交通事故体験談~日弁連の無料相談を活用して自力で解決を目指す

交通事故に遭ってから約3年。相手方の保険会社から症状固定の打診と後遺障害申請書が届いて、そろそろ示談交渉が始まりそうな気配がしてきた。

もし後遺障害の等級を認められれば、それなりの損害賠償金はもらえそう。これから弁護士に相談するとしても、最低限の手数料分はペイできそうな予感がする。

事故の状況と今後の見込みについて、とりあえず現段階で記事にまとめてみようと思う。不幸にして被害者になり自力で解決を目指す人にとっては、体験事例としてお役に立てるかもしれない。

(2020年3月24日更新)

事故関連のおすすめ市販書籍

あまり関わりたくなかった業界だが、交通事故関連のマーケットは大きい。

ネットで検索すれば様々な弁護士事務所のウェブサイトが出てくる。さかんに広告が出稿されているところを見ると、それだけ宣伝費用をかけても元が取れるということなのだろう。

過失割合や後遺障害について、かなり説明が詳しく勉強になるサイトもある。しかし弁護士が営利目的で運営しているサービスであるため、公平性・客観性という面で正しい意見なのか不安に思うこともある。

ひとまず自分でもできるだけ勉強してみようと思い、書店でいちばん詳しそうな本を買った。本記事の参考にしたのは『交通事故の法律知識』第3版。現在は新しい第4版が手に入る。

17名もの弁護士やライターが執筆していて重複個所が多く、部分的に専門的すぎるきらいもある。ただし一般向けの書籍として、事故に関する知識はひと通り網羅されている。

ネットで断片的な情報を集めるよりも、この本を一冊読む方が早かった。図書館の法律コーナーにもいくつか類書があったので、それらを組み合わせれば同等の知識を得られるかもしれない。

弁護士向けの専門書、赤い本と青本

ちなみに公益財団法人・日弁連交通事故相談センターが出している『損害額算定基準』という本がある。

通称「赤い本」や「青本」と呼ばれ、事故関連の慰謝料を計算する際によく引き合いに出される。どちらも普通の書店では販売されておらず、霞が関の弁護士会館で直接買うか、FAXで購入申し込みするしかない。

青本は2,600円、赤本は上下巻セットで3,200円とそこまで高くない。興味があれば買い足してもいいかと思う。

ただし最終的に弁護士に交渉を依頼するなら、自力でここまで調べる必要はなさそうな気もする。

個人レベルで赤い本まで買うのは、よほど熱心な人に限られるだろう。しかも建築関連の法令集と同じく、毎年最新版にアップデートされてしまう。

交通事故の状況・衝突パターン

事故の状況としては、自転車で歩道を走っていて、側道から出てきた車の左折に巻き込まれた。

『交通事故の法律知識』に転載されていた「赤い本」過失割合認定基準表を参考にすると、「自転車と四輪車>その他の事故>道路外出入車と直進車」というパターンに該当する。

上から見た図はこんな感じ。本を参考にしてポンチ絵を描いてみた。自転車が道路を逆走しているように見えるが、実際は歩道を走っている。

事故の状況、自転車と四輪車の過失割合計算

大きい方の道路は片側2車線の国道で、標識を確認したところ歩道は「自転車通行可」。ロードバイクでツーリング中、沿道の飲食店に入ろうと思って歩道を徐行運転していた。

自転車通行可

車は側道の停止線前後で一時停止しており、頭出し待機や既進入は行われていない。前方の歩道は十分開いていたので、そのまま自転車で前進したところ急発進した車にはねられた。

自転車 vs 車で過失割合1:9

認定基準によれば過失割合は「自転車:車=1:9」のパターン。国道を幹線道路とみなせば、自転車側マイナス5%くらいの修正はできるかもしれない。

その他の修正要素は適用できるか怪しい。前方不注意や急発進を「著しい過失(10%増減)」とすれば、双方が相手側の落ち度を主張できるからだ。

自分も相手も、たまたま油断したタイミングが重なったのだろう。ヒヤリ・ハットで済むか重大事故にいたるかの分かれ目は、確率の掛け算だと実感した。

双方の不注意が重なると事故になる

ドライバーは明らかに進入する国道の車だけ見ていて、左を確認しなかった。

そして隙を見て焦って進入しようとした。自分はフロントガラス・ピラーの死角に入っていたのかもしれない。自転車もその可能性に備えていったん停止し、車とアイコンタクトしてから前を通過すべきだった。

