シティバンク提携のダイナースクラブカードで、年会費無料になる利用条件が厳格化された。
さらに新しく名前が変わったプレスティアでは、預金残高が50万以上ないと毎月2,160円もの口座維持手数料を取られることになった。
二重のサービス改悪でカードも口座も解約しようか迷ったが、後者はeセービングのタイプであれば無料で済むことがわかった。
銀行に問い合わせた回答や、郵送で届いた資料についてレポートしたい。
知られざる口座維持手数料
プレスティア(SMBC信託銀行)から届いた年会費特典の変更通知に、以下のQ&Aが含まれていた。
SMBC信託銀行の口座維持手数料が無料になる特典は、いつまでが対象になりますか。他に口座維持手数料を無料にする条件はありますか。
そもそもシティバンクで口座維持手数料が免除されているとは知らなった。
あくまでダイナースのクレジットカードを無料で持つため口座を開設したにすぎず、カードの引き落としにしか使っていない。
ダイナース提携4つの特典
書面をよく読むと、SMBC信託銀行提携カードにはもともと以下の4つの特典がそなわっていたようだ。
- 銀行取引特典
- 口座維持手数料無料
- キャッシュバック
- カード年会費特典
カードの作成・口座開設時にもらったパンフレットを見て、各特典の内容を調べてみた。
銀行取引特典とはシティバンクの口座で投資信託や外貨を購入すると、金額に応じてカードのポイントが付与されるサービスだ。
キャッシュバックとはクレジットカードの利用で貯まったポイントを決済口座に入金できる機能。
そしてカード年会費特典に加えて、もともと月に2,100円取られる口座維持手数料が免除されていたらしい。
年間5万近くの手数料が発生
この変更にともなうあなた様のお手続きは一切必要ございません。
ふむ。
言われたとおりに何もしなければ、翌年から2.2万のカード年会費が生じてしまう。さらに2016年9月から毎月、口座維持手数料を引き落とされることになる。
年間の負担額を税込で計算してみると、
- カード年会費…23,760円
- 口座維持手数料…2,160円×12か月=25,920円
合計49,680円
これはしゃれにならない金額だ。プロパーのダイナースクラブカードを持つより、費用負担が増えてしまう。
年間30万円使えば無料で持ち続けることができた旧シティバンク提携のダイナース。今回の変更通知に気づかないまま、知らないうちに巨額の手数料を引かれてしまう人も出てくるだろう。
口座維持手数料を無料にする条件
プレスティアの公式サイトを見ると、忌まわしき口座維持手数料を免除する条件がいくつか挙げられていた。
- 前月の月間平均総取引残高の外貨部分が20万円相当額以上
- 前月の月間平均総取引残高が50万円相当額以上
- 前月末時点でローン商品のお借入れがあること(プレスティア マルチマネークレジットは除く)
- 前月最終営業日の当行所定の時点でプレスティア マルチマネークレジットのお借入があること
- 前月25日(25日が土・日・祝休日の場合は前営業日)時点でSMBC信託銀行の提携クレジットカードの会員であること
- 外貨積立サービスの初回引落しがあった月の翌月以降、一定の積立がされていること
PRESTIAウェブサイト「手数料について」より
1. 銀行預金50万以上をキープ
このうち最も簡単そうなのは2番目の「月間平均総取引残高が50万円相当額以上」という条件。要するに口座に常に50万以上の残高をキープしておけばよい。
外貨預金であればもっと少ない20万でクリアできる。しかし米ドルで片道1円と高い為替手数料がかかるため、手続きに4,000円くらいかかってしまう。
毎年牛丼30杯の利息を生む50万
50万という見せ金の価値は、人によってさまざまだろう。
自分の場合よく利用する外食系の株主優待に換算すれば、吉野家と松屋を100株ずつ買える金額。配当額と優待利回りを考えれば、毎年牛丼30杯食べられる権利に相当する。
これまでシティバンクにはダイナースの決済用に毎年30万少々。最低限の金額しか預けてこなかった。
少しでも余剰資金があれば投資に回したい。そう考えると口座維持手数料を無料化するためだけに、50万ものお金を寝かせておくのはもったいない気がする。
2. PRESTIA提携クレジットカードをつくる
もうひとつの免除条件として「SMBC信託銀行の提携クレジットカードの会員」というのがある。
しかしこれは旧シティバンク提携のダイナースクラブカードではなく、プレスティア公式のVISAカードを指すようだ。しかもゴールドとプラチナしかラインナップされていないので、新規作成するにはハードルが高い。
3. eセービングならそもそも無料?
2016年6月時点のウェブサイトには、もうひとつ「プレスティア円普通預金口座eセービング」という口座維持手数料の免除条件が書かれていた。
だがこれも「円普通預金口座に追加して、プレスティアeセービングをご開設された場合は該当しません」という不明瞭な注釈が添えられている。
その後2018年7月16日にeセービングは円普通預金に移行されたため、今では存在しないサービス名となっている。
プレスティアに電話で問い合わせてみた
そもそも円普通預金口座のeセービングの違いがわからない。
思い切ってプレスティアの相談窓口に電話してみたところ、「あなたはeセービング口座の保持者で無料化の条件を満たしており、口座維持手数料は当面かからない」との回答だった。
これはどれだけネットを調べても得られなかった情報だ。
どうやら旧シティバンク時代からのカードホルダーでeセービングを開設済みの場合は、そのままでも口座維持手数料はかからないらしい。
旧シティバンクのeセービングとは
知らないうちに契約していたeセービングの内容について調べてみた。
これは旧シティバンク時代のネットバンキングに相当するサービスで、紙の明細を送ってこない代わりに口座維持手数料が無料というシステム。
また本人限定受取郵便を介することによって、すべての申し込み手続きがオンラインで完結できる。申請すれば5営業日でキャッシュカードが発行されるというメリットもあった。
年会費無料の提携ダイナースを手に入れる際、おそらく大半の人はこちらのeセービングを選んだのではないだろうか。
確かに手元にあるシティバンクのキャッシュカードには、e-Savingsと印字されている。
プレスティアのウェブサイトにサインオンすると、以下の2つの口座名が表示される。
- プレスティア eセービング…ダイナースクラブカードの引き落とし用
- プレスティア マルチマネー口座普通預金…0JPYで放置
後者のマルチマネー口座は外貨預金に使うもので、残高はずっと0のまま。ダイナースの引き落とし用としては、eセービングの方しか使っていなかった。
調べたところ、eセービングはだいぶ昔の2012年12月5日で新規申し込みが終了している。自分はたまたまそれ以前に申し込んで、運よく口座開設に間に合ったようだ。
いつまで続くかeセービング優遇
ひとまず9月からの口座維持手数料は関係ないとわかって安心した。
しかし新規申し込みが凍結されたeセービング口座も、いつまで優遇の対象になるかわからない。
ダイナースカードの新たな年会費無料条件「年間60万決済」に比べれば、口座に50万維持する方がむしろ楽だったかもしれない。
退職後はキャッシュフローが少なくなり、思ったほどクレジットカードを使わなくなってしまった。
とりあえず今年はまだ従来どおり30万の決済条件で無料化できる。今後も60万使ってダイナースカードおよびプレスティア口座を維持するかどうかは、サービスの動向を見ながら考えてみたい。