e-Taxソフトを用いて無料で法人税申告。
別表5ができたら、別表4で所得金額、別表7で繰越欠損金をそれぞれ計算する。別表1は自動で数字が転記されるので、これで別表作成はほぼ完了だ。
均等割は欠損金にならない
税務申告では、赤字の場合でもかかる法人住民税の均等割が損金にならないという点に注意が必要だ。
決算後に納める法人税や法人住民税は経費にならない。その他の罰金や延滞税も同様。ただし法人事業税だけは例外で、印紙税や自動車税などと一緒に損金として認められる。
そのため貸借対照表の利益剰余金と税務上の繰越欠損金が、最低でも均等割の7万円分だけ、毎年確実にずれていく。
いずれも会社の財布から出ていくことに変わりはない。会計ソフトの上では同じ費用だが、申告時に切り分けが必要になる。申告書の中では、別表5-1が決算書と税務上の簿価のずれを反映する役割を果たしている。
別表4(簡易様式)の書き方
「損金にならない税金」について知ると、別表4の意味がわかってくる。
冒頭に記入する「当期利益又は当期欠損の額」から、法人住民税均等割に相当する「損金経理をした納税充当金」を引いた金額が所得になるのだ。
赤字の場合は、最上段に損益計算書の当期純損失をマイナスで入れる。次に加算部分の納税充当金に70,000円を入力。「損金経理をした…」という区分名ががまぎらわしいが、別表5-2で「損金経理」でなく「納税充当金方式」を選んだ場合でもここに書く。
減算部分は空欄のままとして、当期欠損から納税充当金を引いた金額が仮計・合計・差引計・総計欄に反映される。そして最下段の「所得金額又は欠損金額」が別表1の冒頭に自動転記される。
e-Taxソフトを使っていれば、ほかの別表を埋めていくと別表1は勝手に仕上がることになる。
別表7(1)の書き方
別表7(1)では、当期分の欠損金額に欄内の指示どおり、別表4「47の①」(所得金額又は欠損金額)を記入する。これは別表1に転記される額と同じだ。
その下の「青色欠損金」に全額転記し、法人税の還付を受けなければ「欠損金の繰戻し額」は空欄。
そして過去10年の欠損金繰越と控除額について、その上の欄に記録していく。この欄は下から順に積み上げていくので、上に行くほど事業年度が古くなる。
もし欠損金を利益と相殺する年が出てきたら、古い年度の「控除未済欠損金額」から順に相殺していく。
そうして欠損金を使い切った年、または欠損金が出なかった年は、すべての欄に0を書いて残しておく。そうすると下から行を数えて、どこまでが10年以内なのか一目でわかりやすい。
欠損金は過去10年まで繰り越せるルールなので、毎年行を増やして上に詰めていった方が読みやすいだろう。
各年度でもともといくらの欠損金が出ていたかは、過去の申告書を見て確認できる。そうして単純に残額だけ記録していった方が、将来控除できる額を把握しやすい。
欠損金は、後に生じた利益を相殺できるという意味で簿外資産のようなものである。赤字の場合でも、この金額を毎年積み上げていくのが、ひそかな楽しみといえる。