同じパターンで目の前を走る自転車が、車にぶつかって転倒するのを目撃したこともある。今回はまだお互い低速走行で、車も衝突後すぐに止まってくれたため、下半身を巻き込まれただけで済んだ。

半月板の手術後

一回目の膝の手術後

案の定、相手側の保険会社から提案された過失割合はマニュアルどおりの1:9。その後相談した弁護士によっては「0:10にできる可能性もある」とのこと。

ただし治療期間や後遺障害などが不明な状況では、「1割分のために弁護士を雇っても、赤字になるだけかも」とも言われた。

弁護士に頼むと赤字になる場合

たとえば賠償額が100万で過失割合を1割改善できたら10万浮かせられる。しかし弁護士代が30万かかったら、結果的に20万足が出る。

事故の治療に関して「自由診療でなく健康保険を使うか否か」という問題でも、似たような損得勘定が出てくる。ある程度金額や過失割合が大きくなるなら、3割自己負担しても保険を使った方が総費用は抑えられる。

容態が重くて慰謝料が増えそうなら打てる手は増えるが、数10万の範囲なら弁護士を介さず自分で対応した方が安上がりかもしれない。

既婚・別居だと親の特約が使えない

交通事故の被害者になった場合、まず確認すべきは加入している保険に弁護士特約がついているかどうかだ。

昔、車を持っていた時期は任意保険に弁護士特約が付いていた。事故当時は間近に控えたトレランレースの参加条件を満たす目的で、モンベルのアウトドア保険(しかも最安プラン)にしか入っていなかった。

404 NOT FOUND – かくてもあられけるよ

その後、弁護士さんから伺った情報で、親の保険についている特約が使える可能性があると知った。念のため対象の自動車保険に問い合わせてみたところ、「被保険者と別居かつ既婚の子どもは対象外」という話だった。

今は離婚して独り身でも、一度結婚歴があると別居の親の弁護士特約を使えないらしい。実家で親と同居していれば、既婚でもバツイチでも有効になる。

将来事故に遭った際に親の弁護士特約を使いたい人は、結婚しない方がいいかもしれない。あるいは結婚しても親と一緒に住むか。

特約に関するこのルールは、我が国の晩婚・未婚化を助長している要因のひとつではないだろうか。

交通事故の弁護士費用相場

もし保険の特約が使えなかった場合、弁護士を雇う費用は自腹でまかなうことになる。

弁護士特約がない場合、最近の相場では着手金無料で成功報酬(固定額10~20万+回収額の10~20%)というパターンが多いようだ。一昔前に比べて料金が下がっているように思うが、それだけ弁護士が増えてサービス供給過多ということだろうか。

たいていの法律事務所で交通事故関連の相談は、初回無料というケースが多い。全国展開大手の組織事務所でも、街中で営業している個人の事務所でも、いくつか訪ねてサービス面や相性を比べてみることができる。

注意点としてはウェブで「着手金0円」とうたっていても、問い合わせるとやはり「初期費用10万かかる」と説明されるパターンがあったりした。弁護士を何十人も抱えている組織事務所でも、平気でまぎらわしい宣伝を打っていたりする。

「交通事故」「弁護士」などGoggle検索して上位に出るところは、それだけ広告やSEOにお金をかけている。その分のコストは相談費用に上乗せされていると考えるのが自然だ。

