BRAUN(ブラウン)の壁掛け時計BC06、ホワイト版レビュー

ブラウンの掛け時計BC06W(ホワイトバージョン)のレビュー。

2か月ほど使ってみて、シンプルすぎる外観にようやく目が慣れてきた。素っ気ない部屋に合うミニマムな掛け時計を探して5年、悩んで選んだ甲斐があった。

デザイナーのディートリッヒ・ルブスとディーター・ラムスがこだわったであろうポイントを、製品を見ながら考えてみたい。

ブラウンのウォールクロック

BRAUNの時計シリーズはI NEXT GE Inc.という代理店が輸入販売している。

ブラウンのほかにもヤコブ・イェンセンやローゼンダール(アルネ・ヤコブセン)といった、北欧デザインの時計が扱われている。

型番・仕様の違い

現在手に入るブラウンの掛け時計は、色違いを除いて全部で4種類ある。

  • BC06(白/黒)…MoMA所蔵品ABW30の復刻版
  • BNC006(グレー)…BC06の色違い
  • BC17(白/黒)…秒針・風防付きの上位モデル
  • BNC017(白/黒)…BC17の大型バージョン

BNC006、BNC017は公式サイトから消えているので、おそらく在庫限り(2019年12月1日現在)。

今回選んだBC06は、ラインナップの中でも秒針と風防が付いていない最小限のモデルだ。

BRAUN BC06のパッケージ

上位版のBC17には普通の時計らしく、秒針とガラスのカバーが付いている。基本的なデザインは一緒だが、BC17は見た目のうえでもいくつか違いがある。

まず時針・分針が、秒針のカウンターウェイト部分と同じ幅だけ2色に塗り分けられている。

また秒針の先端には黄色のアクセントカラーが塗られている。さらに時計前面上部にあるBRAUNロゴの下に、quartzという文字がない。

型番によるサイズの違い

サイズ感としてはBC06の直径20センチに対し、BC17は直径30センチとひとまわり大きくなる。

ただし公式サイトでは、「30cmサイズ」「Size W_200 H_200」と矛盾した説明になっている。掲載されている製品写真はインデックスの文字が小さいため、直径30センチのバージョンと思われる。

どうもこれは、以前販売されていたBNC017の説明が混ざっているような気がする。サイズが心配なら店舗に問い合わせて確認するか、実物を見てから買った方が安全だ。

定価と通販実売価格

公式サイトの税込価格を比べると、BC06の5,500円に対してBC17は8,500円。

スペックが上がった分だけ、後者の方が価格は高くなる。ちなみに過去に売られていたフル装備のBNC017は10,000円だった。

自分は送料を含めて4千円くらいで購入できた。店頭に飾られているのは見たことがないので、通販で買った方が早いと思う。

ブラウンのBC06Wを選んだ理由

今回は時計を置く予定の部屋に合わせて、直径20センチのモデルを選んだ。

色も壁紙に合わせてホワイトとした。

サイズが手ごろ

6畳のワンルームに直径30cmの時計を掛けると、ちょっと大げさに感じる。先にチェックしたニトリの掛け時計も気に入ったが、大きいサイズしかないのであきらめた。

BRAUN BC06

もちろん掛け時計は大きい方が見やすい。

身に着けるものでもないので、デカ厚・金属ブレスの腕時計のように、多少重くても気にならない。

しかし必要以上に馬鹿でかいのは野暮だ。「大は小を兼ねる」というが、選択の余地があるならジャストサイズを選びたい。

構成要素は最小限

また、風防も秒針も省いたBC06のモデルの方に、より「ブラウンらしい」魅力を感じた。

iPhoneをデザインしたアップルのジョナサン・アイブは、ブラウンのデザイナーだったディーター・ラムスに影響を受けたと公言している。iPhoneの電卓アプリが、ブラウンの電卓ET66を真似しているのは有名だ。

そしてディーター・ラムスには「良いデザインの10か条」という名言がある。その最後にあるのが、以下の文章。

Good design is as little design as possible.

