ミヨシ無添加せっけんシリーズの成分が気になって調べてみた。
公式サイトの説明によると、各製品は調合濃度が違うだけで中身はほとんど一緒らしい。とすると、固形石けんで頭を洗ったり別の用途で使いまわしても問題はないのだろうか。
ミヨシや牛乳石鹸、各種の無添加製品を使い分けて感じた微妙な違いをまとめてみたい。
(2020年2月10日更新)
ミヨシ無添加ハンドソープの違い
ミヨシ製品のパッケージ説明を読むと、いずれも「成分:水、カリ石ケン素地」と書かれている。
保存料や防腐剤は含まれていないので、水と石鹸成分以外「無添加」というのは本当なのだろう。しかし中身がまったく同じだとすると、各種の製品は単に入れ物が違うだけなのだろうか。
原材料は同じ、配合が違うだけ
誰もが抱くこの疑問については、ミヨシのウェブサイトに答えが出ていた。
ハンドソープが2種類ありますが、何が違うんですか?
成分は共に“水”と“カリ石ケン素地”だけの商品ですが、その違いは、カリ石ケン素地を構成する、主原料の脂肪酸の組成や水に溶けているせっけん(カリ石ケン素地)濃度が異なります。
つまり中身は同じだが、使用場面に合わせて配合や製法を変えているようだ。
2種類あるハンドソープに関しては、以下のように比較されている。
- キッチンハンドは泡立ちが良く、泡切れがよい
- ハンドソープの方が洗浄力は若干上がる
この表現から察するに、キッチンハンドは普通のハンドソープを薄めただけ。泡切れが良くなる半面、汚れを落とす力は落ちてしまうと思われる。
表示成分の微妙な違い
すると風呂用のボディソープやシャンプーも、中身が一緒で濃度が異なるだけなのだろうか。
「泡のボディソープ」と「泡のせっけんシャンプー」の成分は水とカリ石けん素地。
「せっけんボディソープ」の方だけ「石ケン素地」が追加され、「固形石けんの成分を配合することで…」と説明されている。
固形の「白いせっけん」は石ケン素地だけだから、「カリ」が付くのは液体で付かないと固体になるらしい。
「カリ」とはカリウム(K)
学術論文を参照した専門的なサイトで、石けんの仕組みをさらに調べてみた。
セッケンを製造する方法としては、油脂をもとにした「ケン化法」と高級脂肪酸をベースにした「中和法」の2種類がある。
それぞれに水酸化ナトリウムか水酸化カリウムを混ぜることによって、固体の石ケン素地または液体のカリ石けん素地がつくられる。
ケン化または中和に用いるアルカリは水酸化Naと水酸化Kでは、
- 水酸化Naを用いてケン化または中和する場合:石ケン素地(固形石鹸)
- 水酸化Kを用いてケン化または中和する場合:カリ石ケン素地(液体石鹸)
※小野 正宏(1979)「身のまわりの化学”セッケンおよびシャンプー”」化学教育(27)(5),297-301.
ナトリウムもカリウムも人体に含まれる成分で、食品としても使われる。
石けんの構成素材としては、どちらも健康に問題ないように思われる。この製法自体も紀元前3,000年前から続けられている伝統的なものだ。
ナトリウムよりカリウムを加えた方が水に溶けやすく泡立ちやすいので、液体石けんを作るのに適している。ミヨシの泡系ソープに含まれるカリ石けん素地の「カリ」とは、原料に含まれるカリウムのことであった。
ミヨシ石鹸を薄めてカスタム
無添加せっけんシリーズの成分が一緒なら、中身の濃そうなハンドソープをいろいろ使いまわしても構わないのだろうか。
実際のところ、家にある「泡のハンドソープ」と「泡のキッチンハンド」を使い比べてみたが、それほど違いはわからなかった。ひんぱんに手を洗う料理用に泡切れを良くしたいなら、ハンドソープをもっと水で薄めた方が良さそうに思う。
ミヨシの無添加リンスに関してはクエン酸が主成分なので、薄めた状態で保存すると「雑菌が発生しやすくなる」と警告されている(上記のQ&Aより)。
ほかの製品を勝手に水で薄めていいのかどうかは不明だが、主成分が石ケンなら問題なさそうに感じる。
ハンドソープで体も洗える?
さらに言えば、ハンドソープで体や頭を洗っても問題はないのだろうか。
これについてもQ&Aに回答が出ていた。
泡のボディソープで頭を洗っても問題ないですか?
