アップルウォッチの新型、シリーズ2が9月に発売され、フェリカ&スイカ対応とのことで興味津々だった。
根っからの電子マネーオタクのミニマリストとしては、ついに財布もスマホも捨てて、腕時計だけですべての決済が済ませられるのでは?と期待が膨らむ。
Apple Watchを使うにはiPhoneが必須だった
しかし、新型Apple WatchでSuicaを利用するには、iPhoneとペアリングする必要があるらしい。かつては仕事でiPhoneもスマホも数台持ち歩いていたが、すぐに面倒になって自由度の高いAndroidスマホに統一してしまった。
機械はいろいろいじりたい性格なので、microSDカードの差せないiPhoneやKindleには拒絶反応を起こしてしまう。かつて1984のCMでIBMをビッグ・ブラザーと揶揄したアップル社が、いまや国境を越えた全体主義体制を敷いているようだ。ビジネスとしては自社サービスのエコシステムを築くのはまともな戦略で、iPhoneというハードウェアよりiTunesの方に先見性があったともいえる。
そんな能書きは置いておいて、最新iPhoneやApple Watchを買う金銭的余裕はないので、安い代替品を探してみようと思った。腕時計でSuica決済というのはまだハードルが高いとしても、心拍や歩数を測れるのは日ごろの健康管理によさそうだ。
Apple Watchより安くて狙い目の最新Fitbit Charge 2
最近のウェアラブル端末を調べていたら、ちょうど10月21日にFitbitの最新機種、Charge2が発売されていた。腕時計型でApple Watchのように心拍数を計測できたCharge HRの後継機種で、ディスプレイが大きくなって普通の時計っぽい見た目に進化している。
Apple Watchのように後からアプリを追加できたり、ディスプレイがカラフルだったりはしないが、時計表示できて歩数や心拍数が測れれば、小型のFitbitで十分でなかろうか。そのままプールや海に入れるような50mの耐水性能とか必要ない。しかも価格はApple Watch Series 2の半額くらいだ。
Fitbitシリーズの上位機種、BlazeやSurgeはよりApple Watchに近い見た目だが、高度なトレーニング機能は不要だし、ごつくて手元でかさばりそうな気がする。一方、下位機種のFlex2にはディスプレイがなく、Altaは細すぎてアクセサリーっぽすぎるので、自分的には新発売のCharge2がルックス的にベストに感じた。
かつて万歩計代わりに使っていたFitbit Zip
Fitbitといえば、昔お試しで一番安いZipを腰にぶら下げていた時がある。従来の万歩計よりは各段におしゃれで、数か月は歩数を測ってアプリで確認するのに夢中になったが、どこかで落としてなくしてしまった。数か月後にかばんのポケットから出てきたが、しばらく使っていないと歩数を測るモチベーションが薄れてしまった。
当時、Fitbitから送られてきたメールを読み返すと、がんばって1日45,000歩も歩いたのに「さらに5,000歩、歩いてみませんか」と、かわいい見た目にしては、なかなかの鬼コーチぶりであった。
Fitbit Zipは毎日着替える度に、腰やベルトに引っ掛けなければならないのが面倒だった。しかも真夏の仕事中などは、ベルトにぶら下げているとさすがに目立つので、やはり万歩計っぽくてちょっとダサいなと感じていた。
数年前は5,000円くらいしたと思うが、今のZipはアマゾンで3,000円以下で買えるので、取りあえずシンプルに歩数計測だけ試してみたい人にはおすすめだ。アプリ側は上位機種と共通なので、ウェブと連携した健康管理サービスを楽しめると思う。
その後、Zipはクリップ部のカバーが取れて金属むき出しになってしまい、まったく使わなくなった。今は引き出しの奥に眠っている。
店頭で装着テスト、思ったよりぶ厚いがSサイズがフィット
発売後しばらくは入荷待ちだったが、ようやく家電屋に在庫が並んだので、Fitbit Charge 2を試着してみた。
手首まわり実測16cmの自分にはSサイズがちょうどよさそうだった。ベルトの穴も10個あるうち、短い方の4~5個めの穴に留め具を通すと指1本入るくらいのちょうどいいサイズ感。SとLがあるが、標準的な日本人男性ならSサイズで問題ないだろう。
腕に巻いてみると、ベルト幅に対して本体部分がやや厚いが、これはまあバッテリー内臓と思えば仕方ないか。Apple Watchの電池が1日と持たないらしいのに比べて、Charge2は「最長5日間」持つらしく、かなり優秀だ。
将来的に普通のクウォーツ時計くらい薄くなれば、完全に従来の腕時計と代替できるだろう。現状では、運動時やカジュアルなファッションなら問題ないが、仕事用のスーツに合わせるとシャツの袖が引っかかって不格好に見えてしまう。
出先で開封の儀(ネット接続しないと何もできない)
思い切って家電屋店頭で購入したFitbit Charge2、待ち切れず、はなまるうどんでうどんの汁を飛ばしながら開封してしまった。
しかし、箱を空けても本体・充電器と、ウェブサイトのURLが書いた紙しか入っていない。電池は半分くらい残っていたが、画面上でもFitbit.com Setupとしか表示されず、ひとまずスマホにアプリを入れて連動させないと何もできないらしい。