日弁連の無料相談を利用

交通事故の直後に、とりあえず一度プロに相談してみたいと思って日弁連の交通事故相談センターを訪ねてみた。

(参考)日弁連交通事故相談センター

とりあえず10分程度の電話相談なら何度でも利用可能。聞きたい点が明確なら、電話で確認させてもらうこともできる。

ただし過失割合や逸失利益など込み入った相談をするには、やはり面接が有利だ。日弁連では1回30分×5回まで無料で面談できるシステムになっている。

その後、居住地域の市役所で行われている法律相談にも行ってみたが、どうやら弁護士は同じ日弁連から派遣されいるらしい。

わずか30分でも要点を押さえて質問に答えてくれるので、貧乏人にはうれしいサービスといえる。

相談センターを介して弁護士を探す

当日割り当てられた弁護士さんとは名刺を交換させてもらえる。面接で相性がいいと感じたら、あとは直接事務所を訪ねて契約するのがスムーズだろう。

できれば人の紹介で弁護士を探したいが、なかなか知り合いの伝手がなかったりする。ネットに出ている法律事務所をいきなり訪れるのも怖いので、最初は日弁連の無料サービスを利用するのがリーズナブルだと思う。

しかし担当の弁護士は毎回変わるので、その都度事故状況や治療の経過をいちから説明するのが面倒だ。「原則5回まで」というタイミングをうまく使えば、日弁連の無流相談だけ使って自力で示談や調停までこぎつけられるかもしれない。

ほかにも自治体や交通事故紛争処理センター、そんぽADRセンターなど、事故被害者向けの無料相談窓口は多くある。そのなかでも全国に窓口・相談所があり、示談あっ旋まで無料で対応してもらえる面では日弁連がいちばん便利だと思う。

被害者側の最優先事項は収入証明

この3年何度も繰り返し読んでいる『交通事故の法律知識』によると、被害者がもっとも努力すべきは「収入の証明」だ。

病院の治療費や入院代などは、記録やレシートをもとにして自動的に決まってくる。物損の部分も同様。

もうひとつのポイントは「過失割合の認定」だが、これも警察の取り調べでだいたい察しがつく。相手側の過失を指摘して1~2割減算するのも結構ハードルが高そうだ。

自営業・会社経営の場合は複雑

被害者の努力と交渉次第で金額に大きく響くのが、事故前の収入の証明および後遺障害の仕事への影響。これらが治療中の休業補償と、症状固定後の逸失利益に絡んでくる。

逸失利益の計算には労働能力喪失率やライプニッツ係数という複雑な計算式も出てくるが、要は「事故の前はこれだけ稼いでいた」と証明するのが重要だ。

サラリーマンであれば月給・賞与や昇進見込みから判断される。ややこしいのは自営業や個人事業の場合で、過去数年分の所得を平均したり、売上から経費を引いたり計算が必要になる。

自分の場合は経営している会社の給与が大半だが、事故の前年は節税のため報酬を低く抑えていた。売上や年俸は年によってまちまちなので、うまく平均をとって有利な計算式にもっていけるかどうかが勝負どころだと思う。

後遺障害等級による慰謝料の違い

そして次に大事なのが、これから担当医に相談する予定の後遺障害等級。

何度も手術を受けてリハビリをがんばった結果、関節の可動域はおおむね回復して日常生活には問題がなくなってきている。たとえば膝(下肢)の場合は、

  • 10級11号…1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 12級7号…1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  • 14級9号…局部に神経症状を残すもの

あたりがターゲットになってくる。ただし10級~12級の(著しい)機能障害の判定基準は厳しいので、せいぜい狙えるのは最低限の14級かもしれない。

両足をやられた場合など、障害の併合でランクアップできるのは13級以上。神経症状の14級はいくら集まっても14級でしかない。

慰謝料と逸失利益を合わせた自賠責保険の補償額は以下のとおり。

  • 10級…224万円
  • 12級…139万円
  • 14級…75万円

14級から12級に上がっただけで2倍近くに金額が膨らむ。

ためしにウェブで公開されている様々な慰謝料計算機にデータを入れてみると、「事故前の年収」と「後遺障害等級」次第で慰謝料・賠償金の見込み額は10倍近く変わったりする。

