仙台のナインアワーズ宿泊レポート。立地便利で安いが気になる騒音

デザイナーズカプセルホテルの先駆け9h。初代の京都店オープン時からファンで、旅先に店舗があれば定宿にすると決めている。

数年前にオープンしてから気になっていた仙台店に、ようやく泊まる機会ができた。3日も連泊したので、気分はもう合理性をとことん究めたカプセル住人という心境だ。

コンビニとスタバが近くて便利

しばらく前に、早朝発のジェットスターを利用するため成田空港の9hに宿泊した。まるでコンビニのように規格化されたインテリアで、京都店と使い勝手はまるっきり一緒だった。

立地によって料金はまちまちだが、9hに入るとまるで我が家に帰って来たように安心できる。洗練されたデザインのカプセル、機能的な枕とマットレスで、自宅のベッドよりぐっする眠れる気がする。

相変わらず店内にはマンガはおろか、自販機すら置いていないスパルタンな仕様なので、食事や買物には不便する。成田空港店は構内のサービスエリアにあるので、地下の京葉線改札まで歩かないとコンビニにたどり着けなかった。

その点、仙台店は同じビルの1階にコンビニがあるので、買物にはやや便利だった。イートインできるスペースも数席あり、朝食はおにぎりでも買ってここでむしゃむしゃできる。さらに数軒隣に電源・WiFi完備のスタバもあり、ちょっとした作業をするには9h内より断然便利だ。

仙台店には残念ながら、京都店1階のような共用のラウンジスペースは存在しなかった。成田空港と同じく、入口には素っ気ない受付カウンターと最小限の待ち合わせ用椅子しか用意されていない。

繁華街の国分町に隣接

仙台のナインアワーズは、広瀬通という駅前の大通りに直接面している。さらに国分町という歓楽街の入口に隣接しているため、宿の立地としてはかなりめぐまれたポジションだ。

地方都市にあるビジネスホテルは、駅前か繁華街のどちらかに集中する。利便性とエンタメ性のどちらを優先するかという判断だ。京都なら四条、福井なら片町、そして仙台は国分町が後者のエリアになる。

仕事で出張したら、たいてい夜は地元の取引先と飲食を共にするだろう。飲み屋街隣接のホテルだと「帰ってすぐ寝るだけ」という気楽さが魅力だ。いったん荷物を預けて、身軽になってから街に繰り出すこともできる。

国分町は仙台駅から数ブロック離れているが、歩けない距離ではない。主要機能がコンパクトにまとまっている地方都市の利点だ。新宿であれば歌舞伎町の入口にホテルがあるようなものなので、深夜でも賑やかすぎるのは睡眠上のデメリットともいえる。

平日の早割連泊だと1泊2千円台

入口は2階にあり、階段でもエレベーターでもアクセスできる。11月の中途半端な平日のためか、楽天トラベルに出ていた「7日前早割2泊以上連泊」というプランで、1泊2,250円(税込)という驚異的な低料金で予約できた。前回の京都旅行も1,300円だったので、閑散期の9hは信じられないくらい値下がりする。

いつも通りタブレットにサインしてロッカーの鍵をもらい、3階の男性フロアに向かう。ビル内の店舗だが京都店より3倍くらい広いので、2階が受付・女性、3階が男性専用フロアとコンパクトにまとまっている。今思えば、女性が泊まれるカプセルホテルという面でも、9hは画期的だったかもしれない。

京都店のロッカーキーはカード型で、2次元バーコードを読み取る方式。たまに反応しにくいときがあるので、仙台店は普通の鍵で助かった。

洗面所とシャワーは整然と配置されており、京都店・成田店とキャパは同程度だが設備は豊富にある。

特にトイレは洋式タイプの個室型がずらっと並んでおり、朝のラッシュ時も待たされる心配がない。しかもセンサーで便座の蓋が上がるタイプの高級便器が設置されている。以前、立ち小便しながら勝手に蓋が下がってきて、排せつ物が自分に跳ね返ってきた経験がある。このタイプの便器は、座って用を足すのが安全だ。

カプセルに時計とアラームなし

メインのカプセルは他店と同じで、特に変わった点はない。頭の上のコントロールパネルは入眠促進システムや目覚まし機能どころか、時計まで省かれた素っ気ないつくり。かろうじてライトの調光つまみと、充電用のコンセントだけ備え付けられている。

たいていのカプセルホテルは中にテレビがあるが、電源がなくて充電に不便なときがある。旅先で寝ている時間に、スマホやノートPCに電力チャージできるのはありがたい。いまどきアラームはスマホで代用できるので、部屋にあるのを使うことはない。むしろ使い慣れたアプリの方が、時間がプリセットされていて便利だ。

洗面台にティッシュとドライヤーは備え付けられているが、化粧水。カミソリ・綿棒は置いていない。その代わり、シャンプーやボディーソープの共用アメニティーは、香りが良くてちょっと高級そうなものが置いてある。

睡眠に不要なものは置いていない

9hには喫煙スペースやマンガ常備のラウンジもないので、余計な誘惑もなく睡眠とリフレッシュに徹することができる。着替えしてシャワーを浴びて、歯を磨いて寝るだけの最低限の設備。まさに9hが当初から掲げているコンセプトどおりだ。

使い慣れると、PC充電しながら作業できるスペースくらいはあってもいいと思う。せめて自販機があれば、夜中に外に出てコンビニまで買い出しに行く必要もない。カプセルにテレビがあった方が、うれしいお客さんも多いかもしれない。

そこまで大胆に機能とターゲットを絞り込んだことによって、9hで酔っ払いや面倒くさい客に出会う率は少ない。使い方をわきまえている客だけが、お互いマナーに配慮して静かに安く泊まれる宿というのが理想だ。

仙台店はロッカーの騒音が響く

仙台店は飲み屋街に近いせいか、1時過ぎまでドタバタチェックインしてくる騒音に悩まされた。割り当てられたカプセルが、扉1枚隔ててロッカールームに近接しているのも原因だと思う。

京都店のように階別にゾーニングされていれば、睡眠スペースで他人のいびき以外に悩まされる心配はない。ロッカーが狭いうえ、床は全体的にカーペットでなくタイルなので、ものを落としたり革靴でコツコツ歩くと、意外と音が響く。

毎朝他人のアラームで起こされる

なんだか騒々しい客が多いなと思ったら、洗面台のゴミ箱に缶チューハイが捨ててあったりした。店内にまったくくつろげるスペースなどないが、9hで酒を飲む人もいるのだろう。たまたまめぐりあわせが悪かったのか、1日目はうるさくて2時くらいまで寝付けなかった。

2日目以降は大人しいお客さんが多いのでぐっすり眠れたが、朝7時にけたたましい目覚まし音を鳴らす人がいて辟易した。いつまでたっても鳴りやまないのでカプセルを覗いたところ、持ち主の姿が見えず、トイレか洗面所に行っているのだろう。アラームのアプリをオフにして騒音を止めたが、相手が悪ければスマホごと叩き割られていたことだろう。

3日目の朝も同じ展開でうんざりしたが、おかげで7時きっかりに目が覚めて早朝の時間を有効活用できた。カプセルホテルに泊まると寮暮らしのような集団生活を体験できるため、生活のリズムが整っていい面もある。