中に異変はない。1週間経って若干痛みは残っているものの、抜糸する頃にはたいていの運動は問題ないと思う。

もし2週続けて左右の親知らずを抜くと、安静期間が2週間に延びてしまう。その間、体力や筋力が衰えるのは気になるので、アスリートの人は間隔を空けて計画的に治療した方がいい。日常的にトレーニングしていると、たかだか2週間体を動かさないだけでもストレスが溜まってしまうものだ。

抜糸後の穴を掃除

抜糸によって腫れるのは頬の外側だけでない。内側の粘膜も厚くなって、奥歯のまわりが窮屈になってしまう。

普段より歯と頬の隙間が狭くなるので、食べかすが余計に挟まりやすい。歯ブラシが当たると痛いので、溝に詰まった食べかすをかき出すのは困難だ。タフトブラシや歯間ブラシを駆使してケアするが、あまりやりすぎると傷口が開いてしまいそうな不安もある。

抜糸後しばらくは、ずっと奥歯にものが挟まっているような不快な状態が続いていた。4日くらい経って徐々に粘膜の腫れが引いてきたので、術後の患部を観察できるようになってきた。

親知らずを抜いた個所は、ごっそり歯肉が下がってクレーターのようになっている。第二大臼歯の後ろに今までなかった空間ができたので、今後の歯磨きは一層ていねいにやらないとすぐに虫歯になりそうだ。

毎食後に歯間ブラシが必要

溝に歯間ブラシを通すと、いつから挟まっていたのか不明な褐色の物体がこびりついてくる。奥の方は固まった血と混ざっているものもある。傷に触れない程度に用心深く書き出すと、縫合した糸がポロッと出てきた。

ほどけてしまったわけではないが、舌で触れる部分に糸が出ると口の中で気になる。あまりいじると取れてしまいそうなので、なるべく縫合糸には触れないようにした。

その後は毎食後に太目の歯間ブラシで汚れをかき出すようにしたが、歯磨きしたあとでも食べかすがごっそり取れてくる。どうやら普通の歯ブラシでは到底届かないような、奥歯の奥のデッドスペースが生じてしまったようだ。親知らずを抜いたおかげで危険な穴が出現し、歯磨きの手間が増えたといえる。

抜歯時に奥側が虫歯になっていると指摘されたので、はやくここも治療したい。悪化を防ぐには外出時も歯間ブラシを携帯して、食後すぐに掃除した方がよさそうだ。とりあえずパックで購入した歯間ブラシに先端部のキャップがひとつ付いてきたので、外に出るときはこれを使って持ち運んでいる。

携帯用歯間ブラシ

智歯をそのまま放置しても隣の歯が虫歯になっただろうから、抜いたこと自体は正解だっと思う。その代り、新たに露出した歯の側面をていねいにブラッシングするという責務が生じる。親知らずは抜いて終わりではなく、その後の後始末まで厄介だ。