通院のタクシー代など細かい経費計算に目くじらを立てるより、インパクトが大きい収入証明と後遺障害に注力すべきだ。

とにかく過去の給与明細や確定申告書をかき集めて、計算漏れがないように万全を期すのが最優先。ダメもとで後遺障害もなるべく高く認めてもらえるよう、検査を念入りに受けておきたい。

あとは後遺症で趣味のスポーツができなくなったとか、ルールブックによらない個人的事情で慰謝料分を増やせるかもしれない。

そのあたりの事情はケースバイケースなためか、市販の書籍には書かれていなかった。本格的に交渉するなら、やはり最後は弁護士に頼んだ方がいいのだろう。

時効3年対策の反省点

市役所の無料法律相談でお会いした弁護士さんに、「治療が長引く場合、時効には気をつけるよう」アドバイスを受けた。

自賠責保険における被害者請求、民法上の損害賠償請求も、ともに時効は事故日から3年。このうち民法の方に関しては、2020年4月1日から5年に延長される。

今回の事故はそれ以前なので、事故から3年後で期限を迎えてしまう。ただし後遺障害が生じた部分に関しては「症状固定日から3年」という基準に変わるようだ。

事故の後、相手側の保険会社から治療費の仮払いを受けたことがある。これが「債務の一部承認」とみなされ、時効は支払日から3年に延長される。

保険会社からの示談金の提示なども同様の効力を持つ。要は「相手が責任を認めて賠償金を支払う意思があるかどうか」という話らしい。

時効中断の承認書がもらえない

加害者に内容証明郵便を送って時効を6か月遅らせたり(勧告)、調停や訴訟を起こしたりするのは最後の手段。それよりも穏便なのは、加害者側に「債務の承認」を行ってもらい時効を中断することだろう。

相談した弁護士のコメントによると、「時効中断の申請書(承認書)」を用意して保険会社にサインしてもらうのが定石らしい。

おそるおそる保険会社の担当者に相談してみたところ、メールの文面で「対応継続中」と返信いただいて書面まではもらえなかった。

素人示談交渉の限界

これがいわゆる「時効の中断」(3年延長?)として効力を持つものなのか、それともやはり電磁的方法でなく文書で言質を取る必要があるのか、素人にはさっぱりわからない。

さすがにそこまで細かい対応方法はウェブにも出ていないうえ、そもそも示談交渉の実務上、時効にどこまでリスクがあるのかニュアンスが読めない。

そこまで必須でない承認書を無理に催促したばかりに、保険会社の機嫌を損ねてしまう。あるいは交渉先が素人とわかって足元を見られるなど、いろいろな弊害も思いつく。

このあたりのマニュアル化されていないコミュニケーションについては、やはりプロの助言がないと難しいと感じた。弁護士と顧問契約するまでもなく、都度料金で法律相談・交渉代行できるサービスがあればいいと思う。

【注意】賠償事故解決特約は弁護士特約ではない

念のため事故当時に加入していたモンベルの野外活動保険(傷害総合保険)を調べたところ、「賠償事故の解決に関する特約」という付帯サービスが付いていることを知った。

保険証の一番下に小さく書かれていたので見落としていた。モンベルに問い合わせたところ、これがいわゆる弁護士特約に該当するものらしい

※保険開始日2012年10月1日以降のご加入分に関しては、賠償事故解決特約をセットしています。

モンベルの保険証

後日、引受先の保険会社(旧富士火災海上保険→現AIG損保)に確認した結果、賠償事故解決特約は弁護士特約とは別物だとわかった。

前者はあくまで個人賠償に関する示談交渉サービスを意味するそうで、人身事故の示談交渉は対象外。旧富士火災・契約時の約款は以下のサイトから見ることができる。

(参考)旧富士火災 けがの保険Web約款

これで気兼ねなく弁護士さんに相談できるかと思ったところ、担当者の勘違いということでがっかり。

一方でモンベル保険の最安プランでも、後遺障害の補償が最高200万付いているとわかった。仮に14級でも認められれば4%(=8万円)のお見舞金程度はもらえるかもしれない。

後遺障害補償は事故後180日以内?