このあたりはApple Watchや他のウェアラブル端末と同じだろう。現状では腕時計一つで操作は完結できず、スマホの大きい画面から遠隔操作してログを見るのが一般的だ。端末本体では、モード切替やトレーニングの開始/停止など、簡単なことしかできない。
マニュアルをウェブで参照するのも、紙資源の節約としては賛成だが、ネット環境のないところでいざ調べようとすると、困ることもある。最近、デジタル製品を開封すると、マニュアルは参照先のURLしか書いていないものが増えてきた。
自宅でセットアップ&装着。ベルト素材も違和感なし
自宅に帰ってWiFiでスマホにアプリをインストール。端末はGalaxy S6 edge(ドコモ版白ロム)だが、さすがに最近のハイエンド機だからかFitbitともBluetoothでスムーズにつながった。
いくつか初期設定を行い、腕に巻いてみた。早速、時計表示の下に心拍数が表示され、気分が盛り上がる。
店頭で試着した通り、本体の厚みが結構気になるが、見た目よりは軽く、ベルトの質感も違和感がなかった。
一日中、寝る間も装着することになるので、アレルギーや炎症が起こらないか、リストバンドの素材が気になるところだ。バンドは人体に対して安全性が高いエラストマーで、金具も医療用のステンレスを使用しているそうなので、まあ心配はいらないかと思う。
Fitbitの公式サイトでも、安全面の懸念が多く寄せられているのか、認定皮膚科委員会によるメンテナンスのアドバイスなどが充実している。
時計ディスプレイのデザインは7種類選べる
購入前から気になっていたのだが、普段から腕時計としても使うことを考えると、時計のディスプレイ表示にはこだわりたいところだ。数字のフォントとか、グラフィックデザインが非常に気になる。スマートウォッチとしては、見た目がかっこよくないとモチベーションが激減だ。スマホアプリ側の設定を調べたところ、7つの表示モードを選べることがわかった。
全種類、本体にセットして試してみたが、とりあえず時刻・日付・歩数・心拍数が縦一列に表示される情報量の多い画面(上記画像、下段の一番左)を使ってみようと思った。ただ、時刻のデジタル表示は脳内の情報変換に疲れるので、慣れているアナログ表示に変えるかもしれない。
せっかくスマートウォッチなのだから、アプリのアップデートや追加機能で、もっと文字盤のデザインを選べるとよいと思う。しかし、あくまで白黒表示でバッテリーの消耗を抑え、単機能にこだわったFitbit Charge2に過剰な機能拡張を望むのは本末転倒かもしれない。余計な機能をそぎ落とし、バッテリーの長寿命化と軽量化を成し遂げたFitbitは、Apple Watchより一層アップル製品っぽく見える。
本体の言語変更やバンド交換など
時計の設定をいろいろいじっていて、漢字の表示でレイアウトが崩れていまいちだと思ったが、試行錯誤の末、無事英語に変更することができた。
さらに、ベルト素材をオシャレなステンレスに替えてみたら、見た目の高級感が10倍くらいアップした。
他にも革製のバンドや、AppleWatchのエルメス風バンドも出ているので、Charge2を買ったらぜひバンド交換をおすすめしたい。
スマートウォッチが腕時計の代わりになる日
SFっぽいアンティークのデジタル時計に魅かれるが、ここまでウェアラブル端末が洗練されてくると、高機能で安価なFitbitで十分な気がする。
初めて腕に心拍計を巻いてみて、これはガジェットマニア以外の一般ユーザ層にもうけるのでは、と思った。一度まじめにログを取り始めると、着用しない時間がもったいなく感じるし、買い替えるとしても数年後さらに進化したスマートウォッチを選ぶだろう。
AppleWatchやFitbitの台頭で、セイコー、シチズン、カシオなど旧来の時計メーカーの株価が下がっているといわれる。実際にFitbitを使ってみて便利さに気づくと確かにうなずける。もう一段階、小型・軽量化して価格も下がったら、1970年代にクォーツ時計が機械式を駆逐したように、世の中の大半の人はスマートウォッチを流れるかもしれない。
クォーツが普及しても、スイス・ドイツのマニュファクチュールや、グランドセイコー・クレドールの高級時計は生き残っている。貴金属と合わせた宝飾品としての価値はあるし、伝統芸能として機械式時計の製造技術は受け継がれていくだろう。
おそらくこの先、普通のクォーツ時計並みにスマートウォッチが小型軽量化して、バッテリーも1年持つとかになったら、音楽再生も通話も(お好みなら心拍計測も)できるデジタル時計というのがスタンダードになる気がする。iPhoneが出てメモリも大容量化した時代に、わざわざ単機能のiPodを買う意味はない。
GPSを使った高齢者の見守り機能に期待
スマートウォッチを活用した「高齢者の見守り」はキラーアプリな気がする。一定期間、バッテリー切れでもないのに心拍0だったら、画面メッセージ>音声通話>駆けつけ確認、の順に救護対応するとか、徘徊時のGPSトラッキングとか使えそうだ。
プライバシーとの兼ね合いはあるが、介護する人と自治体の負担軽減には大いに役立つだろう。都心ではあり得ないが、田舎に住んでいると週に1度は夕方頃、「○○さんが行方不明で…」という広域放送が流れるのは日常の光景である。
先日、郵便局で行方不明の痴呆老人の捜索願が張り出されていて、GPS付きのスマホも持たせていたはずなのに、バッテリーが切れたんだろうなと思った。ガーミンやポラールのスポーツ向けGPS機能付き腕時計も、現状ではフル稼働で24時間はバッテリーが持たない。介護用の特大バッテリー付きスマートウォッチとかあればいいと思う。