昨年退職してから予定していた仕事がいくつか終わって一段落したところで、長年やってみたかったプロジェクトに着手した。ヒゲの永久脱毛である。最高のシェーバーを探すよりも、そもそもヒゲがなければ剃らなくていい。
脱毛といえばアフィリエイト業界でも人気のジャンル。各種のエステや美容外科を渡り歩いたレビューや、ビフォア&アフターでそこまで見せるかという強烈なウェブサイトをいくつも見つけた。正直、まとめサイトをいくつか見れば各店舗の料金や特徴はつかめると思うので、一般的な比較はほかに任せるとしよう。ヒゲ脱毛については数万以上の投資が必要になるが、効果が出るのは半年後くらいからという感じなので、ウェブのレビューや体験談から情報収集するしかないのが実情だ。
公式サイトといくつかのレビューサイトを参考にして、メンズ脱毛専門サロンのRINXと、大手美容クリニックの一つ、湘南美容外科にカウンセリングに行ってみた。実際に店舗に伺って見積もりをいただくと、どうも公式サイトでは意図的に隠されていそうなポイントや、意外と引っ掛かる落とし穴があるとわかった。実体験をもとに、ヒゲ脱毛の真実をレポートしていこうと思う。
ヒゲを剃らないわけにはいかない理由
自分がヒゲ脱毛に興味を持った理由はただ一つ、「毎朝のヒゲ剃りが面倒くさい」ということである。見た目はわりとどうでもいいと思っているが、仕事で人と会ったり社会的生活を営んでいく上では、ヒゲを剃っていた方が印象のいいのは否めない。
海外ではそんなこともないらしいが、日本では無精ヒゲに対する一般的イメージは男性・女性から見ても良くはない。仕事の打ち合わせでなくても、病院で診察を受けるとか、銀行で口座を作るとかの場面で、ヒゲづらによれよれジャージより、つるつるフェイスにスーツの方が対応がいいのは明らかである。
例外的に、よく手入れされたデザイン性の高いオシャレヒゲは女性受けもいいとか、サラリーマンでも業界によっては許容されつつあると感じるが、理想的なバランスをキープするには毎日ヒゲを剃るよりもっと手間がかかるのではないかと思う。少なくとも、千円カットでしか散髪しなくなった身としては、ヒゲでセンスを演出できる自信などない。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのような大物であれば、いつでもTシャツにジーパンで許されるかもしれないが、名もないミニマリストが年中、作務衣で過ごしても、無用に摩擦を増やすだけだ。持ち物はぎりぎりまで減らしても、なるべく清潔感を保てて反社会的に見えないラインを模索している。その中で「毎日ヒゲを剃る」というのは絶対欠かせない事項だった。
ヒゲ脱毛に踏み切れなかった背景
毎朝のヒゲ剃りは苦痛だし、出張にシェーバーを持って行くのも面倒だ。しかしヒゲを剃らないことのデメリットは大きいから手入れせざるを得ない。そんなジレンマを抱えながら数10年過ごしてきた。
学生時代に一度、TBCの1,000円くらいのお試しでヒゲのニードル脱毛を試した経験があるが、顔全体永久脱毛するには20万以上かかると言われてあきらめた記憶がある。とてもでないが奨学金で細々暮らしている貧乏学生が投資できる金額ではなかった。
社会に出てある程度貯金ができても、「将来ユダヤ教とかイスラム教に改宗してヒゲを伸ばすことになるかもしれない」とか、「彼女がヒゲフェチだったらどうしよう」とか、およそあり得ない言い訳を並べて脱毛と向き合うのを避けてきた。リーマンショックで失った多額の株資産を考えれば、とっとと脱毛に投資しておけばよかったと今さらながら思う。
ヒゲ剃りに費やす時間・金銭的コスト
毎朝ヒゲ剃りにかかる時間が3分として、毎日剃れば1ヶ月で90分。1年で1,080分(=18時間)。これからまだがんばって40年は生きるとして、死ぬまでに720時間(=30日間)。およそ1ヶ月もヒゲを剃るためだけに費やすことになる。男性であればこんな計算を一度はしてみたことはあるだろう。
さらに金銭的には、電気シェーバーや替え刃、プレシェーブのジェル、アフターシェーブのローション代も1年で平均6,000円かかるとして、40年で24万円の出費だ。RINXのウェブサイト、「脱毛プチ豆知識」というページに同様の試算があり、ひげ剃りに1日10分、シェービング関連費用を1ヶ月1,000円で試算しているので、平均的には上記計算の2~3倍費やすことになるのだろう。
ミニマリストとして持ち物の整理だけでなく、日常生活の無駄をゼロベースで洗い出すと、ひげ剃りにかかる膨大の時間と手間とお金を浮かせられないかと考えるようになった。脱毛費用は残り生涯分のひげ剃り関連費用くらいかかるかもしれないが、それで浮かせられる30日間は大きい。
今さらヒゲ脱毛を決意した動機
ある程度大人になって、やっとヒゲ脱毛に投資できそうな金銭的余裕ができてきた。仕事が忙しかった時期は、脱毛業者を検討したり通ったりするのは難しいと思ったが、会社を退職したのでこの先1年くらいはわりと暇がある。外回りの用事も抑えられるので、夏の間、顔が焼けてレーザー脱毛に支障が出ることも避けられる。
これらの条件が重なって、今こそ永久脱毛をはじめられるチャンスだと思った。これ以上延ばしてしまっては、残りの寿命で脱毛メリットを享受する期間が短くなる。「お金で時間を買う」という観点からは、たかだか数10万円の投資で1ヶ月のフリータイムを得られるのは悪くない取引だ。
自分がヒゲ脱毛のエステ・病院を選ぶポイント
数あるヒゲ脱毛業者の中でRINXと湘南美容外科を候補に選んだ理由は以下の3つだ。
- 都心に出なくても、自宅近くで通える中核都市に店舗がある
- 全国的に支店があって、引っ越しても施術を継続できる
- 予算20万円以内で、なるべく早く完全に永久脱毛したい
東京都内とはいえ、へんぴな場所に住んでいるので、新宿とか銀座に通うとなると往復の交通費がばかにならなくなってしまう。ドクターコバやゴリラ脱毛もよさそうだったが、お店が少なく候補からは外した。
また、せっかく10万単位のお金をかけるなら、きっちりと永久脱毛に成功したい。その点で医療レーザーに比べてエステ系の光脱毛は効果に半信半疑だが、RINXだけは国産オリジナルのイノベーションという強そうな装置を使っていて、立地条件も満たしていたので候補に加えてみた。
かつてTBCでお試し体験したニードル脱毛はやたら痛かったのだけ覚えているが、施術に時間がかかる=人件費もかかる、というのは容易に想像できる。1本108円でも数万本全部処理するなら100万は超えるから、少なくとも予算20万に収まる範囲でないと思う。やたらと目にする広告代も料金に上乗せされていると考えると、TBCを選ぶのはしゃくだ。ダンディハウスや他のメンズエステも似たようなものだろう。
3時間くらい、ヒゲ脱毛のサイトを調べまくって、やはり医療レーザーを扱う湘南美容外科が良いかと思ったのだが、RINXの激安パッケージ(10回パスで66%オフの税込59,800円)に興味を持った。もし10回以内で済むなら、同じ脱毛範囲で比較しても湘南美容外科の1/3くらいの費用で済むことになる。
というわけで、まずはRINXに予約を取って相談に行ってみた。