「無添加せっけん泡のボディソープ」の成分は、“水”と“せっけん”だけの商品です。
「無添加せっけんシャンプー」との違いは、せっけんの組成や水に溶けている濃度の違いですので、使用量の調節を行っていただければ、せっけんシャンプーの用途として代替は可能です。
すると「泡のハンドソープ」と「泡のキッチンハンド」も同じカリ石ケン素地だから、これらで体や頭を洗っても構わないのだろう。
液体が濃すぎると皮膚に刺激が強すぎたり(洗浄力がありすぎたり)、洗い残しが増えるかもしれない。適度に薄めて使えば、ハンドソープをシャンプーの代りに使うのもありだと思う。
赤ちゃん用の「ベビーせっけん」も他の無添加シリーズと成分は同じ。同じ理屈でいえば、洗濯用の固形石けんで赤ちゃんをゴシゴシ洗っても問題ないはずだ。
固形石けんと液体ポンプ型
ミヨシ製品の使い分けとしては、用途に応じて固形と液体2種類用意すれば十分間に合う。
ベビー用・「お肌のための」などいくつも製品を出しているのは、単にマーケティング上の戦略だろう。実質的には場所を取らない固形石けんか、使用に便利なポンプ型の違いがあるだけ。
調理中にいちいち石けんを泡立てるのは面倒だから、キッチンには液体・ポンプ型が適していると思う。逆に風呂場ではシャンプーやボディソープのボトルが場所を取る。固形石けんで体も頭も洗えばコンパクトだ。
あとは値段と内容量の違い、「近所のドラッグストアで手に入る」など流通性を考えて好きな製品を選べばいい。
ミヨシの無添加製品を置いてあるスーパーは少ないので、よく使う固形石けんなどは通販でまとめ買いする方が早いと思う。
わざわざキッチン用や洗顔用のレアなモデルを探して、お店を回るのも面倒だ。
ハンドソープ容器の違い
「泡のハンドソープ(350ml)」に対して「泡のキッチンハンド(250ml)」は量が少ない分ボトルが細い。そのためキッチンのシンクが狭くても設置しやすい。
しかしキッチンハンドの方は、どこのお店を探しても詰め替えパックが売られていない。中身がたいして変わらないということで、おそるおそる普通のハンドソープのリフィルを入れてみた。
ハンドソープのボトルに違うメーカーの液体を詰め替えると、うまく泡立たないこともある。しかしミヨシの2製品に関して互換性はまったく問題なかった。
ためしに容器を分解してみると、ポンプ部分の構造はまったく同じ。
ミヨシのハンドソープはボトルの色や太さ、外観の好みで選べば良さそうな気がする。無印良品など、他のシンプルなボトル容器に詰め替えても問題ないかもしれない。
「あまり違いがない」と思っていたら、案の定「キッチンハンド」の方は製造中止になってしまったようだ。2020年1月現在、ミヨシの公式サイトを見てもラインナップから消えている。
固形石けんで頭を洗う
ボディソープはボトルが場所を取るうえ、濃度が薄くてコスパが悪いように感じる。自宅のふろ場では長らくミヨシの固形石けんを愛用している。
髪を洗うには無添加シャンプーを使っていたが、これもやはり主成分はカリ石けん素地。思い切って固形石けんで頭を洗ってみたら、案外いけた。
子どもの頃から液体シャンプーを使ってきたので最初は抵抗があった。しかし中身が同じだと考えれば使用感は変わらない。むしろ石けんをこすって泡立てる分、濃さを自在にコントロールできる。
また無添加シリーズは普通の石けん・シャンプーのような「いい香り」がしない。石けん本来の天然油脂、パーム油もしくは獣脂から連想されるケモノのような臭いがすることもある。必ずしも無添加=無臭ではない。
洗っている最中に少し違和感を覚えるが、無添加特有の臭いが長く残ることはない。風呂からあがった後も人工的な香料をまわりに発散するよりは、香りがない方が好ましく思われる。
石けんカスと髪がごわつく問題
問題点として固形石けんはナトリウム素材のためか、髪を乾かすと手に石けんカスが付く。
目に見えるほど粉はふかないので外観上は問題ない。しかしドライヤー後に手を洗うと、垢のようなカスがボロボロ出てくる。
また石けんシャンプー後にリンスを使わないと、髪がゴワゴワする。
特にプールで泳いだ後は長時間水に浸けたせいか、石けんだけだと髪のきしみが気になる。プールの塩素濃度は水道水と大差ないので、これは単純に水に濡らす時間が長いせいらしい。