ただしこれについても「ケガにより事故日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合…」と条件が追加されている。

現実的に後遺症が残るような大けがであれば、わずか半年で症状固定になるとは考えにくい。実務上、後遺障害の保険金は「期間を過ぎても支払われる」という話もあり、今後の対応がどうなるのか気になるところだ。

交通事故は介護と似ている

上野千鶴子が『おひとりさまの老後』で指摘していたように、交通事故も介護と同じ。予期せぬタイミングで発生するうえ、搬送先の病院も示談交渉の相手方も、自分で自由に選べない。

人生でそう何度も体験できるものではないので、個人的にノウハウを蓄積できない。属人性の高いサービスなので中身が予測できず、複数の弁護士を依頼者がレビューした比較サイトも見当たらない。

ただし介護事業者に比べて、弁護士は消費者側で選ぶ余地が大きいように思う。出張実費を気にしなければ、居住地から離れた腕のいい法律事務所に依頼することもできる。

いちばん楽なのは昔ながらのやり方で、知り合い経由で弁護士を紹介してもらう方法。伝手がなければ、いくつか無料相談してみて相性を探るしかない。

弁護士を比較する際、気軽に利用できる日弁連のサービスは活用できる。弁護士特約が付いていても、依頼先を選べるなら何人か会って比べてみるのがよさそうだ。

(余談)100日後に交通事故で死んだワニ

昨日、予告どおりツイッターでお亡くなりになった『100日後に死ぬワニ』。

マンガの中で死因は明らかにされていないが、おそらくヒヨコを助けて車にひかれたのだろう。

100話分読み返すと3日目と72日目の四コマに、交通事故を予感させる伏線が敷かれていた。5話目で友達のネズミも事故に遭って大けがしている。

日本での事故発生率と平均寿命から計算すると、一生のうち交通事故に遭う確率は3分の1以上。そう考えるとワニの死にざまは他人事でない。

仮に今30歳の男性なら平均余命からして「約18,000日後に死ぬ人間」。しかし交通事故となれば明日にでも命を落とすおそれはある。

もう車は運転したくない

交通事故に遭ってよろこぶ人はいない。

たとえ被害者で多額の賠償金をもらえたとしても、後遺障害で趣味や仕事を断念したり生活の不便を強いられたりするのはつらいものだ。

PTSDというほどではないが、車にひかれたときの感覚はよく思い出す。たまに歩道を歩いているだけでも車が突っ込んで来ないか不安になる。

事故に関わる人みんなが不幸になるので、なるべくもう自分では車を運転したくない。路上を走る凶器にしか見えない。

ロードバイクで事故に遭うと、たとえ被害者側でも世間から白い目で見られがちだ。危険な趣味に時間とお金を費やして自業自得だと。

そのせいでだいぶ肩身の狭い思いをしたが、自転車は膝のリハビリに有効だと医師から勧められた。事故後に運動しなさすぎるのも生活習慣病の原因になりそうなので、最近はまたロードに乗り始めている。

その代り二度と事故を起こさないよう、運転はものすごく慎重になった。今回の事故で唯一マシだったのが、自分が加害者でなく(過失割合が少ない分、主に)被害者側だったということだ。

事故で生き残る幸せと不幸

事故に遭って実感したのが、示談交渉の面倒臭さだ。たとえ保険会社同士の交渉に任せるとしても、最低限の法律知識は必要になる。

不謹慎な言い方だが、治療や後遺障害で苦しまずに死ねたワニは不幸中の幸いなのだろうか。加害者や保険会社にとっても被害者が即死した方が、後遺障害1級などより損害賠償額が少なく済むこともあるらしい。

一方で死んでしまえば得とか損とか費用便益を考えることもできない。死んだ後の世界は想像できないので、生き残った価値と比べようがない。

ワニの末路を見た後では、そこそこ痛い目に遭っても死なないでよかったと思う。たとえ今年はコロナ禍で株価が暴落しても、春になってまた花見ができるのはありがたいことだ。