アスナル金山で韓国料理の優待ランチを楽しんだ後は、いよいよ目的の名古屋観光へ。ゼットン優待でチケットをもらえた、徳川園~徳川美術館~テレビ塔を午後にはしごする予定だ。
優待利用なら黒門へ
ちょうど金山駅からJRの中央本線が分岐していて、徳川園最寄り駅の大曽根まで乗り換えなしで行ける。私鉄や地下鉄でなくそのまま18きっぷが使えるので、ちょっとうれしい。大曽根駅から徳川園に向かって南に少し歩くと、庭園北側の裏口みたいなところに辿り着く。
ここから入れないかと思ったが、優待券を園内のレストランで入園チケットに交換してもらう必要があると言われた。確かに券面をよく見るとそのように書いてある。
そのまま敷地を回り込んで、黒門があるメインエントランスに到着。園内に巨大な美術館とお土産屋、カフェとレストランが入っていて、相当広い敷地なようだ。
蘇山荘とレストランも優待利用可
園内の蘇山荘とガーデンレストランでもゼットンの優待券が使えるので、休憩がてら、あとでお茶でもしようと考えていた。しかし蘇山荘は結婚式か何かで、残念ながら貸し切りのようだ。レストランは空いていたが営業時間外。そもそもこちらは高すぎて優待券数枚では間に合わないレベル。
カフェとレストランは満開の枝垂れ桜を囲む廊下で連結されている。庭園に入らずに飲食だけでも利用可能だが、敷居が高そうなイメージだ。まさに結納・顔合わせの食事会や披露宴にはぴったりのロケーションに見える。
雨のぱらつく平日の昼下がり、結婚式の写真撮影をしていたり、下見に来ているカップルと3組すれ違った。どうやら徳川園は名古屋のメジャーなブライダルスポットらしい。東京でいえば、フォーシーズンズホテルの椿山荘みたいなイメージだろうか。今は業務提携が終わって「ホテル椿山荘東京」と呼ぶようだ。園内に有形文化財もあったり格式が高い印象で、良家の令嬢か、育ちを良く見せたいお嬢さんが背伸びして挙式するところ、という雰囲気がある。
レストランの受付でゼットン優待券を入園券に引き換えてもらい、まずは庭園の方に向かってみた。普通にチケットを買っても大人1人240円とリーズナブル。1回200円の新宿御苑よりは高く、450円の昭和記念公園よりは安いくらい。都内で似たような六義園は300円、清住庭園は150円だから、庭園系の入園料は、最近映画館並みに高騰している美術館・博物館の入館料に比べて良心的といえる。
広大な敷地に湖まである
最初の橋を渡った左手に、一方通行の出口がある。すぐ近くの滝の下の方から、歩いて上って来られる道があるようだ。すれ違うお客さんは、どちらかというと外国人の方が多い。「こんな地味な庭園をよく見に来るなあ」と思ったが、振り返ってみれば徳川園は名古屋屈指の観光地に思われた。明治村やリトルワールドのような郊外の広いテーマパークはあるが、市内にある文化施設としては名古屋城に次ぐ規模だろう。
入口からそのまま歩くと、すぐに虎仙橋という名所に辿り着く。徳川園は広大な敷地の半分が池、もう半分が山になっていて、巨大な滝から流れた水が川になって池に注ぐかたちになっている。この立体的な庭園の構成を鑑賞できるのが、虎仙橋のスポットだ。行きは橋を渡って庭園にアプローチして、帰りはその下をくぐって池の方から一方通行の路地を上るといいだろう。8の字というかメビウスの輪を辿るように、徳川園の見どころをくまなく体験できる。
西側の池は広すぎて、もはや池というより湖と呼ばれている。この龍仙湖のほとり、少し高くなったところに茶室があり、そこから庭園の山部分を背景に湖を眺めるのが、一番絵になるポイントだ。池には鴨や鯉がたくさんいて、餌を買って与えられる。
徳川園の名物は巨大な滝
徳川園の見どころはもう一つ、「大曽根の瀧」と呼ばれる巨大な滝だろう。荒々しい巨石の間から轟音で迸る水流は、もはや日本庭園の域を脱している。滝を構成する巨大な石は、そのまま大阪城の石垣に使われていてもおかしくないクラスだ。
平野の街中に、これだけ巨石を運んで組み立てられたということが、徳川家の権力を想像させる。中国の蘇州にある、太湖石でできた庭園のようだ。申し訳程度に茶室や東屋も配されているが、もはや侘び寂びなんて美学を超越したダイナミックなランドスケープが徳川園の魅力といえる。
順路通りに道を歩くと遠くから滝を眺めるかたちになるが、実は分岐した裏道から滝つぼ近くまでアプローチすることができる。滝を間近で見るとこの迫力。まるで本当に山の中に来たようなワイルドな雰囲気を味あわせてくれる。
徳川美術館は国宝だらけ
庭園散策を楽しんだ後は、次は園内の徳川美術館に向かう。こちらの入館料は1,000円なので、ゼットン優待券で入れるのはありがたい。
特別展の内容は「尾張徳川家の雛まつり」。季節柄どこの美術館~博物館でも3月は雛人形ばかり展示してある。今シーズン見るのはもう3回目だが、さすが徳川家のコレクションはクオリティーが高かった。
美術館も入館千円取るだけあって、かなりの広さと展示物がある。刀剣や能面もすばらしいが、見どころは国宝「初音の調度」だろう。三代将軍、徳川家光の長女・千代姫の嫁入り道具で、棚や箱のような家具から将棋盤まで全面に黄金の装飾と螺鈿が施されている。
さらに貴重品すぎてオリジナルは公開されていなかったが、12世紀の源氏物語絵巻も収蔵されているようだ。こちらももちろん国宝。展示室には印刷したレプリカが飾られている。
猿面茶席のレプリカがある
さらに名古屋城に存在したらしい、古田織部作といわれる「猿面茶席」が半分だけ原寸で復元されている。美術館の中に原寸の茶室があるというのもすごいが、スイッチを押すと中の板扉が自動で開閉するギミックまである。茶席の柱の模様を見ると、確かに名前の由来になった「猿の顔」に見えなくもない。信長の時代の美的センスは当然今とは違ったのだろう。
徳川美術館は昭和10年の開館で、建物自体が登録有形文化財になっている。帝冠様式の見本のようなスタイルで瓦屋根に洋風の欄干や窓が合体している。ところどころ昔の玄関や外観を見られるスポットがあるので、ぜひ建物の方も目に収めておきたい。
ミュージアムショップは源氏物語グッズが充実している。財布や小物など和風の雑貨類もたくさん並んでいるので、広いショップを眺めるだけでも楽しめる。
名古屋の観光スポットは名古屋城だけではなかった。徳川家の威光を垣間見られる豪華絢爛な日本庭園と美術館…ゼットン株主優待を手に入れたらぜひ遠方からでも訪れる価値のある名跡だ。