髪がごわついても日常生活に支障はないが、そのままQBハウスに行くと切りにくそうだ。「整髪料をつけてないですか」と聞かれることすらある。
さすがに申し訳ないので、シャンプー抜きの格安ヘアカットに行く前の日だけリンスを使うようになった。
おすすめの無添加トリートメント
ミヨシの無添加シリーズにシャンプーはあるが、リンスは「300倍に薄める」面倒な専用品しか出ていない。
中身は単なるクエン酸。髪の保護を考えると、めったに使わないリンスには多少の添加物が含まれてもいい気がする。
とにかく薄めて使うのは厄介なので、ミヨシの代りにカウブランドの「無添加トリートメント」さらさらタイプを使っている。
グリセリンやスクワランなど含まれるが弱酸性・ノンシリコン。頭皮にそこまで問題はなさそうだ。リンスとトリートメントの違いはメーカーの解釈によるもので、特に意味はないらしい。
牛乳石鹸のさらさらリンスを使うと、驚くほど髪に対して指のとおりが良くなる。使うのは数日に1回というペースなので、180gの標準容器を買うと2年くらいなくならない。
ミヨシに比べて牛乳石鹸の無添加リンスはドラッグストアに在庫があるのもうれしい。ブランドの違いはとくにこだわらず、同じ無添加コンセプトということで長年愛用している。
ミヨシから新たなリンス発売
そう思っていたら、いつの間にかミヨシからもポンプ型のリンスが発売されていた。
名前は「弱酸性せっけん用リンス」。クエン酸が主成分ではあるが、グリセリン・エタノール・キサンタンガムが入っているので「無添加」とは名乗っていない。
その代り従来製品のように薄める必要がなく、ポンプから出してそのまま使える。
カウブランドの無添加リンスよりミヨシの方が、構成成分が少なく無添加に近いといえる。今のリンスを使い切ったら、今度はミヨシのリンスを試してみたい。
しかし近所のお店ではどこでも取り扱われていないのがネックだ。宅急便の受け取りが面倒だが、通販を利用するしかないだろう。
お湯だけで頭を洗う
その後、加齢臭対策の本を読んでいたら「石けんの使いすぎは体臭予防に逆効果」という説があることを知った。
『日本人はなぜ臭いと言われるのか』という本によると、本来弱酸性である肌表面にアルカリ性の石けんを使うと常在菌のバランスが崩れてしまう。
毎日お湯につかるだけでも十分汚れや臭いは取れて、タオルでこすらない方が皮膚の角質も傷つかない。洗いすぎない方が菌や皮脂が守ってくれて、結果的に臭いが出るのも防げる。
対策としてシャンプー自体を使う回数を減らしてみた。ここ半年ほど頭は毎日お湯で洗い、3日に1回くらいシャンプー・リンスを使う。
洗髪がお湯だけだと、少しボリュームが減ってベタッとした感じになる。しかし不快なべとつきや悪臭というのは発生しない。本で提案されているとおり、過剰だった皮脂の分泌がだんだん減っているように思われる。
固形石けんで頭を洗うようになり4年、さらにお湯しか使わない日も増やして半年。
今のところフケが出たり白髪が増えたりハゲたりするような弊害は出ていない。リンスなしの日でも髪はツヤツヤしていて、たいてい年齢より若く見られることが多い。
ミニマリストの風呂道具
固形石けんで体も頭も洗うようになると、風呂場にある道具の数を減らせる。余計なポンプ容器が減って掃除が楽になりカビも生えにくくなる。
子どもの頃は風呂上がりにバスタオルを使っていたが、大人になってからは場所を取らないハンドタオルで体を拭くようになった。
さらにここ10年くらいは風呂で使った手ぬぐいを絞って体も拭いている。体が完全に乾くのに時間はかかるが、それ以外は特に支障がない。
かさばる上に洗濯が面倒なバスタオル類を減らして、さらに洗顔用のタオルなども風呂用の手ぬぐいと兼用している。
湿った状態が長く続くので、数日使うと臭いがついてしまう。そのため手ぬぐいの洗濯・交換はまめに行う。
乾きやすそうなポリエステルの生地も試してみたが、やはり風呂用タオルは綿100%の方が気持ちいい。下手に分厚くリッチなタオルよりも、100均で売っている薄い手ぬぐいが便利。
毎日風呂場に持ち込むのは固形石けんとタオル一本だけ。
まるで禅僧のような生活に近づきつつある。そのうち風呂に入る回数自体も減らしていくかもしれない。
その他の無添加石けん
ちなみに上の写真に写っている石けんはミヨシ製ではなく「シャボン玉せっけん」。