良いデザインは、可能な限りデザインしない。

Wikipedia「ディーター・ラムス」より

すなわち「最良のデザインとはデザインしないこと」。

製品や機能について考える前に、そもそも「それなしで済ませられるなら、その方がいい」。まさにミニマリストらしい逆転の発想だ。

1982年に制作されたABW30の復刻モデルであるBC06には、このポリシーがよく表れている。秒針や風防をあえて省いたことによって、以下のメリットが生まれる。

  • 材料費・加工費などの製造コストが下がる
  • 運送費・施工費など流通・設置コストが下がる
  • 重量が軽くなるので壁やフックの負担が減る
  • 構成要素が少ないので分解・メンテが楽
  • 廃棄時に余計なゴミが出ず、分別の手間も減る

壁の高い位置に設置するので、めったに触れることがない」という掛け時計の利用シーンを想定した、いさぎよい決断だと思う。それでは具体的な特徴を見てみよう。

BC06には風防がない

BRAUNの掛け時計BC06には、ガラスやアクリルの透明カバーがついていない。

壁掛け時計にカバーは不要

カバーがないことによって心配になるのは、モノが当たったり手で触れたりして、針の部分が壊れてしまう点だ。

しかし掛け時計は通常まわりからよく見える高い位置に設置する。部屋の中で何か投げて遊んだりしなければ、めったに衝突することはないだろう。

また文字盤が汚れたり、ホコリが積もったりするのも気になる。

だが高所にあるのでうっかり触って汚してしまうことはない。文字盤に凹凸は少なく、針も常に動いているので、ホコリが積もって目立つこともない。

カバーがないと、時計の内部に湿気が入り込んでしまうのではないだろうか。

高温多湿な浴室やサウナで使うならいざ知らず、普通の家なら気になるほどではないだろう。そもそも防水仕様でない掛け時計など、カバーがついていたとしても密閉性は怪しいものだ。

いろいろ考えると、掛け時計にガラスカバーはなくてもよい。

風防のない腕時計は不便だと思うが、室内の比較的安全な位置に取り付けられる掛け時計なら、そこまで支障はない。

むしろカバーがないことによって、積極的なメリットが生まれてくる。

ガラスカバーがない利点

時計の前面を覆うものがないので透明度は100%。ガラス面の無反射コーティングも必要なく、視認性は最高だ。

BRAUN BC06

どの角度から時計を見ても、照明を反射して読みにくくなるおそれがない。内部に湿気がこもってガラスがくもる懸念もない。

BC06はカバーがないので、手で直接針を回して時刻を合わせることもできる。

公式サイトの商品説明にも、「壁から外すことなく、そのまま時刻を合わせることができます」と書かれている。

クオーツ時計といえども、年差仕様の高級機でなければ月に数秒、時間がずれる。年に何度かは、数分くらい針を回して調整する必要がある。

掛け時計は高所に設置するので、壁から外して裏側のダイヤルを回すのは不便だ。表からそのまま針を回せるなら、それに越したことはない。

BC06の背面には、一応時刻調節用の歯車が付いている。不用意に針を回すとムーブメントに過大な負荷がかかりそうな懸念もある。

どちらがよいとは言えないが、わざわざ本体を外さなくても誤差を修正できるという選択肢があるのはプラスだ。

取り外しの際、脚立から落ちてけがをしたり、再び水平垂直を合わせて壁に掛け直したりするのは面倒。「直接針をいじれた方がうれしい」というズボラな人は、少なくないと思う。

BC06には秒針がない

BC06には秒針が付いていない。

そして腕時計の世界では、秒針のない2針タイプの方が格式高いといわれる。

BRAUN BC06の分針・時針

冠婚葬祭などフォーマルな場面において、相手に「時間を気にしている」という失礼なメッセージを伝えないようにするためだ。

逆にビジネスシーンでは秒針があった方が、「時間に正確」というポジティブな印象を与えられる。

今どき日本でこんな使い分けを気にする人は少ないと思う。

しかし、海外高級ブランドのドレスウォッチはたいてい2針か、秒針があってもスモールセコンド。シャツの袖に隠れて目立たないよう、薄型のムーブメントを追求したせいでもある。

