IHでも使えるキャプテンスタッグのアウトドア用ステンレス鍋レビュー

軽くて丈夫で落としても割れない、アウトドア用の金属製カトラリーを自宅でも愛用している。山やキャンプで使うことはまれだが、ちょっとしたBBQパーティーなどに持ちだしできる。野外でも室内でも兼用できて荷物を減らせる、アウトドア派のミニマリストにおすすめのスタイルだ。

IHで使える金属

食器だけでなく鍋や包丁もアウトドア用品でそろえたいのだが、我が家のキッチンはIHのクッキングヒーターである。電磁調理器で加熱するには、ひとえに金属といっても磁石がくっつきコイルから渦電流を誘導できる素材でなければならない。

鉄のフライパンやホーロー鍋は問題ないが、銅やアルミはNGといわれている。チタンも非磁性体金属なので、IHには使えない。アウトドア用のクッカーで使われる素材といえば、アルミ・チタン・ステンレスが主なので、残るはステンレス製の鍋ということになる。

ステンレスにも種類がある

ところがステンレスでも、18-8(SUS-304)や18-10(SUS-304L)というクロムやニッケルが添加された高級品は耐食性に優れるが、逆にIHでは使えないというデメリットがある。安い有磁ステンレス18-0なら加熱できる可能性はあるが、たいていのステンレス製品は18-8以上のグレードである。

アルミ製でも底に鉄を挟んだ多層鍋はIHに使えるが、さすがに重くなるのでアウトドア製品でこのタイプは見つからなかった。また、柳宗理のキッチンウェアで、SGマーク付きのIH200V対応でない安い鍋でも、実はIHで使えるという噂がある。

どうやらステンレスで加熱できないことはないが、強度が足りず空焚きで変形したりする恐れがあるため、あえてIH対応をうたっていない製品もあるらしい。

2リットルのラーメンクッカー

となれば、安いステンレス鍋を買って試してみるのが早い。ユニフレームのfan5シリーズのうち、ステンレス大鍋と片手鍋はIH対応と公式FAQで回答されているが、5.5リットルも容量があって大きすぎる。

キャプテンスタッグのラーメンクッカー2L(型M-5511番)という製品がサイズとしては適切に思われた。

素材はステンレス鋼としか書かれていないが、2,000円以下と安いので18-0である可能性が高い。

IHでも問題なく使えた

人柱になる覚悟で注文したラーメンクッカー、結果的にはIHでも問題なく使えた。別に持っているホーロー鍋と沸騰までにかかる時間を比べてもそん色ない。もちろん普通のガスコンロでも使える。山奥の出張先にポータブルなIHヒーターと一緒に持ちこんで、鍋料理を楽しんだりした。

内部の側面には400~1200mlまでメモリが刻まれていて、その名の通りインスタントラーメンを茹でる際にも正確にお湯の量を計れる。

取っての部分はちょうつがいになっていて、ハンドルを交差させるとしっかり固定される。さすがに満杯近く中身を入れて運ぶと強度が心もとないが、溶接部が取れたりハンドルが曲がったりすることはなかった。

必要最低限のパーツと厚みでできているので、普通のキッチン用鍋よりは明らかに軽い。その分、床に落とすと角が凹んだり、焦げ付いたり変色したりすることもあるが、かえって味が出てよい感じだ。アウトドア製品なので、がしがし使い込んで年季が入って見えた方がカッコいい。

フライパンとしては使いにくい

蓋の上にかぶさっているパーツは、裏返すとフライパンとしても使える。ただし普通のフライパンに比べると狭い上に熱の伝導性が悪いのか、ちょっと目を離すとすぐに焦げ付いてしまう。

油も跳ねて厄介なので、炒め物をする際でも深い方の鍋を使った方が楽だった。鍋に油を引いて、お土産でもらった牛タンなどを焼いて食べた。

実は高品質のキャプテンスタッグ

キャプテンスタッグというと、コールマンより安いアウトドア用品の代名詞のように思われるが、実は製造元はパール金属である。パール金属もキッチン用品としては海外ブランドより安価だが、品質はすぐれている。2千円くらいのステンレス鍋でも、親子2代で使えそうなくらい耐久性がある。

キャプテンスタッグの1,000円ちょっとのステンレス鍋が、新潟の燕三条で作られていると思うと意外だが、確かに溶接や端部の加工を見ても雑な部分はない。元がアウトドア用なので、毎日家で使っても問題ないくらい頑丈だ。

汁がこぼれやすいのが難点

ラーメンクッカーの欠点を一つだけ挙げるとすれば、上端の金属が曲がっている部分に直接口をつけて食べようとすると、汁がこぼれやすい点だ。

そんな下品なことをしないで、ちゃんと茶碗によそってから食べればよいのだが、洗い物を減らすために調理した鍋でそのまま食べるのが習慣になってしまった。キャンプっぽいワイルドな雰囲気も味わえる。

もう一つ持っている片手鍋は野田琺瑯のNOMAKUだが、これは上端が切りっぱなしになっている直線的なデザインで、そのまま中身をすすっても不思議とこぼれにくい。

注ぎやすさが売りの鍋はあるが、食器として食べやすさをうたった製品は見たことがない。2リットルサイズの鍋で味噌汁をつくって、そのまま汁をすすって食べる人も少ないのだろう。

毎日使う食器にはこだわりたいが、別に高級品である必要はない。ハンドルを折りたたんでコンパクトに収納できて、軽くて安くて気軽に使えるキャプテンスタッグのラーメンクッカーは自宅のキッチンにもおすすめだ。キャンプ専用として物置に眠らせておくにはもったいないプロダクトといえる。