こちらも石ケン素地100%の無添加だが、容量が100gでミヨシよりひと回り小さい。
ミヨシの定番「白い石けん」は1個108gと重さはたいして変わらないが、角が立っているので大きく見える。
手持ちの石けんケースに収まりが悪く、ミヨシを売っている場所が少ないため、代わりにシャボン玉シリーズの方を使うことも多い。
カウブランドからも1個105gの無添加せっけんが販売されている。こちらも個包装だが3個パックは外装がビニール製であるためか、シャボン玉より店頭販売価格は50円ほど安かった。
ミヨシの添加物アリ廉価版
ちなみにミヨシは無添加ではない固形石けんも売っている。
「家族のせっけん」「暮らしのせっけん バスソープ ホワイト」という名前で、どちらも個包装ではない3個入りのパッケージ。
近所のドラッグストアではミヨシの「無添加 白いせっけん」がなく、代わりにカウブランドやシャボン玉の無添加せっけんが置いてある。
そしてミヨシ製品は上記の廉価版2つ。「家族」が298円、「暮らし」が198円だった(税抜)。
どちらもパッケージでは「無着色・微香性」とうたっている。完全無添加ではないが、普通の石けんより混ぜ物が少なそうなイメージだ。
そして「家族」「暮らし」とも各社の無添加シリーズより大幅に安い。さらに「暮らし」が「家族」より100円安いのは、どういうわけなのだろうか。両者の成分表を見比べてみた。
- 家族のせっけん(145グラム)…石ケン素地、オレイン酸、エチドロン酸、香料、EDTA-4NA、水
- 暮らしのせっけん(135グラム)…石ケン素地、パーム核脂肪酸、グリセリン、エチドロン酸、香料、EDTA-4NA、水
※異なる成分は太字表記
まず単純に「家族」の方が1個当たり10グラム量が多い。家族=大容量で、暮らしに困っている人は小さい石けんをちびちび使おう、というネーミングに思われる。
そして「暮らし」の方にはオレイン酸がない代わりに、パーム核脂肪酸・グリセリンという添加物が増えている。両製品に含まれる成分の特徴を調べてみた。
肌にやさしいオレイン酸
「家族」に含まれるオレイン酸は、オリーブ油や米ぬか油に含まれる天然成分。皮脂のスクワレンを落とす力が弱いため、乾燥肌に向いているとされる。また冷水によく溶けて泡立ちやすい性質がある。
パーム核脂肪酸とパーム脂肪酸
「暮らし」に含まれるパーム核脂肪酸はパーム=ヤシ科ギニアアブラヤシの種子からとれる植物油。
似たような名前のパーム脂肪酸は果肉から得られる油脂で、「核」というのは種由来か否かを表すようだ。
パーム核脂肪酸とパーム脂肪酸には上記のオレイン酸をはじめとして、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和/不飽和脂肪酸がいくつか含まれる。
「核」が付く方はラウリン酸が主成分であり、カプロン酸・カプリル酸・カプリン酸なども微量に含まれる。核が付かないパーム脂肪酸はオレイン酸とパルミチン酸が主成分。
石けんに含まれるグリセリン
「暮らし」にもうひとつ含まれるグリセリンは、天然油脂の加水分解もしくはプロピレンから合成されるアルコール成分。現在は後者の合成グリセリンが主流となっている。
グリセリンは肌の角質層を柔らかくしたり、水分を増加させて保湿効果を高める作用がある。そのため化粧品や洗顔製品には多く用いられている。
また固形石けんに対しては、透明度を高める効果がある。グリセリンソープを溶かして色材や香料を加え、カラフルな透明石けんを手作りするカルチャーもある。
なんとなく化学的なイメージのあるグリセリンだが、使用実績は50年以上ある。現時点では皮膚刺激性・眼刺激性・アレルギー性のいずれも「ほとんどなし」と評価されている。
エチドロン酸、EDTA-4NAとは
両製品に共通して含まれるエチドロン酸、EDTA-4NAとは石けんの安定剤に相当する。
金属イオンによる成分の酸化は変臭や変色の原因になるため、どちらもこれを阻止する目的で配合されている(キレート作用)。例えば硬水のカルシウム成分と石けんが反応して、泡立ちにくくなる弊害を防ぐことができる。
エチドロン酸、EDTA-4NAとも固形石けんだけでなくシャンプー・リンス、歯磨き粉や育毛剤など多くの化粧品に添加されている。ただし製品の種類に応じて、配合の上限量が定められている。