時間にせかされない

時計において秒針の果たす役割は「電池やゼンマイが切れていないか、壊れていないか見てすぐわかる」という点に尽きる。

いまどきアナログ時計を見ながら秒単位で作業をこなす必要があるのは、電車の運転など特殊な場面に限られる。あとはカップラーメンの待ち時間を測るときくらい。

料理やスポーツで正確な時間を測りたいなら、デジタル時計を使った方が便利だ。今はスマホのストップウォッチ機能も手軽に利用できる。

たまに電池が切れて「時計が止まったのに気づかない」という弊害を除けば、家の掛け時計に秒針はなくてもいい。この問題は、部屋の中に別の腕時計を吊るしておくことによって解決できた。

腕時計を掛け時計として使う、ミニマリストの小ネタ
掛け時計の購入を検討していて、ふと思いついたアイデア。 普段使っている腕時計を壁に掛ければ、収納場所に困らないうえ、掛け...

せわしなく動く秒針などかえってない方が、個人的にはリラックスできる。

余計な針が一本減る分、時刻の読みやすさもアップする。

秒針がなくても音はする

BC06には秒針がないので音も静かだろうと期待したが、そんなことはなかった。

公式サイトで「静音設計」とうたわれているわりに、夜中に結構大きな音が響く

どうやら秒針がなくても、内部に秒単位で動くメカニズムがあるようだ。そして分針は数秒おきでなく、1秒ごとに小刻みに進む。

スイープ運針のクオーツ時計でも、耳を近づけると動作音が聞こえることはある。

たとえばセイコーが90年代に販売していたスイープ秒針のキャリバー5s21と5s42。針の動きは滑らかだが、ケースに耳を当てると1秒に2回カチッと鳴る音が聞こえる。

掛け時計でスイープや静音とうたわれていても、実物を試すまで完全に無音かどうかは判別しにくい。

もし夜間の静寂を求めるなら部屋に時計は置かないか、デジタル時計を選んだ方が無難だ。

BC06には電池カバーがない

BC06に風防と秒針がないのは買う前からわかっていた。しかし製品が届くと、ほかにも時計として「あるべきものがない」ことに気づいた。

裏面の電池を入れる部分にカバーがない。ネット上には製品の裏面を写した画像がなかったので、実物を見るまでわからなかった。

BRAUN BC06の電池部分

目覚まし時計や体重計など、頻繁に手で触る家電なら電池カバーはあった方が安全だ。

しかし掛け時計は、いったん設置したらめったなことでは動かさない。そして時計の裏側は壁に面するため、何かが当たったりほこりが積もる心配はない。

BC06の電池を入れるくぼみは十分深く、金属端子で挟まれるので勝手に落ちてくる心配はない。

万が一、高い場所から時計を落としてしまったら、カバーがあってもほとんど意味はないだろう。落下の衝撃で中身の電池ごと吹っ飛ぶ。

BRAUN BC06の裏側

そう考えると掛け時計の電池カバーはなくても困らない。そして電池交換の際に、カバーを着脱する手間を減らせる。

ついでに電池も付いてこない

さらに細かいところを指摘すると、BC06にはモニター用の電池も入っていない。

最初は付属品の不足でないかと思ったが、外箱にBattery not includedと書かれていた。

BRAUN BC06の外箱にある説明

電池の規格は普通の単三サイズなので、特に困ることはない。

むしろ得体の知れない電池がついてくるよりも、それを省いて値段を下げてくれた方がうれしい気もする。

今は充電式のエネループやエボルタを使っている人も多い。廃棄に困る使い捨ての乾電池は、やっかいな代物だ。

おそらくブラウンの時計を選ぶユーザーは、海外製のしょぼい電池など欲しくない。いったん設置すると電池交換が面倒なので、残り寿命が読めないモニター電池など使いたくない。

