自宅の食器や調理器具は、ほぼアウトドア用品でそろえている。普通のキッチン用品より使いにくいときもあるが、ステンレスやチタン製で割れずに長持ちする上、軽くてスタッキングできるというメリットがある。キャンプや出張の際にそのまま持って行くこともできる。
針金でできたミニマムなドリッパー
そんな「家の中でも毎日キャンプ状態」を進めるため、コーヒーのドリッパーをユニフレームのバネットに替えてみた。サイズは2種類あるが、一人用なのでcuteの方を選んだ。
同サイズでsierraというモデルもあるのだが、こちら口が広いシェラカップにも乗るよう、台座が広くなっているようだ。普通のコップ用ならcuteかgrandeの方が、かさばらず便利だろう。
樹脂から金属製までやたら種類豊富なドリッパー
コーヒードリッパーは安価なプラスチックのものから、陶器や金属製までいろいろある。銅のドリッパーは見た目がかっこいいが、スーパーの安い粉を買って淹れる程度なら、どれでも変わらないだろう。とはいえ、毎日使う道具なので、コーヒー用品は手入れして長持ちしそうな金属製を選んでもよいと思う。
最近はカリタと燕市がコラボしている製品シリーズが気になる。ポットやドリッパーは高いが、せめてメジャーカップくらいならぜいたくしてもよいかな、という気分だ。
アウトドア用なら、コールマンのパルテノンドリッパーが魅力的だ。フィルター内蔵で掃除は面倒くさそうだが、無骨な見た目にそそられる。
コールマンに比べると、キャプテンスタッグのザルのようなドリッパーは何とも貧相だ。元はパール金属で燕三条製の良品が多いが、このザルは中国製のようだ。シリコン製の折りたたみドリッパーもあるが、何となくバケツのようでおいしそうに見えない。個人的に応援したいブランドだが、デザインの垢抜けなさが残念なキャプテンスタッグ…。
コーヒーバネットの利点と欠点
ユニフレームのコーヒーバネットは、針金を巻いた単純な構造で、折りたたんで収納することができる。コーヒードリッパーはキッチンの収納に意外と場所を取るので、うれしい工夫だ。
もともとはバックパックの中で省スペースに持ち運ぶための工夫だが、競合品にモンベルのコンパクトドリッパーというものがある。モンベルの方がさらに軽量化が図られているが、別途箸を通して使用する必要があるのと、軽すぎて不安定、フィルターを洗って使いまわすのが面倒と、自分の趣味には合わなかった。
究極のミニマリズムと思って、茶こしをフィルター代わりに使ってみたこともあるが、粗挽きでも底にカスが溜まって、コーヒーを飲み切れずもったいない気がした。
市販のペーパーフィルターが使えて、単一素材でメンテナンスが容易なユニフレームのバネットが、ちょうどよいかなと思う。軽いだけでなく、針金の隙間からガスを逃して雑味を取り除くという構造的なメリットもあるようだ。
ハンドドリップのコーヒー専門店でバネットを使っているのは見たことがないが、味はこれまで使っていたカリタのプラスチック製ドリッパーと変わらないように思う。
もちろんデメリットもある。重量が軽すぎるのと、その名のとおりバネのような弾力性があるので、カップに乗せたまま運ぼうとすると簡単に飛び跳ねて吹っ飛んでしまう。粉を入れた状態で暴発すると、あたりが悲惨なことになるので、定位置に据えてから粉を入れた方がよいだろう。
フィルターは普通の扇形で大丈夫
フィルターはハリオのV60のような円錐ドリッパー専用で、スーパーでは普通の扇型しか売っていないこともある。カルディなど輸入食品店に行けばたいてい扱っているが、価格は扇型の2倍以上だ。3~4人用より小さい1~2人用のフィルターの方が単価が高いというのも不思議。
試しに安い台形状のフィルターで淹れてみたが、下の方の収まりが悪いものの、使用上はまったく問題なかった。バネットについてきた試供品の円錐フィルターに比べると、むしろ下端部分がコーヒーに触れて雑味が出ないので、すぐれているともいえる。
cuteサイズには3~4人用のフィルターがぴったりだ。自分はたいていスノーピークの雪峰H450マグカップを使って、なみなみ2人前はコーヒーを淹れて飲んでいる。
