ポーターのミニ財布&カードサイズダイアリーのセットから、エルメスのアジャンダカバーに手帳を乗り換えた。1年ほど、財布と手帳が一体化したミニマムスタイルに慣れてしまったので、再び手帳と分けて財布を持ち歩くのがうっとうしく感じる。昔はそれが普通だったのだが、断捨離の味をしめてしまうと、なかなか元に戻れない。
試しに新しい手帳カバーに財布も一体化できないか考えて、市販の小型財布を組み合わせてみた。紙製の革製のコインケースを試したが、結論としてはどちらも厚みが増えたり財布として使いにくかったりで、使い勝手はいまいちだった。
ビニール製のポケットリフィルは安っぽい
システム手帳のリフィルには、たいていビニール製のカードケースや小物入れというオプションがそろっている。ミニ5穴のサイズでアシュフォードの便利ツールを一通り試してみたが、ビニールの安っぽい質感が苦手で長続きしなかった。
トラベラーズノートのオプション品にも、ビニール製のジッパー付きリフィルは用意されている。千円もしない価格で安いが、やはりエルメスの手帳カバーには似合わないだろうなと思う。
一方、同社のオプション品には、「ペーパークロスジッパー」というユニークな商品が存在する。つくりはビニール製のリフィルとほぼ同じだが、ポスタルコの製品を彷彿させるような、オリーブやマスタードという渋いカラーのキャンバス地になっている。さらに上位には6,500円もするが、本革製のジッパーケースも用意されている。
トラベラーズの世界観を演出するのに、ビニール製のリフィルはそぐわなかったのだろう。使い込んだヌメ革のカバーには、これらの特殊素材ジッパーケースがよく合いそうだ。
素材は魅力的だが、トラベラーズ独自のゴムバンドで固定する方式のため、手持ちのエルメス手帳カバーには装着が難しそうに感じる。また、折りたたんだお札やカードもジッパー内に入れてしまえば、その他の収納スペースは不要な気もする。大きめの袋ひとつで間に合うなら、その方が単純で望ましい(超整理法の「ポケット一つ原則」)。
スリップオンのノワールポーチ
パスポートサイズの平べったいコインケースを挟めば、それで財布として機能するのではないかと考えた。同じくエルメスのコインケースでいうと、旧モデルの四角いバスティアが中古で安く流通している。残念ながら、クレジットカードは入らない極小サイズだ。
革製品のちょっとしたポーチはいろいろあるが、代表的なのはロフトで展示品を触れるSLIP ONだ。カラバリ豊富なノワールのシリーズで、GMカバーにはPポーチのSサイズがフィットしそうだ。
ミニ財布ブームを反映して、外ポケット付きのOPポーチも新たに登場した。これでも3千円以下と、本革製なのに他社製品よりお求めやすいのが魅力だ。
今回は手帳カバーに装着するため、穴を開けてひもを通す改造案を考えていた。さすがに革製だと工作材料としては値が張るし、無駄に厚みが増えるのも心配だ。
思いつく限り、最も軽量で薄い財布素材はタイベックか和紙。この分野の定番、siwaのコインケースを取り寄せてみることにした。
siwaのコインケースを改造
パスポートサイズの手帳に合うのは、SサイズよりWideの方。コインだけならSで済むが、カードやお札を入れるならワイドサイズでないと厳しい。
新品が届いて早々、作り手の方には申し訳ないが、ケースの角にキリで穴を開ける。リフィルをカバーのクリップに留めたのと同じ、細めのゴムひもをループ状に結んでおく。反対側の端をコインケースに通して、同じく端部にループをつくる。
角から2つ出たループを手帳カバーの金属クリップに引っ掛ければ、コインケースを固定できる。財布として使用する際には、ゴムが多少伸びて可動域も広がる。リフィルを固定したときと同じ仕組みで、トラベラーズノート的なゆるい束ね方だ。
手帳に挟むと金属製のファスナー引き手がかさ張るように思われたので、ニッパーで切断して取り外した。代わりに同じくゴムひも製の取っ手を付けたら、これで十分使えるとわかった。耐久性は未知数だが、とにかく手でつまめる引っかかりがあれば、素材は何でもよい。
小銭だけでなくカードや紙幣も入れてみたが、siwaのケースはワイドタイプでもあまり容量がない。カードを数枚入れると中が狭くなって、コインを取り出しにくくなってしまう。
また、素材は和紙でも中に小ポケットがあったり袋型のマチがついているため、思ったより厚みが増えた。せっかくの超軽量siwaケースは、単体で持たないとその魅力を生かせないように感じた。
バーニーズの革製コインケース
手帳内の財布がショボく見えるのは紙素材が原因かと思い、あえてエルメスに近いシボ感のレザーグッズを探してみた。予算内で調達できたのは、バーニーズ・ニューヨークのミニ財布。やや大雑把なつくりで金具もゴールド色だが、新品5千円くらいで手に入った。片面に取り出しやすいカード入れも付いている。
エルメスの手帳カバーと合わせてみて、雰囲気は悪くない。予想通り、質感的にはsiwaよりも、しっくり似合って見える。少々もったいないが、siwaのコインケースと同様に穴を開けてひもを通せば、手帳のクリップに固定できるだろう。
ただし、ジッパーの間口が思ったより狭く、カード類をスムーズに抜き差しできないとわかった。これはあくまで小銭入れで、カードや紙幣を突っ込む野蛮な用途は想定されていないと買ってから気づいた。
構造的には2枚の革を張り合わせただけなので、素材のわりにsiwaのコインケースより薄く済む。しかし、メインのポケットにカードが入らない(一応入るが取り出しにくい)という致命的な問題のため、採用を見送った。
市販のコインケースにお札やカードを入れてミニ財布化しようとする場合は、買う前に店頭でよくシミュレーションした方がいい。そもそもカードを入れるように設計されていない製品だと、どうがんばっても収まらないことがある。