これからブログを始めようとする人で、はてなブログのような既存のブログサービスを借りるか、WordPressで一から構築するか、悩む人は多いだろう。運用上のメリット・デメリットはどちらにもあるが「AdSenseでどれだけ広告収入を稼げるか」という観点からは、実は明らかな違いがある。
はてなブログとWordPressで両方ブログを続けていて、こうも格差が生じるのかとアクセス数の推移を興味深く眺めていたが、根本的な原因が気になりはじめた。両者の比較はよくウェブで議論されるが、アクセス数や広告収入の定量的な比較を行っている記事は探しても見当たらなかった。
そこで、1か月ほど条件をそろえたダミーサイトを用意してA/Bテストを行ってみたところ、PV数・広告収入とも仮説を裏付ける結果が出た。結論からいうと、はてなブログの方がWordPressより稼げる。素人判断ではあるが、ブログで手っ取り早く稼ぎたいならカスタマイズの自由度とかにこだわらない限り、WordPressよりはてなで始めた方が効率的だ。
特化ブログより雑談の方がうける?
はてなブログとWordPressで1つずつ、合計9ヶ月ほど日記を書き続けて、どちらも100記事を超えるくらいコンテンツがたまってきた。はてなの方は、アフィリエイトや株主優待からガジェットのレビューまで雑多な内容で書き散らかしている。WordPressの方はあえてテーマを絞って、趣味の話題に特化している。
それぞれブログをはじめた当初から、Googleアナリティクスを見ていて、はてなの方が妙にアクセス数が多いのが気になっていた。AdSenseの認証を受けて広告ユニットを配置してからも、如実にはてなの方が稼げている。
正確には、アクセス数の差以上に売り上げが著しく乖離しているのだ。現時点で同じくらいのコンテンツ量にかかわらず、はてなブログの方がWordPressよりPV数で7倍、AdSense売り上げで20倍くらいの差が出ている。
WordPressサイトのネタがニッチすぎて、読者の母集団が小さすぎるのが原因かもしれない。はてなで取り上げているクレジットカードや株式投資など、節約やお金儲けに関する話題の方が万人受けしたとも推測できる。
条件をそろえてA/Bテスト
はてなブログの方が売れる理由は、単純に記事の内容が一般向けだっただけなのだろうか。はてなスターやブックマークの仕組みを見ると、はてなの方がWordPressの単独サイトより同一サービス内からの流入が多い。BingのWebマスターツールで被リンク数を調べても、はてな関連のサイトからのリンク数は異常に見える。
これは一度、可能な限り条件をそろえて比較テストを行ってみたいと思った。やり方としては、当ブログの新規記事を一時的にダミーで用意したWordPressサイトの方にアップする。ダミーサイトの方で同じ内容の記事を1ヶ月30記事くらいアップしたところで、はてなブログの初期1か月とPV数・AdSense収入を比較する方法だ。
WordPressサイトの方は将来使う予定の独自ドメインを取って、まっさらな状態から新規構築した。テンプレートは使い慣れているSimplicityを利用。
8月に開始したので、ちょうどポケモンGOブームと重なり、イレギュラーな流入があった。それでも1か月経つとブームは沈静化したので、2サイトの記事内容に差が出ないよう、意図的に似た内容の話題を書いてみた。
プラットフォームもデザインは異なるが、情報の質という意味では、ほぼ同内容のサンプルを用意できたと思う。
結果は、はてなブログの圧勝
新規開設したWordPressサイトで1か月淡々と記事を書き続けたが、PV推移を見ていて、どうも「はてな」のような反響を感じない。ドメインが新しいのでSEO的に不利かと考えたが、それ以外は特に問題あるようにも思えない。
ブログ開始から30日間の推移を比べると、WordPressよりはてなブログの方が平均的に3倍くらいアクセスが多かった。AdSense売り上げも似たようなものである。1か月のA/Bテストと、9か月続けている2ブログの状況、どちらを見てもWordPressよりはてなブログの圧勝だった。
AdSenseの規約に抵触するので、細かい数値やグラフは載せられない。テスト期間も短く断言はできないが、コメントや言及のされ方などPV・収益以外の側面からも「はてな」の方に手ごたえを感じた。
はてなブログがSEOに強い理由
身銭を切って試したA/Bテストで、「はてなはSEOに強い」という事実をあらためて確認できた。それには具体的に以下の理由が考えられる。
- はてなのドメイン○○.hateblo.jpが検索上位に表示されやすい
- はてなの方がSNSで拡散されやすい
- はてなブックマークやはてなグループ、読者からの流入が多い
ブログ初心者はとりあえず「はてなブログ」を選んでおけば間違いないといえる。メンテナンスも楽だし、最初から検索上位に出て多くの人に読んでもらえる可能性が高い。
あえてWordPressを選んだ方がいいのは、とことんデザインのカスタマイズにこだわりたい人か、はてなの都合に縛られたくない人くらいだろう。たとえ運営会社が傾いたとしても、これだけユーザーの多いサービスなら売却先に引き継がれると思う。
あえてWordPressも続ける理由
自分は「はてな」の回し者ではないが、Proアカウントの会費を払って記事を蓄積しているという点では運命共同体といえる。今後、サービス停止・改悪されたりしたら、バックアップデータからWordPressに移行できないこともない。ただし100記事を超えると、かなりの手間がかかりそうだ。
WordPressで運営している別のブログも、「ソースコードを見ればIDがばれる」という問題さえなければ、はてなの複数ブログに統合したい。収益的には、もう1アカウントPro契約しててでも、はてなに移行した方が合理的かもしれない。
迷いながらもいまだにWordPressで更新を続けているのは、HTMLやCSSなどウェブ関連の知識を維持したい目的もある。たまには自分でデータベースのバックアップくらい取れるようになっておきたい。
また、今後WordPressというサービスがどう発展していくのか見守りたいという理由もある。Simplicityのテンプレートに、はてな風のブログカード機能が実装されたり、WordPressのテーマやプラグインの進化・改良は興味深い。
単純に「卵は一つのカゴに盛るな」という教訓でもあるが、はてなのサービスをWordPressユーザーの立場から見て、客観的に評価できる視点を維持しておきたい。