両成分とも10年程度使われている実績があり、皮膚刺激性・アレルギー性は「ほとんどなし」。ただし眼へ刺激性は現時点で未検証とされる。
一般的には安全性に問題ないとされる安定化成分だが、他の天然成分に比べると「やや怪しい」添加物というイメージだ。
(以上の成分情報は「化粧品成分オンライン」を参照しました)
家族/暮らしのせっけんの違い
成分を比較したところ、ミヨシ「家族のせっけん」はオレイン酸、「暮らしのせっけん」はグリセリンで保湿効果を高めているという違いがある。
「暮らし」の方がパーム核由来の雑多な脂肪酸を含んでおり、「家族」の方がオレイン酸のみ抽出した純度の高い石けんという印象。
どちらも簡素なビニール包装で、安定剤があるため無添加せっけんのように個包装を必要としないのだろう。「無添加 白いせっけん」には品質維持のため脱酸素剤まで付加されている。
ミヨシの無添加石けんにも「暮らし」と同じパーム核脂肪酸、グリセリンは共通して含まれるので、「エチドロン酸、EDTA-4NA、香料」の3つが主たる添加物扱いということになる。
いずれも他社の石けんや化粧品には普通に含まれる製品で、人体に対する明らかな毒性までは証明されていない。
どちらも着色料は含まれていない
ミヨシの各製品は牛乳石鹸「赤箱・青箱」のように、白色を強化する酸化チタンは含まれていない。
完全無添加ではないが「無着色」なのは事実。少しでも安全性を高めてコストを安く抑えたいなら、ミヨシ「家族/暮らしのせっけん」を選ぶのもありだと思う。
ただしミヨシ製品はどこのお店でも安定して在庫されていないのがネックだ。少なくとも無添加・家族・暮らしと固形石けんを3セット並べて置いてあるショップは見たことがない。
郊外に行くほど、無添加より家族・暮らしの取り扱いが増えるように思う。全種類試してみたいなら、ネット通販で手に入れるのが確実だ。
無添加の弱点は油汚れ
無添加石けんで体を洗うのは良い気分がする。しかし食器や衣類を洗うには、普通の合成洗剤の方が向いていると思う。
ためしにシャボン玉の台所用石鹸を買ってみた。
使い心地は普通の食器用洗剤とだいぶ違う。お皿を洗ってゆすいだ後も、なぜか石けんのヌルヌルした感触が取れない。よく見るとこれは、食器の油分が落とせていないせいではないかと思う。
ちょっとした炒め物や揚げ物、外で買った弁当の器など洗おうとしても、石けんではほとんど油を落とせない。
さすがに不便で気持ち悪いので、キッチンでは今までどおり合成洗剤を使うようになった。
調理に油は使わなくても汚れる
今では洗い物が面倒なので、家で自炊するときは油を使わなくなった。
オリーブオイルをあえるのも面倒なのでパスタも茹でない。栄養素として油分はおもに外食、株主優待ランチで補うことにしている。
とはいえ魚や肉類、特に豚肉を調理すると思いのほか食器に油が残る。それ以外の茶碗やコップは洗剤なしで洗っているが、ここぞというときには合成洗剤の力を借りる。
用途によって洗剤を使い分ける
何もかも無添加の石けんで家事を済まそうというのは、無理があると思う。
同じように洗濯用の洗剤もミヨシの無添加は使っていない。唯一エリ袖まわりの皮脂汚れだけは、固形石けんを擦り込むとよく取れるように思う。
家畜由来の油脂には弱いが、人間の皮膚から出る油分を取るのに石けんは向いているようだ。洗浄成分の相性というものがあるのかもしれない。
ミヨシの無添加せっけんを使い始めて、いちばん効果を実感できたのはお風呂場まわり。成分が同じだということに気づき、固形石けんひとつで洗顔も入浴も洗髪も済ませられるようになった。
無添加にこだわりすぎない
一方でキッチンと洗濯にはまだ合成洗剤が欠かせない。
洗剤に添加物や人工成分が加えられるようになった歴史には、威力が強くなるとか製造コストを下げられるとかそれなりに理由があったはずだ。
直に肌に触れる部分でなければ、そこまで天然素材や無添加にこだわらないというのが今のところのポリシー。うがい薬のリステリンのように、甘味料や着色料が含まれていても口内殺菌作用のメリットが上回るという感じ。
油が残った食器を使って不快な思いをしたり食中毒になったりするよりは、チャーミーやママレモンでしっかり洗った方がましではないかと思う。