バネットという商品名の謎
コーヒーバネットという名前が気になって調べてみたが、どうも一般名称ではないように思う。バネット=bonnet(車のボンネット、婦人用の帽子)かと思ったが、画像検索してもコーヒーのドリッパーのイメージは出てこなかった。
もしかすると「バネっぽいからバネット」という安直なネーミングの予感がするが、実は日本が世界に誇るアイデア商品なのかもしれない。ほかのメーカーの類似品で「バネドリップ」とか、さらに冗談のようなものも存在する。しかもユニフレームの純正品より少し安い。
次はポーレックスのコーヒーミルが気になる
アマゾンでバネットを買おうとすると「一緒に購入されている商品」に、ポーレックスのコーヒーミルが紹介される。ステンレス素材の外見が市販の木製ミルより工業製品的で、クールな印象を醸し出している。ほかのアウトドア用品と合わせても統一感を出せそうだ。
2015年の新製品でユニフレームからもコーヒーミルが発売されたが、こちらは蓋がないのでハンドルを回す際に豆が飛び散るおそれがある。
設計コンセプトとしては「香りを楽しむため、あえて蓋を付けなかった。屋外だから大丈夫」とのことだが、自分は主に室内で使う想定だから大いに支障がある。
コーヒー豆が粉より高い理由
先日、岐阜でミル挽きを味わって感激したが、コーヒーは粉で買うより豆を手に入れる方が高くつく。「豆を挽く分、余計なコストがかかるのでは」と以前から不思議に思っていたのだが、どうやら粉に使われる豆がそもそも安いらしい。
市販されている豆は形がよいものを選別したもので、小さかったり、大きさ不揃いの訳アリ豆が粉用に使われるそうだ。スーパーの安いリンゴのように、見た目の違いだけで品質は変わらないと思うから、節約派としては訳アリ品、大歓迎だ。
フィルターでさえ「1枚あたり○円高い…」とケチって純正の円錐型を買わないくらいだから、香りを楽しむために割高な豆を買って挽くというのは気が引ける。ほかにも、豆の方が粉より空気に触れる面積が少ないので保管時に劣化しにくいとか、メリットはありそうだが。
正直に言うと、コーヒーミルのガジェットとしての魅力にひかれている部分が大きい。ポーレックスの精密機器のような外観と、組み立て式のハンドルに男心をくすぐる要素がある。ゴルゴがM16をオーバーホールするように、カリカリ豆を挽く行為そのものに憧れを感じる。
モンベルやノースフェースの店内に展示してあったポーレックスのミルを何度か触ってみたが、ミニサイズは思った以上にコンパクトだった。アマゾンでも6,000円超と、豆のランニングコストも含めて安くはないが、今一番気になるアイテムだ。
もっとも、ダイオーズの株主優待で近々大量にコーヒー粉をもらえる予定なので、ミルもドリッパーもまったく不要になりそうだが…(後日ダイオーズのコーヒーセットを受け取ったが、粉だけなのでドリッパーは必要だとわかった)
コーヒー粉は冷凍庫で保管するのが常識
豆の保管法を調べていると、プロの間ではなんと冷蔵庫でなく冷凍庫に入れておくのが常識らしい。別に冷凍庫に入れても凍るわけではなく、冷蔵庫より酸化を防げるので合理的というわけだ。
おしゃれなキャニスターに豆を入れてキッチンの棚に並べておく(常温保存)のは、間違っていたということになる。冷凍庫保管を試してみたが、確かに開封して1ヶ月以上経った粉でも、味の変化が少ないと思った。自分でも違いに気づくくらいだから、道具にこだわるより先に、冷凍庫に粉を入れた方がよい。
豆・粉の冷凍庫保管にはナルゲンの広口ボトル
冷凍庫にガラスや金属製のキャニスターを入れると、取り出したときに容器を持つ手が冷たすぎる。ここでもアウトドア用品の定番、ナルゲンの樹脂製ボトルが活躍する。口が狭くてやや取り出しにくいが、1人前の少量なら問題ない。
蓋固定のトライタンより少し安い、キッチン向けの広口透明ボトルがおすすめだ。
コーヒー用の150/200/350Gというサイズが出ていて、どこが違うのかと思ったが、店頭で調べたらキッチン用より内容量が微妙に異なるとわかった。あとはメモリがプリントされているくらいなので、コーヒー用でない方の安いキッチンボトルで十分だ。