BC06に電池がついていないのは、ターゲット顧客の特性を意識した合理的判断といえる。

ブラウンの特徴は小さめの数字

BRAUNのデザイナーといえばディーター・ラムスが有名だが、BC06のオリジナルであるABW30を設計したのはディートリッヒ・ルブスという人だ。

ルブスは腕時計のシリーズも手がけていて、AW10(1989年作)はABW30とよく似ている。そしてどちらも復刻モデルが手に入る。

これらの時計で印象的なのは、文字盤の端正な数字フォント。

セイコーや無印良品の類似製品よりかなり小ぶりで、書体もHelveticaやArialといった欧米のスタンダードに近い。

BRAUN BC06の数字フォント

セイコーや無印良品との違い

同じシンプル志向の時計でも、国内メーカーは文字盤の視認性を重視しているように思う。

無印の「駅の時計」「公園の時計」、セイコーの教室向け時計では、視力の弱い人が遠くから見ても識別できるよう、あえてずんぐりとした大きなフォントが使われている。

それらの製品に比べるとブラウンの時計は数字が小さい分、スマートに見える。必要最低限の可読性を維持しつつ、納まりのよさや上品さを優先した結果だろう。

そもそもバーインデックスというさらにシンプルな形式もあるのだから、時計の文字盤に数字は必須でない。

BRAUNはフォントが控えめ

ブラウンの歴代プロダクトは、総じて製品にプリントされた説明用テキストが目立たない。フォントが小さいうえ、on/offなどすべて小文字で表現されている場合が多い。

ユニバーサルデザインの観点からすると、操作を説明するテキストは大きくて読みやすい方がよい。

しかしブラウン製品の文字が小さいのは、「マニュアルを読まなくても直感的に使い方がわかる」という自信の表れではなかろうか。

ディーター・ラムスの名言どおり「取扱説明書など必要なければない方がベター」なのだ。

BC06のケースに見られる工夫

BC06のホワイトモデルは、一見したところ表も裏も単一のプラスチック素材で構成されている。

側面のパーツは適度に薄く、上下左右の4か所で裏側から衝立状に補強されている。

背面のフックを引っかける部分は、ほんの少し素材に厚みをつけて強度を増やしている。本体が軽いので、わざわざ穴を補強しなくても別に支障はないように思う。

BRAUN BC06のフック取り付け穴

しかしあえて断面の上側だけ盛り上げることによって、「引っ掛ける」という行為がアフォード(誘導)される。

そのため設置の際に表の文字盤を見なくても、壁に掛ける方向がわかる。

文字盤にある段差の意味

きわめてシンプルなBC06の外装で、唯一気になるのが文字盤にある段差だ。

ダイアル外周のインデックスがプリントされた部分だけ素材が切り替えられて、ゆるやかに傾斜がついている。

これほど省略の多いプロダクトなのに、わざわざ加工を増やしているからには、きっとワケがあるはずだ。自分なりにその理由を推測してみた。

  1. 時計を横から見たときに、遠くの側の数字を読みやすくする。
  2. 分針の先端とインデックスを近づけることにより、読み取り誤差を減らす。
  3. 段差によって円状の陰影をつくり、短針と長針を見分けやすくする。

横から見たBRAUN BC06

あるいはただ単に「大きなサイズのプラスチック板が手に入らなかった」だけかもしれない。たまたま設計当時のドイツで、15センチ四方の樹脂板なら安く手に入ったとか。

靴やカバンのような革製品で切り返しがある場合に、よく聞くエピソードだ。サイズの大きい一枚革は希少。かつてはプラスチックもそうだったのかもしれない。

ケント紙のような素材感

ケースの表面は滑らかだが、完全にツルツルというわけではない。

よく見ると微妙なテクスチャー感が残っている。このつや消しの素材感は、きめの細かいケント紙のようだ。

文字盤表面にミクロの単位で凹凸があり、光を乱反射して無光沢に見せている。その反対に黒い針には若干の光沢があり、色の違いだけでなく素材の違いも視認性の向上に役立っている。

