法人から個人口座に手数料ゼロで資金を移す方法~ATM200万ルール

請求書の振込先銀行口座は、何となくまともな会社に見えるよう、ゆうちょ銀行でなくMUFGを記載しておいた。ところが三菱UFG銀行の法人口座は、多額の現金を預けておいても何のメリットもない。

金利は相変わらず最低の0.001%だし、個人口座のようにステージアップして他行宛て振込手数料が無料になるチャンスもない。いろいろ経費を立て替えて会社への貸し付けがたまっていたので、この機会に丸ごと返済して運用に回そうと思う。

帳簿上は1,000万以上の負債。DES(デットエクイティスワップ)でそのまま株式に変えてもいいが、合同会社の場合どうなるのだろう。今のところ対外的に資本金を多く見せる必要もないので、会社名義にして自分に貸し付けるより、そのまま個人の財布に移した方がお得だ。

上限200万ずつ引き出す

1,000万強の現金をMUFG法人口座から楽天銀行個人口座に移すのに、手数料が一番安く済む方法を考えてみた。法人口座は振込手数料が異常に高いので、BizSTATIONの3万以上他行宛て振込は756円。それだけあれば国産の梅干しが買える。

ネットバンキングでなくATMから振込した場合は、同じく他行宛て3万以上で432円。ただし、個別設定で1日当たり利用限度額の上限額を最高1,000万まで上げても、ATM経由の振込は「1回あたり500万未満」という制約がつく。499万とか2回に分けて振り込むと、おそらく手数料も2倍かかるだろう。

銀行窓口であれば、200万以上の場合の身分証確認をパスして無制限に引き出せる。ただし、1,000万の現金を持ち歩くのはぞっとしない。ATMの預け入れ限度も1操作あたり200万が上限なので、5回に分けて入金する間に寿命が縮みそうだ。

結局、1日上限の200万ずつ5回に分けてATMで引き出し、そのまま楽天銀行の口座に預け入れするのが安上がりだと思った。5日間、散歩がてらATMに寄ればいい。金額的には、毎回ジュース1本もらえるお使いみたいなものだ。子供でもできる単純な資金洗浄といえる。

楽天銀行に対応してないATMが多い

数日ATMを行脚して気づいたのだが、MUFG支店のATMで楽現銀行のキャッシュカードを受け付けない機種があるようだ。公式サイトによれば提携先ATMとして対応しているはずだが、導入が進んでいない古い機種が残っているのだろうか。

IC/クレジットでないキャッシュカード側で機械に挿入すると、「IC側で差し直せ」と指示される。しかしIC側で読み込ませると、未対応というエラーメッセージになってしまう。同じ支店でも別のATMマシンだとカードが通ったりするが、特に機種の違いはなさそうだ。

駅前のゆうちょ銀行ATMでも試してみたが、同じ状況だった。ゆうゆう窓口をそなえた郵便局にあるATMだと、楽天銀行のカードは安定して受け付けてくれる。近所の郵便局は2つともOKだった。

コンビニのATMでも試してみたが、カードは受け付ける代わりに50万が預け入れの限度額になってしまう。50万ずつ複数回操作すればこなせそうだが、コンビニで無防備に札束を分割して数えるのも気が進まない。

金額が大きいとATM詣では疲れる

結局、最寄りのMUFG支店で200万下ろして、数100メートル先のゆうちょ銀行で楽天口座に預け入れするルーチンになってきた。毎日大金を持って同じルートを歩くのも不用心な気がするので、わざと道順を変えたりする。それなら家から少々遠いが、楽天カードに対応したATMがある三菱UFJ銀行支店で、一括処理した方がまだ安心だ。

200万の札束というとコロコロコミックくらいの厚みがあるので、振り込む前の間、ありがたくにぎにぎして感触を楽しめる。ただどちらかというと多額の現金を持ち歩く不安の方が大きいので、最初から756円払ってBizSTATIONから振り込んだ方が早かったかもしれない。

こういう細かいところから支出を引き締めていきたいと思いつつ、ATMに通う時間と万が一のリスクを考えると、節約する方が割に合わない気もする。「700円でスーパーの焼鳥7本買える」とかセコイことを考えている間に、仕事して稼いだ方がいい。

窓口出金の本人確認はゆるかった

MUFGのATMから1日限度額の200万ずつ下ろすこと3日目、さすがに残暑が厳しく疲れてきたので、窓口で残額を一括出金させてもらった。支店窓口でも、法人口座から200万超の出金だと、本人確認の書類がいろいろ必要になる。

ウェブサイトによると口座開設時と同様に、発行6か月以内の登記簿謄本や定款など、いろいろ必要そうなことが書いてある。支店に行って聞いてみたら、「代表者であれば通帳・カード・印鑑でOK」との回答だった。

果たして手続きしてみると、その場で会社の住所と電話番号を紙に書かされたが、免許証などの本人確認書類は不要だった。ということは、上記の3点セットを手に入れて会社の住所・電話番号を暗記しておけば、誰でも200万を超える大金を会社口座から引き出せることになる。

あらためて社印や通帳の管理は大事だと思い知った。本来なら、別々の金庫に分けてしまって置いてもいいくらいだ。

ちなみに窓口で現金を引き出すと、100万円ずつ紙で留めてもらえる。いかにも札束という存在感が増して、うれしいサービスだ。支店のATMで入金するときは200万ずつになるので、数える手間が省けてありがたい。もしコンビニのATMで50万ずつ預け入れるなら、窓口でお願いして小分けに封筒詰めしてもらえばいいだろう。

招かれざる客

銀行で法人口座からの出金方法を相談すると、「ATMの振込で500万までいける」とか親切に教えてもらえた。そのあたりはネットで調べ済みなので、正直に「法人口座からの振込手数料が高いから、窓口で出金したい」と伝えたら、何だか気の毒な気がしてきた。

「口座に売上入金あり次第、全額引き出して利率のいいネットバンクに移す」…よく考えると都市銀行にとっては一番迷惑なたぐいのお客さんだろう。MUFGのATMが楽天カードをなかなか受け付けてくれないのは、わざとそうしているのかもしれない。あるいは連日不審な入出菌を繰り返しているので、ブラックリストに載ってしまったのだろうか。

結局MUFG口座からは、経営セーフティ共済の前納分と当面の社会保険料引落し予算だけ残して、ほとんど楽天銀行に資金を引き揚げた。ゆうちょ銀行や楽天銀行がその手の自動引き落としサービスに対応してくれたら、手数料の高いメガバンクに苦労して口座開設する必要もない。