プラスチックの白色はマンセル値でいうとN9.5に近い、ほぼ100%のホワイトカラー。そのため部屋の壁紙が生成りだと、色の違いが際立ってしまう。

BC06はギャラリーのようなホワイトキューブの空間に、よく似合うと思う。

時計表面の印刷は簡素

文字盤に印字されている数字や線は、膨らみがなくのっぺりとしている。

この部分は特にこだわりがなく、最低限のコストでプリントされているようだ。

BRAUN BC06の数字プリント

深澤直人デザインのセイコー・スタンダードが、インデックスを肉盛り印刷しているのとは対照的。

同じく細部にこだわりまくったあちらの製品は、定価3万円以上の高級品になってしまった。見えないところで電波修正機能まで付いている。

いくらデザインが良くても、高級すぎてはブラウンらしくない。BC06からは「どうでもいい部分は必要以上にこだわらない」という、あっさりした態度も感じられる。ケースの裏面など、まさにその典型だ。

有名なMoMA収蔵品なのに数千円で手に入るというのもBC06の魅力。

大衆向けに大量生産されるプロダクトの品質向上」というバウハウスの精神を受け継いでいるように思う。

ロゴ下にあるquartz表記の理由

BC06でひとつだけ残念な部分があるとすれば、文字盤のロゴ下にあるquartz表記だ。

BC17のようにquartz文字がなければ、もっとすっきりしたと思う。

BRAUN BC06の文字盤

欲を言えばBRAUNのロゴすら不要だ。

製造コストは上がるが、プラスマイナスゼロのウォールクロックのように、せめてエンボス加工で目立たなければよかったと思う。

現代ではクオーツ時計など100均でも手に入る「安い時計」の代名詞。機械式=高級時計というカテゴリー分けが進んだ結果、今どきquartzと書いてあってもありがたがる人はいないだろう。

なぜBC17より研ぎ澄まされたBC06の文字盤にquartzの文字が残っているのか?

推測される理由のひとつは、「オリジナルのABW30を忠実に再現したため」だ。

クオーツに価値があった時代

ABW30が発売された1982年当時は、クオーツであることが信頼性・経済性だけでなく「新しさ」という価値をもっていた。

現代のセンスではまったく不要(というかダサい)アピールでしかなくても、当時はそれなりに意味があったと考えられる。

同様に90年代に売られていたブラウンのアラームには、当時の先進機能だったbcsの文字が刻まれている。

BRAUNアラーム時計AB40slレビュー、トグルスイッチの秘密
もう20年近く使い続けているBRAUNの目覚まし時計、AB40slをレビューしたい。 すでに廃番だが、実用性の高いトグル...

腕時計の中にはケース素材の希少性を主張するため、文字盤にPLATINUMやTITANIUMと書かれているものもある。セイコー・クレドールや、ポルシェデザイン by IWCのシリーズにも見られる。

素材表記を嫌味に感じる人がいる一方、「わかりやすい(自慢できる)」とよろこぶ消費者層が存在するのも事実だ。

ブランディングやマーケティングの観点からすると、BRAUNロゴも外すわけにはいかないのだろう。

セイコー・シャリオとの類似性

2017年に復刻された、セイコーのシャリオという時計がある。

かつてスティーブ・ジョブズが愛用したため、オークションでは高値で取引されていたこの製品。文字盤のデザインがブラウンの丸写しなのはさておき、復刻版にはちゃんとQUARTZの文字が再現されている。

ケースサイズやラグ形状は現代風にアレンジされているが、QUARTZの印字はあえて省略されなかった。

ブラウンのBC06も同じ理由で、過去の名作へのリスペクトが表現されているように思う。

白黒はっきりした壁掛け時計

ブラウンの時計はモノクロ基調の中に、赤・黄・緑のアクセントカラーを入れたものが多い。

BC17で秒針の先端だけ黄色に塗られた部分、これこそがブラウンのアイデンティティーと呼べそうな気もする。

しかしBC06は徹底的に寡黙だ。

コントラストの強い白黒2色、それ以外に色味はない。

完全にモノクロのブラウン製品というのは、かえって新鮮に感じられる。

Good design is as little design as possible.

BC06は現行ブラウン製品の中で、ディーター・ラムスの格言をもっとも忠実に体現しているように思う。